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東方学園の怪談話  作者: アブナ
絶望の未来篇
32/82

絶望の未来

お盆やすみですな〜

皆さんはいかがお過ごしでしょう?

自分は帰省しておりました笑






「フラン達が見つかった…!?」


こいしは放課後にルーミアからその知らせを聞いた時は、心の底から驚いた。

そして次の瞬間、何故ルーミアがそんな事を自分に言ってきたのかを考えた。


「…どうして、私にそれを?」


「探してたんでしょ?伸介に連れ去られたレミリアとフランを」


その言葉に思わず目を見開いた。


「何で、知ってるの?」


「私たちも行ったんだ、紅魔館。それでパチュリーに頼んで色々と教えてもらった」


「……そういう事か。でもよくパチュリーが許してくれたね」


「始めは許してくれなかったけどね…ま、そこは私がどうにかした!さ、早く行こう!紅魔館に!」


「う、うん」


いち早くフランに会いたい気持ちは確かだったので、こいしは何も言わずにルーミアについていった。






「来たわね」


図書館のドアを開けると、正面にパチュリーが立っていた。

動かない大図書館という二つ名、間違っている気がする。


「フラン達は紅魔館のすぐ近くの山にいるわ」


「よーし!すぐに向かおう!パチュリー、いいよね!?」


「ええ、早く行くに越したことはないわ。急ぎましょう」


「そうこなくっちゃ!こいし、行こ!」


「うん!」









一方その頃、フラン達は……。


「…成功か、咲夜」


「はい、成功です。伸介様」


「うっし…!なら無事に向こうに行けたようだな……」


「ありがとうございます、能力の多用は危険を伴うというのに……」


「いいってことよ。これもあいつの為だろ?……オレはあいつに死んで欲しくないからな」


伸介が横を見ながらそう言った。


「はいはい、せいぜい頑張って生きますよー、お兄ちゃん」


「お前なぁ、今シリアスな空気だったろ?このオレがシリアスな空気醸し出す時なんてマジでほとんど無いんだぞ?頑張ったんだぞ?」


「心配しすぎ。私はそんな弱い奴じゃないって知ってるでしょうに」


「そりゃあそうだが……今回のはお前の内側なかの話じゃないか」


「…まあね」


伸介が見ている方には、フランが椅子に座って優雅に紅茶を飲んでいた。

ティーカップを机の上に置いて立ち上がる。


「その前にお客さんだよ。いきなり襲いかかってくる可能性もあるから気を付けて」


「…追手か」


「いいや?頼りになる味方だよ」


「は?なら何でいきなり襲いかかってくんの」


「すぐにわかるさ」


その時、建物の壁が壊れる。

そして、ルーミアが伸介に向かって突っ込んできた。


「なっ…!」


「フランを返してもらうぞ!!」




「……ッ」


「…いやー…


助かるよ、フラン」


「うん」


フランがルーミアを抑えていた。


「…フ、フラン…?」


「大丈夫、私は無事。何もされてない。お姉様もね」


こいし、パチュリー、紫音、ミスティア達が後から入ってきた。


「さ、攫われたわけではなかったんだね」


「そういう事」


「…伸介は随分思わせぶりな事を言ったものね」


「許してヒヤシンス」


「ぶふっ」


こいしが吹き出した。


「えっ、そんなに面白かった?」


「…い、嫌な思い出があってね、ヒヤシンス」


「?」


「…ふふっ」


フランがクスクスと笑う。


「みんな元気そうで何より。…そろそろ、本題を話そうと思ってんだけど…いいかな?」


表情は笑っているが、それは真剣な表情だった。

フランのその表情を見て、皆が頷く。


「どうして私がこんな事をしたのか…それは、”あるモノ”が抑えられなくなってきてしまったからなんだ」


「あるモノ?」


「そう。そのあるモノってのが……これのこと」


フランが服のボタンを外して、胸元を開いた。


「えっ…!」


こいしはその行動に少しだけ赤面する。

他の皆も同様、伸介だけは真剣な表情のままだ。

ちなみに咲夜は、ちょっと興奮しそうになったが瀟洒を保った。


しかし、次の瞬間皆の表情は一変する。


「…フラン…何、それ…?」


フランの胸元には、謎の紋章のようなものがあった。その謎の紋章のようなものからは、少しだけ黒い鎖のようなものが生えてきていた。


「伸介と咲夜はもう知ってるんだけどね。…これは『獄鎖ごくさ』って言って、あるものを縛り付けている術式みたいなものなんだ。

