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東方学園の怪談話  作者: アブナ
狂宴の刻
63/82

薔薇の戦慄

今回はちょっとキャラのイメージを損なってしまう可能性があります。

ちなみに自分は損ないました。「このキャラこんなんじゃないやろ!もっとこう…なぁ!」みたいな感じになりました。






「少し、やりすぎだよ」


リグルの腹部に大穴が空いている。

頭部は大きく切り裂かれていて、血が止めどなく溢れ出ていた。

これをやった金髪の少女……フランドールは、その様子を見て不気味に笑う。


「……早苗さんはここで落としちゃいけないんだ。今後も狙うようであれば貴女を始末しとかないといけない」


意識のないリグルに無情にもそう吐き捨てると、右手を翳す。


「お疲れ様。それなりにいい仕事をしてくれたよ」


と、その時。




「…!」


フランでも少し身震いしてしまいそうなほどの、凄まじい殺気を感じた。


その方向を見てみると、そこにいたのは……。







「……おやおや」


「ご機嫌よう、紅魔の妹君」


風見幽香が、そこにいた。







悠々と歩いてくる。

睨みつけてくるその目には、明らかな殺意が込められていた。

どうやら幽香は正気を保っているらしい。

狂気の光をどうやって避けたのか?


「こんにちは、お花の妖怪さん。こんなところへピクニックにでも来たの?」


「あら、ここは私の花畑よ。むしろピクニックに来ているのは貴女なのではなくて?…それと。


よくもまあ、こんなことをしておいてそんな口が聞けるものだわ」


血塗れで倒れ伏せているリグルの方を横目で見ながら、覇気のある声で言った。


「心外ね。私はその子と遊んだだけ。その子が脆すぎるのがいけないんだわ」


「罪意識が無いの?あの光に当てられたとは言え、少し異常ね」


「酷い物言いね。こちらの話をろくに聞きもせずに狂人認定するなんて」


フランの邪悪な笑みを見た幽香は、これまで差していた傘を閉じる。


「さっきも言ったけど…貴女、光に当てられた事もあるとはいえ、少し"おかしい"のよ。今まで私が抑えてきた連中達と比べて、明らかにね」


その閉じた傘の石突きをフランに向けて翳す。

その顔は変わらず笑みを浮かべていたが、殺気は先程とは比べ物にならないほど膨れ上がっていた。


「へえ……抑えてきたってことは、貴女は狂っていないのね」


「あの程度の魔力で私を染められると思わないことね。


……貴女をこのまま野放しにしておくのは危険よ」


フランはその様子を見て、楽しそうに口を少し歪ませる。






「今のうちに死んでおけよ、小娘」


「お断りだね、年増」






直後、傘の石突きから一本の細い光線が放たれる。

フランは顔を右に逸らしてそれを躱す。


フランの背後で大爆発が起きる。

今放たれた光線によるものだろう。


「あーあー、いいの?そんなことしちゃって。ご自慢のお花畑が台無しになっちゃうよ?何なら戦う場所変えてあげようか?」


「余計なお世話よ」


お互いの視線が交錯する。

フランは愉快そうな表情を浮かべ

幽香は対照的に鋭い目付きでフランを睨みつけていた。


「貴女、常に笑ってるけど……何がそんなに面白いのかしら」


「何故笑っているか、だって?」


フランが宙に浮いていく。


「いつ終わるとの知らない偽りの世界……ここで如何に繁栄を極めたところで、いずれ全て消えていく。

無意味に多くを受け入れて、その全てを消そうとする蟻地獄。

こんな世界を彼女達は"楽園"と呼んでいる」


そう言って両手を広げた時、周りの花畑から、何かが複数浮かび上がってくる。


「これが笑わずにはいられるかしら。


ほら、見て……こんなにも──」






「──この世界は、美しい」


挿絵(By みてみん)




「……!!」


浮かび上がってきていたのは、プリズムリバー三姉妹、そして三月精達だった。

全員、酷い有様にされてしまっていた。


幽香の表情が激変する。

先程までは多少余裕のある表情をしていたが、今は怒りを露わにしてフランを睨みつけている。


「どうした。何をそんなにいかる」


フランが冷徹に聞いた。

その声には、哀れみの色があった。


(──何を哀れんでいるというのか?

仲間を殺されて、怒らない者がいるか?

