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出発準備

書けるときに書く。連投させて頂きます。


 勇次はパイプ椅子に腰掛けていた。

両手、両足の拘束は解かれている。


「チビの家は、赤い屋根の洒落た家だ。

その30メートル離れたトコに公園がある。

そこに車を停めて家を前方に見渡せ」


 トートバッグが置かれたテーブルを挟んで座る鉄男が言った。

バッグの中にはノートPC、冊子などスマホ以外のモノは返してもらえていた。


 鉄男の具合は変わらず悪そうで、かなりの我慢をしてる。

勇次は妙に感心して鉄男を見ていた。

「何ジッと見てんだよ?」

 鉄男が凄む。

「あ、いえ・・・・」

 もう一人の人は、相変わらずトイレに籠っていた。

大丈夫かな?勇次はやっぱり心配だった。


 鉄男は住所が殴り書きされた

メモとガラケーを勇次の前に差し出した。

「これを使え。着いたら、お前の番号に掛けろ」

 鉄男は手にしていた勇次のスマホをかざした。

 勇次は小さく頷くと、メモとガラケーを

上着のポケットに入れた。

「あと、これ持ってけ」

 鉄男は更に、掌に収まるサイズのスティック状の

モノを勇次に渡した。

「これって?」

「使う時になったら言う。さっさと行け」

「は、はい」

 唇が渇く。舌で口廻りをぺろりと舐めた。

「緊張してんのか?」

 鉄男が言った。

「そ、そりゃしますよ」

「気分、落ち着かせろ」

 そう言ってポケットから出した

煙草とライターを勇次の前に放った。

「吸いたかったんだろ?」

「・・・・」

「俺は今、とても吸う気になんねえからよ」

 勇次は煙草に手を伸ばそうとした。が、

「・・・・あの、ガムとかあります?」

「ガム?ガムはねえが、食いかけがー」

 鉄男はそう言うと、コンビニで売っている

可愛いキャラクターの描かれたビニール包装の

グミをポケットから出した。

「ぷっ」

 勇次は思わず噴き出した。

 鉄男の顔が変わる。

「あ!?」

「いえ、すみません!頂きます!!」

 勇次はグミを丁重に受け取り、ポケットに

ねじ込んだ。

「さっさと行け」

 鉄男に言われ、勇次は立ち上がり

ハイエースに向かった。

「ちょっと待て!」

「はい?」

「帰りにトイレットペーパーと

下痢薬買ってこい」

 振り返った勇次に鉄男が言った。

「わかりました」


 やるしかない。どうなるかわかんないけど。

 勇次は改めて、賢のいるプレハブ事務所に目をやると

ハイエースに乗り込んだ。


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