希望を乗せて
あけましておめでとうございます。
年末年始は色々と忙しいですねぇ。
それはそうと今回もパクリ案件が発生しています。
「ねえフラン。ちょっと二人で話さない?」
「ん?別にいいけどどうして急に?…あ!…何かする気でしょ」
「ちょっと疑ってかかりすぎじゃない…!?私お姉ちゃんなんですけど…!?」
「日頃の行いが悪いんだよ、お姉様は」
「カァーッ!辛口だねぇ妹様は!」
「事実を述べたまでですぅー!」
「…別に何もしないわよ。戦う前の気分転換って奴?」
「…うん。いいよ」
あの時、何を話したんだっけ。
こんな時に思い出すんだからきっと重要なことに決まっているのに、思い出せない。
…そういえば、二人っきりで話したのってあれが久しぶりかも。最近フラン、友達と良く遊んでいるし。
──うん。よかった。最初は知ってる人にしか心を開かない子だったから、どうなる事かと心配したけど
これなら、いつもすぐそばに私がいなくても大丈夫ね。
金属の交わる音がする。
それは、何度も何度も聞こえてくる。
ガキィンッ!
「やぁっ!」
「ははっ!」
レミリアとクロが、激しい攻防を繰り広げているからだ。
「やるじゃないか!ここまで楽しめる戦いも久しいぞ!」
「さっきも言ったけど、私は楽しむつもりはないわ!」
「構わんさ!これはこっちの問題だからな!」
クロがレーヴァテインを振るう。
レミリアはしゃがんでそれを躱し、グングニルで反撃する。
クロは飛び上がって躱し、魔法陣を展開する。
「射撃」
魔法陣から紅い光弾が発射される。
「ふん!」
レミリアはグングニルでそれを全て弾き飛ばす。
レミリアもクロを覆うように弾幕を放つ。
「この程度の弾幕を避けられないとでも思うか!」
クロは軽々と弾幕を避け切った。
直後──
ヒュッ
「!!」
ガキィンッ!
「っとぉ…!危ない危ない」
「ちっ…!」
レミリアがグングニルを構えてクロに向かって突進してきていた。
クロはそれをギリギリで防ぐ。
「それっ!」
クロがレミリアの腹部に右足で蹴りを入れる。
地面に叩きつけられた。
クロはそこに突進していき、腹部を殴って追撃した。
「ぐはっ…!」
「そらっ!」
今度は上に蹴り飛ばされる。
クロはレミリアが飛んでいく方に先回りしてレーヴァテインを構える。
「真っ二つに切断するか!」
「…思い通りに…!」
「!」
「なると思うなァ!!」
レミリアが魔力による爆発を起こす。
全身から凄まじい衝撃波が放たれた。
「おっと!」
クロは高速で移動して範囲外まで逃げる。
「あんな技があるとは。しかしあれは自爆とは違うな」
−全身から魔力を放出・爆発させ、辺りに衝撃波を発生させるものか。
咄嗟にやられると回避が難しいな……注意せねば。
その時、クロは背後から何者かの気配を感じる。
「!?」
振り向くと、そこにはレミリアがいた。
グングニルを持っていない。
レミリアが右手の拳を振るってきた。
クロはそれを冷静に躱し、そのレミリアを真っ二つに切り裂いた。
「蝙蝠分身だな。グングニルを持っていない」
すると、今度は四方八方からレミリアが現れる。
「…ほう?一度にたくさん分身を出すこともできるんだな」
レミリア達が一斉に襲いかかる。
「…ふん」
後方から来たレミリアを右に少し逸れて躱し、レミリアが通り過ぎる瞬間に腹部を切り裂いた。
さらに斜め前方から来るレミリアはレーヴァテインを頭に突き刺して倒す。
右側から来たレミリアを宙返りで避け蹴り飛ばし、同時に来た前方のレミリアをレーヴァテインで切り裂く。
「…ラチがあかないな。さて」
クロが抜刀術のような構えを取る。
「この構えを、オレは知っているぞ」
次の瞬間には、レミリア達は全員斬り伏せられていた。
「…彼女の体が馴染んできているのがわかる…!」
「はぁっ!!」
本物のレミリアがクロの頭上に現れる。
グングニルで頭目掛けて攻撃してくる。
ガキィンッ
「!」
クロはそれを見向きもせず防ぐ。
「お前との戦いは実に有意義だった。
もう充分だ」
「なっ…」
クロがその場から消える。
そして次の瞬間、レミリアの背後に現れた。
「終わりだ」
クロのレーヴァテインが、レミリアの首に向けて振るわれる。
ガッ
「…!?」
レミリアが、クロがレーヴァテインを振るっていた右腕を抑えた。
「何を驚いているの?そんな眠ってしまいそうな鈍い動きでこの私を倒せるとでも?」
「…!」
−掴まれる瞬間が見えなかった。こいつ、いつの間にオレの右手を掴んだ?
