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異世界移転者の凡常  作者: 北澤
第3話 異世界移転者の平凡な日常
23/49

初日 下 ノ シタ

「――中庭の木、凄いですね」

「ああ、あれな。綺麗だろ? 幻想峡谷エリアに繁殖してる木が課金で手に入ってな、ティーのリクエストで植えてみた」


 階段を登りながら、窓から見える光の木に目を向ける。闇に浮かぶ蛍火の群がありえないほど幻想的だ。


「ええ、とても綺麗で――残念ながら、ここがゲームではなく"虚構の現実"だと実感できましたよ……」

「それは僥倖。ゲームだと舐めたまま過ごされても困るからな。ちょうど良かったな」


 軽い口調でヒヨさんが笑う。そのヒヨさんの姿に俺は苦笑しか出来ない。

 登り切った階段の先、5階の広間の扉を開けると、部屋の中央部にある四角い窪み――ソファにバルサとほむが座っていた。


「あれ……カイン達は居ないんですか?」

「メッセージ入ってたでしょ? ギルマスなら身内がこっちに来てたらしくて会いに行ってるわよ」


 グラスを片手にバルサが言った。バルサはキャラを変えたらしく、いつもの筋肉隆々とした強面の男性ではなく精悍な顔立ちの美女、細マッチョな女性の姿だ。

 ヒヨさんが毛布の塊の隣に腰を下ろす。何の塊かと思ったら、ティーが毛布にくるまって寝っ転がっていた。ヒヨさんが頭だけのぞかせたティーの額に手を当てると、気持ちよさそうにティーが目を細めた。


「よしよし。発熱とかしてないな」

「んー……手ぇ冷たくて気持ちいい……」


 甘えるようにティーがヒヨさんの――オフィーリアの太股に頭を擦りつける。ヒヨさんは笑ってティーの頭を持ち上げると、枕代わりにクッションを挟んだ。そのまま額から頭へとティーを何度もあやすように撫でる。ティーは目を閉じて、大人しくされるがままになっている。

 俺もバルサとほむの間に座る。ほむからグラスを渡されて、ほんの少しだけ酒を注がれた。


「里香ちゃんとトウセは? ……これ何の酒だ?」

「寝てるみたい。それ強いから、ゆっくり舐めてね」


 味的にブランデー風の何か。そう、ほむが言って、チェイサー用の水を俺の目の前に置く。グラスを観察しながらメッセージをチェックすると、バルサが言った通りの内容がカインから届いていた。


「ギルマスな。部屋に引っ込んだ後すぐにフレンド欄の名前が生きていることに気づいたらしい。それでしばらくホームには戻って来れないと、さっきコールがあった」

「名前が生きてる?」


 ティーの頭を撫でながらヒヨさんが言った。脳内でフレンド欄を展開して確認してみると、グレーの文字で表示された名前に混じっていくつか黒い文字があった。


「多分こっちに来てる人間だけ、黒く表示されてるんだと思う」


 ほむが洋なしを皮ごと囓りながら推測する。よく見ると、テーブルの上に載せられたゴミ入れに果実の芯が満載されている。……どうやらほむはこの調子で果実を喰いまくっているらしい。


「そうか……、なるほど。この分だと、あのときログインしてた全員がこの世界に居るわけでもないのか……」


 移転したあの時リアル時間では土曜の夜で、ログインする人間が多い時間帯だった。実際に俺もフレンドの大半がログインしていた事を覚えている。……なぜ、俺たちはこの世界に移転したのだろう? ログインしていた全員が移転したわけでないなら、その明暗を分けたのは何が原因だったのだろうか。


「しかしカインは身内も巻き込まれてたのか……。しばらく戻らないって、ホームに連れて来ないんですか?」


 舐めるように酒を口に含む。アルコールの独特の刺激が舌先を焼いて鼻から抜け、豊潤な香りだけが漂った。


「人見知り激しいんだと。……まぁ、連れて来たいと言われても、結果的には俺が拒否したとは思うが」


 困ったような顔でヒヨさんが笑うので、俺は驚いた。確かに他のプレイヤーに接触したくないとは言っていたが、そこまでだとは思わなかった。


「なんで駄目なの? 別にギルマスの身内なら平気じゃない。何かあったらギルマスが責任もって止めるでしょ?」


 不思議そうにバルサが聞く。俺も同意見だ。カインの身内なら、ヒヨさんの懸念するような事態にはならないと思うんだが……。


「そうねぇ……。ま、その話をする前に、今日の戦闘の事を話そうか」

「――戦闘……?」


 怪訝そうな顔でバルサがヒヨさんを伺う。表情にどこか怯えがあった。俺も――自分の中で整理がつくまでその話はしたくない。


「ヒヨさん、その話は――」

「まず、無事全員が生還出来て何よりだ。俺たちはあの腐れマッド野郎をこれまでもアホほど倒してきたが、こちらの世界でも首尾良く処理出来て本当に良かった。少なくとも、これでもうこちらの世界の人間が浚われた挙げ句、生きたまま解体されて殺されることは無い。――そうだろう?」


