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5 罰 -1
仕事を終えた矢島冴子は、軽くため息をつき、駅の方へ足を向けた。
駅まではそう遠くないが、大通りに出るまでに、薄暗い小路がある。陽が落ちると、街灯もまばらなその道は、少々気持ち悪かった。
職場まで見つけられてしまったら、次に襲われるのはここかもしれない。
足早に通り抜けようするが、その一方で、待っている自分もいた。
自分が罰を与えられるのは当然だ。
それは仕方がない。それだけのことを、わたしはした。
罰を受けなくてはいけないのなら、いっそ早くしてほしい。
キィ、キィ、キィ
自分の目の前に、その車いすが現れた時、冴子は恐怖と共に、奇妙な安堵を覚えていた。




