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東方学園の怪談話  作者: アブナ
序章 東方学園へ
4/82

矢坂伸介




「フラン、下剋上って具体的にはどうするの?」


「そうだね……まず、テストの点数だとか体育祭の結果とかで、お姉様以上の結果を収める事かな」


「なるほどー……でもテストなんてまだまだ先でしょ?」


「うん。けどね、もうすぐ体育祭があるんだ。それでお姉様に勝てればいいなって思ってる」


フランが椅子から降りて、ローブを取った。

そして、校門の方へと歩き出した。


「まあいきなり言われても困るだろうから……また明日ね。私はそろそろ帰るよ」


「おう、お疲れフラン〜」


「……」


フランはどうやら鬼達と面識があったらしい。

私はこの事実に驚いた。

そしてもう一つ……。


「うーっす…あれ、お帰りかいフラン」


「伸介……ええ、今から帰るとこ。そこにいる緑色の髪の子はこいし、私の友達だよ」


伸介と呼ばれた少し背の高いセミロングの黒髪の男が現れた。

左手首にだけ黒いリストバンドをはめていて、服装は、フードのある半袖の灰色の上着に、中に黒いTシャツを着ていて、下には亜麻色のズボンを身に付けている。

ポケットに手を突っ込んで、澄ました顔でこちらを見ている。


「ふーん…あ、俺、矢坂やさか伸介しんすけっていう奴ね。よろしく」


「あ、うん。初めまして、私は古明地こいしって言うの」


「あーその名前知ってるような気がすんなぁ…えーっと何だっけ……」


伸介が頭をぽりぽりとかいて、目を閉じる。

五秒ほどは伸介はそうしたままだった。


「…?」


「ん!」


「うおっ」ビクッ


すると、急にカッと目を見開いた。

それに私は驚いて少し身を引いた。


「……」


「……な、何…?」




「…忘れた。もういいや」


「何だそれ!!」


伸介はそのままフランの座っていた椅子に向かっていく。


「ぷははっ、相変わらずだね伸介は」


フランが面白そうに笑いながらそう言った。


「おーよ、平常運転でーす」


伸介は、ポケットから一つ棒飴を取り出した。


「一個食べる?」


私にそれを差し出す。


「え、いいの?」


「おう、もう一個あるし」


もう片方のポケットからまた棒飴を取り出した。


「ちなみにそれミカン味。オレはイチゴ味が好きだから渡さねー」


「えぇー私もイチゴ味好きなんだけどなぁー」


「ダメだ、渡さない」


「そこを何とか!」


「お前は自分の好物が目の前にあって、それをくれと言われてあげるか?」


「あげな……いや、あげる!」


「嘘つけ」


そう言って伸介は飴を口に入れた。


「ちぇーケチ」


「飴あげただけでも感謝しやがれこのやろー」


「おー何だ矢坂、お前が人に飴あげるなんて珍しい」


「なーんか今日何故か機嫌良くてねー。つーわけでお前らの分もあるぞい」


そう言ってポケットから飴を二つ取り出し、軽く投げて二人に渡した。


「おーサンキュー!…ブドウかい、結構好きだよ」


「私はモモ味だー!いいねー!」


「おーいフラン。お前の分もあるぞー、ほれ」


伸介がフランに向けて飴を投げた。


「!…どうも」


「おー、気をつけて帰れよー」


フランが校門から外へ出て行った。


「……」


「…お前さん、フランのお友達なんだってな」


伸介が真剣な顔付きでフランの後ろ姿を見ていた。


「!うん」


「あいつの事、大事にしてやってくれよ」


「…え?」


「あいつな……前に紅魔館で結構悲しい思いしてんだよ。…深くは言わねえけど、すっげえ悲しくて辛い事だよ、多分オレなら精神ぶっ壊れるくらいに辛い事だ」


伸介がフランの後ろ姿を目で追いながら、そう言った。


「…うん」


この時、私はどうしてそんなことを伸介が知っているんだと疑問に思ったがここでは聞かなかった。


「…まー、あいつもそんなヤワじゃねーしな……大抵の事は笑って流せんだけど……」


そこで伸介は、話を止めた。