 何の呵責も見せず、ヒヨさんは朗らかに言い放った。俺もバルサもそのまま凍り付く。

 胃の中に酒と違う何かがじわじわと染み込んで来た。


「あのマッド魔術師、女子供とか若い人間中心で実験体にしてたんだよね、確か」

「そ。壁にオブジェみたく並べてたでしょ」


 ほむが思い出すように口にした言葉に、ヒヨさんが肯いた。


 ……あの時。あの戦闘が終わったあの時、俺が見ない振りで、俺たちみんなが見ない振りで、それでもどうしようもなくて、そしてほむがティーに強要したこと。


 俺たちは魔術師の肉片に黙祷した――いや、魔術師の肉片の向こう、部屋の最奥。壁に掘られた棚にずらりと並べられ、積み上げられた死体――ゲームではただ部屋を飾る為だけのオブジェでしかなかったモノ達。この世界では生きた人間だった者たち。ゲームの設定に合わせて浚われ、魔術師に実験台として殺された人の残骸。それらの人たちに向かって俺たちは黙祷した。

 弔うことは出来なかった。――本当ならすべきなのだろう。でも、俺たちはあれごと全てゲームにしたかった。ゲームだとして終わらせたかった。あれを現実の死体だと認識したくなかった……! あれ以上あの場に留まって、正気でいることなんて出来なかったからだ。


「ヒヨさん、頼むから……!」

「なぁ。俺は死にたくなかった。だから何ひとつ後悔していないんだが。――あの腐れマッド野郎を手に掛けたこと、気にしてるか?」


 真面目な表情でヒヨさんが俺たちに問いかける。

 胸の奥で心臓が握り締められた様に痛い。胃の中に重く粘着質な物が流れ込んで溜まるのが分かった。俺はヒヨさんから目を逸らし口元を押さえて俯いた。手が震え出す。

 俺たちは、俺は、それでも人を、NPCではなく生きた人間を、殺した。だから俺は――。



「あんな奴いらない。俺、みんなが死ぬのイヤ。痛かったし……、みんないっぱい怪我したし……」


 死んじゃうかと思った……! そう呟いて、ティーがヒヨさんの足にしがみついた。

 ヒヨさんが軽くティーの頭を叩く。そうしてまた柔らかい手つきで何度も頭を撫でた。ぐずって鼻を啜るティーにほむが優しく言う。


「大丈夫。俺もみんなも五体満足で生きてるだろ? な? もう大丈夫だからさ」


 そのほむ達の様子が目に入ると、体の強ばりが落ちるように解けてソファに寄りかかった。

 寝て回復したはずの体の怠さがまた戻ってくる。重い体をソファに預けて、俺はただ目を閉じて深く呼吸を繰り返す。


「死にたくなんかないわよ……! でも、何で、こんな、ことに……」


 バルサの泣き声が聞こえる。

 嗚咽を堪えるような泣き方に胸が痛んだ。勝手に、閉じた俺の目から涙がこぼれる。瞼が熱くてたまらない。強く目を瞑って手で押さえて隠した。

 痙攣する喉の奥を押さえるように呼吸を繰り返す。何度吸っても息が上手く出来ずに苦しくて、枯れる喉が焼けたように痛い。体を折り曲げてソファに伏せて、荒く、浅い息を吐いた。


 ……誰かが背中をそっと撫でてくれるのが分かった。


 背中越しに感じる手の熱を感じながら、俺は静かに涙を流し続けた。

 そして、疲れた体がもう一度眠りに沈むまで、ずっと背中を撫でられ続けた。





 柔らかな感触を頬に感じる。

 重い瞼を持ち上げると、ソファに横になった体に毛布が掛けられていることに気付いた。ゆっくりと起きあがってみたが、体は酷く怠いままだった。

 窓の外の空が濃い藍色から水色に変わり始めていた。――そろそろ朝日が昇る時間なのだろう。

 窓から差し込まれた頼りない光に、部屋が薄暗く浮かんでいた。広間の静けさに心が深沈してため息を吐く。微かに寝息が聞こえる。広間のソファにはバルサやティーが静かに寝ていた。

