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東方学園の怪談話  作者: アブナ
絶望の未来篇
35/82

紅い悪魔

これもどっかで見たことあるような展開だなー(棒)



「それじゃあ…頼んだよ、お姉様、霊夢、こいし」


「ええ、任せなさい。…こういう事はもっと早く相談なさい。協力くらいはしてあげるから」


「それじゃあ、飛ばすぞ。その時計の代わりはいくらでもあるが、そっちで破壊されると自分たちの意思ではこっちに戻ってこれなくなる。くれぐれも注意してくれ」


「ええ、わかってるわ」


伸介が時空を歪ませる。


「みんな、気を付けてね」


「うん。待っててねフラン。すぐに倒してくるから」






空は黒い雲に覆われている。

もはや幻想郷に壊滅していない場所などないようだった。

いや、迷いの竹林のみは、まだ何も被害は受けていないようだが。

紅魔館の屋上の塀にクロが座っている。

紅魔館はところどころ崩壊していたが、屋上のみは無事だった。


「…いよいよ大詰めだ。この世界に残るものはあと僅かとなった……問題は奴等の不死身をどうするか、だが……」


その時だった。


「!…これは…」


クロは、強大な魔力を持つ何者かが三人現れたのを感じ取った。


そして、数秒後……。


ドンッ!!


「!」


少し離れた場所から凄まじい光が放たれる。

その光が放たれた場所に三人がいるようだった。


「…私を呼び寄せているのか」


少し考えたのち、クロは三人のもとに行くことにした。


「くくくっ、いいだろう。その誘いに乗ってやる。何人かかってこようと無駄なことだからな」








「これで私たちの居場所はわかったでしょう」


霊夢が落ちてくる陰陽玉をキャッチする。

陰陽玉だからさっきの光を放ったようだ。

今三人は、紅魔館から少し離れた街の中にいる。


「ええ、こっちに向かって来ているわ。…最初は、誰が行く?」


「…律儀なことね。三人で一斉に掛かるなんてことは考えもしないと」


「…卑怯、じゃない」


「プライドが高い…いいや、誇り高いと言った方がいいかしらね。…いや、そういうことじゃないか。わかったわ、最初は私が行く」


霊夢は、レミリアが未だに戦うことに少しだけ抵抗があることを見抜いていた。

相手の姿はフランそのもの。レミリアは傷付けることを躊躇してしまうのだ。


「…その、ごめんなさい。霊夢」


「いいのよ。あんたのその家族想いな性格、嫌いじゃないわ」


「あ、ありがとう」


「お喋りはその辺で。来たよ、二人とも」


こいしがそう言った瞬間、クロが三人のいる手前の建物の上に降り立った。


「…!」(速い……さっきの閃光弾を撃ってからまだ1分も経ってないのに)


「なるほど、次は団体でお出ましというわけか。数で押し切ろうとでも?」


「安心なさい、一対一で戦ってやるから」


「それはそれは…随分呑気なものだね、博麗の巫女?この世界の現状を見たならば、私を全力で殺そうとするところだと思ったが……」


「ええ、あんたは殺すわよ。でもあんたの姿はフランそのものだからね。

親友であるこいしと、姉であるレミリアの手を煩わせるわけにはいかないでしょ」


「なるほど、さすがは博麗の巫女。相変わらずくだらない甘さを持っているようだ。

その甘さが命取りだ」


クロがポケットに入れていた手を出した。

そして、建物の上から飛び降りる。

霊夢はお祓い棒を右手で逆手に持って、臨戦態勢をとる。



少しの沈黙の後、霊夢が動き出した。


「それっ!」


クロの腹部に右足による飛び蹴りをくらわせている。

クロはそのまま吹き飛ばされていった。


霊夢はその後を追う。


「おお…!」


「先手を取れたね。さすがは霊夢」


「これなら、大丈夫そうね……ねえ、こいし。時計はあなたが持っていた方が…無意識能力もあるし……」


「多分だけど、あいつもそのことはわかってると思う。だから時計は私が持ってるんだと思うんじゃないかな」


「…なるほど」




「はあっ!」


霊夢の怒涛の連撃に、クロは何もできずにいた。


「その程度の力でよく今まで生き残れたわね!レミリアに勝てたのも偶然かしら!?」


もちろん霊夢はこれがクロの全力ではないとわかっている。煽ることによって全力を出させようとしているのだ。


「このまま倒させてもらおうかしら!」


霊夢がお祓い棒に霊力を込め、思い切り殴ろうとしたその瞬間。


「…ふっ」


「…!?」ゾクッ


クロが怪しい笑みを浮かべた。

霊夢はその笑みを見て不気味に感じ、思わずレミリア達のところまで飛び下がる。


「…霊夢?」


その様子を見て、少し怪訝そうにするレミリア。

こいしは霊夢が飛び下がってきた方角をずっと見つめていた。


「……!?」(何だ、今の感じは…?)


