激突!フランvs偽フラン
更新ペースそうとう遅くなったなー笑
あ、前話に挿絵を追加しました。
酷いクオリティですが許してくださいなんでもしますから
設定上の容姿を想像できればあとは自由に美化していただいて構いませんので…笑
「……?」
レミリアが目を覚ますと、見覚えのある天井が見えた。
そして、見慣れた顔も見えた。
「よう、レミリア。起きたか」
伸介がいた。レミリアの寝ているベッドのすぐ横の椅子に座って、机に置いてある紅茶を飲んでいる。
「…伸介…ってことは私は……」
「そ、帰ってこれたんだよ。…体の方はもう大丈夫そうか?何で再生できなかったかは知らないが……」
「…!ええ、もう大丈夫。ごめんなさい、心配かけたかしら」
「オレはとにかくフランはかなり心配してたぞ?早く顔を見せに行かないとな」
「フランが……ふふっ、やけに素直ね、今のフランは」
「…こういう時だけ素直なのはあいつらしいよ」
「そうね。…ところで、どうして伸介が付きっきりで?」
「そんなわけないだろ?咲夜と交代してただけだよ」
「ああ…なるほど。それじゃあ、早速顔を見せに行こうかしらね」
「咲夜、お姉様は大丈夫そう?」
「ええ、もちろん。心配いりませんよ」
「そっか…それならよかった」
フラン達のいる部屋の奥のドアが開き、そこからレミリアが出てくる。
「おはよう、フラン。心配かけたわね」
「おはよ、お姉様。元気そうで何より」
それからレミリアは、未来であった事を全てフラン達に話した。
「そんなことが……」
「咲夜も殺されてしまって……私は何もできなかった。
奴は想像以上に強かったわ……ごめんなさい、全く敵わなかった」
「お姉様も時計を守りながら戦っていたわけだし、全く敵わなかったってわけではないと思うよ」
「……ええ」
レミリアは、心の底から落ち込んでいるようだった。
その様子を見て、咲夜が…。
「大丈夫ですお嬢様。あなたの咲夜なら、ここにいますわ」
「…ありがとう」
フランはその様子を見て微笑んだ。
「よし、それじゃあ…偽の私を倒すための作戦を考えな――」
ドオオオオオオオオンッ
『!?』
突然、外から轟音が鳴り響く。
「え!?な、何!?何なの!?」
「外からだったわね…」
「様子を見に行くぞ!」
急いで全員が外に出ると、謎の時空の歪みのようなものが出来ている。
その中から、何者かが出てくる。
「…?何だここは」
時空の歪みのから出てきたのは、偽フランだった。
偽フランが辺りを見回す。
レミリアと伸介を見て、笑みを浮かべる。
「…此処が当たりか……ん?」
フランを見つけた。
「…ふん、フランドールか」
「貴女が、偽物の私か」
「偽物…!?まさか過去にまで…!」
「…あれが…!」
「ああ、フランの言ってたあいつだ」
「やはり伸介もいたか……つまり今は…」
また偽フランが辺りを見渡す。
「っはは…なるほど、この時代か……考えたなぁ?レミリア」
その時、フランが偽フランの前まで飛んでいく。
「貴女、お姉様を圧倒できるんだって?どれくらい強いのか気になるから、相手をしてよ」
「…光栄ですね。貴女に私を評価してもらえるなんて。それに、私も貴女とこの体で戦ってみたかったのです」
少しの沈黙が続く。
「…むっ!」
「…ふっ!」
二人が同時に動き出し、その場から姿を消した。
超高速で動いているのだ。
「せぇっ!」
フランが左足で蹴りかかるも、偽フランは頭を下げて避ける。
「ふっ…」ニヤッ
偽フランが右手に紅い光弾を作る。
その光弾をフランの腹部に押し付ける。
「ふん!!」
「うわっ!?」
その光弾に押されてフランが吹き飛んでいった。
そして、しばらく飛んでいった後にその光弾が爆発した。
「フラン!」
「待て、大丈夫だ。あんな攻撃フランには通用しない」
「…!」
こいしが援護に行こうとしたが、伸介に止められた。
レミリアも、伸介と同じように何も心配していない様子だった。
偽フランがフランを追う。
「まさかこの程度ではやられまい?」
「そりゃあそうだ」
爆煙が晴れ、フランの姿が見えるようになる。
全くの無傷だった。
「ふふっ、そうこなくては」
「はっ!」
「!?」
フランが高速移動して、偽フランの腹部に膝蹴りを入れている。
「ぐぉっ…!」
そして、宙返りしながら偽フランの背中を右足で蹴って地面に叩き落とした。
「そらっ!」
フランが弾幕を放つ。
偽フランは地面に叩きつけられる前に体勢を立て直し、地面に着地した。
フランの弾幕が偽フランに当たる。
爆煙で偽フランの姿が見えなくなった。
ドンッ!!