そもそもこの怒りを哀れむ資格はお前にはない。殺したのはお前だろう)


「逆に怒らないとでも思ったの?」


その言葉に、フランは愉快そうに口を歪める。

その行為は幽香をさらに逆上させた。


「……一つ、聞かせなさい。あんた、私から冷静さを無くすためにわざわざこんなことを?」


その質問に対し、フランは地面に降りて表情を変えずに答える。


「理由なんて無い。これは必然なのさ」


「……必然?」






「危機感のない連中は──生きていても邪魔でしょう?」






「──貴様ッ!!」


邪悪な笑みを浮かべて、目の前にいる悪魔はそう答えた。

この時幽香は、怒りと共に底知れぬ恐怖を覚えた。


『こいつは生かしていてはダメだ。何としてでもここで殺さなければ』


本能が、必死にそう訴えかけていた。




ドッ


目にも留まらぬ速さでフランに急接近し、傘で殴りかかる。

フランはその間、微動だにしなかった。


ドオオオオオオオオオオオンッ!!


凄まじい衝撃が辺りを揺るがした。

幽香の攻撃によるものだ。

その衝撃は地面に罅が入るほどで、辺りの地面にできた亀裂が幽香の怪力を物語っている。

そんな一撃を受けてしまえば、ひとたまりもない。












──はずなのだ。




「…は?」


フランは、それを右手の掌で軽く受け止めていた。

そして、次の瞬間──。




ザンッ










「……よく躱した。


褒めてあげるよ」


「──ハッ……ハッ……!」


幽香はフランから大きく飛び退いていた。

膝をつき、息を荒げている。

そして、幽香の表情が、先程から一変した。

先の怒りの表情から、今は恐怖に染まっている。


(今……何をされた?


どうして、私の右肩からこんなに血が出てる?

斬られた?いつのまに?あの手にある黒い刀か?)


「おかしいな」


「……何?」


「さっきまでの怒りと勢いは、どこに行っちゃったんだろう」


「……!!」


言い返すほどの余裕は、今の幽香には無かった。

それ程までに、今目の前にいる"悪魔"は強大な力を持っている。


一体どうやってここまで急激にパワーアップしたというのか?

少なくとも、『努力』でどうにかできるレベルの力ではなかった。

何故なら、先の一撃には全身全霊の力を込めて放った。

魔力も、筋力も、全てが全力での一撃だった。


それを、奴は片手で、しかも余裕綽々で止めてみせた。

自分の力が、奴に遠く及んでいないのはすぐにわかった。


──ならば。

ここで自分が少しでもこの悪魔を留める。

それは幻想郷を守ることにも繋がるはず。


「……」


幽香が立ち上がり、フランを睨みつける。


「……今、貴女が考えているのは……


少しでも私をここに留まらせること、でしょう?」


「!!」


「健気なことだね。自分を犠牲にしてこの偽りの楽園を守るなんて。いくら守ったってもう、無駄なのに」


「…なん、ですって……?」


「まあいいさ、その心意気に免じて相手をしてあげるよ」


フランが宙に浮き、両手を広げて言う。



「さあ、牙を剥いて抗いなよ?井の中の蛙さん。……おっと、蛙に牙はなかったね」



「──ぐ…!


おおおおおおおぉおお!!!」












「──素晴らしい……何という力…!たった一発でここまでのエネルギーを…!」


(やはり彼女は強い……しかし、どうして妹様はあそこまで強く?)


「風見幽香と天人のおかげで、一気に増えましたね……ふふ、本当にあとほんの少し……ほんの少しで我等が女帝が蘇る」


洞窟で話す咲夜と鈴仙。

幻想郷中の様子がわかるようで、フランと幽香、天子とイザベルの対決を見ている。


「……狂気の光の届かない地底には、何も被害は出ていないようですね。今からでもやってきますか」


「いや、その必要はないでしょう。もうエネルギーは十分に集まっていますしね……ふふっ」


「もし地底の連中が束になって反逆してきた場合は?」


「その時はその時です。今のフランドールさんや我等が女帝に敵うはずもない」


「……それもそうですかね」


「さあ、もうすぐです。儀式の準備に取り掛かりましょう」


「ええ、早急に」









ガキィンッ!!


金属が激しくぶつかり合う音が、絶えず聞こえてくる。


ガキィンッ!


その音の強弱は激しく、強くぶつかる時もあれば、弱くぶつかり合う時もある。


ガキィンッ!!


一旦音が途絶える。

しかし、すぐにまた鳴り始める。


ガキィンッ!!


