圧迫面接?
心が読める相手に、どう報告をするのか?
「では、報告を受けよう」
執務机に座るスタンツェ様を見ないように、ドアの前に立つメッツェンは用意した紙を読み上げる。
スタンツェの斜め後ろに立つ従者のアドソン様は、報告の度に表情が変わるので、視界に入らないで欲しいところだ。
執事長のスティーブン様は紙を出したときに、表情が変わったがすぐにいつもの穏やかな表情で、メッツェンの報告に不足が無いかを聞いてくれている様子だ。
――――出来る執事長は配慮が違う。
「なるほど、事情は分かった。屋敷に馴染んで来ているなら良い。・・・好きにしてくれ」
「外部からの講師を呼ぶまでには若奥様の心の準備に時間が掛かりますので、ケリー様から女主人に関しての教育を行う予定です」
スティーブン様の補足に、スタンツェ様は小さく頷く。
「構わない。それをそこのお前も一緒に受けるということだろう」
「はい。公務などではお供出来ない場所もありますが、茶会などの準備はお手伝い出来るようにとのご配慮を頂きました」
指を指された私は軽く一礼して、返答する。
「分かった・・・好きにすれば良い」
一回目の報告をやり切った安堵でメッツェンは、小さくため息をつく。
――――報告の仕方が悪ければ最悪首が飛ぶだろうし、きちんと報告してオプションを頂ければ安定した高収入に繋がるから、纏めておいて良かった!
「その報告はこちらで預かる」
「えっ・・・あ、はい!」
ほっとしていたところに、スタンツェ様から話しかけられ、素で反応してしまいそうになったが、なんとか返答する。
手を差し出されたため、近づいて紙を渡す。
「・・・それで、今回の報酬は何が欲しいんだ?」
「えっ・・・と・・・」
近づいた分だけ、緊張しながら紙を渡すが、同時に質問をされて戸惑う。
急に話しかけられた上に、報酬がメッツェンの返答次第で良いとも受け取れる質問に、メッツェンは頭を働かせる。
――――お金?相場が分からない・・・ツケ?最後の手段だな・・・
ラス様の個人情報を売った形になるのだから、彼女に還元出来る物が良いな
ドレスはお仕着せがあって、アクセはほとんど付けていない。
外出もまだ早いし、お菓子はお腹を壊すだろうなぁ。
化粧品はケリー様に手配してもらっていて、少しずつ肌の様子が改善してきている。
花は庭師と仲良くなってもらう為に残して置きたい。
一緒に勉強する白本や万年筆はスティーブン様が手配してくれている。
本は屋敷にある図書コーナーで賄えているから・・・
「・・・では、旦那様より歓迎する旨の手紙を書いていただけないでしょうか?」
「手紙?そんなもので良いのか?」
「ケリー様やスティーブン様からのご報告で、スタンツェ様はラス様に会わないようにしてくださっていると考えます。ですが、やはり急に環境が変わって不安もあるでしょう。主として歓迎しているとのお手紙を頂ければ、安心出来ると思います」
スタンツェ様は悩むように、左手の拳を口に当てる。
「ふむ・・・分かった。では、・・・心をこめて手紙を書くことにしよう」
「ありがとうございます!」
喜んだメッツェンはスティーブンに視線をずらす。
スティーブンもメッツェンを見て、笑顔で頷く。
スタンツェの左手の拳の下で、少しだけ口角が上がったのは誰も気づいていなかった。
某侍女『考えたことは筒抜けになると開き直って、そのまま答えただけです』
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