第2話 明日の朝食
すません。やっぱタイトルの「冷蔵庫事情」の意味がわかるのはままだ先になるかもしれません。
とりあえずコンビニで昼食を買ってきた俺たちはリビングと思われる部屋で凪沙と共に昼食をとっている。俺はから揚げ弁当、凪沙はサンドイッチだ。
・・・・・・それにしても気まずい。コンビニでの「好きなの選んでいいぞ」以来一言も会話がないのだ。
とりあえずテレビを見ながら弁当を食べていると・・・
チラッ チラッ
なんか凪沙がこっちをちらちら見てくる。一体なんだというんだ?
そこで俺が導き出した答えは、
「から揚げいるか?」
だって人の食べてるのってなぜかおいしく見えるじゃん。きっとこの子も俺の食べてるから揚げがおいしそうに見えて食べたかったはずだ!!
結果、俺の予想は的中。凪沙は無言でうなずくと、俺のから揚げを一つ摘まんで口に運んだ。ちょっと大きめのから揚げを口に含んでもぐもぐしている姿を見ていると、元気がないことは確かだが両親を亡くしたようには見えない。
なんにせよ、一緒に暮らすことになったのだから互いの事を知っておくべきだ。
「えっと、今君はどんな状況にあるの?」
「・・・・・・?」
凪沙は小首を傾げた後、考え込んでしまった。ちょっと質問が大雑把すぎたかな。改めてもう一度質問しなおす。
「ゴメンゴメン、質問が難しかった。じゃあ歳はいくつ?」
「12歳です」
12歳ってことは小学6年生か・・・・その割にはしっかりしてる感じがするな。まだまだおどけていたい年頃だと思うのだが。
「どこの学校に通ってるの?」
「ここの近くにある小学校。歩いて10分でいけます」
凪沙はサンドイッチをかじりながらそう答えた。そういえば伯父さんが、凪沙はこの付近に住んでいたって言ってたな。じゃあ転校の心配はないし、この辺の地理は凪沙が理解しているだろう。さっきだって凪沙の案内でコンビニに行けたんだし。
「じゃあ今度は俺の番だな。高校1年生で学校は自転車で20分の場所にある。だから、なんか困ることがあったら携帯に連絡をくれ。君は携帯もってる?」
俺がそう言うと凪沙はポケットから携帯を取り出した。キッズ携帯とかではなく普通の携帯電話だ。やっぱ今時の小学生はみんな携帯電話を持っているのだろうか。
「ここに来る前に、伯父さんに渡されたんです」
凪沙がそう言いながら俺に携帯電話を渡してきた。疑問が顔に出てたか?それにしても伯父さんが?さりげに気が利くのな・・・・
渡された携帯を操作して赤外線で互いの電話番号とメールアドレスを交換した。それを凪沙に返すと・・・
「・・・・・あの、どうやって使うんですか?」
さっき伯父さんに渡されたって言ってたし、携帯はこれが初めてなのかな?なら分からなくてもしょうがないか。もう一度凪沙の携帯を預かって画面が見えるように操作しながら教えた。
「で、ここを押すと」
プルルルルル プルルルル
俺の携帯が鳴った。
「次に、電話に出るには・・・・」
そう言って、俺は自分の携帯から凪沙の携帯に電話をかける。今度は凪沙の携帯が着信音を鳴らした。
「このボタンを押してごらん」
着信音を鳴らす携帯を凪沙に返すと言われた通りにボタンを押し、俺の真似をして携帯を耳に当てる。
「『もしもし?』」
凪沙の電話越しと生の声が同時に聞こえた。
その後も俺は必要最低限の機能を凪沙に教えた。最後に確認テストをして、携帯講座は終了。たぶん第3者から見れば、なかなかに微笑ましい絵だったかもしれない。
さて、昼食も食べ終わったところで俺たちは新しい我が家の探索をすることにした。まだ自分の部屋がどこにあるかもわからない状況にあるのだ。
探索の結果、俺たちの住むこの場所は4LDKであることが発覚した。