「ここからは私の番ね」
「…さて、それはどうかな?オレはまだ本気を──」
クロが喋ろうとしたその時。
ドッ!
「!?」
クロが吹き飛ばされた。
レミリアがグングニルの柄で殴り飛ばしたようだ。
レミリアが超高速で移動して、吹き飛ばされるクロに追撃を入れている。
クロは吹き飛ばされながらあらゆる方向から来る攻撃を、全く防ぐことができなかった。
「ぐっ…!」
「ふん!!」
ドゴォッ
「ガッ…!!」
レミリアがクロの腹部に右足で踵落としを入れている。
クロは地面に勢いよく叩きつけられた。
「ちっ…!」
ドッ!!
「ぐおっ!?」
クロがまたも吹き飛ばされる。
レミリアが背後から蹴り飛ばしていた。
先回りして今度は斜め上空に蹴り飛ばす。
「ぐっ…!おのれ…!!…!?」
クロが吹き飛ばされながらレミリアの方を見る。
しかし、既に先程までいた場所にレミリアはいなかった。
レミリアは既に、クロの背後にいたのだ。
ドゴォッ
「ぐおぉっ…!!」
クロの背中に膝蹴りを入れる。
さらに足を掴んで地面に向けて投げ飛ばす。
勢いよく地面に叩きつけられた。
「ぐっ…!!」
ヒュッ
ドゴォッ!!
「ガァッ!?」
そこにレミリアが勢いよく降りてきて、右足でクロの腹部を踏んづけている。
「…どうした?さっきまでの勢いは何処へ行った」
「…ぐっ…!!」
レミリアがクロの腹部を踏みつけたまま、煽るようにそう言った。
「…馬鹿な…!」
「あんたの誤算を教えてやろうか?」
「…誤算だと…!?」
「その体の強さはな!!」
「!!」
レミリアが足をどけて、クロの頭を掴み上げる。
頭突きをクロの顔に入れ、手を離す。
左足で蹴り上げ、すぐにクロの目の前まで移動し、クロの顔を左手で掴む。
「私の妹、フランドールが長い戦いの歴史で築いた強さ…!
あんたにとっては所詮借り物!」
レミリアがクロを地面に叩きつける。
そのままどんどん力を強めていく。
「ぐがっ…!!」
クロの頭蓋が鈍い音を立てて潰れ始める。
「あんたみたいな奴には使いこなせない、吸血鬼の真の力があるんだよ!!」
レミリアのあまりに強い力に、地面が割れた。
レミリアはクロの顔を離し、また頭を掴み上げる。
「…何故…これ程までに力の差が…!!」
「…それはあんたが偽物で」
クロを蹴り飛ばす。
追撃はしなかった。
クロは体勢を何とか立て直す。
「この私が真の吸血鬼……レミリア・スカーレットだからよ」
レミリアから膨大な魔力が溢れ出す。
「……」
「…そろそろ終わりにしてあげるわ」
「…くっくっくっ
はーっはははははははは!!」
クロが高笑いをあげる。
「…?」
「素晴らしいなぁ…!やはりお前は強い!
だからこそ、オレはさらなる高みへと昇る事ができる!」
ドンッ!!