建物の崩壊から発生した煙の中から、ゆっくりとクロが歩いて戻ってくる。


服の誇りを払うような仕草をする。


「人間の身でよくぞそこまでの力を得たものだ」


「……あんたに褒められたって嬉しくないわね」


「ふん……褒美にいいものを見せてやろう」


「…何?」




ドオォッ


「!?」


クロから黒いオーラが溢れ出す。


「ハァアアアアァ………!!!」


辺りの地面が揺れ動く。

クロのあまりに強大な力の膨れ上がりに、地面が悲鳴をあげているのだ。


雷雲が発生し、雷が鳴り響く。

クロを中心に凄まじい風が発生し、周りの瓦礫が吹き飛んでいく。


クロのオーラが、禍々しさを増していく。

三人は、クロのあまりの魔力に驚いた。


「…!?」


「…何、これ…?」



「‪──ハアアッ!!!」



クロが叫んだ瞬間、クロに紅い雷が降り注ぐ。


雷が治り、クロの姿が露わになる。

三人は、クロの姿を見て驚愕した。




「…何よ、あれ…!?


髪の色が…!?」




挿絵(By みてみん)



クロの髪が逆立ち、色が黄金色なら紅色に変わっていた。

オーラも黒から紅に変わっている。

髪が逆立ったことで、右耳につけていた金色のイヤリングが見えた。


「どうだこの姿……美しいだろう?


これはお前達の世界に伝わる伝説の吸血鬼の形態……スカーレット


そう、紅悪魔スカーレットデビル


「スカーレット…デビル…!?」


「レミリア、知ってる?」


「…話には聞いたことはあるわ。私の紅魔館の由来もそこからよ。吸血鬼の中には、一部だけ特別な力を持っている者がいるらしいの。それは自力で覚醒させることは不可能らしいけれど…」


「…覚醒させる方法は置いといて……その覚醒した吸血鬼っていうのが…?」


「そう、あの紅悪魔。…でも、どうして貴女がその姿に…!?」


クロがゆっくりと宙に浮いていく。


「フフフ……オレはついにフランドール・スカーレットの力を完全に我が物にした…!


オレはすべての生物の頂点へと至ったのだ……フフフ……フハハハハハ!」


クロが空を見上げて高笑いする。


「…たかがそのくらいでいい気になるね。それに貴女の体はフランのでしょ?」


こいしが少し不機嫌そうに言った。


「ふん、この体は確かにフランドールのものだが…この形態へと至ったのはオレの力だ。これは紛れも無い事実のはずだが?」


「…それがどうしたの。その形態も大したことなさそうだけどね」


「…ふぅ、所詮は幻想郷の住人風情、というわけか。オレの力を理解できるはずもないのだ。オレの志も…美しさも!

そう!オレという存在のすべてが‪───‬ただひたすらに、孤高……」


両手を挙げ、空を見上げながらそう言った。


「…な、何だあいつ…気持ち悪い」


こいしが小声で言った。


「どこを見て話をしているのかしら?あんたの相手は私よ。


…はっ!」


霊夢から白いオーラが発生する。


「あんたは私が倒す!そのご大層な格好に変わったところでさっきの実力差が無くなるわけはないわ!」


「…わからんのか?お前の出番はもう終わったのさ」


「…何ですって?」


「お前はこれ以上出しゃばるべきではない。


引き際を弁えるんだなあ、前座」


嘲笑うような表情でクロが言った。


「…舐めるなァ!!」


霊夢が突撃していく。

一瞬にしてクロの後ろまで回り込んだ。

そして、お祓い棒をクロの頭目掛けて振るう。

しかし‪──。


ガッ


「…!」


クロは右手でお祓い棒を掴んだ。


「身の程知らずが……」


振り向きながら霊夢に左手で攻撃する。


ガッ


「ッ!」


霊夢はそれを左手で防ぐ。


「でりゃあ!」


右足でクロの顎を蹴った。

クロはその反動でお祓い棒を離した。


「これで終わりだ!」


霊夢がお祓い棒に大量の霊力を込め、殴りかかる。


その時だった。




ドスッ




「…あっ…がっ……えっ…?」


「…ふん」ニヤッ


クロの右手から出ている魔力の刃のようなものに、霊夢が貫かれていた。

どうやら、体から出ていたオーラから作ったようだ。

クロから溢れ出ていたオーラが消えている。


「…れっ…!


