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東方学園の怪談話  作者: アブナ
狂宴の刻
75/82

地獄の沙汰も実力次第?

お久しぶりです。

ちょうど一ヶ月も空いてしまいましたね…笑

多分今後もこれくらいの投稿ペースになると思います。

お許しくだされ…!

それと今回、地獄の設定をある程度自己流にしています。

あんまり複雑になりすぎない程度にした方が読者様も読みやすいかなと思って!あと俺が書くのめんd((




これは、数時間前の話。




「……どうしたものか……」


ここは彼岸。

簡潔に言うと、三途の川の向こう側……即ちあの世である。

辺りには色取り取りの花が咲き誇り、暖かい光が照らしている。

そんな場所に、一際存在感を放つ場所がある。

それが、閻魔の裁判所である。


閻魔こと四季映姫・ヤマザナドゥが顎に手を当てて思慮に耽っている。

その隣で呑気に座っているのが小野塚小町。サボり癖のある三途の川の渡し守の役目を持った死神で、彼女の部下である。

仕事の最中突然映姫に呼び出され、よくわからないままにここまで来た。

ちなみにその時もいつものようにサボっていたため、呼び出された時は『いよいよクビか』と一瞬かなりビビったのだが、その後映姫が思慮に耽ってしまったため、何も言えず何も出来ずの状態で既に10分が経過していた。

──ただただサボっていた、というわけでもないのだが。


「……四季様ー、これ今どういう状況なのかの説明だけでもしていただけませんかー?」


耐えかねた小町は思い切って映姫に尋ねる。

映姫はちらりと小町をの方を見ると、椅子から立ち上がって話し始めた。


「貴女も薄々気付いているのではないですか?地獄に異変が起こっていることに」


「へ?」


「勘のいい貴女だもの、きっと気付いていたんでしょう?そうでないとあんなに彼岸の近場にいないでしょう。


私なら何か知っていると、そう考えてこっちまで戻ってきた。……そんなところでしょう?」


映姫が真剣な表情でそう言った。

小町は一瞬戸惑ったが、すぐに表情を変えていった。


「はい」


「……『白』ね」


「あっ、ちょっと疑ってたんですね」


「貴女だからね……ただサボってただけって言われても頷けるもの」


「た、たはは〜、すみません」


「全く……いつもそうなんだから。そう、貴女は少し怠惰すぎる」


「げっ」


この言い回し。この目を閉じてしかめっ面を浮かべている表情。そしてこの仕草。


(四季様の説教が始まってしまう!)


