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東方学園の怪談話  作者: アブナ
絶望の未来篇
41/82

我等が誇りは此処に在り

またまた更新が遅くなってしまいましたね

いや、これくらいが普通なのか?

まあ何にせよ、更新を待っていただいている人がいるならば、遅くなって申し訳ないです!



「…!?霊夢がやられてる…!?」


レミリアは、イザベルと対峙しながらクロと霊夢の対決の様子を横目で見ていた。


「まさか、夢想天生を破ったというの…?一体どうやって…」


−あのままじゃ霊夢が…!


「よそ見をしている場合ではありませんよ!」


「!!」(しまっ…!)


イザベルが突撃してくる。既に目の前まで来ていて、攻撃を避けることは難しそうだ。

レミリアはグングニルを盾にしようとしたが間に合わず、イザベルの攻撃がレミリアに当たる

……かと思われたが。


ドゴォッ!!


「ガッ!!」


イザベルが右に吹っ飛んでいった。


「…!?」


「あんまり油断しちゃダメだよ」


こいしが左足でイザベルの右脇腹を蹴って吹き飛ばしていた。


「…悪いわね」


「あいつは私が抑えるよ。レミリアは霊夢の援護に行ってあげて」


「…!…こいしは…いいの?」


「友達より、姉の手で終わらせるべきだよ」


こいしはイザベルの方へ向き直る。

そして、ちらりと少しだけこちらに顔を向け、微笑みを浮かべて言った。


「私の分までよろしくね」


「…ええ、任せなさい」


直後、イザベルが建物の瓦礫から出てくる。


「さ、行って」


「了解!」


レミリアが高速で飛んでいった。


「…逃したか…」


「次は私が相手だよ」


「…ふん、貴女に私は倒せないと思いますがねえ」


「さあて、どうかな。やってみないとわかんないよ」









「…くっ…!」


「先程までの自信とは打って変わって弱腰だな?博麗の巫女。


さて、とどめはどう刺して欲しい?リクエストに応えててやろう」


クロが霊夢の少し手前まで歩いてくる。

霊夢は何も出来ずにいた。


−予想以上に体力を使ってたみたいね……失敗したわ……


「……見逃すっていうのは、ないわよね」


「ないな。お前はここで終わりだ」


「やっぱりそうよね…なら……


あんたが死になさい!」


霊夢が手を合わせると、霊夢の背後から大量の札が出現し、それがクロに向かっていく。


「……」


クロが右手を霊夢に向けて翳す。


カッ


「え?」


激しい光が起こる。あまりの眩しさに、霊夢は思わず目を瞑った。

瞬間、霊夢は自身の体が凄まじい熱に包まれる感覚を覚える。

何が起こったのかはわからないが、自分は攻撃を受けているということは理解できた。

そして理解した次の瞬間、意識を失った。




「本来のお前ならこんな攻撃通用しないのだろうがな」


クロは右手からエネルギー波を放っていた。

霊夢はそれに飲み込まれて吹き飛ばされたのだ。


「だが弱っている状態の貴様なら、こんな攻撃でも通じる。何せ人間だ、体力には限界がある」


霊夢は街の建物に吹き飛ばされ、力なく瓦礫に凭れている。

その目に光はなく、意識を失っているとすぐにわかった。


「…これで終わりか。しかし実に素晴らしい奮闘ぶりだった。このオレを相手にあそこまで互角に戦えたことは褒めてやろう。

しかし如何に強くとも所詮は人間。今のオレに敵うはずもない。体力が限界に達した時点でオレの勝ちは決定していた」


実は霊夢は一度目の夢想天生を発動し終えた時点でほぼ体力的には限界に達していた。

戦いの最中ではそれを伺わせないように繕っていたが、やはり肉体は上手くいうことを聞かなかったようだ。


「でなければ、もっといい勝負だったのだろうがな。下手をするとこちらが負けていた可能性も無くはない。…まあ、どうとでもなるだろうが」


クロが右手に刃を作り、霊夢に振りかざす。


「さらばだ、博麗の巫女。これを言うのは二度目だが……お前はいい味の前菜だったぞ」


笑みを浮かべながらそう言うと、霊夢に向けて刃を振り下ろす。





──刹那。


ガキィンッ!!


「…やはり来たな、レミリア」


「……」


レミリアがクロの刃をグングニルで防いでいた。

少しの間沈黙が続く。

クロは相変わらず怪しい笑みを、レミリアは真剣な眼差しでクロを睨みつけている。



「お巫山戯が過ぎたようね、クロ」


「巫山戯るくらいが丁度いいのさ」



ガキィンッ!