「あー悪ぃ、変な話しちまったなぁ……今の話、忘れてくれ。別に覚えててもいいけど」


「どっちなの!?」


「覚えててもいいけどフランには話さないでね、オレの生命が存亡の危機に晒されるから」


そう言うと伸介は真剣な眼差しからダラけた目に戻った。


「ところで何でここに来たの?矢坂」


「んー?まー、あれだよ。暇だったから」


「あ、そう?」


「後はあれだな、最近の学園の状況を教えようと思って」


伸介が何かの紙を取り出した。


「ほい、フランとレミリア、どっちの方が好感度高い?アンケートー」


やる気のない声で、伸介が言った。


「おお、お疲れさん矢坂」


「あ、オレがやるの面倒だったんでクラスメイトに頼んだんだけどね?」


「お前なぁ」


「まーまーご安心なすって。信頼度高い奴に頼んだし」


その紙を見ると、レミリアよりもフランの方が圧倒的に多かったのだ。


「…まあ、そりゃあそうだよね…」


「ねー、あいつ性格良すぎるからなー」


「でも一応数人はレミリアもいるんだね」


「多分、ここら辺が厄介な連中だと思うぜ。レミリアに真に忠誠を誓ってる奴等だ」


「そんなの学校にいるの?」


「ああ、いる。ホントに数人だけどな。


たとえば……そうだな……紅魔館の住人で、レミリアの友人……動かない大図書館とか言われてたくせに普通に活動してる紫もやし……」


バサバサッ


「!?」


その時、椅子から一匹の蝙蝠が飛んでいった。


「……あちゃー、聞かれてた…!明日しばかれるかもしんね」


「い、今のって…」


その時、日が沈み始めていたのに四人は気付いた。


「やっべ、よく見たらもう7時回ってんじゃん。そろそろ帰るか」


「そうだな。んじゃあね、萃香!こいし!矢坂!」


「じゃあなー、気ぃ付けて帰れよー」


「バイバーイ!」









紅魔館


ギィーー…


玄関の扉を開き、紅魔館の中へ入っていくフラン。

その時、フランの肩に一匹の蝙蝠が止まった。


−……伸介のバカ……。


「…ただいま」


「あら、おかえりフラン。今日は早かったわね」


「…うん。早く帰りたい気分だったの」


「へーそう。あ、そうだ。貴女にレミィから伝言よ」


「……!」


「館から出て行けば?出来損ない。…だってさ。あ、レミィからの伝言だからね?勘違いしないでよ」


「…うん、わかった。伝えてくれてどうもありがとう」


フランが笑顔でそう言って、紫色の長髪の女から離れていく。


「……ちょっと、館の主からのお告げなのよ。さっさと出て行きなさいよ」


「私はその館の前の妹なんだから、私にも選ぶ権利くらいあるよ多分。それから、わざわざ図書館から出て来てまで伝えてくれてありがとう」


フランがロビーから出て行った。


「……つっまんね」


−これじゃちっとも面白くない……わざわざ二人掛かりで”狙った”意味がないな……。


「…そろそろ、終わらせようかなぁ〜……近々ある体育祭で……


ねえ?レミィ…」


紅魔館の玄関の扉が開いた。


「ああ……終わらせちゃおう、パチェ……いや、パチュリー・ノーレッジ」


その時、パチュリーの服の中に、何かが忍び込んでいたのだった。







「……」


−お姉様の急変も……パチュリーの急変も同じ時に起こった。

それに、その急変が起きたのはある日あの場所に行った後からだった。


「……なーるほどね…そういう事か」


フランは紅魔館の屋上……そのさらに上の時計台の屋根に座っていた。月明かりが、辺りを照らしている。

左手には、紅茶の入ったティーカップを持っていた。


「…そんじゃあそろそろ……」


背中の羽の宝石のようなものが、一つ取れていた。

羽の宝石のようなものが、蝙蝠に変化した。


「『王手チェックメイト』と行こうかな」


蝙蝠を右手の甲に乗せて、怪しい笑みを浮かべて、空の月を眺めながら、紅茶を飲んだ。










ここでオリキャラをぶっ込んでいく。

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