第三話 孤独
これまた、鬱展開です。
今日は早く仕事が全部終わった。
せっかくなので夜の街をブラブラするか。
〜渋谷駅〜
少量の給料で切符を買う。改札を通る。
電車がきた。俺が電車に乗った瞬間、中にいた乗客が全員降りていった。やっぱりな。
行き先もないのに電車に乗った俺。
俺はどこに行こうとしているのか?
「はぁ…」
思わず溜息が出た。
昔は電車を止めて乗客を全員死体に変えていたなぁ…。
でも、今は………
………
………
………
ドゴォーーーーーーーー!!
びっくりした。反対車線のほうに電車が通ったようだ。
向こうの電車には人間が沢山乗っている。
なのに、この電車には運転手と車掌と俺以外誰もいない。
俺は…独りなのか?
「まもなく原宿。原宿です。お出口は右側です。」
乗り過ごし、
「次は代々木。代々木です。」
人間は誰も乗らなかった。
「まもなく代々木。代々木です。お出口は右側です。」
「次は新宿。新宿です。」
「まもなく新宿。新宿です。お出口は右側です。」
「次は新大久保。新大久保です。」
「まもなく新大久保。新大久保です。お出口は左側です。」
「次は高田馬場。高田馬場です。」
「まもなく高田馬場。高田馬場です。お出口は右側です。」
「次は目白。目白です。」
「まもなく目白。目白です。お出口は左側です。」
「次は池袋。池袋です。」
「まもなく池袋。池袋です。お出口は左側です。東武東上線をご利用のお客様はお乗り換えです。」
「次は大塚。大塚です。」
「まもなく大塚。大塚です。お出口は右側です。」
「次は巣鴨………」
………俺は………
「巣鴨です。」
………なんだろう?
「山手線ご利用のお客様にお願いします。駆け込み乗車は大変危険なのでおやめください。」
………俺は独りぼっち。
「まもなく巣鴨。巣鴨です。お出口は左側です。」
………希望もなにも残されていない。
「巣鴨。巣鴨です。」
「3番線、ドアが閉まります。手荷物をお引きください。」
「次は駒込。駒込です。」
………生きている意味ってあるのか?
「この先、カーブが多く揺れますのでご注意下さい。」
………俺って………
「俺…は…」
「南北線ご利用のお客様はお乗り換えです。」
………なんだろう?
「まもなく駒込。駒込です。お出口は右側です。」
俺はこの駅で降りた。
そして、会社方向の電車に乗った。
独り。寂しい。
虚無感に覆われる。
会社が目の前にある。
もう日が出始めている。
戻らなければ…
第四話へ続く。
独りは寂しい。