「!?」
クロの魔力量が、一気に膨れ上がった。
「さあ、もっと…もっとだ!レミリア!!ははっ!はははははははは!!」
「…ッ…!なんていかれた奴…!!」
一方、こいしとイザベルの方は…。
「そらっ!」
「わーっ」
こいしがふざけながらイザベルを遇らっていた。
「…貴様、どういうつもりだ!」
「どういうつもりも何も、攻撃したって体力の無駄でしょー?だから避けることに専念してるのー」
「…ふん」
イザベルが魔法陣を展開し、そこから複数の光弾を発射した。
しかしこいしは避けようとせず、刀剣開放による双剣で全て斬り伏せた。
「…何故避けなかった?」
「今の魔法弾だね。それも追尾型の」
こいしはその弾の性質を一瞬で見抜いていたようだ。
「…なるほど、どうやら私はお前を見くびりすぎていたようだ。お前は相当強いようだ」
「そりゃあどうも〜。心にもない事言っちゃって」
「ふん、その減らず口さえ無くなればそれなりに楽しめたのだろうがな!」
「!」
イザベルが大量に魔法陣を展開する。
こいしはそれに囲まれていた。
「…わー…!意外と綺麗」
「見惚れている場合ではないぞ?さあ、どう避ける」
魔法陣から光弾が発射される。
「……」
光弾がまさにぶつかるというその瞬間、こいしは不敵な笑みを浮かべた。
「…!?」
ドオオオオオオオオンッ!!
光弾が爆発した。
「……」
−何だ、奴の今の笑みは。
「私、メリーさん。今あなたの後ろにいるの」
「!!?」
耳元でそう囁かれた。
すぐに振り返るが、そこには誰もいない。
「私、メリーさん。今あなたの目の前にいるの」
次の瞬間、こいしが目の前に現れる。
そして、何故か視界が二つにずれているように見える。
「…あっ?」
「ま、どうせ再生しちゃうんだけどね。ちょっとでも怖がっていただけたでしょうか!」
イザベルの体は、縦に真っ二つに切り裂かれていた。
しかし、すぐに再生された。
「……!」
−一瞬何が起こったのかわからなかった。何だ…今のは。
「…それと一つ収穫があったね。
貴女は自分に何が起こったのかわかっていない時は、再生する事が出来ない」
「…!!」
「ねえ、そこんところどうなんです?」
「…ふん、そんな訳でなかろう。今のはただ、私の再生のスピードが遅かっただけだ」
「あら、そう?じゃあ貴女の右耳が再生してないのは何故かしら?」
こいしがイヤリングのついたイザベルの右耳を右手に持っていた。
「!?」
右耳を確認してみると、確かに右耳は再生していなかった。
そして、今再生された。
「吸血鬼の再生の仕組みは、再生させたい箇所に微量の魔力を送る事で再生するらしいね。前にフランから聞いた。
貴女の場合、それを無意識にやっていた。『無意識を操る』私の能力ならそれを封じる事ができるみたいだよ」
「…!!」
「…とは言っても、完全に殺しきるのは無理そう。確かに一瞬再生を遅らせられるけど、貴女は塵一つ残ってなくても再生できるわけだし、少ししたらまた生き返っちゃうんだろうね」
「……」
こいしは不敵な笑みを浮かべたままだ。
「でも、もう終わりだね、貴女も」
「…何?」
次の瞬間──
ドパァンッ
「…?」
イザベルの視界が真っ暗になり、思考も停止された。
しかし体の感覚はある。
「お待たせ。遅かったかな?」
「ううん、バッチリ!ナイスタイミングだったよ。じゃあ霊夢呼んでくるね」
「了解。この状態はあと五分くらいしか持たないから急いでね」
「はーい」
何が起こったのかわからないが、こいしと何者かが話していた。
しかしイザベルは、意識だけあるという状態で体は全く動かせないし考えることもできない。
その状態のまま数分が経ち、今度は三人の声が聞こえてきた。
「お待たせ〜」
「悪いわね…あいつに負けちゃって…」
「仕方ないよ、あいつ戦う度にパワーアップしちゃうみたいだからさ」
「そうなの!?じゃあさっさととどめ刺せばよかった…」