霊夢!!」


「先ほどお前を前座と呼んだが……訂正する。


前菜だ、博麗の巫女。お前は良い味の前菜だったぞ」


「そ、んな……!がふっ」


刃を引き抜き、霊夢を地面に向けて蹴飛ばす。


「霊夢!!」


レミリアがそれをキャッチした。


「ハハハハハ!前菜のおかげでまたオレは強くなった!さあ、主菜メインディッシュを平らげてさらなる高みへ昇るとしようか!」


「くっ…!」


「姉の血を吸えば、さらなる高みへと昇ることができるだろうなぁ?ククククッ」


その時、こいしがクロに向かって右足で蹴りを繰り出す。

クロはそれを左手で防いだ。


「そうはさせないよ」


「貴様ごときでは相手にならん。死にたくなければ早々に失せるんだな」


「それはどうかな。やってみないとわからないよ」


「ふん、前菜にもなり得ぬ残飯が……


後悔するなよ!」


クロがこいしに右手の刃で斬りかかる。


こいしはそれを避け、右手でクロに殴りかかる。


しかしクロはそれをしゃがんで躱し、今度は腹部に向けて刃を振るう。

こいしは高速移動でそれを躱し、クロの後ろに回った。


「たあっ!」


こいしは魔力で作った歪な形の剣でクロに斬りかかる。


「ふんっ…!」


クロは右手の刃でそれを防ぐ。


「くっ…!」


「言っただろう?貴様ごときでは相手にならんとな」


「相手にならないっていうのは、瞬殺できる人が言うセリフだよ…!」


「…まさかオレが本気でやっているとでも思っているのか?」


「えっ…?」


ズバッ


「…なっ…ッ…!」


こいしが魔力の剣ごと斬られてしまった。


「妖怪だからと油断しないことだ。この刃には破壊の力が乗っている。即ち再生には時間がかかるぞ。急所を突けば妖怪と言えど死に至る」


「…ぐっ…!」


「こいし!一旦こっちに!」


「!」


こいしがレミリアのもとまで戻ってくる。


「…あいつ、ほんとに強い。しかもまだ全然本気じゃないと思う」


「ええ、わかってるわ。…一旦退いた方がいいかもしれないわね……」


クロは建物の上に着地し、右手の刃をオーラに戻した。


「ふん…これで終わりにしてやろう」


クロが少し足を開き、両手首を合わせ、手を開いて、体の後ろに回す。

紅い魔力がクロの手に集まっていく。

凄まじい魔力の奔流を、両手に包むようにして溜めている。


「あ、あれは…!!」


「見るからにやばそうだね…どうする?」


「霊夢がいるから、素早くは移動できないし……迎え撃つしか…!」


「…だよね…!やってやろうじゃないの」


こいしがレミリアの正面に立つ。


「こ、こいし!」


「私が食い止めるから、その間に避けて!私も頑張って受け流すから!」


「それじゃあ貴女が危険よ!」


「そんなこと言ってる場合じゃ…!」


クロが魔力の奔流を放とうとする。


「消えるがいい!」


「「!!」」


その時だった。


『そこまでです』


「ん…?」


「えっ!?」


「…!?」


クロが魔力の奔流を消した。


『これ以上の勝手な行いは許しませんよ』


黒い雲から一筋の光が放たれ、そこからメイド服を着た赤髪の女性が現れる。

そして、クロの隣へと降り立った。


「…あっ…!?」


「約束したはずです。奴等を殺すのはフランドールの目の前で、と」


「…ふん、拘りがあるな……まあいい。オレもその提案に乗ったしな」


「あいつは…?」


「…やっぱり、やっぱりか…やっぱりお前か!!」


レミリアが鬼の形相で赤髪の女性を睨んでいる。


「レ、レミリア!?」


赤髪の女性は薄ら笑いを浮かべる。


「…久しぶりですね、レミリアお嬢様」


「お前の仕業だったんだな……!イザベル!!」


「ふふっ…」


「…あんたが、イザベル…!詳しくは知らないけど、今回の異変の犯人があんただってね!その偽フランと仲間だったとは驚いたよ…!」


こいしがそう言うと、イザベルはこいしを見ながら言った。


「仲間ではありません。…同志、と言ったところでしょうか?」


「…どっちにしたって、私たちの敵だってことに変わりはないよ」


「私たちの理想郷の完成まであと僅か……邪魔はしないでもらいたいものですね。過去から来たようですが…」


「あんたらの思い通りにはさせないよ…!」


