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東方学園の怪談話  作者: アブナ
日常
31/82

友の行方は

投稿ペースが遅くなってきました笑



その後、結局パチュリーの魔力探知でも伸介達を見つけることはできなかった。


パチュリー曰く、今から慌てたところでどうにかなるわけではないので、明日からの学校は普通に登校しろとの事だった。


しかし、あんな出来事が起こった後の学校で学習に身が入るわけもなく。


「―――というわけで…それじゃあ、こいし。ここ答えてみてくれ。…って、こいし?聞いてるのかー」


「…あ、はい…」


こいしは授業の内容が頭に全く入ってこなかった。


フラン、伸介、レミリアの三人はやはり学校に来ていない。


あまりにこいしの元気がないので、見兼ねたルーミアが尋ねた。


「ねえこいし。どうかしたのかー?」


「ん?どうかって?」


「今日、ほんとに元気ないから気になってさー」


「そうかな?もしかしたら寝不足で眠いのかも…」


「…そうなのかー」


これはダメだ、と、ルーミアはすぐに感じ取った。

今のこいしに何を言っても事情は話してはくれないだろう。


「多分だけど、今日学校にフランが来てないことが関係してると思う」


その日の放課後、ミスティア、そしてクラスメイトの真崎そのざき紫音しおんとルーミアの三人で、屋上で話し合っていた。


「やっぱりそうだよね…いっつもは笑顔で元気よく挨拶してくるこいしが今日は何も言わずに教室に入ってきたし」


「フランちゃんの席の方を見て少し落ち込んでたのも見たよ。やっぱりフランちゃんと関係があるんじゃないかな」


「だよね…みすちー、しおちゃん、紅魔館行ってみない?」


「今から?」


「うん。やっぱり気になるじゃん」


「それはそうだけど……紫音はどうする?」


「こいしちゃんの事は心配だけど…私人間だし…そんなところ行って大丈夫かなぁ…」


「大丈夫大丈夫!あそこの人達優しいからさ!」


「で、でもぉ…」


「何かあったら私が守ってあげるから!さ、行こう行こう」


「ルーミア、別に無理矢理連れて行かなくても…!」


「でも、こいしの真相を知るにはしおちゃんの能力はきっと役に立つからさ。ついてきてほしいんだ」


「…そうだけど……紫音、大丈夫?」


ミスティアが心配そうに紫音の方を見る。


「…うん。私が役に立てるなら、行かせて!」


「しおちゃんならそう言ってくれると信じてた!」


ルーミアが途端に嬉しそうに笑う。


「さ、行こう!」




「…で、私のところへ来たと…」


「そういう事だね。メイド長や主人がいないのは何か理由があるでしょ?」


ルーミア達は、大図書館のパチュリーのところに来ていた。


「…そこの子は?」


「あっ…真崎紫音って言います…!初めまして」


「ええ、初めまして。あまり緊張しなくていいわよ」


「はっ、はい!」


「…それで?パチュリーは何か知ってるんでしょ?」


「残念ながら、私も何も知らないのよ。むしろ、今それを調べていたところ」


「…え」


「…貴女達は知らなくてもいい事もあるわ。その事に関わるのは今後やめなさい」


パチュリーはそういうと、また本に目を向け、黙ってしまった。

ミスティアと紫音は、ルーミアの方を見つめる。

ルーミアは、ここで引き退っては、本当にこのまま何も知らされる事なく終わってしまう気がした。


「…嫌だ。私たちの友達が苦しんでるかもしれないのに、見過ごすなんて事はできない」


「…命の危険があると言ったはずよ」


「そんなの関係ない」


パチュリーは呆れたようにため息を吐いた。

そして、椅子から立ち上がる。


「いいわ」


「…じゃあ…!」


「それなら力尽くで諦めさせるだけよ」


「…え」


パチュリーが魔法陣を展開し、ルーミア達を囲んだ。


「え!?ええ!?」


「こ、これって…!」


−こんな魔法受けたら、紫音が…!


「…パチュリー…!」


「さああと十秒で決めなさい、ここで死ぬか、諦めるか、選ばせてあげる」


パチュリーの目は本気だった。

決して冗談でやっているわけではない。


「10」


「…ミ、ミスティアちゃん…!これって魔法…?」

「9」「8」


「う、うん…それもとびきり危ないヤツだよ…」

「7」「6」


「…ルーミアちゃん…!」

「5」


「ルーミア…」

「4」


二人が不安そうな眼差しで、ルーミアを見つめる。


「3」


「……」


「2」


パチュリーが手をルーミア達に向けて翳す。


「1」


「苦しんでるところを見捨てて!!


何が友達だァァァーー!!」


ルーミアが大声を出して弾幕をパチュリーに向けて放った。


「「!?」」


ミスティアと紫音はそれに驚いた。


パチュリーは平然としている。

ルーミアの弾幕を魔法で相殺させた。

その時爆発が起こり、辺りは煙に包まれた。


「げほっ…げほっ…!し、紫音!大丈夫!?」


「う、うん…!」


「はあっ…!はあっ…!」


ルーミアが息を荒げている。


「…そこまでの覚悟があるなら、いいわ。


ついてきなさい、調べたことを全部教えてあげる」






一方その頃、とある場所で。


「……?」


レミリアは、暗闇の中で目を覚ました。


「…ここは…?」


「おはよう、お姉様」


「!」


声のする方を見ると、フランが椅子に座っていた。

机には何かの本とティーカップが置いてある。

フランは微笑みを浮かべてこちらを見ている。


「…ええ、おはようフラン。ここは?」


「ここは私の秘密基地。多分、知ってるのは伸介とお姉様くらい」


「…ああ、あそこ……でも、どうしてここに…?」


「…心配かけたくなかったんだけど、これのことを知ってるのはお姉様と伸介と咲夜だけだったからさ……結局頼ることになっちゃった。ごめんね」


フランが胸元のリボンを解き、服のボタンを外していく。


「…!?」


「いつか来るとは、思ってた」


フランの胸元が少しだけはだける。

レミリアは胸の中心部分を見て驚愕していた。


「…あなた、それ……」


「ずっと抑えてたんだけどね。…ダメだったみたい」


レミリアは少し困惑しつつ、納得したように頷き、俯いた。


「…そういう、ことね。で、私はどうすればいいの?」


「…お姉様ってさ、変なところで意気地なしになるよね」


「…え?」


「急に慌てだしたりして、いっつも情けないなーって思ってた。やっぱりダメ姉はダメ姉だな、って」


「ちょ、急にディスるのやめていただけません?フランさん」


「だって仕方ないじゃん。本当の事だもん」


「私ってそんな風に思われてたのね……」


レミリアが両手を地面について落ち込んでいる。


「ふふふっ……でもね」


「!」


「とっても家族思いで、いざとなったらすっごくカッコよくて強くて、とっても頼りになるんだよね。お姉様は」


「私はそんなお姉様の事が大好きで、ずっと一緒にいたいな、って、力になってあげたいな、ってずっと思ってた」


「…フラン…」


−どうして急に、そんな事を…?


嫌な予感がしていた。

いつも辛辣にしている妹が、急にこんな事を言い出した。

レミリア的には嬉しくて鼻血が出そうな展開だが、そういう空気ではない。


「ねえ、お姉様。そんな、いざとなったら頼りになるお姉様の事を信頼して、頼みがあるの」


「…何?」


「私のことを、殺して」








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