 ……ほむとヒヨさんが居ない。不安になってソファから立ち上がると、紗がかかったように目の前が暗くなる。ふらついてソファにまた倒れ込んだ。貧血かもしれない。


 目を閉じて大人しく寝そべる。

 スープと、酒ひとくち以外何も口にしていない。そういえば吐いた時出てきたのは胃液だけだった。これまで物を食べることが出来ない仕様のゲームだったのだから、当たり前といえば当たり前だ。

 ……なるほど。ヒヨさんがあの柔らかくて具の少ないスープを作った理由が分かった。気分による体調を考慮しただけでなく、俺たちの胃が固形物を受け付けられるかどうか判断出来なかったからなのだろう。

 果実を食べまくっていたほむは大丈夫だったのだろうか? ああ、違う。そうだ、ほむは確かに言っていた――「俺で試さないでくださいよ」と。


「玉露なんて強いもの飲んで、大丈夫だったんだろうか……?」

「――別に問題なかったよ。旨いお茶だった」


 答えた声にぎょっとして目を開ける。ヒヨさんが笑って俺を見下ろしていた。


「……びっくりしました」

「そりゃ悪かった。体調はどうだ? タブにまた新しいスープ入れといたから、喰えるようならどうぞ」


 ティーとバルサの毛布をかけ直しながら、静かな声でヒヨさんが言った。

 起きあがりながらギルド共通タブを確認したら、さっきとはまた違ったアイコンが表示されている。


「ポタージュっぽいですね」

「そう、野菜のポタージュ。さっきのスープの具を漉して、トマト足しただけな」

「胃を慣らすのにちょうど良いわけですね」


 俺の言葉にヒヨさんがただ微笑んだ。


「ほむ、大丈夫ですか? 吐いたりしてませんか、あんなに果実ばかみたいに喰って」

「あいつマジで腹すかしだからなぁ。吐くより飢える方が怖いんだとさ」

「ああ……そんなこと言ってましたね」


 オフ会でもそんなことを言っていた。


 欧州の某国による経済破綻が引き起こした内戦は、現在はもう泥沼すぎて収まる気配がない。余力のある人間はさっさと日本州など経済特区の特例を使って難民にならずに避難できたが、ほむはそうでは無かったらしい。両親を戦争で亡くしたらしいほむは、保護されるまで飢えた時代があったらしく、それがトラウマなのだと笑っていた。


「ほむが割とこの状況に冷静なのは、小さい頃の体験があるせいですかね」


 口に出した瞬間に後悔した。無表情のまま内心焦った俺を、ヒヨさんは軽く流す。


「さぁ? それより顔洗ってきたら。そらもうひっでー顔してるぜ、ゼロス」


 有り難くその言葉に従うことにした。


 5階の広間を出てすぐにレストルームがある。張り出したバルコニーに植えられた植物の梢が見えた。中庭のあの木だろう。

 レストルームもギルメン全員が同時に使っても問題ないほど広かった。大きな鏡が張られた洗面台や化粧台、トイレの個室がずらりと並び、さらに休憩が出来るようにソファセットも備え付けられていた。この場所だけでも充分住めそうだ。どこかの高級ホテルにでも迷い込んだ気がしてきた。


 トイレを済ませて手を洗う。洗いながら自分の顔――俺ではなく、ゼロスの顔だ――を確認すると目は赤く腫れぎみで、顔面全体がむくんで酷い有様だった。


 クールとか、怜悧とか、理論家とかそう言ったキーワードでランダム作成したこのゼロスというアバターを俺はとても気に入っている。ゲームに付随する、デフォルトのアバター制作ツールは出来ることが少ないが、パーツの種類はそこそこある。ランダムで選択されたパーツを納得いくまで微調整したから、多少似た顔のプレイヤーが居たとしてもあまり気にしたことはない。

 そもそも輪郭や目鼻、口など、ポイントを設定して合致する数値が何%以上かあった場合、登録IDが同じ出ない限り同じゲームにコンバートして使用する事はできない。これは現存のVRゲーム全てに共通する世界的な仕様だ。

 もっとも、年齢や体型、音声などのパラメーターで無限に変わる外観設定なので、誰かと全く同じアバターを作ろうとしても逆に難しい。――滅多にそんなことは起こらなかったが。


 昔は、素人デザイナーが有名人そっくりのアバターを作って無許可で販売する、なんて問題もあった。今はIDカードに登録された自分の顔で無い限りは実在の人物は弾かれて、どのゲームでもコンバートすること自体が出来ない。デザイナー製のアバターも、販売された時点で随時登録されていて、購入した人間しか使用は出来ない。


 自分の顔なら登録出来る事を逆手にとって、好きなアバターの顔に整形する人間も稀に存在しているらしいが……。俺からすると都市伝説としか思えない。狂ってる。


 アバターにこだわる人間は、公式で用意された凡庸ツールではなく、市販されている専門のソフトを使う場合もあるらしい。

 専門ソフトどころか、アバター制作を専門としたプロのデザイナーも居る。専任だけあってかなりの値段にはなるが、制作されたアバターは現在稼働するどのVRゲームでも使用することができるから、商売として成り立っていた。


