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東方学園の怪談話  作者: アブナ
第1章 学園の怪奇
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消えた三人【1日目】

今回ちょっと短めです…!



「…いつからいなかったの?フランは」


「わかりません……メイド長ともあろうものが何て情けない…!」


「貴女が責任を感じる必要はないわ。これは主人である私の責任よ。それに、あの子なら心配はいらないでしょう……と言いたいところだけど」


レミリアと咲夜が、紅魔館のフランの部屋の前で話している。


−この頃、学校で不穏な出来事が多発してるし……


「咲夜、今から紅魔館にいる妖精メイド全員を集めなさい。フランの捜索に当たらせる」


「はっ!」


「それから、貴女と私で学校に向かうわ。一番フランいる可能性が高いのはあそこよ」


「了解しました!では、妖精メイドを集めてまいります!」


「ええ」


咲夜が消えた。時間停止で移動したのだろう。


「……」


レミリアは扉をあげてフランの部屋へと入る。

フランの部屋は、可愛らしい人形や色鮮やかな宝石のようなランプなどがあったりと、とても可愛らしい部屋だった。


「へえ、意外。人形まで置いちゃってまあ……部屋も可愛いわね」


フランの部屋を探索して回る。すると、フランの机の上にアルバムのようなものが置いてあった。


「…これは…」


そのアルバムを開き、中の写真を見ていく。

写真の一つ一つに、とても綺麗な字で何か書いてある。


「”みんなとの集合写真”…”美鈴とのツーショット”…”髪ほどいた咲夜可愛い”…”机で寝ちゃったパチュリーに布団かけてあげてる優しい小悪魔”…”妖精メイドがサボってた”……ふふっ、あの子こんな趣味があったのね……家族の様子を写真に収めるなんて。何て可愛らしいのかしら…でも私のがないわね…」


次のページ、次のページと開いていくが、レミリアが題材の写真が一つもないのだ。


いよいよラスト6ページ程に迫ってきた。それでもまだ一つもない。


「…私あの子に嫌われてるのかしら…!」


レミリアが次のページを開いた途端、表情が変わった。そこにあったものは……。


「……」


”私の宝物”


レミリアとフランのツーショット写真だった。


さらに、そのページはレミリアとフランが楽しげに写っている写真でいっぱいだった。

その次のページも、そのまた次もページも。

”楽しそうなお姉様”とか、”可愛いお姉様”とか……とにかくたくさんの写真があった。

心なしか、綺麗だった字も若干弾みがついているようにも見える。

何と、残りの6ページ全てがレミリアとの写真だったのだ。

合計30ページほどのアルバムの五分の一。集合写真も含めるとかなりの数となるだろう。


そこでレミリアは、初めてフランが自分の事を心の底から愛してくれている事を実感した。

今まで散々迷惑をかけてきた。酷い目にもあわせてしまった。いつもいつも煙たがられ、時には無視されてしまうような時もあった。

レミリアは少しだけ不安だったのだ。あの子にとって、私はどんな存在なのだろうか……と、ずっと不安を感じていた。

しかし、そのような心配は全く必要なかったのだ。フランは、レミリアが本当に大好きなのだから。


「……」


レミリアは、嬉しさのあまり少しだけ涙が出てしまった。

そっとアルバムを閉じ、元あった場所に戻す。

そして、フランのベッドに腰掛けた。


「…素直じゃないんだから……フランのバカ」


−ま、そこが可愛いんだけどね……。


レミリアがベッドに横になった。


−しっかり者のあの子だもの……そう簡単に捕らえられたりはしないだろう。


「…はぁー…」


レミリアが溜息をつき、ベッドから起き上がる。


「こう見えて重度のシスコンであるこの私……心配すぎて死にそうだけど、今は冷静でないとね」


レミリアが真剣な表情で部屋を後にした。







「ーーと、言うわけで学校に来たけど……


まさかお二人方も居たとは」


学校の校門の前には、さとりと聖がいた。


「ウチの妹もいなくなってしまったのです。何となく、ここな気がしまして」


「同じく、ぬえがいなくなってしまいまして……」


「はんっ、みんな同じ考えってわけか……それじゃあ、やる事は決まってるわね。行きましょうか」


「よっと」


「!」


その時、何者かがレミリアの頭上を飛び越え、四人の前に着地する。


「フランが消えたんだって?何ならオレも手伝うよ」


「…伸介」









ドンッ!


「ヘッドショット!御見事」


「…ありがと」


「何だ?あたしに褒められたって嬉しくない?」


「別にそういうわけじゃ」


「ははっ、冗談冗談!そんじゃ次、古明地こいし!」


私達は今、食堂兼拠点で射的の練習をしている。

実物を使うのはもったいないので、エアガンでの射撃練習だ。


「えいっ」


私の放った弾丸は、人型の大きな的の腹部に当たった。


「お、いいじゃん」


メイジがそういうと、私をその場から退かせた。


「はい次、ぬえ」


「よっ」


ぬえの弾丸は的の少し横を通り過ぎた。


「えっ!」


「あちゃー。ぬえって弾幕は狙い撃ちじゃなくてバラバラに出すタイプ?」


「いやいやいやいや、まさにそのタイプであるフランから見たらどう考えても違うでしょ私!?」


「失礼な…私の弾幕の命中精度知ってるでしょ」


「いやまぁ…ね?」


「ははっ、まあその辺にしときな。そろそろ探索に出かけるよ」


そう言うとメイジは、黒い布をカーテン代わりにしている窓に耳を当てる。黒い布をカーテン代わりにしているのは、光が外側から見えないようにするため。


ーー探索。つまり、この安全な場所から出て学校から出るための道、その道の途中での中間地点の設置、そして学校の秘密などを探す事を目的とした命懸けの学校巡りだ。

私達三人はその初陣。メイジは、探索は完璧に立ち回らなければ全滅だと言う。


「……外に死人アンデッドが三人…いや四人。食堂への廊下を歩いてる。一人はこの扉の目の前を、そしてその右側に二体、左側に一体だ。…わかってると思うけど、一発で仕留めないとあいつらが叫んで仲間を呼んじゃうから……ヘッドショットな」


「了解」


ちなみに、食堂は防音壁が施されている。何から何まで…どうしてこんなに備わっているのだろうか。


「行くよ、せーので一斉にね」


「うん…!」


「せーーの…!」


メイジが勢いよく、尚且つ音を立てずに素早く食堂の扉を開ける。


連続して銃声が鳴る。おそらく全員仕留められたのだろう。


「上出来。…それじゃあ、慎重にね。初陣なんだから下手に動かないでよ」


「わかってるよ」


「ほんとかー?古明地こいし」


「え、何で!?」


「フラン、一発…一発で仕留めたよ…!」


「うん、凄かったよぬえ。頼りにしてるからね」


そんな調子で、私達は探索へ行った。

おそらくここから先は、本当に命懸けなのだろう。

先の事を考えながら、私は拳銃の手入れをした……。


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