愛と献身は一線を踏み越える
急展開?
にゃんにゃん!
浴室に入ると、少し甘ったるい匂いを温かく湿った空気に包まれる。
「個室の風呂まで豪華だな、ローマ風というかお湯を吐き出すライオン……いやケルベロスか、その上薔薇風呂とか派手だなぁ……」
通常ライオンが湯を吐き出しているそれは三つ首の番犬が模されていた。浴槽には腰を下ろすための段がついており、黒い薔薇のような花が沢山浮いている。
「独特な匂いだけど結構良いな、蛍は好きそうだ」
気持ち良く風呂を満喫できそうだ、と高揚した気分で考える。しかし、背中を流してもらったり、一緒に長湯したりと、今まで蛍とお風呂に沢山入ってきたが、そういった楽しみは今後味わうことはできないんだと気付く。
「思ったよりも細かいところで色々変わることがあるんだろうな……前と違って頻繁に抱き着かれたりしたら俺は耐えれるんだろうか……」
嬉しかったり楽しかったり、感情の振れ幅が大きいと蛍はすぐに抱き着いてくるのだ、いつまでも子供っぽいとは思うけれど、それも悪くはないと思ってしまうのは惚れた弱みなのだろう。
この世界はきっと前の世界より過ごしやすい、狭くて苦しい偏見に囚われないで済むのだから。異端で強い者こそが名誉や富を得る世界、それは暴力的かもしれないがシンプルであり、くだらない常識を壊せる存在になった虚達には願ってもないルールだ。そもそも肉体の性別的な意味で前の世界に比べるべくもないのだが。
「俺は、俺らは幸せになれるはずだ……いや、してみせる……なってみせる」
思い描くのは彼、いや、彼女の笑顔。元の世界からずっと愛した彼女の笑顔。そのためなら如何なる犠牲も厭わない。
「まあ、なるようになるさ」
虚が決意を固めていると、唐突にガラガラと音を立てて扉が開かれる。
「え?」
そこには、タオルで前のみを隠した蛍の姿。
「ほ、蛍!?」
「お、お待たせしましたのです……」
今の格好は天狐一つに種族特徴を絞っているようで耳と九尾の尻尾、それと手首足首と首周りに銀色の毛が揺れている。鋼と話していた時に、複数種族重なっている場合には種族特徴を絞ることができるということを教えてもらった。戦闘能力もその種族ごとの特徴に合わせたスペックになるらしく、切り替えをスムーズにできるようになっていた方が良いと言われていたが、切り替えがスムーズにできたのは蛍とめだかと飛鳥だった。
蛍は誰が見ても分かる程に顔を赤くしてはにかんでいて、尻尾は忙しなくフリフリと揺れて緊張した空気を少し和ませてくれた。
――一緒に入ると解釈されたわけか、いつも一緒に入ってたしな……お互いに洗いあったりしてたわけだし。
「お、お背中流しますのです」
虚は冷静に考えながらも、『どうしよう』という気持ちで一杯だった。虚がそんな状態であると露知らず、ボディーソープを手に取った蛍が近づく。
「ああ、頼む」
平静を装って虚は答えた。
――どうしてこんな緊張する場面になっているんだ!
虚は青少年らしく、期待と緊張でどうにかなりそうだったし。
――勇気を振り絞ったのはいいですけど、緊張のしすぎで死んじゃいそうです!
蛍は今の自分ならもしかしたらと思い、入ったはいいものの、何をやらかしているのか既に分からなくなりかけている。
「じゃあ、洗いますね?」
――ボクはできる、きっと喜んでくれる、折角手に入れたんだから尽くしたい、尽くしてあげたいんです。
ボディーソープを泡立てる水音が響いて、虚の肩を蛍の小さな手が掴み――。
「えっ」
背中に当たるフニュッとした柔らかく幸せな感触を、虚は感じ取った。
「ど、どうしました? 気持ち良くないです?」
柔らかい感触が上下に動く。
「凄く良い……じゃなくて違う! なんでそんな洗い方を……!」
「だって前に一度されてみたいって言ってましたよね?」
「うっ……そ、それは……」
前の世界に居た時に、胸や身体を使って身体を洗ってもらうのには浪漫があるとか、そんな話をしたことがあるのを虚は確かに覚えていたが、だからといっていきなりこれを耐えるのはハードルが非常に高い。かといってこれを止めるのは、恥ずかしさを抑えてしてくれている蛍の恥になるのではないだろうかと考えてしまう。
そう煩悶している虚に気付かず、理性を削り落とすかのように柔らかな果実が上下する。
「ふっ……ん……ぁ、はぁ……」
少し時間が経つと、声に艶めかしさが混じり始めて、柔らかな感触の中に一部硬い物が感じ取れるようになる。
――こ、この感触、まさか、いや、やばい頭がボーッとしてくる、考えが纏まらない……このまま流されそうだ。
既に流されている状態なのだが、蛍を止める勇気もなく、流されたい気持ちもある虚は心の中でだけ抵抗の言い訳をする。
「前も、洗いたいですけど、ちょっと……自分から虚に全部見せるのは恥ずかしいのです……」
「そ、そうか」
声には完全に艶が入っており、虚も次第に流されても大丈夫な気がしてきていた。というか流されたかった。
熱に浮かされたような声で蛍は告げる。
「尻尾、結構自由に動かせるようになったんです、こんな風に」
ふわふわのソレに泡を纏わせて身体を優しく擦り上げる。
「お、おぉ! これ、気持ち良いな……」
口では表せない程に素晴らしい触り心地で体中を弄られる。それは先程までの快感とは種類が違うが、至福と呼べるものであった。
「えへへ、この尻尾ちょっと自慢なのです」
蛍は少し嬉しそうにそう言ったあと、身体を密着させ「でも」と続けた。