 確か里香ちゃんは"アレク"のアバターを、デザイナーに発注したと言っていた。同じデザイナー製でも、限定品リミテッドのものと特注品フルオーダーメイドでも随分と違いがあるらしいが……、俺は興味がなかったのであまり見比べて観察したことはない。


 凡庸と専門ソフトのアバターの最大の差は調整可能領域の細かさと、体型、それに音声だ。

 顔のようにユーザーが特に拘る部分に関しては、凡庸とは言え充分にいじれる。だが体型に関しては、せいぜい背の高さやスリーサイズ、筋肉質から肥満体型、等、いくつかの固定されたパラメーターを調整することしか出来ない。

 たとえば、極端に背の低いアバターを作ろうとした時。背の高さと、胴と足の長さまでは自分で選べる。さらに足の太さやラインも選択して選べる。しかし、足首だけもっと細くしたいとか、手のサイズに対してもっと指を短く細くしたいとか、髪の毛のつむじの位置だとか、そういった細かい調整はできない。

 音声もそんな感じで、こだわる人間には痒いところに手が届かないのだそうだ。


 対して専用ソフトは体型どころか、骨格はもちろん筋肉の状態までをひとつひとつ設定できる。文字通り、人間を1から制作する事が出来る。――正しくソフトを使いこなせれば、だが。

 普通の人間が専用ソフトを使用しようとしても難しい。あまりにも細かすぎる調整に、凡庸ツールで制作したアバターをコンバートして、専用ソフトで微調整する人間も居るくらいだ。

 だからこそプロとして仕事にする人間が出たのだろう。

 実際は、プロはプロ用のさらに複雑なソフトを使用しているらしいが、俺にはよく分からない分野だ。



 冷たい水で丹念に顔を洗う。共通タブにヒヨさんが入れていたタオルを取り出して拭いた。指で摘むようにインベントリにタオルを入れ直すと、ふき取った水が洗面台の上に散った。……なんとも便利なものだ。

 少しは顔がマシになったのを確認してようやく、ゼロスの顔に眼鏡が足りないことに気付く。ベッドの上に投げ置いたままだ。

 眼鏡が無くても視力には問題はない。問題はないが……俺の中でゼロス=眼鏡、のキャラ設定がなされているので、少々落ち着かない。が、俺はリアルでは眼鏡をかけていないので、ベッドにダイブして鼻を打った時のように、"眼鏡びと"として正しくない行動をとりがちになる。それはゼロスとしてどうだろう? とても悩ましい。――ではなくて。


「アホか、俺は……」


 洗面台に手をついてうなだれる。

 他に考えるべき事が山ほどあるだろう。なんなんだ俺は、本当に。とにかく自己嫌悪が酷い。とりあえずもう眼鏡は後回しにしよう。そんな細かい事にこだわるのは落ち着いた後で充分だ。


 手をついている洗面台から飛び散った水滴を見て気付く。洗濯や洗い物の心配がないと言っても、部屋の掃除は必要だろう。ホームが広いのは良いことだが、掃除するのは大変そうだ。調理を手伝ってもらうこともそうだが、掃除に関しても話し合わなければならない。

 そう決めて、広間へと戻った。


「そう言えば、ほむはどこに行ったんですか?」

「出島のホームに跳んで、買い出し」


 窓際のソファに座って、スープを飲んでいたヒヨさんが答えた。


 入り込む淡い光にヒヨさんが――オフィーリアが照らされる。

 真っ直ぐに伸ばした背筋、揃えて横に流した長い脚。腿の上に置いて支えるカップから、銀のスプーンが液体を少しだけすくう。スープを冷ますために僅かに唇を尖らせて、優しく息を吹きかける。柔らかな唇にスプーンがあたり、啜らずそっと口内にスープを流し入れた。閉じられた唇からスプーンが離れ、音を立てることなく静かにカップに戻される。それからようやく、ゆっくりと喉が動いて嚥下される。

 ゲーム内ではもちろん、現実でもあり得ないくらい美しい女性だ。声といいこの姿といい、デザイナー製のアバターだろう。恐ろしくよく出来ている。


 このオフィーリアに狂ったプレイヤーは、俺の知る限りでもかなりの人数がいる。正直言って俺は、ロールプレイヤーでネカマと公言しているただの"キャラクター"に、おかしくなるぐらい入れ込める人間が居る理由がさっぱり分からなかった。だが、現実となった今なら理解できる。