それだけは阻止しなければ。このままでは30分コースだ。


「ま、まあまあ四季様?今回は私サボってたわけじゃないですし?その話はまた今度にしませんか?」


「む……確かにそうね。今はそれどころではないのでした」


「ほっ」


何とか回避することができた。

小町は胸を撫で下ろす。


「とにかく、貴女が近くにいてくれてよかった。おかげですぐに呼ぶことができましたよ」


「……じゃあ、他の死神じゃなくてわざわざ私を呼んだのって単に近くにいたからですか?」


「確かに近くにいたからというのもあります。ですがそれだけではありません。貴女は死神たちの中でも指折りの実力者ですからね」


そういうと、映姫が小町の隣に座った。そして、小町の手を握る。

小町はその行動にとても驚いた。

かといって、嫌というわけでもないのでそのまま受け入れる。

その時映姫が、とても穏やかな声色で言う。


「……何故でしょうね、貴女といると気持ちが落ち着きます」


「え?」


「こうして触れていると、穏やかな気持ちになるんです。……どうして、でしょうね」


「……四季様?」


そういう映姫の顔は、何処か寂しげだった。


「私が貴女を呼んだのは、貴女の力を信頼しているからです」


「!」


この時小町は気付いた。


「貴女に頼みたいことがあるんです」


映姫の体が、少しだけ震えているのだ。


「……何か後ろめたいことがあるんですか?」


その言葉に、映姫は体をびくりと震わせる。

予想通りの反応だった。


「やっぱり。何だか様子が変でしたから、すぐにわかりました。


力が少しあるだけの一介の部下に過ぎない私に対して、四季様がそこまで言うわけがありませんもんね」


「違う!!」


映姫が大声で叫んだ。小町はそれに驚き思わず映姫から顔を遠ざけた。


「あっ、す、すみません」


「いえいえ、ちょっとびっくりしただけですから。それより『違う』って、何が違うのですか……?」


「……貴女はもう、私にとって『一介の部下』に過ぎない存在では無くなっているんです。


私にとって、掛け替えのない存在なんです」


顔を赤らめてそういう映姫。


(──…)


心底驚くと同時に、小町も少し小恥ずかしくなってきて頬を赤く染める。


「え、えーっと……ありがとう、ございます。……案外、嬉しいんですね。そういう風に言ってもらえるのって」


「だからこそ」


「!」


「……私は……」


映姫がそのまま俯いてしまった。


「何やら暗い雰囲気だねぇ〜、映姫ちゃんはいつになく大胆だし?」


「!?」


突然背後から声がした。

それに驚き全く同じ反応をする二人。


「そ、その声は……」


「まさか…!」


二人が振り返ると、そこには……。


「よっ!久しぶり」


「Hello!」


ヘカーティアとクラウンピースの二人がいた。


「へ、ヘカーティア様!何故ここに!?」


「今、地獄大変なことになってるじゃない?だから何か手助けできないかなーと思ってこっちまできちゃったのよん。……ところで……」


ヘカーティアがニヤニヤしながら目を細めて映姫を見つめる。


「ず〜いぶん大胆な告白だったわね?映姫ちゃん」


「へっ!?」


「奥手なのかと思ってたけど、案外攻めっ気あるじゃな〜い」


「いやいや、別にそういう意味じゃないでしょう?ね、四季様?単に信頼を寄せているってだけで……」


恐る恐る小町か映姫を方を見る。

映姫は、顔を真っ赤にして涙目になりながらプルプルと震えていた。


「……〜ッ!」


「……えぇ〜…」


その様子に、どう声をかければいいのかわからず戸惑う。

そこへヘカーティアが……


「ま、この話はまた今度じっくりと聞かせてもらうとして……今は地獄の現状についてよね」


「……!そ、そうです、今はそちらが重要なんです」


映姫が立ち上がり、いつも座っている椅子の方まで戻った。

それに座ろうとしたが、ヘカーティアがいることを思い出したのか、慌てた様子で椅子から離れた。


「あ、全然座っちゃっていいよ?その席は貴女の場所なんだし」


「い、いえ!それよりも現在の地獄の様子なのですが……」


無理矢理話題を逸らそうとしている。

ヘカーティアはその様子を見て、『気を使わなくてもいいのに』と小声で言いながら笑っていた。


「地獄内で実力の高い者達が突然見境なしに暴れ始めたのです。今まではある程度大人しくしていたのに、突然……


理由は分かりかねますが、このままでは地獄の秩序が崩壊してしまいます。せっかく築いた新体制がめちゃくちゃになってしまうかもしれません。それは何としてでも食い止めなければいけないのです」