刃を弾き、即座に攻撃に移る。

クロに向けてグングニルを振るった。

クロはそれを躱し刃で反撃する。

レミリアはグングニルでそれを防ぐ。


競り合いはせず、クロは一旦後ろに下がった。


「ふっ、さすがは"お姉様"だ。紅悪魔になったのだなぁ」


「あんたの戯れ言に耳を貸すつもりはないわ」


「何だ、釣れないな。…しかしまあ、それは当然か。くくっ」


姿だけでなく、声も全く同じ。

レミリアはクロが喋ることにすら、怒りを感じ始めていた。


「……霊夢、少しそこで寝ていなさい。こいつは私が引き受ける」


「貴様がこちらに来たということは、イザベルの奴はおそらくこいしに抑えられているのだろうな。…さて」


レミリアがグングニルを構える。

クロもそれに合わせて臨戦態勢をとった。


────。


しばらくの静寂が訪れる。

そして……。


ザッ


先に動いたのはレミリアだった。

グングニルでクロの顔を突く。

クロはそれを顔を右に逸らして躱し、レミリアの懐に潜り込んだ。刃を作りレミリアの腹部を狙う。


レミリアは刃を作っている右手を左手で抑え、右足でクロの顔を蹴った。


「ッ!」


「ふんっ!!」


さらに追撃の右手で殴り飛ばす。

レミリアはクロの後を追うように飛んでいく。


「はあっ!!」


左手でクロに追撃を入れようとした時、クロはその左手を右手で掴んだ。


「そらっ!」


クロはレミリアの左手を両手で掴んでレミリアを振り回す。

地面に向けて投げ飛ばした。


「ちっ!」


地面に落ちる前に羽を羽ばたかせて停止する。

クロの方を見ると、既にクロはいなくなっている。


「…そこ!」


レミリアが自身の左方向に向けてグングニルを振るう。


「!!」


そこにはクロが移動していた。

咄嗟に刃で防御する。


ガキィンッ!!


「ふん、甘いわね…!」


「…なかなか、やるじゃないか…くくっ」


二人が迫り合っている。


「ぐぐっ…!」


「…ふん」


クロが刃を消した。


「!?」


レミリアは突然刃を消したことで体勢を崩す。

クロはそこに右手で腹部を思い切り殴り付けた。


「がっ…!!」


「終わりだ」


ドスッ


「…な、にッ…!?」


クロがレミリアの腹部にある右手から刃を出現させている。

刃がレミリアを貫いていた。


「こんなやり方もあるのさ…」


「ぐっ…!!」


「この刃には破壊の力が乗っている。この傷はしばらく再生はしない。

…羽を痛めた蝙蝠を捕らえるなど、容易いことだ」


クロが刃を消そうとした、その時。


「…?」


レミリアが不敵な笑みを浮かべている。


「……」


怪しく思ったクロは、敢えてそのまま動かなかった。


「しかしこの程度で怯むお前ではないのはオレもよくわかっている。…さて、これからじっくり甚振ってやろう」


「あまり調子に乗らないことね」


「何?」


直後、クロは背後から何者かの気配を感じる。

刃を即座に消し、瞬時に別の場所に移動する。

そして、レミリアの方を振り返る。


「…レミリアが二人だと?」


先程まで刺していたレミリアと、今クロの背後から攻撃してきたレミリアの二人がいた。


「蝙蝠分身って知ってるかしら?」


「蝙蝠分身だと?」


「やはり知らなかったわね。…お父様は使えなかったもの」


「…つまり、先程オレが刺したのは分身、ということか」


「そういうこと。…しかし本当に隙がないわね。昔のあんたとは大違い」


そういうとクロは僅かに顔をしかめる。

そして、また不敵な笑みを浮かべた。


「まあ、吸血鬼の体だからというのもあるだろうよ。それに…」


「…それに?」


「…ふっ、いやぁ、言う必要もないことだ。さあ、続きをやろうか」


「…ふん」


クロがレミリアに突撃していく。

レミリアはグングニルを構える。


クロが刃を振るう。

グングニルでそれを防ぐと、懐に潜り込んで左手で突き刺すように攻撃する。


クロはそれを身を翻して躱し、刃で攻撃する。

レミリアは瞬時にクロの背後に移動し、グングニルでクロを攻撃する。

クロはすぐに振り返り刃で防ぐ。


「ははっ!楽しくなってきたな!」


「私は楽しむつもりはないけど!」


クロとレミリアが目にも留まらぬ速さで打ち合っている。

レミリアは防御に徹しているが、それは相手の出方を見ているだけで押されているわけではない。


ピシッ


「!」


その時、クロの刃に僅かだが罅が入った。

クロは刃を消して、後退した。


「…なるほど、想像以上に強くなっているな。よもや我が刃に罅割れを入れてしまうとは」


「ふん、言っとくけどあんたのその刃の方が異常なんだからね。これだけグングニルと打ち合って傷一つ出来ていなかった方がおかしいのよ」


「ふん…オレの魔力を集中させ、高密度の魔力で構築されているのだ、そう簡単に壊れてもらっては困る。……さて、こうなってくると本気を出さざるを得ないか」


「…その前に一つ、聞かせなさい」


レミリアがそう言うと、クロは動きを止めた。


「…何だ?」


「貴女の目的は一体……なんなの?」


クロはその言葉に、少し考える素振りを見せる。

そして、また笑みを浮かべてレミリアの方へと向き直る。


「オレの目的か……そうだな、簡単に言うならば……


『我が一族の悲願を叶えること』……かな?」


「…我が…一族…?」


「そう…我が一族、『エレヴァルト』の無念…そして叶えられることのなかった一族の長年の悲願の達成。


それこそが我等の目的だ」


「……あんたらの『悲願』ってのは?」


レミリアがそう言うと、クロはさらに邪悪な笑みを浮かべる。




「…知れたこと。



全人類の抹殺だよ」








次回はついにイザベルの目的や正体がわかります

お楽しみに!

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