この鎖は、縛り付けているものが出て来ようとしている証みたいなもの。本来は術式すら浮かび上がらないんだけどね」


「あ、あるものって…さっき言ってた…」


「…まさか…!それって…」


「パチュリーならきっとわかってくれると思ってた。…そう、これは”あいつ”の残滓。死ぬ間際に私に残していった呪いだよ」


「…!!」


「…こいつがそのうち出てきて、私の体を乗っ取らんだ」


そこまで言うとフランは、また服のボタンを留め、服装を整えた。


「フ、フラン…痛くないの…!?」


「フランちゃん…だ、大丈夫…じゃないよね…えーと…」


「…!」


ミスティア、紫音、ルーミアの三人が慌てている。


「…あいつってのが何なのかは敢えて触れないよ。それよりそれを防ぐ方法は?」


そんな中、こいしが冷静に聞いた。


「…ふふっ、やっぱり頼りになるね、こいしは。


これを止める方法は一つ。私を殺す事のみだよ」


「却下。他は?」


「ふっ、はははっ!もう、ブレないなぁこいしは!…ありがとうね。


他には、奴自身の力をぶつける事だよ。この呪いは他の攻撃を受け付けない代わりに自分自身の力には弱いんだ」


「…パチュリーならそれと同じ力を…」


「…試してみないとわからないけれど…正直そのレベルの呪術を完璧に模倣するには少し時間がかかるわ」


「ええ、できればそれが一番楽。やれるだけやってくれる?」


「もちろんよ。任せておいて」


パチュリーが笑顔で言った。


「…ねえ、それはそれとして、レミリアはどこなの?」


「…そうだね、これも言っておかないと」


フランが近くにあったテーブルセットの椅子に座る。

そして、ティーカップに入った紅茶を飲み始めた。


「みんなにも出そうか?紅茶」


「欲しいけど、その前にレミリアの話をお願いしてもいいかな?」


「わかった。…お姉様は今、これと同じ力を取りに行ってるわ」


「…え?」


「実はあと数ヶ月で私はきっと乗っ取られるんだ。だから、一番近い時間を選んだ。”あっち”の方に行っちゃうと、伸介の魔力が保たないからね」


「な、何の話?」


「お姉様は今、体を乗っ取られた私を倒してこの力を取ろうとしているんだ。


未来に行ってね」










ドオオオオオオオンッ!


「うわぁぁああっ!!」


レミリアが吹き飛ばされている。


「…ぐぅっ…!」


レミリアは激しく燃え盛る紅魔館の屋上の上で、何者かと対峙していた。


「…!」(想像以上に…強い…!)


高台の上から、何者かがレミリアを見下ろしていた。

見下ろしていた者はの姿は――フラン、そのものだった。


「…いよいよだ」


邪悪な笑みを浮かべて、レミリアの方を見ている。


「今日こそ、貴様の息の根が止まる日だ。


吸血鬼」




「…ぐっ…!」


フラン?が高台から飛び降りた。


「…ふん。反撃はして来ないのか?」


「…!!」


「所詮は一介の妖怪。大妖怪などと持て囃されていたのは間違いだったようだな」


「…!!」


「終わりだ。ここで散るがいい」


フラン?が手から紅色の光球を放とうとする。


「お嬢様!」


「!?」


「!」


その時、咲夜が何かの瓶のようなものを二人の間に投げる。

その瓶が、凄まじい光を放った。


「目眩しか…!」


フラン?は一旦後退して、少しだけ宙に浮いた。


「さ、咲夜…!」


「今のうちにお嬢様は退避を!私が時間を稼ぎます!」


「なっ!?何を言ってるの!貴女の能力なら一緒に逃げられるはずでしょ!?」


「今は奴のせいで能力を使えません…!ですから早くお逃げを!生き残らなければならないのは、お嬢様で…」ドンッ




「…え」


咲夜の言葉は、そこで遮られた。


「…お逃げ、くだ、さっ…」


咲夜の左胸を、紅い光線が貫いた。


「咲夜!!」


「まずは一人目……」


フラン?がゆっくりとレミリアの方に歩いていく。


「…咲夜…そんな…!」


「安心しろ」


「!!」


「お前もすぐにそのメイドと同じところに送ってやる」


嘲笑うような笑みを浮かべて、フラン?はレミリアの少し手前で立ち止まった。


「愚かな幻想郷の住民には、死こそが恵みだ」


「…くっ…ぐぅっ…!!」


レミリアが紅いオーラを発生させる。

怒りのあまり、地面を殴りつけた。

その衝撃で大きな亀裂が地面に入る。


「…ふふっ」


その様子を見て、フラン?は笑った。


「…よくも…よくもっ……!!


咲夜をォ!!」


レミリアが高速でフランに向かって突撃する。

フラン?の腹部を思い切り殴った。


「ぐおぉっ…!?