 客観的に見ても、オフィーリアは信じられないくらい美しいアバターだ。そしてゲームではなくなった今、システムサポート外の動作――品のある所作がその美しさを一層引き立てていた。

 中の人と直接会って話した経験があって、さらに普段のロールプレイせずにいる状態を知っているならまだしも。楚々としたオフィーリアしか知らず、"虚構"を"現実"として感じられていたガチゲーマー共にはさぞかし強烈な存在だったのだろう。

 女神と崇め、恋愛感情を抱き、付きまとい、それどころかゲーム仕様内で有らん限りの工夫を凝らして、性的な意味で襲いかかる馬鹿な人間も居た。……おぞましい話だ。


 里香ちゃんの"アレク"にも、本人が気付かないところでその手の人間が存在していたが、里香ちゃんはロールプレイを一切していなかった点でオフィーリアとは大きく違う。それに"アレク"は男性キャラで、プレイヤー人口的にも女性の割合が少ないから、被害の大きさもまた違った。

 アレクに付きまとっていたのは、大抵がアレクを鑑賞する事を目的とした女性プレイヤーで、恋愛まで発展させるような脳内妄想の激しいプレイヤーは滅多に居なかった。たまに男のプレイヤーが粘着したが、大概の男は"アレク"のアバターは自分にこそふさわしいから俺に譲渡すべき、と意味不明な理屈を喚くタイプで、運営からペナルティを喰らってあっという間に姿を消した。


 ……もしかして。ヒヨさんはその手の事を憂慮して、他のプレイヤーの存在を嫌うのだろうか? 

 確かに、里香ちゃんの使用しているアバターは3キャラ全部がアレクだし、ヒヨさんのキャラも俺はオフィーリアしか見たことがない。


 まだ寝たままのバルサ達を起こさないように、俺も窓際のソファに静かに腰を下ろす。ヒヨさんと向かい合わせに座り、声を潜めて話し合う。


「出島って、あの江戸モチーフエリアの?」

「そ。フィールドごとに微妙な時差があるだろう? 出島はそろそろ昼だから買い出しに行くのに都合がいい」


 うーん、イマイチ。と、ヒヨさんが自作のスープに駄目出しをした。


「ギルマスの言ってた通り、ずっとホームに閉じこもることはできないからな。昨夜から俺とほむで交互に街に出てはいる――この街ではなく、別のホームにジャンプしてからだが」


 ギルド所属のキャラとは変えてあるから、何か問題があっても多分大丈夫。顔が違うキャラだから、別人として扱える筈。ついでに江戸文化モチーフで衛生面も多少は予測がつくし、食料も馴染みの物があるだろうから、調達を頼んでおいた。

 そう笑ってヒヨさんが説明した。 


 出島は旧日本、江戸モチーフのエリア、ジャッポン地区と呼ばれる場所の入り口にあたる。ジャッポン地区は鎖国されているので、入場に制限がかかっていて、通常はホームの設置が出来ない。そのため、大抵のギルドは替わりにジャッポン地区の窓口となっている出島にホームを置いていた。

 だが俺たち――正確にはヒヨさんだが――は、出島の他にもジャッポン地区内にもホームを持っていた。課金ホームだ、それも糞高い。通称"ゲーム内リアル別荘"とまで呼ばれるほどの、法外な値段の付いた課金別荘。そもそも公式のコンセプトが、"ゲームをしない貴方も、フライト時間ゼロで、素敵な異国の別荘を持ってみませんか?"だ。フルダイブが実現しているのならまだしも、たかがVRゲームで別荘とは、運営陣は頭がおかしいとしか言えない。


 別荘と名付けるだけあって、課金別荘は風光明媚な土地にある。ゲームとして遊ばない人間も使用することを考慮されているため、アクティブ・モンスターなどは一切生息していない場所だ。もちろんそれらは全て、通常のホームを置けない特別なエリアばかりだ。

 有名な場所を挙げると。例えば、鎖国地域のジャッポンの他にも、砂漠エリアのオアシスの上に浮かぶ浮遊都市だとか。海を回遊する小島だったりとか。空に浮かぶ雲の上だったりとかが在った。

 現実世界での有名リゾート地をアレンジし、いかにもファンタジーな素敵な場所に建てた別荘は正しく夢の場所で、ゲームプレイヤーにはある意味憧れの存在だった。


 しかし如何せん値段が馬鹿みたいに高い。また、ゲームプレイヤーやゲームの進行とは別に、一般人向けに分譲しているだけあって数にも限りがある。扉を開けたら個別の部屋に跳ぶから、同じ建物を複数人が使用する、なんてゲームならではの理屈がない。ひとつの建物にひとりのオーナー、正しく"ゲーム内リアル別荘"なのだ。