右手に持つ笏を口元に持っていき、考えるそぶりを見せる映姫。


「……要するに、その暴れてる連中を抑えればいいわけね?」


「え、ま、まあ……はい。そういうことです」


「りょーかい、そういうのは得意だからね。軽く捻ってきてあげるわよ」


意気揚々と立ち上がり、拳を合わせて自信満々の調子で映姫にそう言ってのけた。


「……た、助かります」


「あ、そういえばそれって地獄全体の話?それとも映姫ちゃんの管轄下のとこだけの話?」


「地獄全体です。ただ、私の管轄下外のところには手は出せません。それは他の閻魔の仕事で……あっ」


「さっすが映姫ちゃん、気付くのが早い。ほら私って地獄の女神じゃない?昔は地獄統率してたしその辺の許可とか全然出せちゃうのよね。


というわけで、映姫ちゃん!今回の一件は貴女の指揮下で解決してほしいのよね」


「えっ!?」


思わず目を見開いた。

何故自分なのだろうか、という疑問が浮かぶ。


「な、何故私なのですか……?」


「んー、一番大変だと思う異界の地獄の管理してくれてるのは映姫ちゃんだしさ。それに知らないかもだけど、映姫ちゃんって現在の閻魔の中じゃ最強なのよ?私も認めてるくらい」


「は、はぁ……」


「それでいて仕事には意欲的だし真面目だし、何事にも動じないし……まあ今はちょっと部下とのプライバシーを覗かれていつになく慌てちゃってるけど、それはそれとして」


「うっ……」


「とにかく、私映姫ちゃんのことすっごい気に入ってるのよん。というわけで、映姫ちゃんにこの役を任命したってわけ」


目配せをしながら右手の人差し指で映姫を指差す。

呆然としていた映姫だが、はっとなって咳払いをする。


「……それは光栄ですが……私はあくまで『是非曲直庁』の裁判官です。ここを離れるわけにもいきません」


「……む、それは確かに。勢い余って指揮官に任命しちゃったけど今も外には死者の魂が結構並んでたしなぁ……どうしたもの…」「ただ」


ヘカーティアの言葉を遮るかのように映姫が言葉を挟んだ。


「閻魔の仕事は二交代制です。まだ交代の時間ではありませんが……


もう一人の閻魔に頼めば、私は自由時間が取れます」


「……おやおや、随分ブラックなことをさせるねぇ。後でちゃんとお礼言わないとだよ?」


「もちろんです」


そういうと映姫は目を伏せ、口を隠すように口元へ笏を持っていく。

そのまま無言になってしまい、しばらくの静寂が辺りを包んだ。


「……ところでさ、小町ちゃん」


「はい?」


耳元で囁くようにヘカーティアが小町に話しかけてくる。

クラウンピースは映姫の方を見たままじっとしていた。


「映姫ちゃん、貴女のこと好きなのかもよ。気付いてた?」


「……いや、全く」


「だろうね〜、あの子すっごい奥手だもん。ましてあの性格だし閻魔だしで、『百合』の文化は知っていても頭が受け入れられないんでしょうね〜」


「……やっぱり、そうなんですかね……"そういうこと"なんですかね……?」


「当たり前じゃない!さっきの映姫ちゃんの顔見た?真っ赤になっちゃっても〜可愛いったらありゃしないわ!普段がむすっとしてる分笑った時は超可愛いんだからあの子」


「ああ……それはわかります」


「でしょぉ〜!?幸せにしてあげなさいよ〜このこの〜」


「あ、あはは……」




「……聞こえてますからね!」


映姫が顔を赤くして、体勢と笏はそのままに目だけヘカーティア達の方へ向けてそう言った。


「あらぁ〜、さすがは閻魔様、地獄耳ねぇ」


「わざとでしょう!」


「えぇ、まさかぁ!」


若干、頬を膨らませている。


(か、可愛い……四季様ってあんな顔するんだな〜)