「ははっ!」


「ふんっ…!」


この音は、天子とイザベルの二人が激しい打ち合いを繰り広げている音だった。

お互い愉しげに笑みを浮かべ、凄まじいスピードで打ち合っている。

両者一歩も譲らず、打たれては打ち返し、打ち返す度により強い一撃を放つ。


「はっ!あんたなかなかやるじゃない!正直予想以上だわ!」


「そりゃあどうも!」


イザベルが天子の頭に向けて横薙ぎに剣を振るう。

天子はそれを少し身を屈めて躱し、イザベルの首めがけて一閃する。

イザベルはその場から飛び退いて躱す。


(……妙だ。月が紅く染まり始めている。さっきまで普通の色をしていたはずなんだがな)


イザベルは天子と戦いながらも、幻想郷全体の異変に勘付き始めていた。

月が紅く染まるのもそうだが、目の前にいるこの天人から感じる魔力には、どこか覚えがあったのだ。

天子の魔力とは別に、もう一つ。

イザベルが『知っている魔力』を感じたのだ。


(……だが、肝心なところが思い出せん。この魔力の主は誰だったか……)


「そらっ!!」


「おっと!」


天子がイザベルに斬りかかってくる。

思考を一旦やめ、すぐに対処する。

イザベルは天子と距離を取った。


「全く、とんだ戦闘狂もいたものだ。よもやオレ以上とはな」


「あら、そんなこと言って貴女もこの状況、かなり楽しんでるでしょ?自分より強い者を前にして高揚が止まらないんでしょ?」


「さあて、それはどうかな」


「いいや、貴女は私と同類よ。匂いでわかるもの。


戦いが好きで、孤高な獣の匂いだわ」


狂気的な笑みを浮かべ、天子はそう言った。


「孤高なのはお前だけで充分だ。オレには帰るべき群れがある」


イザベルもまた、楽しげに笑みを浮かべてそう返した。


「ふん、釣れないわね。そんなんじゃ男が寄ってこないわよ」


「オレに見合う男がいるとしたら、向こうから勝手に寄ってくるさ」



ガキィンッ!!










