一章 一話 告げられた事実
━━━懐かしい感覚
雲一つない真っ青な空の中から真上から降り注ぐ太陽の光、夏特有の暑さ
その中で汗水を拭いながら、あと一日と迫った学園祭の準備に勤しんでいた
周りでは至る所から声が上がっていてのんびりとした雰囲気で一年一組は準備をしていた
「屋上にいって幕を付けるから、皆屋上に行ってー」
委員長の声と共にクラス全員がビーチフラッグの旗を取りに行くように、一斉に走り出した
翔矢はそんな勢いに目もくれず、悠人と共にたわいもない話をしながら向かった
二人が着いた頃にはクラスの大多数が着いていて、設置をするようだ
「おーい翔矢ちょっと手伝ってー」
声に促されるまま幕の上部を持ち、凛音に届くようにゆっくりと下ろした
後ろから落ちんなよーっという声を耳に入れつつ
夕方の心地よい風の中、突然目の前の視界がぐわんと回り手すりによりかかった
その瞬間
自分の体は宙を舞っていた
目が点となり、皆が声を出しているのにも関わらず耳には風の音しか聞こえなかった
頭の中では走馬灯では無く、この後どうなるかということを考えていた
驚くほど冷静に
そのまま頭から強く叩き付けられた
皆の声は徐々に聞こえなくなっていく…
「…くん」
何処からとも無く聞き覚えのある声が聞こえてきた
皆の声は聞こえないはずなのに…
ただ一人を除いて
「翔矢くん!」
その瞬間今まで起きてたかのように目をパチッとあげてあたりを見回した
「翔矢くん大丈夫だった? 心配したんだよ」
その少女はロングヘアーでオレンジの髪の色をしていて、紅玉の様な透き通った目をしている息を呑む麗しさをしている
「ここはどこ…?」
その言葉を言った瞬間彼女は目をまん丸にした
「えっ… あ、そっかあ ここまで何があったから分からないよね ごめんごめん」
「とりあえずどこから話そうかなー じゃあ学園祭のところから話そうかな」
「学園祭? 学園祭って何をするの?」
「そう! 私達は学園祭を ってえ…」
「もしかしてだけど…私の名前覚えてる?」
「えっと…」
(どこかで見たことある顔だ それもごく最近
…それなのにも関わらず思い出せない)
自分に対してなんとも言えない感情が心の中で渦巻いた
「ごめん分かんない…」
その言葉を聞いた時彼女は泣き崩れた
無理もない 目の下にクマが出来ているほど目覚めるのを待っていたのに、目を覚ました瞬間覚えてないと言われてしまったらショックは大きいだろう
その中でも僅かな可能性を持って少女はもう一つの質問を翔矢に投げかけた
「もしかしてだけど…学園祭で何をやるのか覚えてたりする?」
(学園祭という言葉も聞いたことある
けれど内容までは覚えてない
目の前の少女とも関係があるはずだけど…)
「ごめん…本当に覚えてない」
「そ…そんな…本当に!?」
「本当に…」
「嘘…でしょ…」
彼女は再び泣いた この世の絶望みたいな勢いで泣いた
翔矢はこんな中でも何もできない自分に対して怒りの思いと悲しい思いが混ざって経験したことのない思いを味わった
30分ほどたった頃か
翔矢はたまらず声をかけた
「…大丈夫?」
「ありがとう… 翔矢くんが知らない人に声かけるたりする優しさは変わらないね」
「だって君は俺のこと知ってるんでしょ? だったら尚更ほっとけないよ」
「ふふっ… さてと、じゃあまず自己紹介と翔矢くんのプロフィールからかな」
「私の名前は凛音 あなたは私のことを凛音って呼んでたわ」
「あっ!」
「どうしたの? もしかして思い出した?!」
凛音は食いつく様に聞いて来た
「ここにいる前に夢を見たんだよ」
「夢? どんな?」
翔矢は夢の中であった出来事を話した
「ということは、凛音ともう一人悠人というクラスメイトがいないかな?」
「いるよー 今日は部活があるからって後で来るって」
「どんな感じの子?」
「翔矢本当に分かんないのね」
その言葉が心にグサッと刺さった
「仕方無いだろ? 何にも分かんないんだも
ここがどこかすら」
「じゃあ一気に説明するわね。 ついてきてよ」
「分かった、 わからないことあったら質問するね」
こんなにいいことは無いと思い、翔矢は集中して話を聞くことにした
「さっきの続きから。 あなたの名前は翔矢って言うの 友達に悠人がいたわね」
「うん、さっきから言ってたからなんとなく分かったよ」
凛音の目を見ると威圧感が漂ってきた
「分かった分かった。ちゃんと聞くよ」
その言葉を聞いて凛音はさらに続けた
「あなたは傘之宮高校の一年一組の生徒で順調な学校生活を送っていたわ」