 抽選で購入権を手に入れて土地を買ったあと、場合によってはさらに金を払って別荘をリフォームする。課金別荘のリフォームは公式から提供される課金アイテムとは別に、専任のデザイナーに発注して完全にオリジナルで作れるので――ただし、課金別荘の外には持ち出せない――インテリアに拘りのある人間にはとことん趣味を追求できて良いらしい。――つまり、ヒヨさんだ。


 オフィーリアに貢がれたらしい課金別荘を、ヒヨさんはさらに貢がれたアイテムを売り払ってリフォームし、使用している。……多分、このやたらと豪華なホームも、課金別荘の1種なのだろう。

 この街、メッツァーニャのNPCはプレイヤーに対して親切だ。街の周りも凶悪なモンスターが居るわけでもなく、発生するクエストもゲーマー向けの物が無い。存在するクエストといったら、趣味系やほのぼのお使い系と呼ばれる物ばかりだ。ゲームプレイヤーにとって重要度が低い割に街の設備や外観などは凝っていて、街を見て回る――観光するには素晴らしく良い街になっている。

 ゲーム内で新しい街が発見されればプレイヤーはこぞってそこを訪れ、攻略に励む。しかしメッツァーニャはゲームとして楽しめる要素があまりないので、現在は人気が無い。


「このホーム課金別荘だったんですね」

「そうよ~。課金別荘便利よ? ジャッポンなんか、入国するのにクソみたいな面倒臭い条件あるけど、課金別荘持ってるとフリーで出入りできるしネー」

「へぇ、そんな特権あったんですか」


 他にも色々特典付いててありがたいのねー。と、ヒヨさんが静かに笑った。

 俺もヒヨさんに相伴して、スープを取り出して食べた。やはり旨い。……が、摺られた野菜が重く感じる分、塩分が少し物足りない。この辺が、さっきヒヨさんが言っていた「イマイチ」の原因だろう。


 食事をしながら少しずつ明るくなる窓の外を眺めた。

 窓の外の空の青がどんどん薄くなっていく。夜明けだ。藍から蒼へ、蒼から水色へ。そして水色に黄が溶けて混じり、浮かんだ雲に赤みが差す。空の青と光の赤のグラデーション。

 聞こえるのは、鳥の声と風に揺れる木の葉の音が僅かだけだ。静謐な空の光景にしばらく見とれた。


「ああ……本当に美しいですね」

「それは外が? それともオフィーリアが?」


 ヒヨさんに微笑まれて、たじろぐ。スープのカップを取り落としそうになって、慌てて持ちなおした。

 言われて気付いた。俺の位置から真っ正面の、オフィーリアの真後ろに大きな窓があった。俺が外を見ると、必然的にオフィーリアも視界に納めることになる。


「いや、今のは空の話ですよ……。……確かに、オフィーリアも綺麗だと思いますよ? 思いますけどね、中身ヒヨさんじゃないですか」

「そう、残念ながら中身は俺よ。でもってオフィーリアは希代の美女。コレ、世界基準だから」

「いや、美の基準は一定ではないでしょう……」


 嘯いたヒヨさんに苦笑すると、ヒヨさんもまた笑った。……穏やかな時間だ。そしてこのまま、穏やかなままで現実に戻って欲しい。

 叶わなそうな願いにため息が出る。


「ヒヨさん。他のプレイヤーを嫌がるのは、オフィーリアとアレクの容姿を考慮したせいですか」

「あとトウセもね。まぁ、外見も原因のひとつではあるねぇ」


 俺こそが物語の主人公だと妄想する奴には、この顔は良いターゲットになるでしょ? と、言って笑うヒヨさんに俺は肯く。


 ゲームと違って、運営が設定した仕様以外の行為が出来る。今までもオフィーリアは仕様内で出来うる最大限の性的な迷惑行為を受けていた。……中の人の性別とアバターが異なる上に生身になってしまった現在、セクハラなんて恐怖以外の何物でもないだろう。