「弱らせようとしたのが敗因かな。まあでも惜しかったと思うよ?」
「話してるところごめん、あと二分しかないから急いで!」
「あ、ごめん!じゃあ霊夢、やっちゃって!」
「ええ」
そこで漸く、イザベルの視界と思考が戻った。
「…ん?」
「──告げる」
霊夢が封魔針を持ってなにかの詠唱を唱えている。
体は全く動かない。霊夢の隣には、こいしもいた。
妙だった。
自身が何かに縛り付けられているのだろうかと思ったが、そういうわけでもない。
だが、体は全く動かない。
「私が葬す。私が逝かす。この手を逃れうる者は一人もいない。この目の届かぬ者は一人といない」
イザベルは自身の体を業火に焼かれるような痛みに襲われる感覚を感じた。
同時に、体を洗われるかのような感覚に陥る。
霊夢の詠唱は止まらない。
「打ち砕かれよ。
敗れた者、老いた者よ、我が身に委ね、我が詩に学び、我が軌に従え。
休息を此処に。唄を忘れず、祈りを惜まず、私を忘れず。私はあらゆる重みを忘れさせる」
「あぁ…あぁあああああァアアアァアアあぁぁああアアァアアああああぁあああ!!!!」
地獄の苦しみだった。
耐えきれず叫びをあげる。
しかしこの苦痛は無くならない。
「惑うことなかれ。
赦しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、光あるものには宵闇を、生あるものには暗い死を。
休息は神の御手に。其方の罪に炎を灯し印を記そう。
永遠の命は、死の中でこそ与えられる」
痛みは全く無くならない。苦しみは少しも治らない。
しかし、奇妙な感覚だった。
今まさに、この世の地獄を味わっているというのに……。
──まるで、天に昇るかのような。
眩い光が、自身に差し掛かっている。
「──許しはここに。天秤に委ねし棺を私が示す」
−ああ──。
これが私の……終点か──
「──此の魂に哀れみを」
霊夢が封魔針を投げる。
「どうか安らかに。…貴女に、安らぎがあらんことを」
最後に見えた光景は、穏やかに微笑む、霊夢の姿だった──。
イザベルの体は、燃え尽きた灰のように白くなっていた。
封魔針が刺さると、イザベルの体はボロボロと崩れた。
再生の兆しはない。
イザベルは、完全に死んだのだ。
「…浄化、終わったわよ」
「…一つ、ツッコンでもいいかな?」
「何?」
「めっっっちゃキリストじゃない?」
「仕方ないじゃない、相手吸血鬼なんだから」
「あっそういうこと?」
「相手によって通用する浄化は変わってくる。今回はそれがたまたまこれだったってだけ」
「なるほどね……それじゃあ、レミリアの方、行こうか。……そっちは、もう少し残っていく?」
こいしが、イザベルの亡骸を見つけるもう一人の人物に話しかけた。
「……ううん、すぐに行くよ」
ガキィンッ ガキィンッ!
ドゴォンッ
「…ッ…!」
レミリアが押されていた。
「…さっきは少し興奮してしまってすまなかったな。だがお前には感謝しているぞ?これ程までの力を手に入れられるとは思わなんだ…くくくっ」
「…!あんた、やっぱり…打たれれば打たれるほど、強さが高まるってわけね…!」
クロが不敵な笑みを浮かべる。
「敵の攻撃により生じたエネルギーを取り込んで、それをパワーに変える……あんたの呪術の一つね…!」
「ご名答、さすがはレミリアだ。しかし、元のオレの体ではその急激なパワーアップに耐えられなくてな。フランドールの体を得た事で漸く完成した呪術さ」
「…霊夢が負けた理由も理解できたわ……そんなチート能力を持っていたなんて…!」
「おっと、運命操作を行える奴に言われたくはないな。…とは言っても、そこまで効力はないようだが!」
ドゴォッ
「ガッ…!!」
クロがレミリアの腹部に強烈な蹴りを入れていた。
レミリアが吹き飛ばされる。
「…くっ…!!」
「お前はよく戦った。ここまでオレを追い詰めるとはさすがだな。
さぁて、とどめと行くか」