「そんな中事件が起きたの。 高校初の学園祭の準備中、一組の横断幕を私と一緒に掛けようとしたの。その時風に煽られた幕と同じようにあなたは宙を舞ったわ」
「そうだったんだね。あの夢はその時起こったことをそのまま夢にした物なんだね」
「そうなの。その後この傘之宮病院に運ばれて、約半年も眠っていたのよ」
「半年間ずっと見ていてくれたんだね」
「なんでそんなこと分かるのよ 私じゃないかもしれないのよ?」
「だって…目の下にクマが出来るほど起きてたんでしょ?」
その言葉を聞いた瞬間頬が赤くなったのが見えた
「あ、頬が赤くなっているよ」
「う…うるさいね 夕日に当たってそう見えただけよ!」
全く…と言いながらスマホを開いた
「あ、悠人が部活終わったらしいから悠人に翔矢が目を覚ましたって言ってくるね」
そう言うと凛音は先程まで泣いていた少女とは違い軽やかな足取りで外に出た
凛音が部屋を出るのを見送ったあと状況を整理した
俺は傘之宮高校の生徒で一年一組だったんだけど、学園祭の準備中に落ちて半年間眠っていたと
そう言われるとあの夢で見た時よりも暑くなくて周りの景色も随分変わっている あの時の風よりも違う風。 半年の間に何もかも変わった
凛音も同じように変わった
変わって無いのは自分だけ… 取り残されたような感覚を覚えた
それよりも気になるのは悠人についてだ
自分の友達だ。と凛音は言ってたがどういう人なのか
優しさ人なのか、怖い人なのか、明るい人なのか、暗い人なのか
考えれば考えるほどきりが無い
最終的には考えても仕方が無いと思い考える事をやめて凛音を待った
******
「あ、もしもし悠人くん?」
「あー凛音か部活終わりにどうかしたの? 何か困った事でもあった?」
「あってるのかあってないか分からないけどとりあえずそんな感じ」
凛音の声を聞く限りかなり困った事では無さそうだ
「なんだそれ とりあえずあまり嫌な感じじゃないことは分かったよ」
「実はね…翔矢くんが目覚めたの!」
「え! 本当に!?」
「本当に目覚めたの だけど…」
「何があったんだ 今から病院に向かうよ」
「なんか記憶喪失しちゃったみたいで、もしかしたら悠人くんのこと覚えてないかも」
「っ…」
思わず声にならない声が漏れた
「ショックは受けたと思うけど…いろいろ話してあげて… 」
「それもそうだな どういう関係だったのか言わないと改めて距離も縮まらないだろ」
「それに失ってしまったものはまた取り戻せばいいからね!」
「凛音らしい答えだな」
凛音の言葉に悠人は思わず笑ってしまった
あいつのそういうところが皆を惹きつけるんだろうなと改めて感じた
「とりあえず行くね あ、凛音帰るなよ ちょっと翔矢と二人だけだと気まずいかもしれないからさ」
「あんた達親友じゃないの?」
「そうだけど、あいつもあいつで緊張してると思うし初めて会うって思った方がいいだろ」
「そう言うことね じゃあ待ってるわ」
「おう また後で」
ピッ
(失ってしまったものはまた取り戻せばいい…か…なんか自分に対して言っていたものかも…)
******
「悠人なんだって?」
「今からこっちに向かっているってさ」
「じゃあその涙の跡を洗い流さないとな それから…なんか暗い顔してない?」
「そうでも…ないよ って言うかいつの間にか悠人のこと呼び捨てにしてるのね まだあってもいないのに」
「だって友達なんでしょ? 呼び捨てで呼んだ方がなんかしっくりくるんだよね」
「翔矢!」
声の主の方を見るとそこには、運動部に入っていて大丈夫か?と思う体をした悠人がいた
どうやら目覚めたとの一報を聞いて走ってきたようだ
「あら、随分早かったのね」
「翔矢が目覚めたって聞いたなら、すぐ飛んでくよ」
「さすが親友ってとこかしら」
「この人が悠人…」
「第一印象は? こう見えて運動部よ」
「夢で見たとおりだ…その時は話やすくて、いつも一緒に行動していた気がする」
「だって俺ら親友だから当たり前だろ!」
(…記憶喪失した人に対して親友って言う勇気すごいわね)
「そう言えば自己紹介はまだしてなかったね
俺の名前は悠人 部活はバスケ部に入ってるよ
改めてよろしくねー」
「さてと、じゃあこれからどうしましょうか」
「とりあえず今日は遅いから解散でもいいんじゃないかな?」
「分かったよ、二人ともわざわざありがとう」
「早く退院できるようになれよ!」
「おう分かった」
******
病院を出たあと悠人が口を開いた
「あいつ…かなり重症だな」
「ええ…私よりもあなたの方がメンタル弱いのね」
「…なんでそう思ったのかな? 理由教えて」
