海に行こう!
短めですが、その代わりに『あるもの』があります
あんまりいいものではありませんが…笑
「フランー、今度の日曜暇ー?」
「うん?まあ、暇だけど」
「やった!じゃあさ、海行こ、海」
「…え?こいし私を殺したいの?」
「いやいやいや!そんなつもりじゃなくて!」
フランが意地悪く笑う。
「はははっ、冗談よ、冗談。でも突然だね」
「今や季節は夏!夏といえば海!じゃん?」
こいしはジャスチャーを交えながらフランに言う。
「私は種族の関係上普段海なんて行かないから、それはわからないけれど…でも、楽しそうだね。行こっか」
「やったー!でもどうやって?」
「パチュリーに人間にしてもらうとか、まあどうにかしてもらうよ。この学園の人で出来る魔法ならパチュリーが出来ないはずがないからね」
「なるほど。じゃあ決まり!せっかくだからお姉ちゃん達も呼んで大勢で行こ!」
「そうだね、その方が楽しそう」
そして、なんやかんやで日曜日。
「幾ら何でもご都合主義すぎないかな。せめてその日の学校風景くらい書けばいいのに」
「作者の気力がないんだと思うよ」
「?あんたら何言ってんの?」
「気にしないでお姉様」
「海だー!!」
「ヒャホォォーーウ!!」
燐と空が海に飛び込んでいった。
「コラー!!準備体操しなさーい!!」
さとりが大声で言った。
「ねえ、思うのだけど幻想郷に海なんてあったかしら」
「ここ山奥ですしね…」
すると、後ろから声が聞こえる。
「はぁーい♡みんなのアイドルゆかりんのとうじょー♡」
「帰れ」
「ちょっ、酷い!レミリア、貴女もうちょっとノリ良くなかったかしら!?」
「喧しいこの年増!」
「好き放題言いやがって貴様ァ!!」
「二人共落ち着いて…!つまりこれは紫が海のあるとこまで連れてきてくれたって事でいいのね?」
「…コホン。ええ、その通り。感謝しなさいよー?」
「ありがとうね、紫さん」
フランが頭をぺこりと下げて言う。
「うーんいいのよぉ!貴女の頼みですもの♡」
ちなみにこの紫、子供好きである。
紫がふよふよと宙に浮きながらフランのところまで行く。
「そ、そう?」
「ええ!楽しんでいってね〜♡今度私とも遊びま…」
紫がフランの頭を撫でようとすると…
ガッ!!
「しょいっ!?」
「フランに触るな」ゴゴゴゴゴゴゴ……
凄まじい殺気を放ったレミリアがその手を掴んだ。
「お、OKOK ! I'm sorry !」
紫がすぐに離れた。
「そ、それじゃあ海、楽しんでね〜!」
紫がスキマの中に消えていった。
「…お姉様…」
フランが苦笑いでレミリアの方を見る。
「ごめんなさいねフラン、私あいつの事大っ嫌いなのよ」
「うん、雰囲気でわかるよ…でも紫さんは紅霧異変を起こした私達を受け入れてくれたわけだし、あまり邪険にするのもよくないと思うよ?」
「わかってるわ。わかってるんだけど…どうしても好きになれない…」
「…月の一件もあるしね……仕方ないとは思うけど」
「ねえねえフラン!早く着替えよ!水着に!」
「わっ、引っ張らないで!こけるこける!」
フランがこいしに引っ張られていった。
「…さとり、あんた泳ぐ?」
「いえ、私は浜辺でこいし達の泳ぐところを眺めるつもりです」
「なら私もそうするわ」
「おや?いいのですよ、私の事は気にしなくても…………ああ、そういう……」
「心を読むな!!」
「まあでも吸血鬼ですからね。泳げるわけありませんよね」
「だって流水怖いもん!」
「吸血鬼ですもんねぇww」
「笑いながら言うなぁ!さてはさとり!お前性格悪いな!?」
「こんな性格じゃないとさとり妖怪なんてやってられませんよ。…純粋な性格をしていたからこそ、こいしは…」
「…!…その、ごめんなさいね」
「…いえ、こちらこそ。暗い話をしてしまって…」
そんな二人のもとに…。
「でもこいしは、そのおかげで今の幸せを得ているんだよ」
「「!」」
水着に着替え終わったフランが話しかけた。
「こいしは目を閉じた事を後悔していないし、それを同情される事も望んでないと思うよ」
「同情、ですか。…確かにそうなのかもしれませんね。『同じさとり妖怪だから、こいしの苦しみは私にしかわからない』なんて…そんなのただの同情だったのかもしれない」
「…私が言いたかったのはそういう事じゃないのだけれど……まあ、ようするにだよ!