「ヒヨさんはオフィーリア以外のキャラはないんですか?」

「いや、一応有るんだけどね。身を守る的な意味で、今は使えないかな。何が起こるか分からないし、もう少しキャラ育てないとやばいのねー」

「そうですか……それは参りましたね……」

「あとの理由はまぁ、また今度。しばらくは――せめて1ヶ月はこのまま過ごしたいもんだ」


 流石に無理だとは思うが。そう真面目な顔で呟く。


「理由、やっぱり説明してもらえないんですね」

「今説明すると、逆に俺たち全員にとって不利益になるからな。そうだな……10日は待って欲しいかな。俺もどうしようかと困ってんのよ。ほんとすまんね」


 ヒヨさんが頭を下げる。


「ヒヨさん、いや、謝られても!」


 俺は焦って、それでもなんとか小声で言うと、ヒヨさんが顔を上げる。

 本気で困った表情をするヒヨさんを見て、俺は逆に安心した。――はっきり言って、この人はいつも分かり辛すぎるのだ。


「ヒヨさん。俺はどちらかと言うと、ヒヨさんもこの状況に戸惑っている、ということを伝えてくれる方が助かります」


 一瞬、虚を突かれたようにヒヨさんが瞠目した。


 昨日の戦闘も、その後も、今も……。ひたすら混乱した俺と違って、ヒヨさんは常と同じ様子で過ごしていた。そのヒヨさんが動揺しない事が俺にとって――恐らくカインにとっても、精神的に負担になっていた気がする。

 もちろん全員がパニックを起こしておかしくなってしまっていたら、俺たち全員、今頃どうなっていたか……おおかた死んでいたとは思うが。そう、実に勝手な話だ、よく分かっている。それでも、俺はこの人に少しぐらい動揺を見せて欲しかった。


 多分。俺はヒヨさんに俺たちと同じ気持ちになって欲しかった。そして俺もヒヨさんと同じ気持ちになりたかった。恐怖と混乱を共感して欲しかった。俺も取り乱さずに、理性的に振る舞いたかった。共に困難な状況を、同じように苦労して乗り越えたかった。――仲間だから。

 ほむもそうだが、ヒヨさんとほむの2人だけまるで違う場所に立って、俺たちを見ているようだった。――いや、そうであろうと努力していただけなのかもしれない。それでも、そうあろうとすることで余計に俺はヒヨさん達に距離を感じた。同じ境遇の筈なのに、共に過ごすのに、気持ちの乖離があるのは辛い。


 ――そう自分本位に考えて、俺は2人を羨み、自己憐愍した。


 ほむの過去のことも。俺はそうほむにレッテルを張ることで、自分がごく普通の生活しか送ってこない人間で、この異様な事態に混乱することは仕方ないのだと自分を慰めた。


 身勝手な理由だ。子供のだだと何も変わらない。

 自分より有利だった人間を羨んだだけの、単なる自己中人間のたわごとだ。自分の矜持を保つために、他人の足を引くだけの愚かな行為。


「そうかぁ……普通にそう考えるよねぇ……。いや、ほんと悪かった。うーん、俺もすんごく動揺してんだなぁ、この状況」

「いや、俺もすみません。こんな感情抱く方がおかしい。本当なら、冷静に判断してもらってたことを感謝すべきなんですから」

「いや? 思ってることを分かり易く言葉で伝えてもらえて有り難い。腹に一物抱えられるよりは――あー当然、俺からも言わなきゃいけなかったワケだ。……難しいなぁ、それ」


 照れちゃうわぁ! そう呟いて、ヒヨさんはソファに背を預けて脱力した。


「確かに恥ずかしいことですけどね……でもそのまま黙って過してしまう方が危険なような気もします」

「うん、そうだねぇ。言ってくれて助かったわ。ありがとう、ゼロス」


 頷くヒヨさんに、俺も頷き返す。

 ……本当に、馬鹿みたいに恥ずかしいことだ。

 だから、ほむやバルサが起きて今ここに居たら、俺は話し出せなかっただろう。そして今日を逃せば、多分、言いだせるのはすっかり事が済んだ後……年単位で先の話になるだろう。これはそういう類の話だと俺は思う。


 ヒヨさんが俺より年上で、現在こうして安心して過ごせる場所と、生活できるアイテム――お茶や果物やスープだ――、そういった物を逐一提供してくれているからこそ、内心を吐露できた。それらは今自分には無いと分っているからだからだ。

 それから、泣いた挙句慰められるという失態も見せている。

 いずれにしても。まだ初日で、動揺して弱っている、と開き直れるからできた芸当でもある。……そう割り切ってしまえるぐらいの年齢と、社会経験が俺にはある。


 恐らく、カインはその手の事をヒヨさんに言いだせない。素直に言えるような年齢でもないだろうし、何より――自分がギルドマスターの立場を取ってしまったからだ。今後どうイニシアティブを取り続けるか悩んでいる筈だ。

 里香ちゃんやバルサ、トウセなら"文句"として言えるかもしれない。しかしそれではヒヨさんの受け止め方が、俺が言うのとでは異なるだろう。

 俺は最初から食事確保人員としてヒヨさんに見られている。ホームやアイテムを一方的に提供されるだけでなく、料理人として生活基盤のひとつを提供し返すことが出来る。嫌な考え方になるが、ギブ&テイクが成り立つ関係だ。

 余程おかしなことではない限り、ヒヨさんにとって俺の言う事は検討するべきこととして認識されるだろう。……それが良いか悪いかは、今後の俺とヒヨさんの関係次第だろうが。


