チェックメイトを知らない僕
家にテレビがない僕。
僕の家は人の家よりスッキリしている。
お父さんもお母さんもあまり物を持たないミニマリストというものらしい。
スッキリしているのは普通だと思っていた。
必要なものだけあれば充分だとお父さんもお母さんも言っていて、そういうものなんだと思っていた。
友達の家に遊びに行った時はびっくりした。
僕の知らない物が沢山ある。
これは、何の漫画?
これは、何のカード?
この機械は、何?
流行りの漫画を読んだり、カードゲームで遊んだり、テレビゲームには感動した。テレビ欲しいな。ゲームも。
僕が画面の中の人を動かして、画面の中のモンスターと戦ったり、捕まえたりできるなんて。
友達の家では退屈しなかった。
そして、さらにテレビが欲しくなる出来事があったのだ。
学校で「チェックメイト!」と良く聞くようになった。
僕はチェックメイトを知らない。
チェック柄の人たちのことだろうか?
クラスメイトみたいな。
それとも、今イチオシの食べ物だろうか?
カロリーメイトみたいな。
「チェックメイトって何?」と友達に聞いた。
「今テレビでやってる名探偵メグンのマネだよ。」と教えてもらった。
家に帰ってもテレビがない。
名探偵メグン観たいな。
友達の家で録画したのを観せてもらった。
「気持ちは巨乳、見た目は普通、迷探偵メグン!名探偵の名は迷う方でよろしく♡」
変なアニメだった。
犯人はなかなか見つからない。迷うメグン。
迷って犯人を外しまくり、最後の1人…これ絶対犯人!笑
そして、犯人を追い詰め言うメグンのセリフ!
「チェックメイト!」変なポーズをしながら決め台詞。
チェックメイトの意味がわかった気がした。
いや、家に帰ってから辞書で調べよう。
そして、テレビが欲しいとお父さんとお母さんに言おうと決心した。
「チェックメイト!」変なポーズはしないが、決め台詞を僕も言ってみた。
友達は変なポーズしながら「チェックメイト!」と言った。