修復された日常
「サフィ、ただいま」
「誰、こんなに忙しいときに...!マクミラン......」
「ごめん驚かせた」
「......おかえり!」
私はサフィ・N(野口)・ブリュンヒルデ”Safi N. (Noguchi) Brünnhilde”、吸血鬼の女だ(母親と父親『元人間』が吸血鬼)。ルーデニア連邦とダルタニア共和国の戦争が終わり五年目に、死んだと思っていた夫の新生ダルタニア共和国軍(現在降下猟兵)に志願したマクミラン・スカーレット‘‘Macmillan Scarlett‘‘『男』が私の職場である『川崎薬局』の建物の前で顔以外全身泥だらけで立っていた。
「どうした?」
「今までどこに居たの?」
「旧ルーデニア連邦の所有するカルデリア島でゲリラ戦をしてた」
「随分とやせたね......」
「それくらいどうってことないさ」
「お腹空いてない?」
「それよりお母さんはどうなった?まさかサイボーグのドラゴンに殺されてないよな?」
「どうしてそんな情報を知ってるの?」
「空き家に入った時に盗んだ新聞で分かった」
「けど、どうして今になって帰ってきたの?」
「元ダルタニア共和国の地球連邦国軍の友軍に発見された」
「現地の人間殺したでしょ?」
「あぁ、武器を持った連中はな」
「......」
「殺人鬼とでも言いたいのか?勝手にしろ!」
「......」
数年前の笑顔はもう彼にはない。人格が一八〇度変わってしまっていた。私は書ける言葉が無かった。緑の迷彩を施した軍服は見ると色んな場所に継ぎ接ぎの痕跡が沢山あった。カルデリア島は熱帯の地域だ、敵国の兵士から逃げ回るうちに自分でも気づかないうちに破れていたんだろう。
「ところでお母さんどうした?」
「貴方の言う通りサイボーグのドラゴンに殺された」
「......ハワード(男/弟)は?」
「今、施設で食膳の渡す手伝いをしてるよ」
「......そうか。ところで株式会社葛城も滅びたのは事実か?」
「うん、それがどうしたの?」
「死亡欄に”Evelyn Scarlett”エヴリン・スカーレットとあった。何か知っていないか?」
「サイボーグのドラゴンの製造に関わってた......」
「そこまでして戦争に勝ちたかったんだな......」
「ごめんんなさい、私も計画の片棒を担いでた」
「もういい、サフィは悪くない。そのおかげであの戦争は予定よりも早く終わることが出来たんだ!今日は休もう」
マクミランの髪の色は、今は亡きエヴリンさん(女)と同じ紫だ。落ち着てからお義母様の墓参りを改めて夫としよう。やっとこの日を持って私の『戦争』は終わりを迎えることが出来た。