「!」
偽フランが衝撃波を放って煙を吹き飛ばした。
「…ふふふっ、ははははは!これがフランドール・スカーレットの力ですか…!」
「…随分喜んでるね。私の力を体感できたのがそんなに嬉しい?」
「ええ……
ハァアアアァッ!!」
偽フランから黒いオーラが放たれる。
「…!」(魔力が高まった……魔力のコントロールもできるのか)
「フランドール・スカーレットの力…もっと見せてもらいましょう」
偽フランがフランに連続で殴りかかる。
フランはそれを両手で防いでいる。
ドゴッ
「ぐぅっ…!」
しかし、偽フランは隙をついてフランの腹部を殴りつけた。
そして、かかと落としで蹴り落とす。
フランは地面に叩きつけられる前に体勢を立て直し、偽フランに向かっていく。
二人は、高速移動しながら激しい攻防を繰り広げていた。
「そこだ!」
フランが偽フランを殴り飛ばした。
「ぐおぉおっ……!」
偽フランが体勢を立て直す。
そして、フランの方を睨んだ。
「…ふふっ、はははは!素晴らしい!
この痛みがまた私を強くする……!!くくくっ」
「……」
その時だった。
バリィーンッ!!
「!?」
偽フランの背後の空間が割れる。そして、その中に偽フランが吸い込まれていく。
「な、何だと…!?何だこれは…!」
「あれ、ブラックホールみたいなものなの!?」
「フランちゃん!!」
ルーミア、紫音、ミスティアの三人が慌てている。
「いいや、そうじゃないっぽいよ。三人とも」
こいしが言った。
「え?」
「偽フランの正面にいるフランは吸い込まれていない。つまりあれは…」
「…偽物だけを引き寄せている…?」
「そういうことになるね。何でかは知らないけど…」
偽フランは吸い込まれまいと必死に空中で粘っている。
「ぐっ…くっ……!時空の歪みが元に戻ろうとしているのか…!」
偽フランはもうほとんど吸い込まれてしまっていた。
「…ちっ…!」
偽フランがレミリアに向けて細い光線を放つ。
「!お姉様!」
「えっ!?」
その光線がレミリアの胸元に当たる。
「レミリア!!」
「ふっ…」
それを見て偽フランはニヤリと笑った。
そして、偽フランは完全に吸い込まれてしまった。
「レミリア!大丈夫!?」
「え、ええ…むしろ何ともないわ…」
「え?」
「…時計だな、あいつ時計を狙ってた」
「時計?…あっ…!」
レミリアの胸元にあった時計が壊されていた。
「…しまった…!」
「もう向こうの時代に行かせないためにやったんだな……」
フランが空から降りてくる。
「お姉様、大丈夫?」
「ええ、何ともないわ。でも時計を壊されてしまった」
「時計?…ああ…戻るための…それなら別に問題はないね」
「え?」
「その時計なら幾らでも作れるからな。オレ本人がやられない限り時空の移動はいつでもできる」
伸介が壊された時計と同じ時計を手に持っていた。
「と、時計は一つじゃなかったのね」
「ああ、あと10個くらいはある。オレとしては5個くらいでいいだろうとは思ったんだが、フランが念のためってな」
「その時計一つ作るのに結構な量の魔力を使うから、私が手伝ったの。10個もあれば安心でしょ?」
「ああ、それはそうだな。…ところでフラン。あの偽フラン、戦ってみてどうだ?」
「…うん、強いよ。かなり強いと思う」
「やっぱりそうか」
「でも見てた感じフランが押してたよね?」
「私と戦ってた時は全く本気を出してなかった。…いや、本気ではあったけど……」