ッはっは!」


少し怯んだが、効いていない様子だった。


「だぁっ!!」


レミリアが右足でフランの顔に向けて蹴りを繰り出す。


「ふっ!」


ドガッ


フランはそれを左手で防ぐ。


「でぇあっ!!」


「っとぉ!」


ドッ


レミリアがもう一発攻撃を加えようとするが、フランが素早くレミリアの腹部を右手で殴る。


「ぐあっ…!」


「ふんっ!」


ドガァッ


「がぁ、かはっ…!?」


さらに右足で横腹を蹴った。


「ぐぅっ…!」


レミリアが後退する。

フランは地面を蹴って一気にレミリアに向かっていく。


「ははっ!」


「ぐっ!」


ドガッ


「ふんっ!」


「うぐっ…!」


ドガッ


フランが右手で殴りかかる。レミリアはそれを左手で防いだ。さらにフランは左足で蹴りかかる。

レミリアは両手でそれを防いだ。


「せやっ!!」


「ふん…!」


二人が激しい打ち合いを繰り広げている。

防御しては攻撃、それを防御され今度は自分が防御する。

お互いに一発も攻撃は当たっていない。

しかし、レミリアが押され気味だった。


ドガァッ!!


「うわぁぁぁ!!」


レミリアが吹き飛ばされ、壁に激突した。


「ぐはっ…!」


ドゴォッ!


壁でバウンドしたところを、フランがさらに追撃を入れる。

レミリアの腹部に蹴りを入れて、壁に押し付けた。


「ぐはぁっ!!」


「ははっ、行くぞ!」


「!?」


フランが後ろに飛び上がり、紅い光弾を何発も放った。


ドドドドドドドドッ


「うわぁぁああっ!!」





「…これで終わりか。誇り高き吸血鬼の最後にしては無様だな」


レミリアは満身創痍の状態だった。


「ぐっ…うぅっ…!」


フランが少し足を開き、両手首を合わせ、手を開いて、体の後ろに回す。

すると、紅いエネルギーのようなものがフランの手に集まっていく。

それを、両手で包み込むようにして溜めている。


「なっ…!?」


−何て、魔力の奔流…!


レミリアは、あれだけは当たってはならないと直感で感じた。


「…ぐっ…!」


羽を羽ばたかせて逃げようとするが、思うように体が動かない。


「ふん、そんな体で逃げようとしても無駄だ。


終わりだ、レミリア!」


フランがそのエネルギーの塊をレミリアに向かって放とうとしている。


「くっ…!…!」


その時、レミリアは近くに落ちていた咲夜の銀製のナイフを拾う。


「これでも、くらえ!」


それを、フランに向けて投げた。


「何…!?」


フランはそのナイフが銀製であると一瞬で見抜き、左手を使ってそのナイフを弾いた。

手を離したことによって、エネルギーの塊は消えた。


「ちっ…おのれ…!」


「スカーレットシュート!!」


「!」


レミリアが巨大な魔力の光弾を放った。


ドオオオオオオオンッ!!


それがフランに直撃する。

しかしフランはそれを片手で掻き消していた。


辺りの煙が晴れた時、レミリアは既にいなくなっていた。


「……何処へ逃げた…あの重体ではそう遠くへは行けまい。…しかし……」


その時、山の間なら朝日が見え出す。


「…やはり時間切れ、か……まあいいだろう。今回は見逃してやろう。

ここは私が使わせてもらうとするか」


フランは燃え盛る紅魔館の中に入っていった。


「レミリアの奴、何かを守るようにしながら戦っていたな。本気を出せずにいたのがすぐにわかった。


まあ、本気であろうがあるまいが私に敵うはずはないが」









「はぁっ…!はぁっ…!けほっ」


レミリアは、もう移動することすらままならない状態になっていた。

今は紅魔館近くの洞窟の中に逃げ込んでいる。


「…ここなら日光は防げる……でも、急がないと…!太陽が出てるうちは奴は動けないはず…なら、今こそこれを使って…!」


レミリアがポケットから取り出したものは時計だった。


「これを使って……移動、しないと……」


−でも一先ず…体力を、回復しない、と……。


そこで、レミリアは意識を失った。







「…ん…」


レミリアが目を覚ますと、外は暗くなっていた。

一日中寝ていたという事になる。


「…しまった…!せっかく奴が動かない日中だったのに…!」


−このままじゃまずい…!早く向こうに移動しないと……。


「こんなところいたのか」


「!!」


フランの声がする。

洞窟の入り口に、月明かりに照らされたフランが立っている。


「…偽物め…!」


「偽物呼ばわりはあまり気に入らないな。一応私もフランなのだがな」


「黙れ!お前がフランなわけがない!」


「…ふん、まあいいだろう。どの道お前もここまでだ」


「…待っていろ、すぐにお前を倒してやるからな…!」


「…随分おかしな言い回しだな。まるでいつか倒すかのような口ぶりだ」


その時、レミリアの周りが光りだす。


「…!?その光は…!」


「間に合った…!」


「逃げる気か…!させん!」


フランが光弾を放った。

しかし、光と共にレミリアは消えていった。


「……今のは……”時空の移動”だな。伸介の仕業か……つまり奴はやはり過去から来たレミリアだったのだな。…ふっ…まあ当然か。


……逃すものか」


フランの指にはめられている指輪が光を放つ。


「いつの時代のレミリアか…探り当てるのも一苦労だな。


待っていろ、すぐに殺してやる……クククッ」




物語の展開というのは難しいものね…笑


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