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5.ぶらぶら行くよ

 歩き始めるようになると、両親が靴を買ってきた。彼女はその靴がお気に入りで家の中でも靴を履いて歩きまわる。

 私のもとに買ってもらったばかりの靴を持ってきて、ちょこんと座って足を差し出す。靴を履かせてくれと訴える。


「今日は暖かいからお散歩に行こうか?」

 そう声を掛けると「うん、うん」と首を縦に振ってお気に入りの靴を持ってくる。

「じゃあ、玄関に持っていこうね」

 靴を受け取って私がそう言うと、彼女は今度は首を横に振って、その場に座って足を差し出す。

「はいはい。解かりましたよ」

 そうやって靴を履かせてもらうと嬉しそうにそこら辺を歩き回る。そして、居間のドアを開けて私の方を振り向く。


 玄関のドアを開けて外に出る。段差で転ばないように手を差し伸べると、私の手につかまって慎重に段差を降りる。降りた途端に駆け出す。早いこと、早いこと。私は慌てて彼女の後を追う。

 彼女が真っ先に向かうのは向かいの家のプランター。その前にしゃがみ込んで、じっと何かを見ている。

「おー」

 そう言って彼女が指さしたところを見ると小さなつぼみができていた。

「もうすぐきれいなお花が咲くね」

 彼女はうん、うんと頷いて次の目的地へ向かう。今度は隣のアパートの階段へ。一段、一段両手両足で上って行く。もちろん私は彼女のすぐ後ろに控えている。数段の乗ったところで振り向くと私に向かって手を差し出す。私が手を差し伸べてやるとしっかり握りしめて片足ずつ大きく足を上げて上って行く。上りきると私の手を放し、二階の廊下を駆けていく。そして、一番奥の部屋の扉に体当たりする様にぶつかって止まる。

「おいで。そこはよそのお家だよ」

 そう言って手招きすると、私の方へ駆けてくる。駆けてきて私に向かってジャンプする様に飛びついてくる。ちょっと驚いたのだけれど、このパターンにはもう慣れている。私は彼女を受け止めると、階段を抱いて降り、降りたところで地面におろしてやる。そして彼女は次の目的地へ駆けていく…。




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