「まだ、細かい動きとかはできないのです、だから……」
それはどこか脳の芯を蕩けさせるような声色で、響いて。
「手も使わないと、駄目なのです……」
腕を腰の横から通し、下腹部の辺りへと手を伸ばす。
「お、おい!?」
「あんまり、抵抗しないでください……ボクだって恥ずかしいですけど、御奉仕……したいんです……」
小さな両手で優しくソレを握り。
「嫌だったら、言ってくださいね」
そう小さな声で蛍が呟き、溶けたように思考が纏まらない頭に、反響した声が響く。
柔らかい感触を背に感じながら、自分のとは違う手の感触を感じている。
「こんなになるんですね……かたいです」
上下に手をゆっくりと動かしながら息を荒くして、感想を述べる蛍。
「きもち、いいです……?」
「良すぎるくらいだ……無理、してないだろうな?」
止めろと言うべきなのは虚も分かってはいたが、実際、夢にまで見た状況であるのだ、健全な男の子に抗えというのは難しいだろう。
「してないですし……ボクでよくなってくれて、むしろ、しあわ、せです……」
粘度のある水音を立てながら手の動きを最初より速める蛍、頭がボーッとしてきているのか、言葉も少し舌ったらずになってきている。
「……くっ……そ、天使か……!」
虚が零した言葉は蛍にはよく聞こえていなかったらしく首を傾げているが、その顔は淫靡な雰囲気を醸し出しており、あどけない幼さとの矛盾が背徳感を煽っていた。
二人の息遣いはどんどんと荒くなり、ぎこちない感じに動いていた手も、今は滑らかに動きつつ強弱をつけたりなどの順応を見せていた。
あまり大きく反応を出すわけではないのだが、体全体の小さな反応や息遣いなどの虚の様子を見て、蛍は凄い勢いで学習しているようだ。
「蛍……っ……そろそろ、まず、い」
「よかったですぅ……ちゃんと、おわれそう……ですね」
手が汚れると思って伝えたが、蛍はそれを無視するかのように手の動きを速める。普通ではないこの状況では高まった快感を抑える術は見当たらず、虚ろは白濁とした欲望で蛍の手をたっぷりと汚した。
「はぁっ……はぁ……」
――良過ぎて、腰が抜けそうだった……。
「わ、すごい……こんなに、でるのですね……」
――出したのに落ち着かない、それにこんなに出るのなんて見たことないぞ……そっち方面まで強化されてるのか……?正直賢者りたい、というか冷静にならないとやばい。
強化されているのも事実ではあるのだが、本来希少な種族になればなるほど種を存続させていくのが重要になる。そういった側面から二王という最上種の精力が弱いわけもなく、更に加えるのであれば複合種という希少性が拍車を掛けているのは言うまでもない、つまるところはたかが一発では落ち着くわけがない。
シャワーで手の汚れも含めて二人とも身体を流す、軽い気怠さを感じることもなく泡を綺麗に落として、虚はしっかりと腰にタオルを巻き蛍に向き合う。
「あー、その、なんだ、女の子がこういうことをしちゃいけません!」
蛍は既にタオルを巻いていない状態なので目のやり場にも困っている虚が言うが、流されてしまった罪悪感があるのか若干言い澱んだ。
「誰にでもするわけじゃないですよ? それに……まだ終わってない、ですよね?」
少し落ち着いたのかしっかりと喋れるようになった蛍が指差す。「それ」と指差した場所は、タオルで隠しても直接見えないだけで、しっかりとした膨らみは隠せていなかった。
「いや、これはだな……」
「足りなかったのなら、ごめんなさいです、やっぱり初めてだと駄目ですね……」
――むしろ初めてとは思えないくらい気持ち良かったとは言えない……。
目を瞑ってなんて言おうかと唸っていると、下半身に纏った布の感覚が消え、小さく柔らかいもので包まれた感触がする。
「ほ、蛍!? 大丈夫だからやめろ! 手をソレから離せ!」
「あのですね、多分こっちの方が気持ち良いと、思うのです、む、無理はしてないんですよ……?」
瞳を潤ませ、上目遣いで微笑んだ蛍は「はむっ!」と擬音がつくような勢いでソレを口に含んだ。それと同時に生暖かくて柔らかくも弾力がある感触に包まれる虚。
「うおっ!?」
「んっ!?」
気持ち良さにビクンと跳ねたソレに慌てながらも口は離さずに舌で丹念に舐め上げる。
「……っ……くっ……いや、絶対おか、しい!」
あまりにも気持ちが良すぎるのだ、どう考えても口に含まれて少しペロッとされたくらいで終わってしまいそうになる、そんなことは虚のプライド的にも色々と許されない。
「俺はそんなに早くない」と憤りたいが、ちょっと油断をすると危ない、男のプライドにかけて冷静になろうとする虚。なんらかの不測の事態が発生していると考えるべきではあるが、そもそも王や姫の能力にバッドステータスを無効化する能力があるのだから、どうしてこうなっているかなどは虚には理解できなかった。
「ん……ちゅ……おっきいと、たいへんです、ね……」
――虚のを……お口で、してるんですよね……なんか、凄いふわふわする、嬉しいです……。
蛍は顔こそ艶めいてはいるが、長い髪を払ったりしつつ、真剣に奉仕している。
言い訳がましいというか言い訳なのだが、そんな蛍を止めることなど虚にできやしない。本音を出せば好きな子に奉仕されている途中で辞めさせるなんて、理性ではともかく本能が拒否してしまうのだろう。
――罪悪感もあるが、満たされすぎて、もうわけがわからない……!