 俺たちは同じギルドで仲が良い間柄だとはいっても、今後はどうなるかわからない。共通事項だったゲーム攻略がどうなるか見通しが見えない上に、しばらく共同生活をすることになる。目標もなく、ただギルドの仲間だからと漫然と共同生活を始めたら……そう遠くない未来に破綻することになるはずだ。

 この世界がゲームと同じ仕様ならば、俺たち全員がそれぞれ、力も、金も、アイテムもふんだんに持っていることになるのだから。精神的に立ち直れば、各自すぐにでも好き勝手に生活していくことも出来る。――だから全てリセットされた方がましだったのか? いや、でもな……。


 ヒヨさんは保護者の委任を受けた身としてティーを気にしていたから、俺たちギルメンの動向をあまり楽観できない立場なのだろう。――ティーは子供らしく、かなり構われたがりな気質がある。共同生活を上手く送れずにギクシャクした挙句、友人としての縁も切れて空中分解するさまを見せたくないと、そう単純に警戒しているのかもしれない。


 もちろん、それも当分この世界から出られないと言う仮定での話になるが……。帰れることに越したことはない。ないが、このままずっと帰れないと想定して動く方が建設的だ。


「今後の事を考えると、頭が痛いですね……」

「だぁねぇ。なにせ、生活基盤をそっくり構築し直す必要があるからねぇ。気力が折れた時点で、立ち直るのが難しそうだ」


 俺が呟くと、ヒヨさんもしみじみと同意した。


「そうですね……。かと言って、深く考えずに流されるのもまた……」


 後先考えずに好きに振る舞えるような年でもない。俺たちがせめて10代だったら、また違った判断をしたのだろうと思うが……。


「異世界移転とか、ゲームが現実化とか、そう言った物語は10代だけの特権かと思ってましたよ。正に現実は奇なり、ですね」


 昔見たアニメや漫画を思い出す。主人公たちはもれなく10代の若者で、俺のような20代後半の人間など居なかった筈だ。

 深く溜息を吐いた俺を見て、ヒヨさんが楽しげに笑った。


「確かにねぇ。あと俺の中では、"コンタクトと眼鏡の人間はファンタジーな世界には絶対に行けない"的な、漫画法則を確信してたんだけどねー」


 アバターで全解決! ほんとびっくりだよ! と笑って、いきなりヒヨさんが黙った。

 軽く息を吐いて、ヒヨさんが憂鬱そうに言った。


「ほむからコールだ。……残念。ジャッポンも出島も、食材はともかく食事は俺が喰えそうな感じではないようだなぁ……。あー……マジで潔癖直さないと」


 うんざりとした様子のヒヨさんに笑って、俺は慰めの言葉をかけた。


「まぁ、今日からは俺が作りますから。手伝いよろしくお願いしますよ?」

「手伝う手伝う。マジで頼むわぁ……」


 弱り切った顔で笑うヒヨさんの背後、窓の外が明るく輝き出す。

 日が昇り、空が完全に青く染まった。澄みきった藍青の空。所々白く柔らかな雲が漂う。あの雲の上にも街があった筈だ。――ここは、現実ではなく、虚構でもなく、異世界と言う曖昧な境界線上のリアルなのだから。


「しばらくは、見知らぬ外国に来たと思って過ごすしかないですね」


 笑ってヒヨさんが頷く。

 明けた空を見て、俺はソファから立ち上がった。――朝食を作ろう。

 ヒヨさんの言っていた通り、食事と睡眠は大切だ。腹を満たして、それからこの"ファンタジー"な世界の"現実"と戦おう。


「厨房、1階でしたよね? そろそろ朝食、作りますよ」

「ああ、ありがとさん。それじゃ、手伝うよ」


 ヒヨさんと2人で広間を出る。

 眠り込むバルサとティーがソファに丸まっていた。



 ヴァーチャルゲームをプレイする最中にそのゲームの世界に移転されるなんて、物語のお約束にしてもお粗末過ぎる。時代遅れにも程があって、王道ですらない。

 あの時、オフ会でそう言ったのは誰だったか。


 異世界移転なんて嘯いたところで、現実じゃ植物人間か心不全か、あるいは神隠しか。ゲームに熱中した挙句人生丸ごと現実から逸脱なんて、ネトゲ中毒のニートとどう違う。異世界移転なんて崇め奉って笑い話に出来るのは、ドロップアウトした本人ではなく、赤の他人だけだ。

 そう笑って答えたのは誰だったのか。



 ――今、正にその異世界に居る俺たちを一体誰が笑って見ているのか。

 それはもう、俺たちには分かり得ない。そんな話だ。


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