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閑話


 特別棟の火は、燃え出してから三時間ほどで消し止められたと聞いた。

 後日、オレたちは親、先生、消防などなどからみっちりと説教された。ま、けっこう無茶したからなー。

 結局、特別棟の建て直しやらなんやら、以降夏休み終わりまで生徒は立入り禁止になった。つまり、補習がなくなったってこと。

 そこだけは素直に、よっしゃあ!










  休み時間  ある時ある場所、ある学校で


 秋の気配が近づく今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか。世間的にはそろそろ衣替えの時期になってまいりました。

 しかし悲しや。我が校に秋はまだ来そうにありません。

 「ジートオォォ!」

 バッシーーーーンっ!

 ドアが壊れるのでは、という勢いで入ってきたのは一人の男子生徒。白いカッターシャツのボタンを首まできっちり止め、黒い袖無しのベストを着ています。その腕には、キラキラと輝く「風紀委員」の腕章が。

 ああ……。今日もまたアレが始まるのですね。シクシクシク……。

 「なんだ、プレイシスか。そんな叫ばなくても聞こえるっつーの。うるせえ奴」

 「これが叫ばずにいられるかっ!」

 バンっ!

 今度は机を壊すほど強く両手で叩きました。他人事ながら、痛そうです。

 しかし、その席の主である女子生徒は不快そうに眉をしかめただけでした。半袖でも肌寒いこの季節に、女子生徒はあろうことか黒いタンクトップに、下着かと思うほど短いズボンという出で立ち。見てるこっちが寒いですよ。いつまで真夏の気分なんですか! 

 「お前、今朝術式を使っただろ。たかだか空き巣を捕まえるためだけに!」

 「ああ、そういやそんなことしたっけ。なに、感謝状でもきたの?」

 「ちっげーよ! きたのは請・求・書だっ!」

 「はあ? 請求書? なんの」

 「お前がぶっ壊した店とか道路とかの修理費だよ! お前マジでいい加減にしろよ? 何回目だと思ってんだよ、これは!」

 「はぁ〜? アタシのおかげで連続空き巣犯を捕まえられたんでしょうが。感謝こそされ、なんで怒られなきゃいけないのさ。それもアンタなんかに!」

 「それは俺がこのクラスの風紀委員だからだ! お前のせいでこの学校の評判がガタ落ちになってんだぞ⁉」

 「知らねえよ、んなこと! だいたい、そんなドッ金髪の頭してるくせになーにが風紀委員だ。笑わせる!」

 「これは地毛だって何回言えば分かるんだよ、デブ!」

 「ああん? 誰がだよ、このハゲっ!」

 「お前以外にいるか? デブは汗っかきだからな。そんなトチ狂った格好も、長袖なんか着たら汗で床に水たまりが出きるからだろ? 難儀な奴だな。ついでに、俺はハゲてねえ」 

 「……上等だ。表に出ろや、ドチビ野郎!」

 ジートさんが椅子を蹴って立ち上がります、たしかに彼女のほうが背は高いんですけど、たかだか拳一つ分。それでもプレイシスくんには気にしてることのようで……。

 「……誰がチビだとデブがぁ! その勝負受けてやるよ!」

 教室を飛び出していく二人。一応、一応(大事なことなので二回言いました)学級委員として声をかけました。けど! けど!

 「「関係ねえ奴は引っ込んでろやあ!」」

 うえ〜〜ん。とっても怖いです〜〜。

 友人が慰めてくれるのですが、全員が口をそろえて「アンタさあ、もうあの二人を止めようとするのやめたら?」と。

 だってあとで私も注意されるんですよぅ。私だって止めなくていいなら止めません!

 そして所変わってグラウンド。二人がさっそくそれぞれの術式を発動させていました。

 「和の心を以てこの世に大樹と成らん!」

 彼女の剥き出しの腕や足が黒い何かに被われていきます。

 「我が身をもとに、百千の槍を呼び起こす!」

 掌を相手に向けて、両手を体の前でクロスさせると、掌の中心が陥没して黒い十円玉ぐらいの大きさの穴が空きました。

 「オラクル・ジート一等訓練士、いざ参る!」

 「アーメリア・プレイシス一等訓練士、いま罷り越す!」

 ……だから! どうしてあの二人は害獣駆除想定訓練やドーム外派遣時に使うような術式でケンカをするんですか! ここは制限陣が張られているとはいえ、危ないでしょう! 

 そして五分後。

 「ちょ、あれ、あれ! 訓練場燃えてるんじゃね?」

 「せんせー! あの二人がー!」

 読書と芸術の秋よ! どうか今すぐこの学校に来て下さ〜〜い!


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