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東方学園の怪談話  作者: アブナ
狂宴の刻
67/82

紅の警報!

超久しぶりの更新です。

なのに内容が薄くてすまない……

最近忙しくてなぁ







「お出ましね……!」


霊夢が何かの機械を懐から取り出す。


「後方支援の三人!まずは鬼どもの援護をお願い!雑兵は私に任せなさい!」


『了解!』


紫の返事を確認した後、霊夢は機械を操作して通信を切り替える。


「魔理沙!あんたらは文の相手をお願い!そいつはマジに厄介だから全力で潰しなさい!」


『了解だぜ!倒し次第下の連中の援護に回る!』


通信を切り、再び戦場へと目を向ける。


霊夢の取り出したそれは、河童達が開発した無線機だった。

前線に出る六人には持たせていないが、その他のメンバーは全員が持っている。


「さぁて、ここからが本番ね……!」






「……了解とは言ったけど……」


紫がチラリと斜め後方を見る。


「は、離してください!!神奈子様と諏訪子様がいるんです!助けないと!」


「落ち着きなさいって…!闇雲に突っ込んでもやられるだけよ!」


「でも…でも!」


向こう側にいる二人を見た早苗の動揺を、幽々子が制されている。

早苗は何処か油断していたのだろう。

『まさかあの二人がやられるはずがない』と。


「一体誰に……!お二人が……お二人が負けるなんて、そんなこと……!!」


その時、紫が右手で早苗の頭を優しく撫でる。

突然のことに驚き、早苗はぽかんとしている。


「気持ちはわかるけど、一回落ち着きなさいな。慌てたって仕方ないわよ」


「……!」


「あの二人をいち早く助けたいんなら、自分のできる最善のことを尽くしなさい。そのおかげで二人が救われるかもよ?」


「……自分のできる、最善のこと」


早苗は二人がいる方を一瞥すると、紫の方へ向き直る。


「わかりました。私にできることを精一杯やります!」


「よーし、その意気だ!」







「さあ、始めようか!」


「私らを相手にどこまでやれるか……見ものだね」


諏訪子達が幽香と華扇に近付いていく。


「……さて、どうする?」


「私があの二人を請け負います。貴女は正面にいるあの男の相手を」


「別にいいけど、大丈夫なの?」


「心配しないで、勝算はあるわ」


自信ありげな表情でそういう華扇。

特に心配をする必要はなさそうだと幽香は判断した。


「じゃ、背中は任せるわ」


「ええ。貴女もお願いね」


「心配無用よ」


幽香が浴衣姿の青年に近付いていく。


「……くるか」


「あなた、見かけによらず強そうね。楽しみだわ」


「そりゃあどうも。あんたの期待に添えられるように頑張るさ」









「──向こうは随分楽しそうね」


「おや、こちらがつまらないと?」


「別にそういうわけじゃ」


文とレミリアが睨み合っている。

距離は約2mほど。もうの少し近付くだけで手が届く距離である。

二人とも笑みを浮かべて、敵の様子を伺っている。


「……しかし珍しいわね、あんたが獲物を逃がすなんて」


「まあ、私の目的は場を掻き乱すことにありますので。それに、私としても一対一タイマンの方がやりやすいですし」


「はっ、それは私を倒せると思ってるってことかしら?」


「ええ、その通りです。貴女一人なら何も問題なく倒せます」


「口の減らない鳥だな、全く。その軽口、いつまで保つか楽しみだ」


「その言葉、そっくりそのままお返しします」


魔理沙と空の二人がいないのは、レミリアがそう指示した為である。

『こいつは私一人で十分だ、ここは任せて他の援護は行け』と。

文はそれを止めるわけでもなく、ただただ見つめていた。


「……」


依然として動かない二人。

だが、それにはそれぞれの思惑があった。

レミリアは狙っていた。

文が動き出す、その瞬間を。


動いた瞬間、自身は蝙蝠に変化し、奴からの攻撃を回避しつつ、動揺を誘う。

そして隙ができたところを、グングニルで射抜くのだ。


(さあ、動け……その瞬間があんたの最後だ)


