悪魔の妹
無数の剣がフランに向かって飛んでいく。
フランはそれを、レーヴァテインで叩き落としたり素早く躱したりして避けていた。
「大したものだ、人間の体でそのような動きをするとは」
ギルガメスは楽しげに笑みを浮かべる。
「はぁっ…!はぁっ…!」
「しかしやはり人間の体だな、体力がついていかないだろう!
砲門開放!」
ギルガメスの背後に大量の武器が出現する。
そして、それがまたフランに向けて射出される。
「……!」
フランが少しだけ右に動いた。
そして、手前に飛んできていた剣を弾き飛ばした。
「!」
その後フランは全く動いていないが、武器は一つ足りともフランの体に当たることはなかった。
「なるほど、一番弾幕が薄い箇所を今の一瞬で見抜いたか」
武器の嵐が落ち着きだした時、フランが走り出す。
ギルガメスは再度砲門を展開する。
「ふはははははは!!」
ギルガメスが心底楽しそうに高笑いをあげる。
それと同時に、大量の武器が射出された。
「笑ってられるのも今のうちだ!」
フランがレーヴァテインに魔力を送り込んだ。
「『レーヴァテイン』!!」
レーヴァテインが巨大な炎の剣に変わる。
それを思い切り振るった。
大量の武器はそのレーヴァテインに全て弾き落とされる。
しかし、フランが一瞬だけふらついた。
「…っ…!」
−やっぱり、レーヴァテインは燃費が悪いな…!
その時、フランの顔に向けて何か飛んでくる。
「!!」
フランはそれをギリギリで躱した。
「そらそら!休んでいる暇などないぞ!!」
また大量の武器が射出されていた。
「…!」
−一発でこれだけの疲労なら、せいぜい解放できるのはあと二発ほどだろう。
なら…!
ダンッ
フランが武器の嵐に突っ込んでいく。
「何…?」
フランがレーヴァテインを腰のあたりにまで持っていき、抜刀術のような構えを取る。
次の瞬間、フランの周りに飛んでいた武器のほとんどが弾き飛ばされていた。
そして、フランが少し右に逸れる。
さらに凄まじいスピードでギルガメスの方に向かっていく。
「ほーう…?さすが、吸血鬼だっただけあって素早いな」
フランがギルガメスのすぐ近くまで接近する。
しかしその時、ギルガメスの少し手前から、剣の雨が降ってきた。
「!?」
フランは咄嗟にそれを避ける。
「くっ…!」
ギルガメスが、校舎の少し高いところに着地し、フランを見降ろしている。
「今のも避けるか。いくら元の我とは言え、随分素早いものだ」
「…その口調、いつまで続けるつもり?」
「……何だ、気に入らない?私は私の喋り方の方が好き?」
「ええ、私はそっちの方が好きだね」
「ならこっちにしようか。テンション高めに接してたのも演技だったし、それも控えよう」
そう言うと、ギルガメスの表情が一変する。
先ほどまでは常に狂気的な笑みを浮かべていたのに対し、今のギルガメスは不気味な笑みを浮かべている。
ドドドドドドドドッ
「!」
ギルガメスの背後から大量の武器が飛んでくる。
フランはそれを全て躱している。
「よく避けるね。でもそれはいつまで保つかな」
フランは体力の消費が激しくなっていた。
先ほどまでは然程の体力の減りはなかったが、今はかなり減少している。
「ハァッ…!ハァッ…!」
「しかし、ほとほと呆れるね。貴女は聖から真実を聞いたのでしょう?なら、もう全て”わかっているはずなのに”」
ギルガメスはフランの方を見つめながらそう言った。
「千里眼で見たからこそ言える事。絶望の未来は『私』が要因で起こる。それはもう決まった事だ。
私はこの世にいてはならない存在だと、はっきりわかっているでしょう?」
「……」
−白蓮さんが言っていた。
今のギルガメスは本物のギルガメスではない、と。
その正体は、ギルガメスの力を乗っ取った私だったのだ。
メイジの過去と白蓮さんから聞いた話を照らし合わせると、この廃校の事件の真相が見えてきた。
まず、この廃校はギルガメスとなり得る前の、強い霊体が東方学園を基にして作り上げた。
しかしその際に、別の空間を作った。それがこの廃校のある空間。何故わざわざそんな事をしたのかというと……。
「私の力は強大だ。故に狙われやすい。おまけにまだ貴女の場合は能力の制御も辛うじての状態だ。それなら奪うことなんて容易い。
そう判断したのが真のギルガメス、私達を襲ってきた奴だよ。
