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8 宿敵?


 舞台は、先ほどの激戦の痕跡もなくツルリと整っています。


「姫ちゃん様、がんばぇー」と大きな娘が大きな声で声援を送ってくれて、うれしい?がんばれる?いや、もう、どうにも。目立たないでサラッと負けて終わろう。終わらせて。




 ジョフィエさんが武器を選ぶ(1d6️⃣)。慌てて、(わたくし)も(1d6️⃣)。


1:長杖(スタッフ) 2:短杖(ワンド) 3:宝珠 

4:素手 5:短刀 6:剣


 私は、震えが止まらない手で2️⃣【短杖ワンド】に火とダイスの魔力を込める。ずいぶん落ち着いてきたように見えるジョフィエさんは6️⃣【剣】に光と風の魔力を込める。


 そもそも、ダイスの魔法って何よ。バレないようにしなきゃいけないけれど、ここで火だけの魔力を込められるほど器用でもない。まぁ、なるようになるでしょ。




バトル。

シャールカの合計値(8)+(3d6️⃣(こっそり))3️⃣5️⃣5️⃣、火属性が風に有利なので+2、計【23】対するジョフィエは合計値(16)+(2d6️⃣)2️⃣2️⃣、光属性が+1で計【21】。


〘バトル視点〙


 長剣が光を放ち、風に体を乗せてご令嬢が華麗に迫る。情けない火弾など目ヂカラで吹き飛ばす。

 剣を振り上げる。その図はまさに、死刑執行人と無力な囚人。

 観衆は、へたり込んでしまっている王女の首が飛ぶさますら幻視したかもしれない。

 悲鳴が漏れる。


「あっ!」 

 意外! 悲鳴を上げたのはジョフィエ。

 振りかぶった瞬間、首の筋を違えた。同時に急な運動で、こむら返りを起こした。

 勢いで、後方にひっくり返る。後頭部を打つ鈍い音が響く。


「えっ?」

 ジョフィエ以外の誰もがぽかんと口を開ける。

 いち早く反応したのは教師。


「試合は終わってないぞ!」


「姫ちゃん様、トドメだー!」

「殿下、やっちゃえ!」

「殺せ!」

「ジョフィエ様、目を覚まして!」

「あっはっは、うわぁ~」


 声援を受けて、ようやく立ち上がり辺りを見渡して、ようやく事情を呑み込んだシャールカ。ぼんやりした表情でポテポテと小走りに、白目をむいている敵のもとに近づき、「えいっ」と手にした短杖(ワンド)で突っつく。



「勝者、シャールカ殿下!」


 パウラ先生が宣告し、素早く治療に当たる。助手・ヤルミラもさっそくの回復助手の仕事だ。

 場内の反応は、失笑。


 シャールカとミルシェがハイタッチ。ヴラトニーとのハイタッチは脳天チョップで迎えられ、演習場の空気は一気に和やかなものになった。



   ★



「〝デタラメ王女〟、まさか私に勝ったつもりじゃないでしょうね!」


 回復したジョフィエさんが先生に礼も言わず詰め寄ってきた。怖い。


 どう返事しようか?(1d6️⃣)

偶数:私の勝ちですよね?(ヤバ男からの親愛度アップ)

奇数:あなたの勝ちでいいですけれど。(令嬢からの親愛度アップ)


「4️⃣【私の勝ちですよね?】先生がそう言われてましたし。」


「私は負けたかもしれないけど、貴方の勝ちではないでしょう!腰を抜かしてただけのくせに!」


「そう、言われましても。ヴラトニーくん、どう思われます?」

「相手が勝手に負けたのも立派な勝ちのうちだな。(親愛度アップ! ヤバ男→姫:23→28)」


「ま、魔王の援軍は卑怯ですわ! 今のところはこれくらいにしてあげますが、調子には乗らないことね!」


 あぁ、一方的にまくし立てて帰っちゃった。意味がわからない。難しいね。


「…魔王って、俺か?」

「かっこいいあだ名ができましたね。」

「勘弁してくれ、ガキども…」




 残るミルシェさんとマリアーンくんの試合も、和やかになった空気のなかで行われた。


ミルシェ (13)+(2d6️⃣)1️⃣4️⃣、計【18】

マリアーン(12)+(2d6️⃣)4️⃣4️⃣、計【20】


 水魔法対決は接戦の末、ミルシェさんがしりもちをついて、マリアーンくんの勝ち。

 え、こういうのでよかったの? すごく平和的。そうよね、授業で毎回殺し合ったり、世界を滅亡させたりするはずないものね。




 残り、3班と4班+先生の試合も、スムーズに行われた。

 勝手にヒートアップしていたドラホミール・アフロくんは先生に制裁され、ヤルミラさんとアガータちゃんの同い年身長差50cm対決はヤルミラさんの貫禄勝ち。

 貧弱のレンカさんと貧相のハナさんはハナさんの闇の勝ち。


 戦い終わって、少数を除いてみんな笑顔。いいよね、こういうのでいいんだよ。火の魔法が怖いのが悪い。ついでに、ヴラトニーくんが怖い。



   ★



 これで今日の授業はおしまい。普段着に着替えて解散。

 この後、皆さんどうなさるの? 私は、エマが迎えに来るから、お先に失礼しますね。オホホ、ごめんあそばせ。


 帰りの扉を開けた瞬間、金髪縦ロールが飛びついてきた。


「姫様、大活躍なさったそうですね!エマも鼻が高うございます!弟君もお呼びしてお祝いしませんと!」


「わ、わかったから! 助けて。起こして。床が硬くて痛いわ。」


「し、失礼を!医者は!医務室はどこに!」

「あ、あたくしが!姫ちゃん様のことならあたくしが!」

「貴様は要らん!」


「い

「姫ちゃん様、背骨の痛みは後を引きまっする。今はよくても、ぜひ」

「なおのこと、それなら専門家に任せる!」


「…いから、帰らせて!」




 ところで、授業中に別行動だったエマに任せていた件、「私がメイドを鞭打つ悪役女主人だなんて評判が立たないように何かやっておいて。何をやるかはお任せします」について、どんな感じ?


「それですね。もともとの姫様の知名度は(1d100)【15%】でした。そのなかでの悪い評判は(1d100)【46%】。

 もともとあまり知られてなくて、善悪も定かならぬ人物と思われていましたので、全力でお人柄の素晴らしさ、優れた知性を宣伝してまいりました!」


(エマの仕事力 1d6️⃣)【5️⃣】


「メイドちゃん、やるゥー☆」

「うるさいキサマには話してない。

 結果、知名度は(15+(1d20-10+仕事力5))8-10+5【18%(+3)】、悪評は(46+(1d20-10-仕事力5))17-10-5【48%(+2)】になりました。」




「そう、ご苦労さま。さすがエマね。……ん、評判が+2良くなった、じゃなくて、悪評が?+2増えたの?」

「申し訳ございません、力及ばず…どうぞこのムチをっ」


「え、いや、本気でやめて。まだみんな見てるから。

 気にすることないわ、ぜんぶ始まったばかりだもの。知名度なんて無くていいし。悪評は困るけれど、たいしたことないよ。それより、帰ろっ。

 ……コホン。皆様また明日、ごきげんよう~…」




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