まずはキッチンについて。キッチンはIHヒーターで収納場所が多い。すでにフライパンやらなんやらが収納済みだ。これは全部俺が自分で選んだやつだった。しかし、残念なことに調味料などの食品類は皆無だったよ。自分で買いに行けってことか。
そのまま部屋は繋がってリビングダイニングへ。テレビの大きさについてはあまり詳しくないけど、結構大きいんじゃないか?横は1m以上あるし。テレビが乗ってる台にはDVDレコーダー?的な感じのがある。結構前からはやり始めたBDというやつにも対応しているらしい。録画化。テーブルも一般家庭並に大きい。1m×2mのテーブルで、椅子が4つある。そしてもう一つ同じ大きさの低いテーブルがある。こっちの方がテレビに近くて、ガラス張りだ。大きいとついつい散らかしてしまうからな、気をつけないと。その隣に3人くらい座れそうなソファーと一人用のソファー。すっげぇふかふか。置物系は自分で買えってことだな。まあ結局は伯父さんのお金だけど。ついでに、固定電話もあった。・・・・電話帳に登録しとかないと・・・。
続いては、和室。リビングにあったテーブルと同じくらいの大きさの炬燵がある。そんでもって、さっきのよりちょっと小さめのテレビがある。このテレビは俺が自分で選んだやつだな。リビングで録画したのをここでも見れるらしい。あと、電話の子機発見。
次は俺の部屋。俺が自分で選んだ家具がほとんどここに集結していた。小さめの机と至って普通の勉強机。ちょっとふかふかのベット。最後に俺の私物が入ってる段ボールが数箱。凪沙の部屋も似たような感じだった。
最後の一部屋は物置部屋と化していた。夏物の布団やその他もろもろがここにある。
あとは普通の風呂とかトイレとかベランダとか・・・・・
まぁあれだな。2人暮らしには勿体ない家でした。俺が最初住む予定だったアパートは一体なんだったんだ?このマンションは15階建てで、俺たちの部屋は11階で景色はなかなか。・・・・富豪の力ってすごいね・・・・
その後は各自、自分の部屋の片づけ。
片づけが終わった後、部屋でだらだらしてたらいつの間にか5時になってた。そろそろ夕飯の準備しようかな・・・・って思ったけど冷蔵庫は空っぽでした。そりゃそうだ。まだ買い物に行ってないもん。しかたない、今日の夕飯もコンビニだな。もう一度凪沙を引きつれてコンビニへと行った。ついでに明日の朝食とジュースも買っといた。そのままほとんど会話なしに時間は過ぎて行った。
そんなこんなで始まった俺と凪沙の二人暮らし。やっと1日目の終了だ。
確か凪沙は、伯父さんの弟の子、だよな?俺は伯母さんの妹の子だから・・・・・全然血の繋がりないじゃん。俺に押し付けるくらいなら引き取らなければよかったのに。まぁ今はまだ俺は入学式前。凪沙は春休み中だからいいけど、学校が始まったらどうするんだ?小学生って授業参観とか運動会とかあるし、俺が保護者として出席するのか?・・・・・学校サボることになるのかな・・・・
それにしてもあの子、ほんとに落ち着いてる感じの子だった。親が死んだんだぞ?なのにそんなに悲しんでる感じはしなかった。それに見ず知らずの男と一緒に暮らすことになったんだぞ?凪沙だって年頃の女の子なんだろうし、なんであんなに落ち着いているんだ?なんかぜんぜん子どもっぽくないって言うか、なんていうか・・・・・
(・・・・・全然わかんね。ジュース飲んで寝よ)
ジュースを飲んでから自分の部屋に戻る途中、凪沙の部屋の前を通りかかった。そこで聞こえてくる声に数秒足を止めた後、再び歩き出す。
(訂正。やっぱまだ小学生なんだよな)
俺はそんな思いを抱いたまま寝ることにした。
こんな感じにすすめていきたいと思ってます。
感想やアドバイスあったらください
部屋の構図変更しました。