奴は私の力を奪って、博麗大結界を秘密裏に破壊していくつもりだったんだ。
そんな力があったなんて、思いもしなかったよね。私自身の戦闘経験が浅く、そもそもこの能力を嫌っていたから、この能力の全てを理解していた訳ではなかったんだ」
「…貴女はどうやって未来を見たの?」
「千里眼だってさっき言ったけど?」
「その千里眼をどうやって得たのかを聞いてるの」
「…ああ…そうだね。私が最初に見たのは、ギルガメスの攻撃を受けたあの時だよ。その時に、何故か見えたんだ。”全部”が。
その時からかな。私がこいしに内緒で色んなことを計画し出したのは」
ギルガメスはそう言うと、砲門を展開する。
「伸介やレミリアを巻き込むつもりはなかったが、まあ仕方ないよね」
「…じゃあ、何でぬえを殺したの?」
「…何で殺したと思う?」
ギルガメスは怪しい笑みを浮かべる。
「…!?」
「ま、その答えはそのうちわかるさ。
私が本当に千里眼を得たのは奴の力を乗っ取って以来かな」
そう、未来の私は、本物のギルガメスの力を乗っ取ったのだ。
自身の体の中に入り込んできたギルガメスを、自らの魔力で押し潰した。
「それで、砲門の力も千里眼も得たわけだよ。奴が何者なのかは定かではないけど、ここまでの力を持っていたとはね」
「…未来を見て、覆そうとは思わなかったの?」
「……貴女は今、何を相手にしているのか理解してる?私がどうしてこんな事をしているか分かる?」
「…?……!!」
−私を殺して、私の存在をなかった事にしようとしている…?
つまり……
「今まさに、私は未来を覆そうとしているんだけど?」
「…そんな…そんな方法…!!」
「これしかなかったからこうしてる。それだけの事よ」
「そんな…!どうにかなるはずでしょ!?今実際に抑え込める事が出来てるのに…!!」
「多くを語る必要はないでしょう?…でも、一つだけ教えてあげる。
貴女は、自惚れているのよ」
「…!!」
「…さて、無駄話はここらで終わりにしよう。その愚行を正してあげる」
その時だった。
ドオオオオオオオンッ!!
「!?」
「ん…?」
廃校の東棟が、突如崩壊した。
そして、その校舎の中から、巨大な青白い右手が出現する。
「ああ……廃校の管理を放棄したから……死人達の魂が核を失い、依り代の私を求めるか」
ギルガメスが、手に何かの黒い鍵のようなものを出現させた。
その鍵を、空中に差し込み、回した。
「…!」
−ギルガメスを狙ってるの…!?
フランは、青白い手の方に気を取られてそれに気付いていない。
その時、ギルガメスの方から赤い光が放たれた。
ギルガメスの方を見ると、紅い無数の線が空に向けて展開されていた。
その紅い線は少しずつ数を減らしていき、最終的にはギルガメスの左手のところに集まっていく。
ギルガメスの左手に、一つの武器が出現する。
「…あれは…!」
「一掃せよ
『レーヴァテイン』」
ドオオオオオオオオオオオオオオオオッ
「なっ!?」
ギルガメスがそう言った瞬間、辺りに凄まじい衝撃波が発生した。
空間そのものが切り裂かれているかのような、凄まじい衝撃だった。
巨大な青白い手は、瞬く間に消しとばされた。
それは、フランがいるところにまで届き、衝撃波がフランを襲った。
少しして、衝撃波が治った。
「…加減はしたつもりだったが……」
フランは、衝撃波に耐えきれずに倒れ込んでしまっていた。
「これでは、ぬえが残った方がマシだったよ。私」
「…ッ…」
無理矢理体を起こす。
ギルガメスは校舎から降り、フランの数メートル手前で再び武器を展開していた。
「ここまで、か。やはり愚行だったな。お前では何も変えられない。
自らが絶望の根源だと言うのにそれを変えようとは、よくもそこまで思い上がれたものだ」
ギルガメスが、嘲笑うような表情で言った。
「さて、これでとどめだね。呆気ないものだ」
「ねえ、ギルガメス」
「!」
「あなたは、正しい行いって何だと思う?」
「…?」
「自分の信じた道が誤っていたと言われたとして……それを受け入れる事が正しい事なのかな?」
「よくわかってるじゃない。こうするべきだと言われたのなら、すぐにそうするのが正しいという事よ。
自らの間違いに気付いているのにも関わらずそのまま進み続けるのは愚か者のする事。そんなものは正義でも何でもない。
誰も傷つかない希望の未来だと?