「それにしてもまた、随分と自身に満ちた表情だ」


「当然。私を誰だと思ってる?」


レミリアの目付きと、口調が変化した。

所謂、『戦闘モード』である。


「私は紅魔館の主人にして最強の吸血鬼、レミリア・スカーレットだぞ」


怪しい笑みを浮かべて佇む、紅い悪魔の目が光る。

文はレミリアの雰囲気の変化を敏感に感じ取っていた。


「──などと口上を宣う前に倒してやろうと考えていたのですが……上手くいきませんね、そんな目で睨まれてはなかなか動けない」


溜息をつき、目を伏せる。


「はっ、天狗は肝が座ってないな。こんな程度でもうビビって──」


レミリアが言葉を発した、その瞬間。


「お言葉ですがレミリアさん」


ヒュッ


風を切る音と共に。

文の姿が、レミリアの視界から消えた。

そして……。


「──なっ」


「そういう台詞はもっと強くなってからほざくべきだと思いますよ」


レミリアの右腕が、大きく宙を舞っていた。

















遠くから爆音が響いてくる。

轟音と共に、勇ましい雄叫びも。

それもそのはず、向こうでは今まさに戦争が起こっているのだ。

どちらも互いの正義を信じて、守らんとしている。


「……正義が勝つ、か。よく言ったもんだ」


(結局、勝った奴が自分にとって都合のいい流れに変えていくだけだろ)


伸介は、哀れみと怒りの混在した眼差しを戦場に向けていた。


昔から、争い事は嫌いだった。

自身が正しいと信じてやまない者同士がぶつかり合う様は、あまりにも不毛だと思ったから。

片方が折れれば済む話だ。そうすれば、争いなどすることなく平和に決着がつくだろうに。


「……前までは、そう思ってたんだが。


人ってのは変わるもんだな。譲れない何かができると」


(今なら、あいつらの気持ちもわかるかもしれない)


伸介が立ち上がる。

そして、ゆっくりと何処かへ歩き始めた。


「だからこそ、オレはその譲れないものを捻じ曲げちまうあんたのやり方が許せないんだろうな。……義母かあさん。


(フラン)はようやく幸せを手に入れたんだ。それを奪うようなことはさせねえよ」


「たとえ大切な人にどんなことがあろうとも、最後までそいつのそばにいて……味方でいてあげる。


──そうだろ?母さん」









一方、フリーダの城門の上にて。


「主戦力の妖怪達が到着。戦局は五分五分と言ったところかと。……ようやく、こちら側の想定通りに事が運び始めましたね」


「いいや、最初こっちが押されることも想定内だったし最初からこっちの作戦通りさ」


咲夜が双眼鏡を使って状況確認を終えたところのようだった。


「ふふっ、確かに。流石は王女様の考えた作戦ですわ」


「煽てるのが上手だね、咲夜から言われると皮肉にも聞こえるよ」


「滅相もない。本心でございます」


「ははっ、わかってるよ。


──さて、咲夜。そろそろ()()、始めるよ」


「了解しました。軍の指揮はお任せください」


「頼んだよ」


そういうと、フランは城門から飛び降りる。


地面に着地するまでの間にふと。

先の、義兄の言葉を思い出す。


−『自分に素直になれよ。全部、一人で背追い込むな』


「……ふふっ、そんなだから貴方には見えないのさ……この先の夢が。


──自分に素直になれ、だって?」


スタッ


フランが地面に着地した。

そして、空に佇む紅い月を見つめながら、小さな声で囁いた。


「ずっと素直さ。どこまでもね」


怪しい笑みを浮かべると同時に、大量の蝙蝠へと姿を変えて、紅い光の中へと消えた。



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