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9 クラスメイト視点


誰目線の話になるかな?

(1d10)7️⃣【政敵公爵の貧弱ご令嬢 レンカ=ミハルチーク】 


   ★



 皆様、ごきげんよろしくて? (ワタクシ)は名門ミハルチーク本家の一人娘、レンカ。レンカ=ミハルチーク。

 今日から魔法学園の高等部に通う13歳よ。飛び級! 一族のなかから何人もこの学校に通っているけど、もちろん私が一番。歴代で考えても私が一番かもしれませんね。


 今年の1年生は私のほかにも飛び級や入学年次を調整した女の子が多いのには理由があります。もちろん、出会いのため。

 生徒会長・ヴィンツェンツ=ミュラー様の最後の1年に滑り込むため、というのも嘘ではありません。でも本命はやっぱり、各種都合で数ヶ月遅れで入学が決まっている、王・孫・殿・下。王太子殿下の長男さん14歳。


 あと、†マルツェル闇王子† 殿下とクラスメイトになるのを避けるためもある。これは大きな声では言えませんわ。




 そうして、迎えた入学式。今日もバッチリ緑の髪を、目尻が吊り上がるほど高く結い上げ、急に会長様にお目もじしたって構わない準備は万端。

 残念ながら新入生代表の座はアベスコヴァ家の大小娘(でっかいこむすめ)に盗られてしまっています。なりふり構わないものですね、敵も。


「ごきげんよう、アベスコヴァ様。また背がお伸びになられたのではなくて? まァ、ご立派なドレス!お靴もさぞかし見事なのでしょうね(隠してぺったんこの靴を履いてるのは知ってるぞ)。」

「ごきげんようミハルチーク様。巻き上げた髪が重くて足元がふらついてらっしゃいますわ。さあさ、お掛けになって。そうだ、お加減がすぐれないならもうお帰りになられては? 」


 軽い舌戦はいつものこと。

 正妃の家のコイツが王孫殿下狙いとは考えにくいですし、そのルックスじゃムリでしょうけれども、どうであれ敵です。仲良くするいわれはない。


「もうお聞きになりました?ミハルチーク様。クラスメートになる留年様のこと。」

「16歳になられるそうですわね。はやくお諦めになって神殿の斎宮にでもお籠もりになればよろしいでしょうに。」

「それはひどうございますわミハルチーク様。確かに、卒業の頃には19,20歳にもおなりでしょうけど。」

「在学中の婚姻の例は無いわけじゃないとはいえ……社交にはダンスも欠かせませんのに、あの方、どうなさるおつもりかしら。」




 それより問題は、この私が試験で4位だったこと。しかも、2位と3位は平民。ああいう地虫が混入するのを防ぐために試験科目にはダンスが入っているといいますのに。

 かえって王族の、例の留年様がロイヤル無様を晒す始末。きっとそのせいで全体にダンスの点数が甘くつけられていたんだわ。まあ?私だってダンスは不得手ですけど。それでもあんな床を這うダンスはしたことがありませんわ。



   ★



 式典は何事もなく終わって、教室に移動。途中で何か騒ぎがあったようですけど、私が出向くようなこととも思えませんし?

 教室に入ると、先ほどぶりのジョフィエはじめ、8人がお揃い。あとお2方がお遅れのようで、私を待たせるとは不遜な。



 見知った顔では、青アフロ頭のドラホミール様。彼も12歳だったはず。何を急いで飛び級してきたのやら。そして麗しのシモン様。彼を最初に目にしたかった。悪目立ちする髪のお方、覚えてらっしゃい。


 シモン様は私よりひとつだけ年上だけれど、領地まで噂が流れるほどの有名人。〝虹色の君〟の二つ名のとおりキラキラしてらっしゃる。去年お目にかかった時よりも輝きは増すばかり。椅子に座る崩した姿勢もサマになっていて、クラス女子たちの目を引いておられる。

 いまは見るからにの田舎少年と楽しそうにおしゃべり中。カチコチに緊張してる少年の心をほぐしてあげているよう。私も、どうにかして混ぜてもらおうかしら。



 それから、隅の方で暗鬱なオーラを纏っていらっしゃるハナさん。2つ年上の15歳だけれど、領地がお隣な関係で子供の頃からよくお目にかかっています。


 ここ数年でみるみる背が伸びて、同時に痩せて髪はパサパサになって、背が丸まって生気が失われ、まわりからはリビングデッド呼ばわりですわ、本来はそんな子じゃないのに、歯がゆいし悔しい。

 でもこのクラスにはムダに大きいジョフィエもいるのだから、子供時代の自信を取り戻してほしいものですわ。


 他は、有象無象ですわね。やはり敵はジョフィエひとり。戦いの予感に胸が高まりますわ……「ゴツっ」 ひぃっ!




 鈍い音が響いて、同時に教室が薄暗くなって、入口に巨大な影が!


 巨人、そしてその主と思しき…留年様ですわ。痛そうにお顔をお抑えになって、いやそもそも肩車がありえないのですけれども。あんなに脚をお出しになって。

 あ、早速ジョフィエが噛みつきに行った。元気だこと。私は……結構ですわ。


 続いて、先生が入室。諸注意のあと、くじ引きで班分け。

 私は、余り者班に、不敬罪の巨人と。あぁ、目眩(めまい)が。


 いや、このクラスには数ヶ月先に王孫殿下がいらっしゃるはず! そうしたら12人になって、私の班にお迎えできるはず! これはチャンスだわ。狙っていかないと!

 まずは、この罪人の巨人を躾けて、これ以上の無礼が無いようせめて人間にしないといけない。それができたら、私の評価もぐっと上がるはずですわ。


「ヤルミラさん、とおっしゃいましたわね。」

「でっす! やるミー、でもルミ、でもミラ、でも好きに呼んでね!」


「お手。」

「へっ?」

「お手、がわからないの?」

「あっ、ハイ」


「じゃあ次、…おすわり。床に。

 …ああ、ようやくアナタと目が合ったわ。私、平民相手に視線が上に向かないの。以後、基本姿勢はこれで。わかった?」

「はいぃ……」


 意外に素直で物わかりがいいじゃない。これは、面白い手下ができたわ。学園生活に光が差してきたかもしれない!




 続く、実技演習ではちょっと高等部の洗礼を受けてしまいましたけれど、(ジョフィア)が留年様相手に激しく恥をかく無様は見れたし、ハナは多少とも元気を取り戻したようだし、手下は意外に使えるし、問題ありませんわ。

 負けちゃったのも評価には響かないとのことですから。


 さあルミ、帰りますわよ、荷物を持ちなさい!





――――――――――


シャールカが出てこない時はダイス神が絡みません


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