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王女、他国の王子の来訪に頭を抱える

「父上、揃って呼ぶなど珍しいですね」

 コンラードとの食事会から数日後。父の執務室にマレーナと兄が呼ばれた。

「ああ。先程親書が届いた。クレメンタール王国の第一王子が視察に来る。それとマレーナに結婚を申し込んで来ている」

「父上。それは断ったはすですよね?」

「ああ、半年前にも打診されて断ったし2ヶ月前にも断った」

 父が嫌そうにしている。こんな父も珍しい。

「2回も断わられてまだ言ってくるとか迷惑なので直ぐに帰ってもらいましょう」

 そして兄が強く言っているのも珍しい。

「あの国はやっかいなことになっているからな。断るに限る」

「やっかいなことですか?」

 マレーナが聞いた。

「ああ。未だに立太子されていない。王位継承者が決まっていないんだ。今回来るのは第一王子、アロイス殿だ。母親が側妃なんだ。1歳下に母親が王妃の第二王子サイレス殿。王妃は隣国のマフィージ王国から嫁いできていて、側妃は侯爵家の出身。

 当然王妃の産んだ第二王子を推す声が多いんだが、順番を考えれば第一王子だという派もいるんだ。自国の母親を持つ第一王子。友好関係を考えたら王妃が母親の第二王子。

 未だにそれで揉めて決まっていない。だからマレーナを妻に迎えれば、妻が王女である王子になるから申し込んで来るのだろう。

 他国の継承問題に巻き込まれたくはないし、万が一嫁がせて第一王子が王太子になったら、マレーナの立場はどうなんだ?って話だろ?そんな面倒なところに嫁ぐ必要はない。断るに決まっている。それがなくても嫁がせるつもりはなかったがな」

「それなのにわざわざ来るということですの?」

「そうだな。国王が王太子になるのに相応しいことをせよ、と二人に指示したらしく、第一王子は近隣国を見聞を広めるために視察をして周っていて、次はうちに来ると。恐らく、近隣国を周って友好関係を作り、顔も覚えてもらえば国王になった時に良いと考えたんだろうな。そして、更に王女を妻にすれば、より他国と友好関係を築いた王子として立太子されるという計画だろう」

「そんなものに巻き込まないで欲しいよ。今回も父上と僕が断るから心配するな」

「ありがとう」

 王女を娶れば王太子になれるなど、王女をその為の飾りとしか考えてないように思えてマレーナは嫌な気持ちになった。

「大丈夫だ。何度だって断るから。今度は手紙じゃなくて目の前で断ってやる。だからマレーナはいつも通りにしていろ。会う必要もない。舞踏会をするからその時は会わねばならないが、それ以外は会う必要がないようにするからな」

「いつ来られるのですか?」

「2週間後だ。手紙はガーナット王国を出る時に出したようだ。今頃はフランディー王国に滞在しているだろう。

 クレメンタール国王から指示されてからずっと近隣国を周っていて帰っていないそうだ」

「ずっとですか?」

「ああ、そう書かれていた」

「公務はどうされているのでしょうか?」

「知らんな。もう半年ほど帰国していないらしい」

 それはまた凄い。国内での仕事を放り出して半年も外遊などマレーナはしようと思わない。確かに各国の王族と友人になれば強い後押しになるだろう。更にマレーナを妻にするとなれば王太子への道は開かれる。

 しかし、ある意味他力本願だ。それに、友好的に迎えてくれたように見えて、うちのように実は本心は友好とは思っていない国もあるかもしれない。それを考えるとこれが最善策かと言えば違うようにマレーナは思った。

「マレーナ。あれならガーナット王国に視察にでも行くか?それなら会わずに終わるぞ」

 何とも優しい提案だ。兄が頭を撫でてくれる。

「大丈夫よ。仕事もあるし。断ってくれるんでしょ?」

「もちろんだ。マレーナはマレーナの選んだ相手と結婚しろ」

 マレーナはその言葉ににっこり笑い、どこまでも優しい父と兄に感謝した。

 