フランはそこで言葉を詰まらせる。
「…?」
「ううん、何でもない。…何か、偽フランって呼ばれるの変な気分になるからさ。呼び方変えない?」
「それもそうか。…あいつは黒い服を着てたし、黒フラン……クロってのはどうだ?」
「それでいいよ。…今、霊夢って暇かな?」
「あいつは日中暇だろう」
「どうして霊夢なの?フラン」
パチュリーが聞いた。
「霊夢なら多分、余裕で勝てると思って」
「その根拠は?」
「戦って見た感じの、私の予想」
「……まあ、実際に戦ったフランの予想なら、大丈夫かしらね」
「…霊夢に頼るの?」
「仕方ないよ、幻想郷存亡の危機だし」
「それはそうだけど……何というか、申し訳ないというか」
「…お姉様は霊夢のこと好きだもんね。危険な目に合わせたくない気持ちはわかるけど……」
そう言われると、レミリアは途端に赤面した。
「べ、別にそういうんじゃないわよ。私はただ…その……」
「別にいいじゃん、レミリア。フランが言うには余裕で勝てるみたいだし」
こいしが言うと、レミリアはすぐに返事を返した。
「妹の危機なのに、姉の私が助けられないなんて、情けないじゃない」
レミリアが俯いてそう言った。
それを聞いたフランは、とても驚いた表情をしていた。
「……レミリアは、ほんとに家族想いだね」
「当然でしょ?家族は大切にするものよ」
「…そうだね。その通りだと思う」
「……その気持ちは嬉しいけど、これも私が助かるためだし、我慢してよ。お姉様」
フランはそっぽを向いて言う。
「え、ええ。わかってるわ」
「…随分照れてらっしゃいますなぁ〜フランさん?」
「なっ…!べ、別に照れてないし!」
伸介がフランの正面に立って言った。
「そんな嬉しそうな顔で言われても説得力ないぞ」
「ちょっ…!」
「……ふふふっ、やっぱりフランは可愛いわ」
レミリアがフランの近くまで行き、頭を撫でた。
「……お姉様」
「ん?」
「……ありがとう」
「うん」
「…癒されるなぁ」
「全くです」
「おい咲夜、お前その鼻の赤い液体拭いとけよ。台無しだ」
「これはお嬢様方への忠誠心の表れです」
「それは素晴らしいな、エロメイド」
「伸介様、妹様の照れ顔に少し勃ち気味の貴方も私と同族です」
「うるせえ変態、どこ見てんだ」
博麗神社にて
「で、私の助けを得に来たと」
「そう言うこと。もちろん受けてくれるわよね?」
「あーはいはい、随分見栄張ってるけどほんとは不安なのもわかってるから。受けてあげるわよ」
「…あんた、正体は悟り妖怪?」
「違うわよ、わかりやすい主人様。本当はもっと早く言えって言いたいところだけど、今はそうは言ってられないみたいね」
霊夢が合流して、次は誰が未来に行くかを決める話になった。
「オレの魔力的にも飛ばせるのは良くて三人が限界だ。つーわけで三人きめてくれ」
「その気になれば私が手伝えば全員で行けるけど、あまり伸介に無理はさせたくないんだ。だから三人でお願い」
「それに三人もいれば充分でしょう?まず一人は霊夢が入るとして…あと二人」
「もちろん私は行くわよ。奴へのとどめは私が…!」
「レミリア、あんた本気でやれば一人でもいけるんじゃない?一応フランと互角でしょ?」
「一応とは何よ、一応とは!」
「…フラン、私も行っていいかな」
こいしが言った。
「…危険だよ。帰ってこられるかわからない」
「そんなことはわかってる。でも私はフランの助けになりたくてここにいるわけだし、何もしないわけにはいかない」
