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東方学園の怪談話  作者: アブナ
学園の日常
48/82

一年B組

お久しぶりです。

書きたい物語はあるけれど、その前に設定等を理解していただきたいと思ったのでしばらく日常パートになるかも笑


一年B組。

それは、多種多様な妖怪が入り混じる、特殊なクラスである。



「──さて、これまでの話の流れを見て内容を読み解いていこう。この物語の主人公は何を思ったのだろう?回答の四つの中から一つ選んでみてくれ」


そういって慧音は黒板に言葉を書き連ねていく。

今は国語の時間。ここは1年B組、レミリアとぬえのいる教室だ。

レミリアが挙手し、問題に答える。


「一番」


「正解!"これから先の困難のことを考えると、先が思いやられて少し不安になっている"…だな」


レミリアは満足気に目を伏せた。

慧音は問題用紙に目を落とし、説明を続ける。


「『降り注ぐ雨は』という描写は、暗にこの先には困難が待ち受けていると見ていいな。そしてそれに続く『絶えず私を濡らし続けた』というのは、主人公の心情を読み取る大きなヒントだ。


妖怪の中には雨が好きな者もいるかもしれないが、人間の界隈では雨はあまり良い印象では捉えられない。そして、その雨が『絶えず濡らし続け』ているのだから、この先もずっとこの困難と戦わなければならないという主人公にとってあまり良い場面ではないとわかる」


黒板に白で書かれた『雨』と『絶えず』という文字を赤色のチョークを使って丸で囲む。


「つまり一番だな。他の回答を見てみると、二番は"先に待ち受ける困難も全て受け入れ、前向きに頑張ろうとしている様子"というのは、まあ違うな。


次に三番。"絶えず降り続ける雨に、この先の困難を乗り越えられると勇気付けられている"…勇気付けられているような場面じゃないのは文脈からわかるから、これも違う。


問題は四番。おそらく間違えるとしたらここだろう。"先の困難に絶望し、生きる意味を見失いかけている"。さっき言ったように、今回の問題では主人公が後ろ向きになってしまっている場面だ。つまり、この四番の回答と一番の回答の二つが当てはまる。何故四番が違うのかは、不安にはなっているが、絶望とまではいっていないからだな。それまでの文を見てみても、生きる意味を見失いかけているなんて描写はどこにもないからな。少し度が過ぎている。