おかしなことを…希望とは犠牲がなくては成り立たないものだ。
自分にとって都合のいい未来に変えるなどと言うのは、地図に記された道を自ら踏み外す愚者の戯言。
自らの罪を覆い隠すためだけの言い訳にすぎない。
自分の目指す目標を失いたくない、ただ自身が可愛いだけの真の愚か者だ」
ギルガメスはそういうと、手に持っていた黒い剣を消した。
「…あなたは、そう思うんだね。同じ中身でもここまで考え方が違うんだ」
「しかしよく喋るね。出し惜しんだとは言え、人間の体であるならば、既に瀕死の重体のはずだけど」
「あれだけ武器をたくさん撃っておいて、まだ出し惜しむものがあるんだね」
フランがゆっくりと起き上がる。
「あれはフランドールという存在の象徴とも言える剣だ。それを否定する私が易々と使うわけにもいかないでしょ」
そう、確かにギルガメスの言う通りだ。
誰も傷付かないで成り立つ平和なんてない。
必ずどこかに救われないものがいて、それがまたいずれ闇へと変わる。
私はかつて、そういう事を経験した事がある。
だから、人間なんてそんなものだと諦めないと、とても生きてはいられなかった。
だから、だからこそ、その理想に憧れた。
いけないのか?決して届かない願いだと、それは偽善なのか?
偽物だから、届いてはいけないのか?
違う。それはきっと違うと思う。
偽物でも、叶えられない願いでもいい。
全てを救うことはできないと、誰かが犠牲にならなければならないとわかってる。
そんなものは理想にすぎないと知った上で、なお理想を求め続けた。
多くを救う為に傷つけて、それでも誰も傷つかない幸福を求め続ける。
その果てに、奴はここに辿り着いた。
奴は、それを偽善だと言った。
先に起きる全てを見て、尚もその理想を求め続けた果てが、自身を消す事。
それは、その答えこそ、誰も傷付かないという理想の極論じゃないか。
「……?」
−何だ…奴の表情…。
「あなたも結局は私だね…ギルガメス」
「…何だと?」
「自分が間違った道を歩んでいる事に気付いていながらそれを進み続ける……それはあなたも同じじゃない」
フランは、とても穏やかな表情でそう言った。
「…私がいつ道を間違えたって?」
「ギルガメスを取り込んだ時からだよ。…私だからこそ分かるけど、あなたはあそこでギルガメスと一緒に消滅するつもりだったんでしょ?自分の能力を使って」
ギルガメスは、それを聞いて少し表情を変えた。
「…そうだね、最初はそのつもりだった。けど、気が変わったんだ」
「何を視たの?」
「…!!」
「あなたをそういう風に変えたのは、何を見たのが原因なの?」
「…お見通し、ってわけね……良いよ、この際だから見せてあげる」
その時、ギルガメスの背後から大量の武器が放たれる。
しかしフランは、一歩も動こうとしなかった。
大量の武器は、一発もフランの体に当たらずに通り過ぎていく。
そして一発だけ、フランの頬を掠めた。
その時、フランの中に流れ込んできた。
ギルガメスが見た、絶望の未来が。
それは、紅魔館での出来事。
私は、こいしとぬえと一緒に遊んでいた。
きっとこの世界線は、誰一人欠ける事なく脱出することができた世界線、もしくはここに閉じ込められることのなかった世界線なのだろう。
三人は楽しげにしていると、突然私がうずくまる。
こいしとぬえは心配そうに私に寄り添う。
その時、ぬえの胸に私の右腕が、こいしの胸に左腕が貫いた。
私はそれを引き抜く。両手には、二人の核、心臓と思われるものを持っている。
それを、握り潰した。
二人は、泣きながらその場に倒れた。
私は、とても楽しそうに笑っていた。
そこからは、地獄絵図だった。紅魔館のみんなを、私が片っ端から殺していくのだ。
そして最終的に、紅魔館の屋上でお姉様と一騎打ちになる。
私の手には、咲夜のものと思しき時計が持たれている。
それを、お姉様の目の前で握り潰した。
その後の光景は、私には耐えられなかった。
見たくなかった。
「見えた?これがあなたの辿る未来よ」
「…!」
「何が原因か、わからないわけじゃないでしょ。あなたも心当たりはあったようだし」
「…これは、後何年後の話なの?」
「半年後よ」
「…!!」
「もうわかったでしょ。どうしようもないの。
だから、ここで大人しく消えなさい」
−…それでも……
「…!」(こいつ…!)
