3/25
2 冴子 -1
「この辺みたいだけどな」
俺たちは、バマホとにらめっこしながら、川の土手沿いを歩いていた。まだ早朝だが、ランナーのジョギングコースとして有名なこの土手では、もうすでに何人かのランナーとすれ違った。もっと人が増えれば、スマホを見ながらひょこひょこ歩いている我々は、本気のランナーたちの、舌打ちの対象となってしまうだろう。
「彼女も走ってるってことですかね」
アキラが不機嫌な声で言った。朝が弱いアキラは、だいたい午前中は機嫌が悪い。
「その割に、点が動いてないんだよな」
対象を示す点は、土手沿いにいながら、じっと立っているように、動かず点滅していた。
「まぁ、じゃあ、特定しやすいんじゃないですか」
アキラは意に介さず、ズンズン歩を進めていった。