クロがレーヴァテインを左手に持ち替え、右手に魔力を収束させる。
右手からは紅い光が放たれている。
やがてそれは刃に変わった。
その刃をレーヴァテインの先端に突き刺す。
「…!?」
刃を引き抜くと、刃を象っていた魔力が全てクロの右手に戻っていく。
「……この右手にあるのは破壊そのもの。レーヴァテイン、破壊の力、オレ自身の強化魔法、フランドールの魔力。
それら全てが混ざり合い生まれた究極の一撃だ」
クロの右手から、赤紫色の禍々しいオーラが放たれている。
「この手で掴まれたら最後、粒子レベルで木っ端微塵だ」
クロがゆっくりと歩いてくる。
「……」
レミリアは立ち上がり、空を見上げた。
相変わらずドス黒い雲が空を覆っている。
「……私にも、意地ってもんがあるのよ」
レミリアが左手でグングニルを空に掲げる。
「…イザベル。私はもう二度と、あんたにだけは、負けたくない」
バリッ
「…?」
グングニルから、電流のようなものが流れ始める。
「私の全てを賭けて……!」
バリバリッ バリバリバリバリッ
「あんたを倒す!!」
空から雷が落ちてくる。
それが、レミリアに降り注ぐ。
「…何…!?」
グングニルが、雷を纏っていた。
レミリアからも、紅色の稲妻が走っている。
「絶望の後には、希望が待つ!」
グングニルを背中に回し、構えを取る。
「…面白い。貴様は全力、受けて立とう」
クロも同じように右手を背中に回した。
クロの右手から魔力が放出される。
ドンッ!!
二人が同時に突撃していく。
「ウオオオオオオオオオ!!!」
レミリアは叫びを上げながら。
クロは、笑みを浮かべながら。
「…ねえ、フラン。私はさ、ちゃんと姉らしい事、出来てる?」
「…何?急に。二人っきりで話したい事ってそれ?」
「そうじゃないけど、少し不安だから、さ」
「……そうだね。姉らしい事、か」
「……」ゴクリッ
「…うん、ぜんっぜんダメ!何一つ出来てない!」
「えぇ!!」
「まず妹の私に発情してる時点でもうダメ!」
「そんな!」
「まずお姉様は威厳というものが皆無。かりちゅまって言われても仕方ない」
「そ、そこまで言われるとショックですなぁ……たはは…」
フランは私の目の前まで来て、私の両肩を掴んだ。
「…でも」
「フ、フラン?」
「いざって時にはとっても頼りになるし、館のみんなにいつも笑顔を与えてくれる。
私は、そんなお姉様が大好き」
フランが笑顔でそう言ってくれた。
「…フラン…」
「さっき全然ダメって言ったけど、姉らしい事なんて、これまで何回もしてきたじゃん。廃校の時も助けに来てくれたし、これまでもたくさん私を支えてくれた。…まあ、お触りしてくるとは許容範囲外だけど」
「で、ですよね」
「…ま、それはそれとして。館のみんなもお姉様についていきたいって思えるのは、お姉様に『カリスマ』があるからなんだろうね」
「……」
「だからそんなに不安そうな顔をしないで。お姉様はもっと自信たっぷりでどかっと構えてる方がお姉様らしいよ」
「……あーあ、また姉らしい事できなかったわね」
「ちょっとー。そんなつもりで言ったわけじゃないのに」
「ふふっ、わかってるわよ。…ありがとうね、フラン。やっぱり私、貴女が妹で本当によかったわ」
「…私も、貴女が姉で本当によかったよ。レミリアお姉様」
「よし!気持ちの整理もついた!あとはあいつをぶちのめすだけ!あんな奴瞬殺よ!瞬殺!」
「その意気だ!やっちゃえお姉様!返り討ちに合わないようにね!」
「縁起でもない事言うなぁ…!」
「ふふっ!……負けないでね、お姉様」
「…ええ、絶対に負けないわよ。約束する。
勝って貴女のその呪いを解いてあげるわ。必ずね」
約束したんだ。
絶対に負けないって。
だから……私は……!
「私は負けない!!」
カッ
二人を中心に、辺りを激しい光が包んだ。
今回のは流石にまずいか…?
ま、まあ許されるよ、ええ。