私はどうも、諦められないらしい。
それに、今の記憶を見て、思い出した。
フランは今度は、自信に満ちた表情で笑っている。
「…どうやら徹底的に捻り潰す必要があるらしいね…!」
「偽善、か…確かにね。
誰も傷付かないで済む未来なんて、『私』がいる限りありえないだろうね。
私が、一人だったらね」
フランの体から、紅いオーラが発生する。
「…?」
「勘違いしていた。私は何も一人で戦ってるんじゃない。私には、信じられる仲間がいる。
今の記憶のおかげで思い出したよ…ありがとう」
「…くだらない…!
くだらない、くだらない!!」
ギルガメスが、またも大量の武器を展開する。
「信じられる仲間だと!?それを自らの手で壊した未来が見えなかったのか!?
それに、自身の中の問題だと言うのに、仲間がどう助けると言うの!?」
「それはどうとでもなる事だよ。あなたは私よりも頭がいいから…私でも思い付いた方法を思い付かない訳がない」
「…!」
「でも、それを話してもあなたは意思を変えないだろうね」
「…そうだね、その通りだ。話すだけ無駄なんだ。
もう終わらせる」
ギルガメスが展開していた武器を射出する。
その時
ドオオオオオオオンッ!
「!?」
フランから発生していた紅いオーラが、爆発した。
フランの右手に持つレーヴァテインに、赤い炎が纏われていた。
さらに周りには、魔力で構成された大量の紅い武器が漂っていた。
「行くぞ、ギルガメス。
武器の貯蔵は充分か」
「…はっ…
思い上がったな、偽善者」
ドドドドドドドド
武器がさらに射出される。
フランはそれを、一振りで全て薙ぎ払った。
しかし、またさらに武器が射出される。
周りに漂っていた紅い武器が、射出された武器に向かって飛んでいき、それを相殺する
フランは、横に走って武器の軌道から流れていく。
ギルガメスはフランを追いかけるように武器を射出させる。
「…ふん」
ギルガメスが、フランが走っている逆方向に砲門を開き、武器を射出した。
「ふっ…!」
フランは射出された武器を紅い武器とレーヴァテインで全て弾く。
さらに、追いかけるように射出されていた武器も、ほとんどを弾きつつ飛び上がって後ろに後退した。
さらに、ギルガメスはフランの頭上に砲門を展開して、武器を射出させるが、フランは自身の近くにある武器だけを弾いて防いだ。
さらに、紅い武器をギルガメスに向けて射出する。
ギルガメスは、紅い武器に向けて武器を射出してそれを相殺する。
「…!何故、人間の体であのような動きが…」
−いくら元が吸血鬼とはいえ、あれが人間にできる動きか…?それにあの紅い武器は……
「確かに、ありとあらゆる武器を持つあなたは何人にも劣らないでしょうね」
「!」
「でもあなたはそれだけだ。武器を持っているだけで扱えない。
一つの武器を極限まで極める道を選ばなかった半端者よ」
フランはレーヴァテインをギルガメスに翳す。
「ッ…!!戯言の尽きぬその頭蓋、一片たりとも残しはせん!!」
ドドドドドドドドドドドドッ
フランは武器の雨の中を走り抜ける。
自身の降りかかる武器はその手で弾き、避け、どんどんギルガメスに近付いていく。
さらに、紅い武器を二本ギルガメスに向けて射出する。
「!!」
ギルガメスはギリギリのところでそれを躱す。
一本はギルガメスの少し手前に被弾し、土煙を上げさせた。
その時フランは、一気に加速してギルガメスの目の前まで近付いた。
そして、レーヴァテインで斬りかかる。
「!!」
「はあっ!」
ガキィンッ!
ギルガメスは右手に持つ剣でそれを防ぐ。
「…ッ!!バカなッ…この我が…!!このような愚者に…!?」
「他の誰かが相手なら、私だってここまではやれなかっただろうさ!!無限の剣を持ったところで、究極の一を持った相手には対抗できない!
でもあなたが相手なら、先に武器を用意している私が…!