 いよいよのクレメンタール王国の第一王子が来訪する日がやってきた。具体的な視察先の提案はまだないらしく、外務大臣も対応に困っているようだ。

 外務大臣補佐が内密にフランディー王国に行き様子を聞いてきたらしいが、毎日あちこちの飲食店で食事をしたり、色んな商会に顔を出し、輸入するのに良いものを探したりしているらしい。

 一度フランディー王国の王家が晩餐会に招いたらしいが、既に王太子としての発言をしており、継承問題に関わりたくないと、それ以来招いていないそうだ。

 王太子として歓迎して迎え入れられたと国に帰って言われたら、第二王子が選ばれた場合要らぬ争いが起きてしまう可能性があるからだ。その為、客人としての扱いはするが、アロイス王子としか呼ばずにいるらしい。最後に別れの舞踏会はする予定だが、それも小規模でやることになっているそうだ。

 王太子夫妻に私的に会いたいと数回打診があったが、多忙を理由に何とか断り続けていてるらしい。王太子同士語らってきた、などと言われては迷惑だからだ。

 それくらいクレメンタール王国の立太子問題は重い。臣下たちが分裂しているので、それをまとめ上げる程の力量を見られているのだろう。それから国王としての責務への理解。そして臣下も国民も納得させねばならない。そこに他国の意見が入るのは良くないと考えているとのことだった。

 それはインデスタ―王国も同じで、フランディー王国と同じ対応をしようと決まった。

 今世界は安定していて戦争は起こっていない。均衡が取れている状態なのだ。そんな中に立太子問題で巻き込まれて万が一のことがあってはならないのだ。

 そして、巻き込まれたくないと思ってしまうのは、私見だがとフランディー王国の外務大臣は言っていたらしいが、王太子に相応しいとは思えないとのことだった。もちろん、第二王子に会ったことがないのでどちらが良いかは判断できないが、話した印象で第一王子が玉座に相応しいとは思えないらしい。 

 そんな王子がやってくるとあっては、インデスタ―王国側も対応を考える。その為、謁見は国王と王太子と決まった。王妃や王女は出なくて良いと。あとは数名の側近が同席するらしい。

 というこで、マレーナは仕事をしていて良いと言われ、王都の下水道工事の拠点事務所に顔を出していた。

「予定通り工事に入れそう?もう議会に工事開始予定日の報告を出したけど」

「大丈夫ですよ。マレーナ殿下は心配性ですね」

 そう言ったのは工事責任者のギレンだ。現地下見から設計、実際の工事現場監督まで務めてくれる。

「ギレンには無理を言ったわ。でもおかげで、王都からどんどん離れた地域まで工事が進めば、病も減るから安心ね」

「そうですね。汚水から発生する病原菌は多いと研究者も言ってますし、病気が減れば子どもたちの寿命も延びますからね。

 そうなのだ。幼い頃に汚水により病に罹り亡くなる庶民の子どもが多い。それを減らしたいと言うのが一番の目的なのだ。清潔な水と汚水を完全に分けて触れることがないようにすることで病が減る。そう考えて計画してきた事が今から形になって行くのだ。貴族の所領では工事に貴族に負担金を出してもらう必要はあるが、とにかく、まず王都から始めようとなっている。

「どっかの国の王子が来てるんでしょ?マレーナ殿下は美しいですから、狙われないようにしてくださいね。我が国の宝ですから」

「嬉しいこと言ってくれるわね。でも大丈夫よ。その国からの打診は既に父が断ったそうよ」

「それなら安心だ。大陸の中央より向こうだと聞いていたので心配していました。そんな遠くに行かれては国民が皆寂しがりますからね」

 そういってギレンは笑った。父より少し年上のギレンは多くの職人を抱える工事業者だ。普段は外壁の工事から、井戸から家に引く水道の配管工事まで色々請け負っている。

 マレーナは井戸から引く水を上水と呼び、汚水を今まで溝に流していたのを止め、下水と呼んで地下に配管を作って流し、海か川の側で溜まった汚水に薬剤である程度綺麗にしてから海や川に流す、というのをマレーナは計画している。

