邂逅
(――――――――森、か?)
あの蒼の世界から一転し、気がついてみれば俺は“空”にいた。
眼下には広大な森が広がっている。
どうやら、地面に対してうつ伏せの体勢で見下ろしているようだ。
体を動かすというよりも、ゲームで視点を変更するような感覚で体を起こす。
すると、急速に体が引っ張られるようにして更なる上空へと昇っていった。
世界が、広がった――――――――――
遠くを見てみれば、雄大にして広大無辺とでもいえばいいのだろうか。
山はその堂々たる姿を誇るかのようにそびえ立ち、木々はそれを飾り立て競い合うように空へと伸びている。遥か先には茫洋たる海原が光を反射し輝いて見える。
それだけではない。
(まるで―――――)
空に浮かぶ想像もつかないほど巨大な浮島。
言葉そのままに、空から流れ落ちる滝。
(そう、まるで―――――)
黄色と黒だけでおりなす灼熱の砂漠。
そのすぐそばには、氷雪に覆われた大河がある。
そして、その世界を踊るように力強く闊歩する……
(―――――――――――幻想世界だ)
幻想種
オオオオォォォォォォ――――――――
山の頂
黒の竜が咆哮とともに、山の頂から天空へと飛び上がってゆく。
その姿は、圧巻の一言だ。
目を見開くのが分かる。
息を呑む、まるで心臓すらも止まったかのような錯覚。
口元が自然と緩む。
俺は、この光景に
この世界に憧れを抱いた!
――――……
(ん?)
また、何かの音がした。
どれだけの間、この光景を見続けていただろうか。
ふとわれに返って改めて耳を澄ましてみる。
なんとなく、だが。音が聞こえた方向に視線を向けると、最初に視界あった森。
そのなかでも一際大きい大樹へと、移動してみる。
近づけば近づくほど、その大きさが異様だ。
まず、幹のそばに寄ってみて左右に首を振ってみると、視界の半分ほどが茶色。木の幹で隠れてしまう。
すぐそばの枝に試しに降りてみることにした。
大樹の枝に立って驚いた、ちょっとした道路の幅ほどもある太い枝なのだ。
枝の先が徐々に上向いてるためか、感覚的には大きな橋を渡る手前にでもいるようだ。
枝の根元から幹沿いに、下へとゆっくり下降していく。
しばらく降りてきただろうか。
地上のほうから、何か打ち付ける音が聞こえてくる。
そこでは、1人の少女と狼男が大勢に囲まれながら、戦っていた。
「はっ!」
甲高い裂帛の気合で放たれた鋭い蹴りが、吸い込まれるように相手の胸に吸い込まれるようにめり込む。
「ぐっ」
野生の動体視力をもってしてもとらえきれない、いや反応すらできない一撃をうけ、狼男は地面へ鈍い音をたてて地に伏した。
「おお~、ウォルナがまた勝った!」
「きゃ~!ユアンさん、大丈夫!?」
「すげぇな。これで何戦目だっけ?」
「え~と、347戦目だったかな?・・・あ、やったねウォルナ!」
女性陣の悲鳴と歓声、男性陣の感嘆と野次。
先ほどまで戦っていた女性、ウォルナはどちらの声にも答えず、目の前の狼男ユアンを見据えたままだ。
肩甲骨辺りまで、無造作に伸ばしたくせっけのある黒髪。アイスブルーの瞳。目鼻のくっきりした顔立ち。少女から女性になる段階の女だ。
彼女は息一つ乱さず、構えを解かない。
「さっさと起きな。いつまで寝てるつもり?」
その言葉に反応してムクリと上半身を起こすユアン。その鼻面は前に出て、口には牙が並んでいる。
「くそっ、また負けか」
息も絶え絶えになったユアンは、はき捨てるように言う。
「いい加減あきらめなよ。キミもしつこいな」
心底あきれた声で言うが、ユアンは人間状態になり歯をむき出しにしてニヤリとする。
茶色の髪の毛に彫りの深い顔。瞳は柔らかく男女から美男子と認められるほどだろう。
だが、その歯は人間状態とはいえ、狼のように鋭い。
「馬鹿言え、おめぇみてぇないい女、あきらめられるか。絶対に勝って迎え入れてやる!」
会話から、この戦いはこの集落の恒例となっているようだ。
ユアンが、想い人であるウォルナを妻として迎え入れられるかどうか。
「はいはい。褒め言葉は素直に受け取っとくよ。じゃね・・・・・・」
ウォルナが木陰から陽光の下にでると、その黒髪が鮮やかな青に変色する。
その鮮やかさに数人の男女が感嘆の声を上げた。
ウォルナがふと立ち止まり、つい、と俺のほうに顔を向ける。
(なっ!?!?)
――――――――その瞳は、金色に輝いていた。
唯 「とゆ~、わ・け・で。異世界だぁー!」
悠人「相変らず、何がなにやら」
唯 「にゃははは、きにすんなぁ?ボコったら~、許可くれた」
悠人「何をだよっ!?何をボコったのさっ!?それで許可って脅迫だろっ!?話の脈絡ないしっ!!」
唯 「あま~いぞぉぅ?「何=作者」に代えればぁ、解決だぁ!」
悠人「作者、ボコ、許可? 出番かっ!?」
唯 「Exactly!出番は、無理やりだぁよ?」
悠人「………まさか、更新が1日たたずに出た、の、は?」
唯 「にゃはははははは」
悠人「マジ?」
唯 「ちがぅんよ~。作者の母校が、今年(2011年)甲子園出場でテンションあがったみたいぃ?」
悠人「野球つながりかいっ!」