こいしは今、この生活がとっても幸せなんだから、目を閉じた事を後悔なんかしていない。だから、その事で落ち込むのはやめてほしいって事だよ!」
フランが笑顔で言った。
「…ふふっ、こいしは貴女のような友達を持てて幸せですね」
「私もこいしが友達でよかったよ。…こっちも、色々と助けられてるから」
「これからもこいしをよろしくお願いしますね、フランさん。…ここのピーチパラソル、使いますか?私たちは別の日陰でも構いませんが」
「ええ、フラン、遠慮なく使いなさい?こういうのは水着を着てる可愛い女の子が使った方が絵になるわ」
「さ、さらっと言うなぁお姉様は…でもありがとう。それじゃあ使われてもらおうかな」
少しして、こいしが更衣室から出てきた。
「お待たせ〜!遅くなってごめんねフラッ…」
「あ、こいし。いーよいーよ、そんなに待ってないから…わあっ…」(こいしの水着姿、可愛いな)
こいしはフランの姿を見て固まってしまった。
頭には赤いリボンと花を巻きつけてある麦わら帽子。
白い上着の隙間から赤い水着が見えている。
下は水色のミニスカートのようなものを履いている。
「…こいし?」
「…天使や…天使がおるでぇ…」
「こいし!?」
「あっ、ごっごめん。あんまりにフランが可愛かったもので、つい」
「…何でみんなそういう事さらっと言えるの…」
ちなみにこいしの水着は上に黄色いタンクトップに下を緑色のミニスカと、普段の服装とそんなに変わりない水着である。
俗にいうタンキニというもの。
「あ、そだ。カメラ持ってきてるから記念撮影しない?」
「記念撮影?」
「私とフランの初めての海遊び記念!」
「あーなるほど。いいよ」
「よーし、じゃあ…あっ、お姉ちゃーん!撮ってー!」
そう言いながら、レミリアとさとりが座っている木陰の下にこいしが走っていった。
「…海、か。初めて見たな」
−こんなに、綺麗なんだ。
「フラーン!撮るよー!」
こいしが少し離れたところで言う。
隣にはカメラを持ったさとりがいた。
「ん、私はここでいいよ!」
「えー?まあいいや、じゃあお姉ちゃん、お願い!」
「はいはーい、それじゃあ二人共笑ってー
はい、チーズ!」
パシャッ
「ありがとー!」
「ええ。あ、写真見せる?」
「うーん今はいいや。私今すぐ泳ぎたいから海行ってくる!フラン!行こー!」
「先行ってて。私はもう少しここにいるよ」
「えー!まあ、いいや。すぐにきてねーフラン!」
「うん!」
こいしが海に向かっていった。
「……」
「私達もね」
「!」
さとりが話しかけてきた。
「海は初めてなんですよ」
「…そうなんだ」
「こいしはきっと、初めての海は貴女と行きたかったのでしょうね」
「…そう思ってくれてると、嬉しいな」
「……」(本心ですね…)
−フランさんは思った事をそのまま口に出すタイプみたいね……。
まあ、時と場合によると思うけれど。
「あっ、そうだ。写真お見せしましょうか」
「ん、見たい」
「はい、どうぞ」
さとりがフランに写真を手渡す。
「……」
「二人共、いい笑顔ですね。こいしなんかこんなに幸せそうにしてますよ」
「…うん」
「こんな顔、久しぶりに見ましたよ。本当に」
「……そろそろ行かないと。こいしが怒っちゃうから」
「あら、そうですか?もう少し貴女と話していたかったんですけどね」
「ごめんね、また後で話そう。それじゃあ!」
フランが走っていった。
「……こいしがこんなに幸せそうにしているところを、私は『見た事がなかった』んですよ。フランさん」
−こいしが目を閉じた事を後悔しなくなったのもきっと、貴女のおかげなんです。
「こいしを幸せにしてくれて、本当にありがとう」
さとりは、とても楽しそうに海で遊んでいる二人を見て微笑んだ。
ひどいクオリティで草も生えない。




