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東方学園の怪談話  作者: アブナ
狂宴の刻
57/82

狂の侵攻

今回はかなり短いです…!

お許しを(>人<;)





「で?


目立ちたくないから博麗神社まで歩いていけっての?」


「いやまあ、そうは言ってないけどさ」


現在レミリアと魔理沙は、紅魔館付近の森を歩いている。

のんびりと、というわけではないが、早足でというわけでもない。

若干早めに歩いている、そんな状態だ。


「こんなペースで行ってたら何時間かかるかわかったもんじゃないわ。低空飛行で飛ばしていきましょう」


「だから待てったら。低空でも迂闊に飛べないんだよ。お前と違って私は飛ぶ時魔力使うだろ?だからそれで逆探されたりしたら怖いんだ」


「そんなことを恐れてるようじゃいつまで経っても辿り着けないじゃない!」


「だから落ち着けって…!焦っても身を滅ぼすだけだろ…!」


「逆にあんたは何でそんなのんびりしてられるのよ!」


「のんびりしてるわけじゃない!単に状況を冷静に判断してるだけだぜ。


考えてもみろ。ここで私らがやられたら帰りを待つ二人が危ねえだろ?ここはゆっくりにでも確実に霊夢と合流することが大事だ!」


そう言われて、出そうとした言葉を飲む。

確かにその通りではある。しかし、一刻も早く紅魔館に帰還したい。如何に紅魔館と言えど、あそこが襲われないとは限らないのだから。


「……わかったわよ。あんたの方針に従うわ」


「やっと冷静になってくれたか……ちょい焦りすぎだぜ?頭を冷やせよ」


「ええ……」


落ち着くため、一度深呼吸をする。

その様子を見た魔理沙は、笑みを浮かべて歩き始めた。


「よし、そうと決まればダッシュだ。レミリア、一つ頼まれてくれないか?」


「…え?」





「──よし、準備完了だ。


さあ、行くぜ!レミリア!」


「…は?」


今現在の状態を端的に言うと。

レミリアの背に、魔理沙が乗っている状態である。


「…あんたまさか……」


「まあまあ、私一人くらい軽いもんだろう?」


「そりゃあ、そうだけど……」


「頼りにしてるぜ、最強の吸血鬼レミリア!」


「ええ任せときなさい!これくらいちょちょいのちょいよ!」


レミリアは意気揚々と走り始める。

ちょろい。そう思った魔理沙なのであった。







「……」


霊夢はアリスの亡骸を埋葬した後、博麗神社に戻っていた。そこで思考を巡らせている最中である。

紅魔館が突如爆発したこと。

突然夜が訪れたこと。

アリスが殺られてしまっていたこと。

明らかに幻想郷の様子がおかしい。

霊夢の中の勘が必死に訴えている。

『異常事態だ、幻想郷の危機だ』と。


「……一先ず紅魔館に向かった方がいいかしら。レミリアが心配だし」


その場を立ち上がり、傍に置いてあったお祓い棒を手に持つ。

紅魔館に向かおうとしているのだ。







「おっ、レミリア!見えてきたぜ!博麗神社だ!流石だな!めちゃくちゃ早いぜ!しかも敵とも遭遇しなかったし!」


「ふふん、当然よ!さあ、さらにスピード上げるわよ!しっかり掴まってなさいよ!」


「え?まだスピード上げれんの?それは流石に速すg((」


あまりのスピードでの移動に、魔理沙は風圧で上手く喋られなかった。




「はい、到着!霊夢!居る!?」


現在レミリア達は、博麗神社の境内の中である。

霊夢がいつものんびりして居る場所にいなかったため、レミリアが控えめに叫んだ。


「おぇっ…まだちょっと気持ち悪い……まるで船酔いをしているような気分だぜ……」


「ったくだらしないわね。しゃきっとしなさい、しゃきっと。あんな程度のスピードで根をあげるような軟弱な奴じゃないでしょう」


「私だって人間だぜ!?限界があるってもんだ!……なあ、そんなことよりさ。


なんか、神社の様子ちょっとおかしくないか?」


言われてみれば、確かに。

何か、妙に暗いというか、靄がかかっているように見える。

それに、何処か違和感があるのだ。

普段の博麗神社からは感じられない、妙な感覚があった。


「……霊夢も出てこないし、もしかすると神社に何かあったのかしら」


「可能性は低くないな。少しこの辺りを探索してみるか」


二人が神社の方に歩いていこうとした、その時だった。


「その必要はないわ」


「「!?」」


その言葉が聞こえたと同時に、周りの景色は一変した。


「…はっ…!?ど、どういうこと!?」


「……嘘だろ……


ここ、何処だよ…!?」


なんと、博麗神社の社や鳥居が消え、木々の生い茂る森の中になっていた。


「貴女達が見ていたのは空間を歪めてそこにあるように見せていた"幻影"。本物の博麗神社はこの真逆の方向です。


ここは霧の湖付近の森。貴女達はちっとも前に進めていなかったのですよ」


「……おでましかい…!敵将さんよ!」


「さ……咲夜…!」


森の茂みから、咲夜が姿を現した。

その目は赤く染まってはいるが、表情は普段咲夜が紅魔館の住人に向けて見せる優しい表情だった。


「ごきげんよう、お嬢様。妹様とは会えましたか?」


「…白々しい質問をするのね…!」


「これは失礼しました。…つまり、事態を把握しているということですね」


突然、咲夜の目付きが変わる。

本気の殺意を持った目に変わった。


「…!!」


「へっ、お前なんかに私らが負けるかよ!」


「さあ、どうでしょうね。あまり私を甘く見ないことです」


「……やるしか、ないのね。咲夜」


「はい、この闘いは避けられません。時期が早まるか遅まるか、それだけです。そう、貴女が正気でいる限り、私は狂い続けるのだから」


「何が言いたいのかはよくわからないけど、いいわ。受けて立つ。


私に勝負を挑んだことを後悔させてあげるわ!」







「さて、準備完了。急いで紅魔館に向かいましょうかね」


霊夢が博麗神社の社から出て、鳥居の方は歩いていこうとする。


──と、その時だった。


コツ、コツ、コツ、コツ……


「…?」


石階段を、何者かがゆっくりと上がってくる音がする。


「誰かしら……?」


そこに現れたのは──。





「こんばんは。


……博麗の巫女さん」





天人、比那名居天子。




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