こいしがイザベルに向かっていく。


「こいし!」


「ふっ、懲りない奴め。…!」


クロがそれを迎撃しようとするが、イザベルがクロを右手で阻む。


「ここは私が。貴女は見物でもしていてください」


「…ふん、いいだろう」


イザベルが宙に浮いていく。

その時に、右耳にクロと同じイヤリングを付けているのが見えた。


「…!」


−今まで、クロの正体はイザベルだと思っていた。事実、あのフランの呪いから感じる魔力はイザベルのものだったし……。

でもクロとは別にイザベルがいるということは……クロはイザベルではない”別の誰か”という事になる。

一体誰なんだ…あいつは…!?



こいしが魔力を込めた右手で殴りかかる。


ガッ


「なっ!?」


イザベルに右手に魔力を纏わせてそれを防いでいた。


「…ふん」


こいしの右手を弾き、魔力を纏わせた右手の手刀でこいしを攻撃する。


「くっ!」


イザベルの連続攻撃を避けきれず、頬を掠めた。


「…!」(肌が切れた…!あいつの手、まるで刃物みたいに…!)


その時、イザベルがこいしの視界から消える。


「えっ…!?」


「せいっ!」


ドガッ


「うわぁ!!」


イザベルはこいしの背後に回り込んでいた。

それに気付くのが遅れ、イザベルの手刀を防ぐことができなかった。

地面へと叩き落とされる。

空中で体勢を立て直し、着地した。


「ふっ!」


イザベルの右手から、矢のような弾幕が連続で放たれる。

こいしはそれを右に走って避ける。


「くっ…!…!?」


「はっ!」


クロがこいしの正面に現れ、刃で斬りかかる。


「うわっ!?」


こいしはそれをギリギリで避ける。

クロが刃を振るった直線上の地面が切れる。


「死角から斬りかかってくるとはね…!」


「よく避けたな。褒めてやろう」


イザベルがクロの隣に降り立つ。


「さて、貴女はいつまで我々の攻撃に耐えられますかねぇ…ふふふ」


「…くっ…!」


不意にクロが突撃してくる。


「ぐっ!」


「むっ!」


こいしが身構えるが、クロは急停止し、クロの背後からイザベルが突撃してくる。


「そらっ!」


「ふっ!」


ガキィンッ!


こいしは魔力の剣でイザベルの右手を受け流す。


「ふっ…」


イザベルが笑みを浮かべる。


「…はっ…!」


こいしは、自分がクロとイザベルに挟まれる形になっていることに気付いた。


「もらった!」


「しまっ…!」


ガキィンッ!


「なにッ!?」


「お前は私が倒す!!」


レミリアがクロの刃をグングニルで受け止めていた。


「レミリア!?」


「ちぃっ…!」


「だあっ!」


クロが左手の手刀でレミリアを攻撃するが、レミリアはそれをしゃがんで躱す。

その時にグングニルを弾き、刃でレミリアに斬りかかる。

しかしレミリアはそれを右に逸れて避け、クロを蹴り飛ばした。

右側の建物に吹き飛んでいった。


「せいっ!」


こいしも、イザベルからの攻撃を魔力の剣で受け流し、そのまま蹴り飛ばした。

イザベルは左側の建物へと吹き飛んでいく。


ドンッ!!


「!」


クロが衝撃波で建物の瓦礫を吹き飛ばした。


イザベルは建物の崩壊によって発生した煙の中からゆっくりと歩きながら帰ってくる。


二人とも全くの無傷だった。


「ふん、わざわざ自分から殺されにくるとはな」


「黙れ!今度は前のようにはいかないぞ!」


「レミリア…大丈夫なの?」


「ええ、任せなさい。あれは霊夢が持ってる。全力で戦えるわ」


「…よーし、私たちの力、見せてやろうよ!」


「ええ!」


………。


少しの沈黙が続く。


「‪──‬ふん!」


イザベルとクロの両サイドからの光弾によってその沈黙は破られる。

こいしとレミリアは咄嗟に飛び上がって躱した。


イザベルとクロの放った光弾は相殺されて爆発する。

爆煙の中からクロが高速で斬りかかってくる。


「うわっ!?」


「ハァッ!」


ドガッ


「うわぁあああ!!」


クロの右足の蹴りがこいしの腹部を捉える。

こいしの服に足を引っ掛け、そのまま空中で回転して勢いよく吹き飛ばす。


「こいし!」


「ふっ…!」


「ッ!!」


ガキィンッ!