 国民の命が多く助かる方法を研究者も交えて何度も相談して考えて、結果その方法を取ることを決断した。多くの公金はかかるが、国民が増えれば、税収も増える。綺麗な街並みなら観光客も増えて外貨が入る。最終的にかかったお金は返ってくる計算だ。

 そしてその工事自体をを輸出することで更に儲かる。工事が終われば手が離れて入って来るお金は汚水用の薬剤の販売だけになるが、それらで得たお金で国内のどの領地にも整備する為の資金になる。もちろん、詳しい方法は機密情報なので、工事技術を売るのではない。工事全体を売るのだ。現場にこちらからギレンたち職人を送って工事の陣頭指揮をとり、図面も画くことになる。そうしてどの国でも使われるようになれば、多くの命が助かると願っているのだ。

 マレーナはその他に、妊婦専門の病院を建てる計画も立てている。今は自宅に医師を呼び出産するのが当たり前だが、産んだ直後に死亡する妊婦や新生児がいるため、貴族の家では妊婦専門の医師の他にお抱え医師が待機しているが、庶民ではそういった人がいないので直ぐに助けられないこともある。その為妊娠出産専門の庶民向けの医療機関を作り、そこで診察を受け、そこで入院して出産して、安定したら退院する。そういった病院を建てようとしているのだ。

 マレーナの意見に賛同して既に数人の妊婦専門の医師がそこで働くことを希望してくれている。

 マレーナはこの国に残るのだから、国民の為にやることはどんどん考えて実行しなければならない。

 そんなことを考えながら、ギレンとお茶を飲んでいる時だった。兄の近衛騎士が一人駆け込んできた。

「マレーナ殿下。お急ぎ別の場所にご移動ください。クレメンタール王国の王子がどこからか下水道の話を聞きつけ視察をしたいと言ってこちらに向かっています。私は王太子殿下のご指示で王子が来る前にマレーナ殿下に別の場所にご移動していただくことをお伝えに参りました!」