「イザベルが一人残って天子と戦ってるですって!?」


「は、はい。私達を逃がすために一人で……」


レミリア達と美鈴達が合流していた。

今は、紅魔館で何があったのかを順を追って説明していたところだ。


「くっ……すぐに援護しに戻るわよ!」


「待ちなさい。イザベルはそれを望んでいないみたいよ」


「はぁ!?何でそんなことわかるのよ!」


「美鈴、ちょっと背中見せて」


「?は、はい」


霊夢の言葉通り、美鈴がレミリア達に背を向ける。

すると、美鈴の背中に一匹の蝙蝠がついていた。


「こ、蝙蝠?」


「どうやら呪術式の伝令蝙蝠みたいね。イザベルの奴、呪術も使えたのか……」


霊夢が蝙蝠に触れると、蝙蝠が消え、代わりに何かのメッセージのようなものが宙に描かれた。


「"幻想郷の危機 至急阻止されたし"……つまるところ、天子あいつ一人に構う暇があるなら今起きてる異変の大元を断てって言ってるんだわ」


「…!」


「大元ったってなぁ、当てがあるのか、霊夢?」


「無いことには無い。ただ確証もない」


「ほう、あるのか。誰だ?」


「……鈴仙と、永遠亭の連中」


その言葉に、その場にいる全員が驚いた。

いいや、魔理沙を除く全員が、というのが正しい。


「れ、鈴仙って……あの鈴仙よね?」


「ええ」


「鈴仙が、異変を起こしたっていうの!?」


「……確証はないけど……今幻想郷は狂気に包まれてるわ。狂気を操るあいつなら……この事態を引き起こすことは可能よ」


「けど、幻想郷中が包まれてるのよ!?いくら鈴仙でもそんなこと…!」


「永遠亭の連中の協力があれば不可能ではないわ。あいつらの力はそれくらい強大よ」


「……でも…!」


レミリアは納得がいかないようで、尚も否定しようとする。

霊夢もレミリアの気持ちは理解できるので、敢えて言葉を挟むことはしなかった。

そこに……


「レミリア、悪いが私も霊夢と同意見だ。あいつらは怪しいと思う」


「!」


魔理沙がそう言った。

霊夢はもちろんのこと、美鈴も小悪魔もレミリアも、皆その言葉に驚いた。


「な、何でよ」


「さっき霊夢の説明した通りだぜ。私も同意見なんだよ。それに、気付いてないかもしれないけど、今現在も狂気の侵攻は進んでるんだぜ?」


「……?どういうことよ、魔理沙」


霊夢もその事には心当たりがないようで、魔理沙に尋ねる。


「霊夢も気付いてなかったのは意外だったが、今も空気中に狂の瘴気みたいなものが漂ってる。これはあくまで私の予想だが……


傷一つでもできちまったら、その時点で狂気に侵されちまうと思う」


「なっ…!」


「多分、パチュリーがいきなり狂っちまったのもそのせいだ。……多分だけどな」


「息を吸ったりする分には問題はないの?」


「おそらく無い。多分、私らは魔力とか霊力とかが免疫になってるんだ。だからそういうのを持たない一般人とかは……やばいかもしれないけど」


ならどうしてパチュリーは……と言いたげな表情をするレミリア。

魔理沙は付け足すように説明し始めた。


「次から狂った状態のことは狂乱状態って呼ぶぜ。まず、狂乱状態は脳や神経、血管とかの器官全てに瘴気が入り浸った時になっちまうものだと仮定して話す。そこんところの理解を頼むぜ?


血液ってのは体内を循環していくものだ。血管の一つにでも多量の瘴気が入っちまったら、全身に行き渡るのは一瞬なんだ。いくら魔力を持ってても、一瞬で全身を侵されちまったらどうしようもないと思う……多分」


レミリア達は納得の言ったように頷いた。

そこに、霊夢が付け足す。


「あくまで憶測、ということね。けど、気を付けておいて損はないわ……それよりも、どうすれば狂乱状態を治せるか……そこよ」


「治せるにしても、体内の瘴気を全て抜き取るか消しちまうか……それくらいしか方法としては思い付かないけどな」


「発生源を断っちゃうのが一番早いと思います」


美鈴が言う。


「確かにそれが一番早いかもだけど、そう簡単に行くとは思えないわね」


「仲間が一人でも多く欲しい。大元を断つ……鈴仙を倒すなら尚更な。だからこそ、治せる方法を知りたい……そういうことだよな」


「ええ、その通り。でも、正直見当もつかないし、瘴気を抜き取る方法も思い付かない。どうすればいいのかしら……」


霊夢達がひたすら考えていた、その時だった。


「あ、あの……私、できます」


「え?」


小悪魔が遠慮がちに手を挙げた。




「私、血液中というか……体内にある物質を外に出すの……できます」




その言葉に、その場にいる誰もが驚き、固まった。


ガッ!


「んひぃっ!?」


霊夢が小悪魔の両肩を力強く掴む。


「ナイス!お手柄よ!小悪魔!マジで!」


「あ、ありがとう、ございます…!?」


「マジか!すげえな、どこでそんな技を!?」


「と、図書館の本でそういう魔術本がありまして……もし館の皆様が毒素とかにやられた時の為と思って……」


「ひゃーっ、流石は小悪魔だぜ!いや、ほんとにナイスだ!希望が見えてきたってもんだ!」


「凄いじゃない、小悪魔!」


「やっぱりパチュリー様の目に狂いは無かったって事ですね!」


小悪魔はその場にいる皆に褒められ、少し照れてしまう。


「え、えへへ……ありがとうございます。役に立てそうで何よりです」


暗闇が支配していた世界に、希望の光が見え出した。

ここからが、幻想郷の反撃である。













──そう、思った矢先のこと。

空に浮かぶ月は、完全に紅に染まっていた。


「──溜まりましたよ、咲夜さん」


「……ええ。


さあ、始めましょう。新たな時代を担う女帝の復活を」


咲夜と鈴仙が、両手を合わせ、洞窟の奥地に向けて魔力を注いでいく。










彼岸にて。

映姫は何か良くない予感を感じとる。


「……何でしょう、この感じ」


(……小町を呼び戻しておきますか)