イザベルがレミリアに斬りかかる。

レミリアはイザベルの右手を弾き、地面に急降下する。


こいしは体勢を立て直し、地面に着地する。


「くっ!」


クロがこいしの方に向かって来ながら空中から紅い光弾を連続で放ってくる。


こいしはそれを走って避ける。

辺りがクロの光弾によって発生した煙で見えなくなってきたその時。


「終わりだッ!」


「!」


煙の中からクロが超高速でこいしに斬りかかる。

しかしこいしはその場から姿を消した。

無意識能力の発動だ。


クロの刃は地面を捉え、突進の勢いのまま地面を切り裂いていく。


「ん…?」


こいしが消えたことに困惑していたその時、こいしがクロの背後に現れる。


「油断したな!」


「!」


こいしが右足による蹴りを入れようとするが……。


「……」ニヤッ


クロがその場から消える。


ブンッ!


「えっ!?」


こいしの蹴りは空を蹴った。

直後、たくさんの蝙蝠がこいしの背後に集まり、そこからクロが現れてこいしの背中に紅い光弾を放ち、そのまま地面に叩き落とした。


「うわぁぁあぁああ!!」


ドオオオオオオオンッ!


地面に叩きつけられたと同時に、紅い光弾が爆発した。


「ぐっ…くっ…!蝙蝠化もできるのか…!」


こいしは全身傷だらけとなっていた。

クロはその様子を見て薄ら笑いを浮かべる。


「ふっ」





ガキィンッ!


「せいっ!」


「ッ…!」


レミリアとイザベルが激しい攻防を繰り広げている。

レミリアはグングニルで、イザベルは魔力を纏わせた右手の手刀で応戦している。


レミリアの連続攻撃に、イザベルは圧倒されていた。


「そこだ!!」


「なっ…!」


レミリアのグングニルが、イザベルの腹部を貫いた。


「…やった…!」


「…バカな…!!こ、の、私がッ…!?」


「はっ、所詮は少し戦闘力の高いただのメイドだったってことね。このまま無様に死になさい!」


「…おのれぇ…ッ……」


イザベルが脱力したように体勢を崩す。


「…あっけなかったわね」


レミリアがグングニルを抜こうとしたその時。


「え!?」


イザベルが左手でグングニルを掴む。

イザベルは、余裕の表情だった。


「…ふふふ」


「…バカな…!?」


イザベルが右手の手刀で攻撃してくるが、レミリアはグングニルを引き抜きながら後退した。


「…くっ…まさかあんたも妖怪に…!」


「この不死身の肉体はいい……これこそが支配者たる私に相応しい体…!」


−不死身の体……!?


ドオォォォンッ


「!!」


「おや…?」


こいしがレミリアの隣の建物に叩き落とされていた。


「こいし!」


「大丈夫!」


こいしが立ち上がり、レミリアの隣まで移動した。


「…やはりあいつはそうとう強いようね…」


「うん…正直、きついかな」


クロがイザベルの隣に降り立つ。


「そちらは随分お楽しみのようですね…ふふ」


「ククッ…まあな。そちらこそ、随分遊んでいたようだが?」


「ええ、こちらも楽しませてもらっていますよ……ふふふっ」


奴らは全く本気を出していない。

まるで弄ばれているような気分だった。


「…くそっ…!なめやがって…!!」


「落ち着いてレミリア。気持ちはわかるけど、ここで挑発に乗ったら奴らの思う壺だよ」


「…!」


「私に考えがある。合わせてくれる?」


「…ええ。聞かせなさい」


こいしが耳打ちでレミリアに何かを伝えた。

その様子を見て、クロはあまりに滑稽で笑いが溢れてしまった。


「無駄なことだとまだわからぬか?貴様らが如何に策を講じようと我々には通用せん」


「その通り。時間の無駄というものです。早々に諦め、大人しくしている方が楽になれますよ?


もっとも、その過程が楽であるとは限りませんが…ねえ……」


邪悪な笑みを浮かべ、イザベルは言った。


「…ふん、どうだかね!油断してたら一気に逆転されちゃうかもよ!」


「私たちの力を侮るなよ!」


「いいでしょう、貴女達の策とやらを見せてご覧なさい?」


「貴様らの行為が如何に無意味であるか、その身を以て味わうがいい」


四人が構えを取る。

仕切り直し、ここからが本当の勝負。


「さあ……第二ラウンドを始めようか!」



絵が上達しない…orz

この際絵師さんに頼んでもらうまである

けどこんな無名小説にわざわざ描いてはくれまい笑

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