流されている現状に罪悪感は勿論ある、何かしらの異常があるはずなのだから。しかし、快感である、その一言に尽きるのだ。虚は逃げ出すことなどできなかった。
先程と同じように段々と巧みになっていく技術に戦慄を覚えつつも、高みへと駆け上がっていく。先程達しているから少しは余裕があるかと思っていた虚だが、そんなことはなく、強すぎる快感に我慢などできそうになさそうだ。
「ぷは……もう、でそうです?」
何度も忙しなく跳ねるソレから察したのか、嬉しそうに蛍は言う。
「……もう、駄目だ、我慢できねぇ……」
「ん……? んむっ!?」
その様子に煽られ切ったのか、再度咥えようと口を添えた蛍の頭を抱えて、喉奥まで虚は押し込んだ。
――苦しいけど、これって虚が乱暴にしちゃうくらい……夢中になってくれてるってことですよね、いいですよ、虚の好きに使って……?
目を見開き苦しそうにしながらも、嬉しく思いそれを受け入れる蛍。歯を立てないように気を付けながら、口内を蹂躙するモノに舌を絡ませる。
「くっ……もう……っ!」
しかし、放つ場所を虚は迷った。いきなり喉奥になんてハードすぎだろうし、幼さが残っている顔や綺麗な髪を汚すのも気が引けたのだ。
その逡巡に気付いたのか蛍は舌の動きを速め、上目遣いで虚に懇願した。
「……らひて?」
咥えたまま、くぐもった声で促すその声が、純粋な彼女を穢した証拠のようだった。その促しに何かが限界を迎えたのであろう虚は、堰を切って溢れ出すその瞬間に蛍の頭を抱え込み、背徳に満ちた快感に全てを任せ、奥に叩きつけるような勢いで噴き出させた。
「ん、んーっ!? んむっ……んぐ……」
口内、いや喉奥に溢れ出した濁液に目を白黒とさせたが、積極的に舌を動かし全てを吐き出させようと蛍は懸命に奉仕をし、躊躇することなく少しずつそれを飲み下していく。
それに促されるままさらに多量の濁液が脈打ちながら流し込まれ、蛍はソレが全てを吐き出し終えるまで奉仕し続けた。
「んっ……ちゅっ……あぅ、のどにからむ、です……」
「全部、飲んだのかっ……無理するな……」
息を荒げつつも、蛍を気遣う虚に。
「むり、してないです……よくなってくれて、うれしいですし……うつろのだか、ら……おいしーです、よ?」
蕩けた微笑みを浮かべ、クスクスと笑う蛍は返した。
本心からそう思っているのだろう、幸せそうな雰囲気を漂わせている。
そんな蛍が、気付いた。
「あっ……まだ、たりない、です?」
二回くらいでは鎮まらなかったそれを蛍は指でつついた。
「あ、いや……凄い良かったけど、多分この身体になってから、かなりそっち方面も強化されてるみたいだ……」
「そう、なんですか」
まじまじと蛍はソレを見つめていると、虚が喉を鳴らす音が蛍の耳に届いた。
「がまんしなくて、いいですよ……? まんぞくするまで、いっぱいつかって……?」
そんな誘惑に勝てるわけもなく、虚は堕ちた。
蛍を引き寄せ、口元にソレを押し付けると。
「ごめんな、ちょっと抑えられそうにない」
「ん……いーですよ」
ふわりと笑う蛍に、虚は情欲をかき立てられ。先程のように喉奥まで急に蹂躙はしないが、再度蛍の口内に侵入を果たすと、蛍は奉仕を始める。
二人の夜はまだまだ熱く長い。
実は仲は進展していません、恋人ですらありません。
正式に付き合うのはもうちょっと先なんだよ?
あ、あと、これくらいならきっとセーフだよね!ね!(




