プロローグ
『侵略』とはなにか?
意味的には他国の土地に侵入して土地・物資を奪い取ることである。
身近な例えだと
「から揚げにレモンをかける」
という行為がわかりやすいだろう。
一人の時にやるなら自由だが、集団となるのであれば話は変わってくる。
もしその中に「かけない派」が一人でもいる中レモンをかけたら、
それは立派な『侵略』となる。
嫌な所が、かけた本人には悪意は無く
「当たり前」として『侵略』を行っている点だ。
そう、人はいつ『侵略者』になるかわからないのである。
「やべー、くっそどうでもいい事考えてた」
と、白い青年は無駄な思考を振り切った。
そして、眼下に蠢く『侵略者』を見る。残念なモノを見る様な目で。
「これが地獄絵図ってやつなのかしら......しょぼ」
ずっと隣にいた銀髪の美しい少女はつまらなそうに零した。
きっと常人ならば恐怖に震える様な光景だが、彼女は異常者だった。
二人はしばらくその光景を眺めていたが、やがて飽き、
白い亜人は開戦の言葉を紡ぐ。
「行くか」
呼応する。
「ええ、わかったわ」
銀髪の魔女は待ち侘びたようで、楽しげな表情で言う。
屋上から二つの影が動く。
この『侵略者』達に圧倒的な力を振るうため。
この『臆病者』共に圧倒的な術を魅せるため。
二つの影は暗く嗤う。
『侵略者』はこちらに気付いたようで、今にも消そうと動き出す。
そして白い夜叉は高らかに吠える。
「さぁ、全て塗り替えるぞ。この宇宙。」
そう、これは、
全てを喰らう『侵略者』の物語。