映姫の意外な一面を見た小町は、僅かに顔が綻んだ。






「──話はつきました。すぐにこちらに向かうとのことです」


「話のわかる子で良かったわ。そういえばもう一人の子って誰?」


「今はそれどころではありませんよ。さあ、行きましょう」


「え、今すぐ地獄にいけるんですか?」


「映姫ちゃんがいるからね。あの子はいつどこでも地獄への入り口を作れるから」


映姫が笏で空を切る。

すると、空間が裂け、謎の空間への穴が出来上がった。





その直後。







「グオオオオオオオオオ!!!」


一人の鬼がその穴から現れ、穴のそばにいた映姫へと襲い掛かる。


「し、四季様!!」


小町が慌てて映姫の方へ駆けていこうとするが、ヘカーティアがそれを右手で遮った。


「な、何をっ…」


「まあ見てなって」











「──『審判ジャッジメント』」


映姫がそう言った瞬間、襲いかかってきていた鬼の動きが停止する。

まるで見えない鎖に繋がれているかのように、なにかに縛り付けられたかのようにぴくぴくと痙攣している。


「こ、これは……!」


「『閻魔の裁判』よ……あれを掛けられた者はたとえ誰であろうと逃れることはできない。


もっとも、悪意が強ければ強いほど縛られてしまうっていう技だから……相手に悪意が少なければ少ないほどあの縛りは緩くなる。誰であろうとってのは間違いだったかしらね」


見るからにあの鬼はそれなりの力を持っているように見える。

それを身動き一つ不可能にせしめる程の力を、映姫は有していたのだ。




「さて……」


口元に笏を持っていき、ゆっくりと鬼の方へと歩いていく。


「一つ……静粛である裁判所で大声を上げたこと」


「ウッ……ッググ…ギッ…!!!」


一歩歩くごとに、鬼の表情が険しくなっていく。

心なしか少しずつ、頭を地面に下がっていっているように見えた。


それもそのはず──何故なら


「二つ……不届きにも閻魔たるこの私に触れようとしたこと」


映姫が罪状を読む度、そして鬼に近付いて行く度に、拘束が強くなっていっているからである。


「三つ──



一度判決を下されたにも関わらず、もう一度私に審判させたこと」


そこまで読み上げると、映姫が笏を持つ右手を挙げた。

鬼は既に、完全に地面に倒れ伏せていた。


「判決を言い渡します」


「グッ…!!


ウオオォオォオオオオオオッ!!!」


最後の力を振り絞ったのか、目の前まで近付いてきていた映姫に向けて右手で攻撃しようとする。












「──Go to Hell(地獄へ堕ちろ).」










「グギャアアアアアアアアッ!!!」


その言葉と同時に、鬼の跪いていた地面に空間の穴が出来上がり、鬼はそこへ吸い込まれていった。


「さあ、気を取り直して地獄へと参りましょう。そこの空間の穴が入り口です」


「……!」


小町はこれまで、映姫が"力"を発揮する場面を見たことがない。

何故なら、これまで小町が会ってきた映姫はただ座っているだけだったからだ。


「……すごいでしょ?貴女の上司」


「……はい」


(こんなにも、強大な力を持っていたのか。


それを誇示するわけでもなく、ただし惜しむわけでもない。あの人が何故この職につけたのか、何となくわかった気がする)


小町は、自然と顔が笑っていることに気付かなかった。

その表情は、憧れの表情に近かった。

それを横目で見ていたヘカーティアもまた、微笑んでいた。


「いやー流石は映姫ちゃん!頼りになるわねー」


「あの程度の鬼なら貴女なら一捻りでしょう?」


「まあそうだけどね。さ、行きましょうか!さっさと解決して幻想郷の方の援護に行かないと」


「ご主人様気合い入ってますね〜」


「そりゃあ部下の手前、かっこ悪いとか見せられないし?」


ヘカーティアとクラウンピースが空間の穴に入っていった。

小町もそれに続いていこうとしたその時だった。


「小町」


「!」


映姫に呼び止められる。

振り返ると、映姫は微笑みを浮かべてこう言った。


「頑張ろうね」


「──」


この時小町はこう思った。







(めっっっちゃ可愛い)


「はい!」




この時小町の鼻から若干赤い液体が垂れていたことは本人だけの秘密である。


そしてこの後、三人の獅子奮迅の活躍により地獄の異変は半日ほどで解決することとなるのであった。








皆さんは映姫様はロリ派ですか?それともノーマル派ですか?

私はロリ派です。

原作絵の肩幅ドゥを見る限り服もちょっとぶかぶかそうなの可愛くない?

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