「わかったわ。ギレン。あとはよろしく」

「ああ。任せとけ。相手はしておくさ」

 マレーナが必要な残りの連絡をし、急ぎ準備をして出ようと扉を開けた時だった。目の前に豪華な馬車が止まりマレーナの前を塞いだ。

 そしてゆっくりと扉が開き男性が降りて来る。茶色の髪に緑の目。如何にも高貴な人が着る服。

 マレーナは嫌な予感がした。

「もしかしてマレーナ王女かな?クレメンタール王国第一王子のアロイスだ。直接会えて良かったよ」

 やはりか。こうなっては応対するしかない。

「インデスター王国王女マレーナでございます。長旅をされてらっしゃるとのこと、インデスター王国にようこそ」

「港で下水工事という話を耳にしてね。見てみたいと思って来たんだけど、正解だったな。

 直接マレーナ王女にプロポーズできる」

「は?」

「マレーナ王女、どうか私の妃になってくれないか?」

 いきなりこんなことを言われるとは思いもしなかった。

「光栄なお申し出ですが、私は国を出るつもりはありません。インデスター王国の国民に尽くすことに決めておりますので」

「そんな勿体ない!我が国で国王となる私を支えた方が幸せになれますよ」

 確かに既に王太子のつもりのようだ。周りの護衛たちが何とも言えない顔をしている。

「私の幸せは私が決めます。私はインデスター王国の国民に尽くすことに幸せを感じるので、申し訳ございませんがお受けすることはできません」

 もうはっきり言わなければわからないのか?父はこの王子が来ると連絡が来た時に、クレメンタール国王に親書を送っている。

 王女を娶りたいとアロイス王子から何度か連絡が来ているが、インデスター王国は王女を他国に嫁がせるつもりはないと断りの言葉が書かれているものだ。

「つれないね。そういったところも気に入ったよ。是非妃にしたい。私と共にクレメンタール王国の国民を幸せにしないかい?」

 まだ言うか。

「申し訳ございませんが、私の考えは変わりませんので。ご理解ください」

「理解なんてできないよ。王妃になれるんだよ?国に残ったって、臣下に降嫁させられてお終いだ。国民に尽くすだっけ?それも我が国で王妃になればやりたいことができるのに。妹たちも降嫁先を考えるのに苦労しているよ。王妃になれる国の数は限られているからね」

 これは確かに国王に向いていると思えないと言われても仕方がない。

「王妃という立場に魅力は感じませんの。私はインデスター王国の国民に尽くしたいのです。

 ですからお断りします」

 最後にはっきりと断るとマレーナ自身が言ってしまった。王子と王女なのだ。国力も変わらない。問題になるということはないだろう。

「では、次の仕事がありますので失礼致します」

 マレーナはカーテシーをするとその場を後にするべく歩こうとした。するとガシッと肩を掴まれた。驚いて振り向くとアロイスがマレーナの肩を掴んでいる。その力が強くて痛い。

「何をなさるのですか?」

 マレーナは冷静さを保つよう努力してアロイスを見た。

「話はまだ終わってないだろ?」

 例え王子であっても他国の王女に了承もなく触れるなど失礼極まりない。

「その手を離してください。私は仕事があるのです」

 マレーナは冷たく言い放った。

「何だよ。私はクレメンタール王国の王子で、来客だぞ。その国の王女がもてなすものだろ?」

「そういった場は父が別に設けます。我が国では王子でも王女でも仕事が同じようにあります。私は今日しなければならない仕事がまだ残っておりますのでお相手できません」

 それでも肩を掴み爪が食い込んで来るように感じるほど痛くて、どうしようかと思うほどだ。

「私に付き合えぬと言うのか!」

「はい。今回の王子のもてなしは父が行うとのことでした。私は仕事がありますので」

 そう言ってマレーナは腕を渾身の力で強く振り払った。肩を掴まれた時の護身術だ。相手の肘を外側から巻いて払うマレーナの力でもできるものだ。そしてサッと距離を取った。アロイス王子は驚いているようだ。

「それでは失礼致します」

 マレーナは毅然と背中を向けて歩き出した。アロイスもそれ以上何も言ってこなかったのでさすがに諦めたのだろう。今は。まだ言ってくるだろことが予測されると感じたが父に任せるしかない。父も兄もマレーナも断った。クレメンタール王国へは正式に断りの親書も出した。今頃着いているかもしれない。早く引き取って欲しいものだ。そう思いながらマレーナはこの先を考えた。

 本当は今日の仕事はここで終わりだが、戻れないので一旦後回しになる。急ぎではないので問題はないが、今城に帰えるのは躊躇われる。仕方がないので護衛の一人に友人の家に行くと先触れを出しに行かせて自分も馬車に乗り込んだ。


「本当に災難ね。そんなのが第一王子だなんて」

 そう言ったのは友人のフェリシアだ。ちょっと前に婚約者と婚約破棄をしたばかりだ。良いご縁が見つかるようにマレーナも助力している。

「あんなだから揉めるのよ。側妃の息子でも第二王子より圧倒的に優秀なら第一王子派の貴族たちも諦めるわよ。きっと第二王子の方が優秀なのよ。だから揉める。

 友好関係を結ぶために迎えた王妃の息子ですもの。本来は第二王子を選んだ方が良いのに決まっているわ。あの国は長子と決まっていないから。でもまだ揉めているって、第一王子の派閥に有力貴族がいるんでしょうね。その上、甘やかしているんじゃないかしら?