よって答えは一番!合ってたやつはどれくらいいるー?挙手してみてくれ」


そういうと、教室内でレミリアを含め七人程手があがった。


「うん、うん。この問題は少し難しいからな、これくらいが妥当だろう」


尚、少ないのは手があがっていない半数以上が居眠りをしているだけなのだが。

慧音はそれに気付かず熱心に問題を解説している。


「…ねえ、レミリア。問題のレベル高くない?」


「ええ、正直私も少し手間取るからそう簡単に解けるもんじゃないわよ」


「レミリアで手間取るんだから私みたいなポンコツができるわけないんだよなぁ」


「あんた、変なとこでネガティブねぇ…」


レミリアとぬえは隣同士の席である。

慧音にバレないようにヒソヒソと話していた。


「まあまあぬえ、そう卑屈にならずに。私も手伝ってあげるから」


そう言って隣から声を掛けたのは、足元に届きそうなほど長い薄紫色の髪に、紅い瞳を持つ少女。

頭にはヨレヨレのうさみみがあり、服装は女子高生の制服のような姿だ。


「まあ、鈴仙がそう言うなら…っていうかやっぱ鈴仙凄いな、ほとんど正解じゃない?」


「国語は得意分野だからね、そりゃあ正解もするよ」


名は、鈴仙・優曇華院・イナバ。

以前は月の兎であったが、現在は地上に降りて地上の兎を名乗っている。

成績は学園内でもトップクラスであり、毎回上位十人の中に入っているほど。


「あんた、この前のテストでは確か三位だったわよね。フランより頭がいい奴がいるとは予想外だわ」


「フランって確か…レミリアの妹さんよね?今回のテスト何位だったの?」


「六位よ。五位は妖夢、四位は大妖精で二位は射命丸」


「へぇ〜…前々回のは確か二位だったよね?レミリアに次いで」


「ええ。今回は調子が悪かったのかもね」


「ふ〜ん…」


その時、授業終了のチャイムが鳴る。


「しまった、問題全部終わんなかったな…!じゃあ、今日はこれまで!みんなお疲れ様!」







「さて、やっと終わったわね…!思うに、昼休みの後そのまま解散なら昼休みなんて要らないんじゃないかしら」


「それわかる〜、早く帰って遊ばせて欲しいわ」


「ほんとそれよ!まあうちは弁当が美味しいから許してあげるけど、毎回食堂に通わないといけない人とか可哀想だと思わない!?これは革命の時ね!」


「ははは!あ、レミリア。定規サンキュー」


「はいよ」


ぬえは今、レミリアがクラスの男子と話している光景を見て驚いている。


「…レミリア様の面影ェ…」


「だからあれは私じゃないっつの!むしろ前までこうだったでしょうが」


「そ、そういえばそうだったっけなぁ…」


「じゃ、私は妖夢と約束してるから行くね。ぬえ、さっき言ったコツ忘れないように!」


「はーい」


鈴仙が足早に教室を出て行った。


「しかし頭がいい奴で固まるって本当なのね。…いや待てよ、鈴仙が教えてるから妖夢も頭がいいのかしら?」


レミリアが少し考える素ぶりを見せる。

ぬえは密かに気にしていることがあった。

それは、伸介に攫われて数日間休んでいた時の事。

同時にフランもこいしも休んでいたので、かなり心配していたのだ。

しかし、レミリアに話を聞くと『あんたは知らなくていい事だ』といつも言われる。良くて『伸介は何も悪くない』という一言だけだった。

そこで、さりげなく聞こうと思い適当な話題を作ろうとこんな事を聞いてみた。


「…レミリアは最近私とよく絡んでくれるよね。なんで?」


「なんでって、あんたは隣の席だしフランの友達だしからかうと面白いし、絡まずにはいられないわよ。

まあ、あんたは色々とフランを助けてくれているしね。感謝してるとこもあるから……って、何言わせてんのよ恥ずかしい」


冷静にそう答えられる。

やはり知らなくていい事なのだろう。ぬえは余計な詮索は控えようと思った。


「最後の一言は照れ隠しかい?」


「ヒューッ!」


よくわからないノリでじゃれ合う二人。そこへ……


「おい、飯食べようぜ」


食堂で買ってきたであろう唐揚げ弁当を手に、伸介が二人の机の前に立っていた。


「あ、伸介。いつのまに」


「最初からだよ。ただ楽しそうだったんでスルーしてた」


「あ、そうなの。なんかごめん」


「いや別気にしてないぜ?オレとしてはもうちょい楽しんでても良かったけど」


「いや、私もお腹が空いたわ。食べるわよ」


「はいよ」






「……しかしまあよく馴染んだなーレミリアも。最初に比べたら凄いぜ?」


「そりゃあね、私のコミュ力侮らないでよ」


「さすが、レミリア様は違うね」


「伸介…あまり調子に乗らないことね」


「おぉう、ガチになるなって」


「仲良いのか悪いのかわかんないね、二人は」


「仲良いぞ」

「悪いわね」


「「……」」


二人が無言で睨み合っている。

伸介は呆れ顔、レミリアは嘲笑うような顔。

ぬえは一目見てわかった。こいつら、仲が良いどころではないようだ。


「…まあ何でもいいよ」


「そういえばよ、お前らんとこの吹奏楽部何で廃部になったんだ?突然じゃなかったか?」


「…あー、実は吹奏楽だけじゃなくてね。今は殆どの部活が廃部になってんのよ」


「えっ何で?」


「人里の人達が迷惑してんだと。帰りが遅い、夜中に練習していてうるさい、妖怪に襲われる……言い分は様々ね」


「あー…半分人間だから何となくその気持ちはわからんでもないが……」


「えっ、伸介もう半分は何なの?」


ぬえはこの話は初耳である。


「あれ、お前知らなかったっけ」


「全然わからん」


「オレ、吸血鬼と人間の雑種なの」


「デジマ!?」


「マジよ」


「し、知らなかった…!」


「まあだからどうしたって話だがな。でもそのおかげで日の光に強いのよ」


伸介は相変わらず気怠そうに話す。

三人で話していると、教室の横をフランとこいしが通っていくのが見える。


「あ、フランとこいしだ」


「どこ行ってるのかしら。フランは弁当あるから食堂には行かなくていいだろうし」


「多分こいしが忘れたんだろ。前そんな感じでちょくちょく食堂で食ってるの見かけた」


「へぇー…あ、そういえばこいしも今回随分成績良かったよな。何でだろ?」


「さあね、フランに教えてもらったんじゃない?」


「あいつ戦闘の時の賢さとんでもないからな。その気になれば勉強も簡単なんだろ」


言われてみれば確かに、こいしと弾幕ごっこや演習をしていると、行動の諸所に頭脳的な一面が見られるような気がする。

変則的な弾幕を展開したと思いきや、次の瞬間に的確に対象を狙ってきたり、大きな弾に紛れてナイフ型の小さな弾幕を撃ってきていたり。

計画的に、敵を追い込んでいっている感じだ。


「確かに凄いよね、戦闘の時のこいし。普段の時とのギャップとかも」


「本当にね。普段おちゃらけてるからその分戦闘時の真面目さにびびるわ」


「まあ真面目なのは本気の勝負の時だけっぽいけどね。弾幕ごっこの時とかは基本ふざけてるよ」


「ふ〜ん…」


「ところで、そろそろ昼休み終わるぞ。早く食べとけよ」


「そりゃあまずい!」


レミリアが急いで弁当の残りを食べ始めた。

ぬえもそれに続くように急いで食べ始める。


「オレはお茶でも飲んどくか…」






昼休みが終わり、帰りのホームルームが始まった。

担任の藤原妹紅が、明日の予定について話している。


「明日は普通通りの時間割だ。体育…といってもこのクラスは妖怪しかいないから弾演って言った方がいいか。それもあるから忘れないようにな!」


『はーい』


「よし、それじゃあ終わろうか。号令!」


「きりーつ」


射命丸がそういうと、クラスの全員がバラバラに席を立ち始める。

中には喋りながら立つ生徒もいた。

妹紅はとくに注意はしない。慧音はこの辺は妙に厳しいためよく注意してくるらしいが。


「気をつけ、礼!」


『さよーならー!』


生徒達は途端に荷物を持って勢いよく教室を出ていく。

中にはゆっくりと出ていく者もいた。

レミリア達は後者である。


「はーっ終わった終わった!さ、帰るわよ」


「はいよー。フランはいいのか?」


「ええ、呼んでもいいけど学校では私より友達といる方がいいと思うからね」


「ふーん、お前も意外と考えたんだな」


「意外ととは何よ、意外ととは!」


「早く帰ろーよー!」


「あ、ごめんぬえ、今行くわ」


今日も波乱万丈の一日だったな。

ぬえはそう思いながら、その日の帰路についた。



ちなみにぬえがフランに好意を抱いている事は聖以外誰も知りません。

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