「…わかった。気をつけてね、こいし」
「うん。任せて」
「よし、決まりだな。レミリア、こいし、霊夢の三人だ。
それじゃあ、時間を置いて飛ばす。それまでは各自の自由時間ってことにしようぜ」
「わかった。…レミリア、霊夢。頑張ろうね」
「ええ」
「もちろんよ」
こいしと霊夢とレミリアが、三人で作戦会議のようなものを始めた。
その様子を見て、ルーミアが少し悔しげな顔をする。
−私だって役に立ちたい。…でも、私じゃ力不足なのかな……。
その時、ぽんっ、と、ミスティアがルーミアの右肩に左手を置いた。
「何考えてるかなんてすぐにわかるけど、そんなに思い詰めなくていいよ。…ほら」
こいしと話し終えたフランが、ルーミア達の方に小走りでやってくる。
「ルーミア、みすちー、紫音。駆け付けてくれてありがとうね。すっごく嬉しかった」
「う、うん」
「ねえみすちー、私お腹空いちゃった。屋台やってるんだよね?そこに連れてってくれないかな」
「え?いいけどここからだと少し遠いよ?」
「飛べばすぐだよ。それに、ずっとこんな張り詰めた空気じゃやってらんないってね!」
「と、飛べばって…!今は昼間だよ?フラン危ないじゃん!」
「ルーミアがいるじゃない?闇を作ってもらって私がその中に入るの!いいかな?」
「も、もちろん!」
「紫音は…みすちー、背負っていける?」
「うん、紫音一人くらいなら全然余裕」
「よーし、決まり!早速行こう!」
「「「おー!」」」
フラン達四人が飛び去っていった。
「…ふふっ」
「いい友達ができたな、とか考えてるんでしょ」
「…!まあ、本当のことだからね…」
「フランはクラスでは大人気なんだよ。レミリアも知ってるとは思うけど」
「ええ…知ってるわ。あの子が、毎日幸せそうに学校に行っていることもね」
−その幸せを、壊させるわけにはいかない。
「何としてでも、アイツを倒して呪いを解除してみせる…!」
「……」
霊夢がレミリアの肩を叩いた。
「…霊夢?何よ」
「気張りすぎ。もう少し楽になさいな」
「なっ…!妹の危機よ!気張って当然だわ!」
「それはいい事だけど、気張りすぎるのは良くないのよ。それは心の余裕を無くし、冷静さを無くし、命をも無くしてしまうことすらあるわ」
「…!」
「肩の力抜きなさい。楽しく、とは言わないけど、もう少しリラックスしなさい」
そう言われて、レミリアは少し落ち着いた。
「…全く、歳上に対して偉そうに」
「はぁ〜?せっかく注意してあげたのにその態度とはさすがね」
「…ふん、少しは落ち着いたわよ。感謝するわ」
「…ま、それならよかったわ。そんじゃ私はそこのソファでくつろぎますかねえ〜」
霊夢がソファに寝そべってくつろぎ始めた。
「ちょっ…ソファなんてあったの!?私にも座らせなさい!」
「早い者勝ちよ!」
「……」
−何だか私、こういう事多くない…?
こいしは、レミリアと霊夢の仲に自分が入っていいのか、という感覚にデジャヴを覚えるのだった。
クロが崩壊した建物の瓦礫に座り、空を見上げている。
「時計は破壊した。これで伸介がいるにしてもしばらくこちらへはこれまい」
そういうとクロが立ち上がる。
「……先のフランドールとの戦いは実に素晴らしいものだった……あれがフランドールの力……この体の使い方か…!」
「ふふふ、ハハハハハハハハ!次に奴らと会うのが楽しみだ!」
 




