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脳筋魔法使いとしての人生。  作者: トミーじょん
〜 プロローグ 〜
1/3

始まりはいつもここから

 僕は魔法使いである――

 

 というのもつい最近の事で、今の今までは普通のサラリーマンだった。

 まぁあちらの世界では無能もいいとこだったので未練はない。


 確か通勤中、大型トラックに轢かれ気がつけばこの世界に生まれ立っていた。

 そしてどうやらこの世界には魔法という概念があるみたいだ。


 ここでは魔物や魔獣、悪魔などの脅威が存在するらしくそれらを討伐するハンターと呼ばれる者たちがいる。


 ハンターにはいくつかのタイプが存在する。戦士、弓使い、盗賊、魔獣使い、聖職者、魔法使い。

 僕は魔法使いの家系に生まれたらしく、その適正があった。

 

 しかし、僕は生まれつき魔力量がちょっとばかし少ないらしく、こちらの世界でも落ちこぼれ扱いされていたのだった。

くそ、転生者って大体強くてニューゲームじゃないのか・・・。


 師匠はこれで三人目である――


 三人目になる老いた師匠が告げる。 


「なぁ、アール。お前さん 魔法使いむいてないんじゃないのかね?わしにはもう何もできることはないぞい。」


「老師、それを言わんでください。自分でも嫌なほどわかってるんです。そもそも僕は戦士のほうがカッコイイと――。」


「こら! アール! 何を罰当たりなことをぬかしてる! お前はこのグレイ家に生まれたんだ。魔法使い以外に憧れるとは・・・。」


(げ、父さん・・・。いたのかよ、このあと絶対説教3時間コースだ。)


 そうだ自己紹介が遅れた。

 僕の名前は田中たなか さとし

 

 こちらではアール・グレイと言う名がつけられている。

 で、今の俺の師匠がグルッタ・ヨーデン老師。父の名はソーン。


「まぁまぁ、ソーンよ。そうカッカするでない。この子も周りからのプレッシャーでいろいろ思うところがあるのじゃろ。」


「そ、そうだよ父さん。僕には魔法使いの才能がないんだから他に道を見つけたほうが世のためになるんじゃないかな・・・?」


「ダメだダメだ!お前は父さんの顔に泥を塗りたいのか?たく・・・。なんでこんな子が産まれてきたのやら――。」


「あんた! 何いってんのさ!」


 唐突に父の後ろから猛ダッシュでやって来るのは鬼――ではなく僕の母である。顔全体に影を帯びていつつもギラッと目が光っている。

 僕には角としっぽまであるように見えてしまう。怖えぇ・・・。


「ひぃ! ラーン!! な・・・何を!?」


「――水は地に流れ、大地に浸透しすべての糧となりわが力となる。くたばれ、アクアスラッシュ!!」


 母ラーンがそうつぶやくと、伸ばした彼女の片方の腕が渦巻く水に覆われている。

 間髪をいれずその水は父に向けられた手のひらの先に集まりものすごい勢いで飛ばされた。


 手を離れた水は即座に刃の形になり父の股間を目がけて一直線に飛んでいった。

 って股間かよ!! 末恐ろしい・・・。

 

 死に物狂いでジャンプした父の股間を通り抜け後ろの10メートルはあるであろうリンゴのような実がなる木を貫通した。

 そしてものすごい破裂音を立てながら気がゆっくりと倒れ始めた。


「やれやれ、わしが何とかして――ゲボ!」


 老師が魔法で木の動きを止めようとするも頂上付近からもげ落ちた実が老師の脳天を直撃する。なんとこの実、リンゴより少し大きいだけで重さが3キロもある。


 老師が魔法を再発動する間もなく、僕はダッシュで木のもとへ走り両手を伸ばした。


「フンガー!!」

 

 小さい家ほどの大きさの木を振り上げた両の手のひらで受け止める。

 そう。なぜか僕はとてつもなく頑丈でそこそこ力もあった。


 すぐさま老師が元の位置に戻し、木を直してくれた。いや、魔法ってまじで便利だな・・・。僕もこんなふうに使ってみたいものだ。

 まぁ木のことはひとまずおいておいて、こんなのが父の股間にあたっていたら・・・。


「母さん危ないよ! 何もそこまでしなくても。大切な父さんの息子がなくなったらどうするんだ!」


「息子? それはあんただろ? 変な子だね・・・。それよりあんた!可愛い可愛いうちの一人息子に何いってんのさ!薪割りでもして頭冷やしてきな!」


「だ、だってアールが魔法使いになりたくないって・・・。」


「まだわからないのかい・・・。――水は地に流れ・・・」


 再び始められた詠唱を聞き、顔を真っ青にして股間付近の服が破れた状態の父が飛び上がっていく。


「あ! あーー! わかりました!! 薪割りしてきまーす!」


 まるで海外アニメの適役がケツに火をつけられた時のような悲鳴を上げながら走っていった・・・。父さん、なんかごめん。


「たく・・・。情けない人・・・。ほんとにちょん切ってやろうかしら?」


「母さん・・・」


(やっぱ鬼だわこの人)


「はぁ・・・。あの人はね、あれでもあんたのことを大事に思ってるんだよ? 今までも師匠が愛想をつかしてやめてくのを必死に止めたり、それでもやめられたら血眼にして次の師匠を探してきてくれたんだ。」


「わかってるよ、母さん。でも僕には魔法の才能が・・・。」


「(ふーん。やはりこやつ・・・)コホン。あー、あのじゃな。わしにはお前さんをどうにもしてやらんが、もしかしたら力になってくれるやもしれん者を知っておる。」


「え?ホントですか!!僕も老師のように魔法が使えるように!?」


「それはおそらく無理じゃろう。しかしお前さんには別のやり方で強くなれる方法があるかもしれん」


「・・・。といいますと・・・?」


「物理魔法使いじゃ。」


 僕と母。二人同時に首をかしげ、なんのことやらという表情で言った。


「物理魔法・・・?」

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