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12.Side Story ~不遜な男~

仲間に「神の伝言」を伝えるために成り代わりとなった「シュウ」が、再び招集をかけてきた。指名されたのは、ムネマサ、コウタロウ、ケイゾウ、俺の四人だ。新しい情報でもあるのかと思ったが、どうやら違うようである。


集合場所として指定されたのは、「あの家」ではなくターミナル駅の近くにある居酒屋だった。コウタロウは都合がつかず、四人で集まることになった。「中年男」が一人と「若者」が三人。さながら、仕事帰りの飲み会といった風情。


皆の飲み物が出揃うと、自分のジョッキを勢いよくあおったシュウが話し出した。


「プハー。今日、皆さんに来ていただいたのは、、、その。ご相談がありまして。」


ケイゾウが言う。


「なんだ?もう不老不死が嫌になったのか?」


「いえ。そういう訳では。まだ実感はありませんし、不老不死は自分が望んがことなので、今後もエンジョイします。」


ムネマサは黙ったまま、何故かシュウのことを睨むように見ている。


「成り代わりとして生きるのには、なかなか慣れないよね。俺もあと何年かで四十年になるけど、未だに慣れない。ミスズが居るから、なんとかやってるって感じかな。」


俺がそう言うと、シュウの声が大きくなった。


「それなんです!僕の悩みは。カズヤスさんは、どうやってミスズさんとお近づきになったんですか?平凡なカズヤスさんでも、あんな美人とお付き合いできるのに。」


もの凄く失礼なこと言わなかった?今。ケイゾウが言った。


「なんだ?まさか『恋愛相談』なのか?それ、オジサンにも聞かせてくれ。狙っている子が居るのか?」


ケイゾウの中身は二十五歳だと聞いたが、外見通りの中年男らしい言動が板についている。シュウは、ムネマサの方を見て何か言いたそうな顔をする。


「許さんぞ。俺は。」


とケイゾウがシュウを睨んだまま言った。俺は声を上げた。


「まさか、サクラちゃん!?」


「はい。彼女が『仲間』の中で彼氏を募集している、と言う話を聞いて。サツキさんに連絡先を教えてもらって、会いに行ったんです。色々話をしていい雰囲気だと思ったんですが、告白したらフラれてしまって。何が悪かったんでしょう?」


そう言うと、彼は泣きそうな顔でジョッキをあおり続けた。俺はケイゾウと顔を見合わせて言った。


「なんでムネマサまで呼んだの!父親を同席させる話じゃないでしょ!?」


「やはりそこは義理を通した方が良いのかなと。それに、ムネマサさんだってあの顔でサツキさんと結婚できたんでしょ?参考になる話が聞けるかと思って。サツキさんもミステリアスで素敵な女性じゃないですか。」


ムネマサが立ち上がった。


「お主!もしやサツキまで狙っているのではなかろうな?成敗してくれる!」


戦国時代生まれの「素」が出たムネマサを、ケイゾウが押さえつけた。彼が居てくれなければ収まりがつかなかった所だ。


ケイゾウが諭すようにシュウに語りかけた。


「お前はまだ恵まれている。望んだとおり不老不死になって、若さも維持してる。俺なんてな、、、」


と言って、ケイゾウは「何故彼が中年男に生まれ変わったのか?」を話した。俺も初めて聞く話で、興味深くもあったが気の毒だと思った。


「フフッ。ハハハハハ!」


それを聞いたシュウが笑い出した。


「それは!気の毒過ぎる!やっぱり神サマは信用ならないなぁ!良かった。僕、その神サマに当たらなくて!」


「お前!俺はお前が可哀想だと思って。なんだよ、もう!」


そういうとケイゾウは泣き出した。ムネマサが溜息をつく。


「シュウ。絶対にダメとは言わん。まず、その『不遜』なところを直せ。サクラはな、仲間の中で唯一『俗物』ではないんだ。」


シュウがハッとした顔をして言った。


「そうか。サクラさんは『神の悪戯』を承諾して成り代わった訳じゃないですもんね。でも、自分の性格は簡単には変えられないなぁ。」


俺は、ミスズが良く「私は気が長い」と言っていたことを思い出した。


「そこは気長にやればいいよ。俺たちには時間がたっぷりある。」


いつの間にか復活していたケイゾウも同調した。


「そうだ!飽きるほど長いぞ。人生はな!」


いつの間にか「見守る側」になった自分を自覚して、俺は時の流れに思いを馳せた。


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