1/24
始まりの前に
朝、家を出て、学校で退屈な授業を受け、夕方に家へ帰る。
今日も昨日となんの変わりの無い変哲な一日の繰り返しなんだと心の底から信じて、いや信じる信じないの話じゃなくて、それはもう当たり前であって考えることすらしていなかったんだけど、そんな腑抜けた俺が気に食わないのか姿見えざる運命の支配者は俺の脳みそに鉄槌を喰らわせた。
学力普通、運動神経普通、ルックス普通、平平凡凡の代名詞になってもおかしくないどこにでもいる高校二年生である俺に対してこの仕打ちはいかがなものかと思うけど、それを理不尽だと振り払える力なんて無いから運命に任せるままに流されるしかない。
そんな無抵抗なかわいい俺であるのに襲ってきた運命は前代未聞の超絶な激流で、呑みこまれたが最後、息継ぎする暇も無く流されてしまうのだった。
始まりは空一面に張った灰色の雲がなんだか不吉な日だった。と思うのは今から振り返ればだ。
その時俺は、ただ空が曇っていてテンション下がるなーぐらいの気持ちでしかいなかったんだ。