「だって…悠人いつもよりテンションが上がり過ぎだよ。 いつも緊張する時の癖が出てるわよ」
「やっぱりバレてたか… 泣いたか?」
「それはもちろん… 仲良かったやつが目を覚ましたって言ったあと記憶喪失なんて…そんな…」
凛音が言うことは誰でも同じことを思う
現実であってほしくないことは、誰でも受け入れたくないと思うものである
「さっき自分で言ってたじゃないか失ってしまったものはまた取り戻せばいいって」
その言葉を聞いた時 凛音は包まれる様な安心感を持った
「そうね… あ、私こっちだから行くね」
「おう分かった また明日な」
*****
次の日も凛音と悠人は病室に来てくれた
翔矢は疲れるから来なくてもいいよと言ったけれど話したいからと言って二人ともよく来てくれた
特に凛音は毎日必ず来てくれた
例えどんなに忙しい時でも来てくれた
たまに本当に話したいだけなのか?と思うけれどそれ以上の追求をしても自分が思い出せないので余計悲しませるかもしれないのでやめといた
そんなある日いつもの様に二人とも病室に足を運んでくれた
「翔矢くん 退院の日って決まった?」
「退院の日は決まってないけど少しずつリハビリとかはしてるかな」
「リハビリか…挫けそうになったら凛音思い出せよ!」
「なんで私なのよ意味がわかんないわ!」
「だって凛音ポジティブだからだよ」
その時凛音の顔が真っ赤に染まった
「おお 恥ずかしがってる凛音珍しいーなー」
「うるさーーーい!」
「あの…いちゃついてるところ悪いんだけど、俺を蚊帳の外にしないでよ」
「「最初の方の言葉を撤回しろー」」
二人ともはっとしてそっぽをお互い向いてしまった
「と…とりあえずあと一週間ぐらいで退院できるよ 」
「じゃあ退院したら学校行く前に町の案内をしようかしら」
「それは確かにいい案かもしれないね それで少しでも記憶が回復する手助けになればいいし」
「二人ともわざわざありがとう」
「別にいいのよ そんなの 今の翔矢ちょっとよそよそしい感じがするし」
「それは俺も感じていたよ」
どんな自分だったのか気になったのでこんな質問を投げかけてみた。また学校に行く前に把握しておきたいものでもあった
「もしかして、記憶喪失前は乱暴ものだった?」
「ぜーんぜん、むしろ優等生だったわ マイペースで」
「前に出かけた時に、早くしないとバスに乗り遅れる場面でバス停に行くのに間に合わなくて1時間待った。なんてこともあったくらいだからな」
「その時はごめん… と言っても分からないんだけどね あと何か俺の生活で何かあった?」
「人見知りはあったかなー」
「それはしたかもね 現に今のこのよそよそしい感じがそれをものがっているかもしれないしね」
「なるほどね…いつもいろいろ教えてくれてありがとうね 多分二人がいなかったらいろいろ知らなかったとと思う」
いつかこの恩はどこかで返さなければいけないような気がした
「いいって別に… このままこれから先も親友でいてくれればそれでいいよ」
「ま…まあ、目覚めた瞬間にいたのは私だし、私がいなかったら最初の頃は困っていたと思うからさ
その代わり、今度何かあったら助けてね」
「ああ、わかってるよ 絶対に助けてやる」
「ただ、また死ぬようなことはするなよ」
「そ…それは分かってるよ いくらなんでも」
病室室内に笑いが響き渡った 学校に言ってもこの感覚が続けばいいなと翔矢は願った
そして一週間後無事退院することができた翔矢
街案内をしてもらうために病院の前に集合ということになっていた
翔矢は心が踊る感覚を覚えていた
しかしこの時はまだ考えてはいなかった
心が踊る感覚以外の感覚がこの時からあったことを彼はまだ知らない…
See you next time…
初めましてこんばんは みぞれゆきと言います
初めまして書いた作品なので読みにくいところもあったと思いますが、campus in color を読んでいただきありがとうございますm(_ _)m
読みにくい部分はこれから書いていくうちに修正していきたいと思います
もし良かったらコメントをお願いしますm(_ _)m
いただいたコメントは丁寧に読ませていただきます
どしどし送ってください(^^)
もっとこうした方がいいよ! なんて言うアドバイスもどんどん送ってくれると嬉しいです
またコメントはTwitterでも受け付けています
受け答えはなるべくしていけたらいいななんて思ってます
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それではこの辺で失礼します
たくさんのコメントお待ちしていますm(_ _)m