 護衛たちの服がくたびれていたわ。自分は良いもの着ているのにね。一緒にいる護衛の服も気遣えないようなら上に立ってはダメよ。離れた国で良かったわ。近かったら面倒だもの」

 マレーナはフィナンシェを口に入れた。フェリシアの家のフィナンシェは美味しい。マレーナのお気に入りだ。急いで焼いてくれたのか、出て来たばかりの焼き立てで、より美味しいと二つ目に手を出した。

「いつまでいるのかしら?舞踏会をするんでしょ?」

「一応帰る日の前日ね。いつ帰るか知らないけど。次はどこに行くのかしらね?いつまでも国をほったらかして。第一王子なのに仕事はないのかしら?」

「本当ね。王太子殿下もマレーナも忙しそうだもの。ところでどう?」

「どうって何が?」

「お婿さんよ。上手く行きそう?」

「早すぎるわ。まだ決まってないわよ。でもね、この前食事に行ったの。お兄様が言ってくれて。そうだ。その帰りに捕まっちゃったのよ」

「誰に?」

「イルマ」

「え!マレーナに声をかけて来たの?どちらかと言えば距離を取っている方だと思ってたけど」

「私にじゃないわ。コンラードによ」

「それはまた大変ね。狙われているのかしら?」

「たぶんね。何回か声をかけたられたらしいわ。イルマから次は自分を誘ってくれとか言ってきて、コンラードが断ってたけど、連れの男がいたわよ。離れた場所に」

「あの子もいい加減お相手を一人に決めたら良いのに。とうとうコンラード様にまで」

「そりゃ、公爵家の次男ですもの。喜んで飛びつくとでも思ったんじゃない?結婚しなかったら爵位はないけど、イルマと結婚したら爵位が継げるから。

 でもコンラードは仕事をしているし、爵位にこだわりもないようよ。断ってたから」

「ふふ。嬉しそうね。文句を言いながら」

「だって、楽しく食事をして帰ろうとしたら、『お久しぶりです。コンラード様~』て急に来てごらんなさいよ。驚くじゃない?しかも横に王女がいるのに挨拶なしよ。見えてないような感じで話すから不快だし。チクチク何やら言って来るからそこそこに相手をしておいたわ」

 マレーナはフィナンシェを食べようとした手を止めた。

「ねえ。学園にいた頃って学園生だけが対象だったでしょ?卒業したらその上も狙ってきたってことよね?大丈夫だと思うけど心配だわ。コンラードは優しいし面倒見が良いから、支えてあげなきゃって感じの女性が好きかもしれない」

「大丈夫よ。彼女はないわ。コンラード様の好みじゃないと私は思うな」

「どうして?フェリシアはどんな女性が好みだと思うの?」

「一緒に歩いて行ける女性かな。手を繋いで前を向いて楽しく歩いて行けるような人。最近何度かお会いしてそうかな?って思ったの。だから安心して」

「フェリシアがそういうなら。はあ。でもあの王子、早く帰らないかしら?あの調子だと仕事にならないわ。絶対私が王妃になりたがるって思っているのよ。王妃になるつもりはないって言ったら信じられないって顔で見られたもの。王妃になるのが王女の目的じゃないっていうの。

 掴まれた肩はまだ痛むし、馬車の中で確認したらガッツリ手跡がついてたわ。女性の肩を手跡が付くまで掴むなんて最低よ。それでなくても了承もなく触れるだなんて。あの国ではどんな教育を受けたのかしらね?」

「極力会わないようにしてよ」

「うん。大丈夫。それなりに護身術は習ったの。いざという時は全力で逃げるわ」

「マレーナは足が速いものね」

「ええ。任せて」

 そんな会話をしながら二人で久しぶりにのんびり話をした。ブレンダはもうすぐ結婚式だ。忙しい時期に邪魔をしてはいけない。でもきっとこの話を聞けば一緒に怒ってくれる。そんな気がしてマレーナは笑った。


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