『混沌にて惑いし魂を、此処に。


来たれ、我等を導く真なる王よ。遍く全ての民を救い……


新たなる世界を、築きたまえ』





瞬間、洞窟の奥から、紅い光が発せられる。

そして──…。



ドッ



巨大な、紅い光の柱のようなものが発生する。

その光は洞窟を貫き、天にまで登っていった。


「おおっ……ついにっ…!」


「我等が女帝が……復活なされた……!」








それは、紅魔館にいる二人にも見えていた。


「何だ……?」


「あら、もう復活したの。早いわね」


「……復活だと?」


「ええ、復活よ。自称"新たな時代の女帝"さんの」


「女帝?」


「ええ……多分貴女は、知ってると思うわ。……ほら、聞こえてきた。今なら貴女も聞こえるはず」


「何……?どういう──」


言葉の意味がわからず、天子に問いを投げようとしたその瞬間。


『──が──えを──け──』


「…!?」


微かに、何かの声が聞こえた。

とても小さく、か細い声だったが、確かに聞こえた。


『我が──聞け──』


イザベルはその声に、聞き覚えがあった。


「……そんな……馬鹿な……


奴はあの時、死んだはずだ……!」








『──我が声を聞け、愚かな偽りの楽園の民どもよ』








「わっ、わっ、何この声!?」


「落ち着いて、ちぇん。大丈夫だから。


……紫様」


「ええ……これはちょっと、まずいかもね」






「なあ、萃香。ありゃあ……」


「どう見たって、普通じゃないね。月が真っ赤になってんのも今朝から妙に気が立ってる奴が多いのもあれが原因か」








『この日、この時より、この世界を手中に収める者の言葉だ。その耳にしかと焼き付けるが良い』








「ひ、聖。この声、凄く嫌な感じがする」


「ええ、わかります。おそらく今幻想郷で起こっている異変の元凶とも言える存在でしょう」


命蓮寺も、狂気の侵攻は進んでいないようだった。

光の柱を見て、嫌な予感を感じている様子だ。


「命蓮寺に押しかけてきた妖怪達の様子がおかしかったのは、この声の主が原因だってこと?」


「おそらくは、ですが。我々も出ましょう、きっと博麗の巫女達も異変を止めようと奮闘しているはず!その助けをするのです!」





「……ついに、復活なされたのですね……ふふっ」


「文?あの光について何か知ってるの?」


「ええ、知っていますとも……これから教えてあげますよ、椛」








『我等はこれより新たな世界を築き上げる。その為には、幻想郷ここが我等に必要だ』






「……ほう、あの柱……」


「なかなかの魔力ですな!太子様、如何なさいましょう?」


「面白そうではある。だが今向かうべきではないだろう。こういうのはもっとこちら側がピンチになってから行くと映えるのだ」


「おお!なるほど!確かにその方がかっこいいですな!」


「そうだろうそうだろう!今に見ていろ、助っ人登場!とか言ってカッコよく出てやろう!フ、フッフッフッフ、アーッハッハッハッハ!


……などと、ふざけている暇は無さそうだ。行くぞ、二人共。信仰集めついでに不埒なやからを懲らしめる」


「了解です、豊聡耳様」






「……あれは……」


迷いの竹林の中で、サグメもまたその光の柱を見ていた。








『新たな世界を築くには、多量な蓄えが必要だ。誰にも気付かれることなく、世界を満たすほどの力を蓄えられる場所もだ』








「……幽々子様」


「ええ……」


白玉楼にいる二人にも、その声は伝わっていた。


(嫌な感じね……この声)


「妖夢、行ける?」


「もちろんです。一先ず、霊夢さんと合流します」


「ええ、お願いね。私もいざとなったら出るわ」


「分かりました。では!」


「気をつけていってらっしゃい」






「……」


「復活、しちゃったわね。どうするの?」


「こんなにも早く復活するのは、予想外だったわ。……鈴仙は、無事かしら」


「大丈夫だと思うよ。まだ利用するつもりだろうし」


「一刻も早く、正気に戻してあげないとね」









『故に、ここを支配する。そして、この場所の存在を知る者を全て根絶やしにし、ここの存在を誰にも漏らされぬようにする。


よく覚えておくが良い──』









その声は、幻想郷中に伝わっていた。

花畑にいる二人にも、当然のように。


「な、何よ、誰の声?」


「……せっかちだな、あの人も」


フランが呆れ混じりに鼻で笑う。


「……あんた……知ってるのね。この声の主を」


「知ってるも何も……私は昔からこの声を聞いてるからね。忘れるはずもない」


「昔から……?」


「そ、昔から。だって、今話しているのは──」










『我が名はフリーダ、フリーダ・スカーレット。


この世界に救いを齎す者の名だ』










「私の、お母様なんだから」









下手くそな挿絵ですまない……しかもめっちゃ写り悪くてすまない……

紅魔勢優遇かつ好きなキャラ推しかつ割とめちゃくちゃなストーリーかつ学園関係なくなってきてるという。

これもうわかんねえな。

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