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溺れる、連鎖  作者: miz
第2章 黒
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0. 事件の深さ

 そうですか。まだ犯人は捕まっていないのですか。

 え?僕が犯人?……ええ、そうです。

 ……なんて嘘ですよ。そんなに睨まないで下さい。

 うっかり嘘をお話するところでした。容疑者になっているのは知っています。なので僕が犯人となって罪を背負っても構わないのですが、真実をお話すると言いましたものね。

 違います。"××通り魔連続殺害事件"の犯人は、僕ではありません。

 それよりあなたの人生で関わった大きな事件は13年前に起きたこの事件と今回の事件。そして11年前に起きた"××夫婦殺害事件"でした。

 どうして知っているのか、という顔ですね。

 あなたのことはこの13年見てきましたから知っています。

 ええ、言葉の通り見ていました。そうです。案外あなたの近くに僕はいたんですよ。

 そのひとつがあなたのご息女の家庭教師です。もちろんあなたの娘だと知って家庭教師になりました。

 彼女とは離れて暮らしていましたものね。さぞ驚かれたでしょう。

 それと。とても遅くなってしまいましたが(めぐみ)さんのことは本当に残念でした……。

 癌とはいえ許せません。いえ。病気だからと言って許せませんよ、僕は。

 もしあなたがここで癌だと言ったならば僕は勉強して勉強して勉強して癌を殺す特効薬を開発します。

 無理ではありません。それくらい大切なものを奪われる悲しみは消えません。

 ……どうして笑っているのですか?もしかしてあなたは僕が誰も殺していないとお思いですか?

 それは大きな間違いです。僕は人を殺し、罪を背負いました。それは間違いない事実です。

 それなのにどうして僕は大切なものを奪われる悲しみに気づけなかったのでしょう。殺してからもちっとも何も感じませんでした。

 大切なものを失って初めて気づいたのです。

 遅すぎました。手遅れでした。彼はもう戻ってきません……。

 さて、時間もそう長くありません。そろそろ次の事件のお話をお聞かせ願いませんか?

 "××夫婦殺害事件"です。僕とあなたが出会ってから2年後に起きた悲惨な事件でした。

 "××山荘殺人事件"のお話はその後にしましょう。この事件の詳細を聞かなくては"××山荘殺人事件"の深さは分かりえません。

 ええ、繋がっています。この事件だけではありません。先ほど話してくれた"××通り魔連続殺害事件"も繋がっています。

 表面では分かりえない深い深いところでこの三つの殺人事件は繋がっているのです。

 そして三つの事件の犯人を僕は知っています。

 でも初めに言った通り、犯人をお話することが目的ではありませんので悪しからず。

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