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幸せは掴むものです(物理的に

女死力が高いと売れ残る、はっきりわかんだね!

「よ、よし、それじゃあ着替え終わったことだし、ちゃちゃっと登録だけ済ませようぜ」

先程の公開処刑の後、二人は我に返り顔を赤く染め上げていた。蛍は虚の背中に抱き着き顔を埋めているし、虚も全然落ち着いて話せていない。

「ギルド登録とユニオン申請は終わらせておいたわよ、魔王様にどうせ会いに行くんでしょ? この申請書もその時に渡しておいてくれるかしら、所属国の王様にも許可を貰わないとユニオンとして登録されないのよ」

ミーシャは虚にそう言いユニオンの申請書を渡す。


「流石サブマスターだね、ありがと。じゃあ俺らは魔王城に戻るよ、魔王に終わったら会いに行くって言ってあるし」

話が進んだ分、事務処理も並行して進めておいてくれたらしいミーシャに礼を告げて、ギルドから虚たちは出て行った。蛍は虚の背中にくっついたままであったが。


 少し静まっていたギルド内部にも騒めきが戻りつつ、あちこちで今回の召喚者に関しての話が飛び交っている。彼らはそれだけインパクトのある集団であったのだ。内容は可愛いだの、筋肉だの、あの尻尾モフりてぇだの、アイツら強いなぁだの、好意的なものが多いのが幸いだろう。

 魔国のギルドで揉め事が起きることなど基本的に皆無、そう断言できる程度には治安が良いので、一部の戦闘狂がウォーミングアップを始めている以外は特に問題ないはずだ。


「ミーシャ、早速死にかけたでしょう?」

「うっさいわよセリス、最初貴女が入ってきた時にはびっくりしたのよ?」

実はミーシャとセリスは元パーティーメンバーだった。

 ミーシャは戦闘力と事務能力の高さを今のギルドマスターに目をつけられ、セリスは今の魔王妃の頼みを受け、ギルド員とメイドとして現在は働いている。


「魔王城にはメイドが十名しか在籍してないですからね、その分皆実力も高いのですが……今回はホタル様が居ましたし、一番能力の高い私が選ばれたというわけです」

「魔晶下級の冒険者だった貴女が必要だと言われたってことよね、それって」

冒険者の階級は銅・銀・金・魔晶の四段階、それをさらに下級・中級・上級でわけている。ギルド側で各階級に合わせた依頼を振り分けており、カードに記録されている依頼の達成数、失敗数、それに加えてダンジョンの踏破記録を加味されて階級が昇格するようになっているのだ。

 つまりセリスはとても腕利きということになるし、それが必要になるくらいの案件だということである。


「正直、ウツロ様相手ならまだ勝てますけれど……多分ホタル様相手だと一撃で殺されますね」

「えっ、そこまでなの?」

「何今更青褪めてるんですか、昔から上の力量を見極めるの苦手ですよね、ミーシャは」

セリスはここに来るまでの動きをしっかりと見ていた、全体的に一般人ではないと確信できる隙の無さだったが、蛍が飛び抜けて隙が無かった。

 加えての理由が二つ、まず一つは部屋内から漏れ出た濃密な殺気と魔力。気付いた者は極めて少数だが、あれほどの殺意ならば殺す事に躊躇いは覚えないだろうし、濃密な魔力を出せるだけの魔力の高さは、単純に指向性を持たせて放出するだけで武器になってしまう。あの濃度だと、対策しなければ四肢欠損は間違いない威力だろう。

 二つ目は固有装備である、召喚された時から着用されているこの装備は、召喚された時の潜在能力の高さや性質に大きく関係すると言われている。つまりは蛍のように外見だけである程度の潜在能力の高さが把握できる時点で、固有装備がハイスペックであることが判る。さらに性質も関係しているということは、あれだけの魔力を出せるにも関わらず、ドレスアーマーのような近接戦闘をこなす装備をしている以上、同等に近い、もしくはそれ以上の近接戦闘力があるということになるわけだ。


「下手すると魔力だけで吹き飛ばされそうなのに、それと同レベルの近接戦闘をこなせる前提ですよ? 身のこなしを見る限りでは技術もありますし、恐らくは一撃で頭部か胸部を破壊されて終わりです」

原型が残れば御の字ですね、と肩を竦めるセリス。

「冷静に考えるとそうよね、全然気にしてなかったわ、なんとなく勘で大丈夫だとは思ったのよ……地雷は踏んじゃったけどね」

実際は一つ目の理由は地雷を踏んだ後の話なのだが、二つ目の理由だけで十分に危険だとは判断がつく。それを勘で流してしまう辺り、ミーシャにとってそれも重要な生命線として信じてきた一つの物なのだろう。今回はギリギリな部分が強かった気もするが。

 鈍ってるかなぁと不安を覚えたミーシャは近々実践で鍛え直すことを密かに決めた。


「私も魔王城に戻りますね、近いうちに一杯やりませんか? あんな青春見せられると、やってられないんですよね」

やだやだ、と言わんばかりのげんなりした表情を浮かべてセリスがミーシャから離れる。

「魔王様もイチャイチャしてるって聞くし、貴女も大変ね」

先程の愛の一幕だけではなく、普段の環境からして、ある意味において劣悪な環境を想像し眉を顰めた。

 そんな二人は二十四歳、年齢イコール彼氏無しの心には甘い空気は刺さるものがあったのだろう。

 喧騒に二つ、溜息が零れて消えた。きっと多分、恐らく、この二人の幸せもいつか始まる。……はずである。

ちなみに、ミーシャとセリスはどこがとは言いませんが小さいです

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