一話
なし、
小さな手で握りしめた、蛍。
静かな音をたてて、空へ舞った。
まだ、なにも知らなかった三つの俺が、夜空を初めてまじまじと見たときのこと。
記憶は、あまりないが、何かを探していたことは、鮮明に覚えてる。
〜〜〜
あれから十年。
記憶は、脳内の一番隅に寄せられてた。
「ねえ、いつまでさ、付き合うの?」
彼女の名前は森永さくら。
中学二年になった今、初めてできた彼女。
付き合って、1ヶ月弱だが、破滅を迎えてる。
「斎藤りくって名前が、成績表の一番下に、あったときは、恥かいたのよ?」
まぁそれは申し訳ないと、思ってるさ。
斎藤りくってのは、俺の名前なわけで、勉強が本当にダメな俺は、成績表の一番下は、周囲から見て定着し始めてる。
それに比べてさくらは完璧だ。
勉強も、運動も、顔も、…スタイルも。
ただ、性格に問題あり。
わがままなくせに、自己中だ。
まあ、そこは、見た目だけで判断した俺がわるかった。
「許してくれよ。それだけは勘弁だ。」
「無理よ。あなたがなにを言おうと、決めたものは決めた。さようなら!」
さくらは、セーラ服のうえにそっと添えてあるリボンを振り回し、去ってった。
なんだよ。
女ってんなもんかな?
なんて、思ってた。ふられたけと、別になにも感じてない。
正直、さくらとの時間は、楽しいものてまもなかった。
のみものかってきてー
おかしたべたーい
幼稚園児かと思わせるような甘えぶりに、わがまま。
自分で行けよ
っていえば
さくらのこと好きじゃないのね…
めんどくさい限りだった。
〜〜
さくらと、話してたため、部活に遅れた。
ちなみに部活は、バスケ部に所属してる。
「りくっち、遅かったな」
そういい、近寄って来たのは、唯一信頼できる先輩、中山たすく、中山先輩だ。
バスケの腕前はバスケ部一だ。
「彼女と別れ話を…ね。」
「ふーん。お前も大変だな。」
「なんですか、その意外ぶりは。俺だってね、まぁ、そりゃ色々と。」
「ふーん」
ふーん…て。
もういいですよ。
なんて言えるわけもなくボールを手にする。
俺はバリバリ体育系だ。
運動は得意中の得意。
バスケはもちろん。サッカーだって、バレーだって。
ま、自慢はそこまでにしておこう。
『斎藤りくさん、いますか?』
…
振り返った。
体育館の隅で、何かを手にし、じっと俺を探す、美少女。
目の悪い俺でもハッキリ見える。美少女だとわかる。
一体なんなんだろうか。
なし、