表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ユニバースホール

作者: ミライ
掲載日:2026/03/04

「今日もありがとね、ソラ」

「また頼むよ」

「明日もよろしくね」


 ここは、宇宙の果ての果てにある辺境の星、惑星『スミーノ』。皆がよく知るであろう地球という惑星と比べれば、そこまで大きくもないが、知的生命体が住まう星であった。

 この星の一つの集落には、村の皆から慕われている一人の黒髪の少女がいた。彼女の名前はソラ。村のはずれの森に、ある日突然落ちてきたのだ。


ーーーーーーーーーーー


「なんだ、なんだぁ!?」


 朝、轟音と共に落ちてきた少女を発見したのは、一人の釣り人だった。毎朝の日課に、森の小川に釣りをしに行く途中だった。空に光る何かを発見して、それがいつも通っている森に落ちたものだから、大慌てでその様子を確認しに来たのだ。

 そこで見た光景は、釣り人しか知る者はいないが一度見たら忘れられないものだった。少女が、頭から地面に突き刺さっていたのだ。

 釣り人は、大慌てで少女を掘り起こすとその安否を逸早に確認した。


「あんた、大丈夫かぁ?」

「……ここは?」


 一先ず、目立った損傷がない少女を見てホッとしたのも束の間、この少女のことを村のみんなに何と説明すればいいか、釣り人は頭を抱えた。というのも、空が光り爆音が鳴り響いたとき、村に厄災がもたらされると信じられていたからだ。

 もちろん、初めは少女を村に入れるのを猛反対された。しかし、掃除が得意という少女が、家畜小屋の清掃や下水処理など、村の問題をあちこち解決して回ったことで、その警戒もいつの間にか解かれ、気づけば村中皆のヒーローになっていた。たまに、掃除をやりすぎてしまうこともあったが、おちゃめな一面として、さらに皆に受け入れられていった。


「本当にありがとう。お主のおかげで助かったわい。そういえば、まだ名前を聞いておらんかったな」

「名前?私に名前なんてないよ。だから、みんなに名前を付けてほしい」


 少女のお願いもあり、村中で名前を考えた結果、空から降ってきたので「ソラ」と、そう呼ぶことにした。これが、少女がソラと呼ばれるようになった経緯だった。


ーーーーーーーーーーー


(……26143 12302……1245……12523 12303 25273……3)


 ソラの脳内に、数字の羅列が鳴り響く。

 村に来てから数日が経過したころからだ、ソラがこの機械音声を察知できるようになったのは。しかし、それが何を表しているのかについては、全くわからなかった。もちろん、村の者もその意味を知るはずがなく、日に日に鮮明と聞こえるようになっていくだけだった。

 そんなある日のことだった。ソラの脳内に機械音声が鳴り響いたと同時に、別の惑星が突如として消失したという報告が入った。この報告を受けて、村人は皆ソラが謎の機械音声を察知すると、どこかの惑星が消えてしまうのではないか。そして、鮮明に聞こえるほど『スミ―ノ』との距離が近づくと考えた。

 それからは、村中総出でいついかなる時、何が起きても大丈夫なように対策を立て、ソラの報告を待った。もちろん、報告がないに越したことはない。そう誰もが願って、いつもと変わらぬ日々を過ごし始めた。


(24785 26143 12302 12473 12511 8213 12494 12303 25273 28040 38283 22987 7)


 そして、とうとうこの日がやってきてしまった。ソラの元に届いた機械音声は、そのすべてを鮮明に脳内に刻むことができた。そして、惑星『スミ―ノ』は宇宙から忽然と姿を消した。

 宇宙間生命体管理団体から派遣された、人工生命体『CODE:BH-7』によって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