一歩先を行く!!」
ギルガメスの持つ剣を、レーヴァテインで破壊した。
「…お、のれぇ…!!」
ギルガメスの表情が、怒りに満ちていく。
フランはギルガメスに向けてレーヴァテインを振るう。
ガキィンッ!
「!!」
ギルガメスは再度右手に剣を出した。
その剣で、フランに連続で斬りかかる。
「おのれ!!おのれおのれおのれ、おのれぇ!!!」
ガキィンッガキィンッ! ガキィ ガキィンッ!
ガキィンッ!!
フランはギルガメスの武器を弾き飛ばした。
しかし、ギルガメスが指差すとその弾き飛ばした剣がフランに向かって飛んでいく。
その際に、大量の魔力を込める。
ドオオオオオオオンッ!
フランはその剣を後ろに飛んで躱した。
ギルガメスはまた武器を射出して、フランをさらに後退させる。
「おのれ…!!
貴様如きに本気を出さねばならんとはなぁ!!」
ギルガメスの背後に、凄まじい数の砲門が展開される。
ドドドドドドドドドドドドッ
それが全て射出される。
「はぁっ!!」
フランは紅い武器を左手に持ち、飛んできた武器を弾いた。
その際に、紅い武器が壊れてしまう。
フランは、自分の数メートル先に紅い武器を大量に撃ち込む。
地面に紅い武器が刺さった。
ドドドドドドドドドドドドッ
武器が大量に飛んでくる。
フランは紅い武器をまた左手に持ち、両手でそれらを全て弾いていく。
ギルガメスがさらに砲門から武器を射出しようとしたその時、紅い武器が砲門に向かって飛んでいく。
紅い武器が、砲門から撃ち出されるであろう武器を破壊していく。撃ち出される前に展開されていた全ての砲門を破壊した。
フランはそこでさらに加速して、どんどんギルガメスに近付いていく。
「うおおおおおおお!!」
「ぐぅ…ッ!!」
ギルガメスが焦りの表情を見せる。
ギルガメスはさらに武器を射出する。
紅い武器は、それのいくつかを相殺した。
残った武器がフランを襲うが、フランはそれを走りながら両手の剣で全て弾く。
ギルガメスは大量の武器をフランの斜め上空から放った。
しかし、フランが大きく前に飛び上がってそれらを全て避ける。
ギルガメスが射出する武器を空中で弾く。
その際に、またも紅い武器が壊されてしまった。
しかし、フランの着地した位置には、紅い武器が大量に刺さっていた。
その紅い武器を地面から引き抜き、ギルガメスの武器を弾く。
さらにフランは加速して、ギルガメスとの距離を詰める。
ガキィンッ!ガキィンッガキィンッガキィン
ガキィンッ!!
フランは飛んでくる武器を悉く弾きながら、凄まじいスピードでギルガメスに接近していく。
その時、フランの周り三百六十度を、砲門が囲った。
ドドドドドドドドドドドドッ
その砲門全てから、大量の魔力を込められた武器が同時に射出される。
フランのいた位置に、大爆発が起きた。
ドアオオオオオオオオンッ
フランの帽子が、煙の中から飛び出てきた。
「…ふん…
……!?」
空を見上げると、フランが遥か上空にいた。
解放されたレーヴァテインを片手に。
「『レーヴァテイン』…!」
ギルガメスが凄まじい数の砲門を展開し、またフランに向けて武器を射出する。
フランは紅い武器でそれの半数を相殺する。
残った武器はレーヴァテインで弾いていた。
しかし全ては防ぎきれず、何発か体を掠めている。
「おおおおおおお!!」
「…ちぃッ…!!」
ギルガメスがレーヴァテインを砲門から出現させる。
それを右手で掴もうとするが…。
「…くっ…!」
一瞬躊躇った後、ギルガメスはレーヴァテインを砲門から引き抜いた。
しかし――
ズバァンッ!!
ギルガメスの右手が、急降下してきたフランのレーヴァテインによって斬り飛ばされた。
ギルガメスは少しだけ体勢を崩した。
「…ぐぅッ…!?」
ギルガメスはフランから後退しようとする。
「逃がすかァァァ!!」
フランがレーヴァテインでギルガメスに斬りかかった。
その時、辺りは突然白い光で包まれた。
最初は冷静で絶対的な強さを持った強敵を主人公が倒していく様は、いつ見ても興奮するものですよね
今回はそんな胸熱な展開になるよう、頑張ったつもりではあります笑




