恋の瞳
これ、パロディどころの話ではないのでは?
「やぁっ!」
こいしがメイジに斬りかかる。
メイジは少し後ろに下がって躱す。
「そんな剣術のけの字もないような攻撃じゃ当たらないよ」
「うるさい!」
こいしが、右手の剣を投げた。
「!」
メイジはその剣を躱す。
前を見ると、こいしが目の前まで接近していた。
投げた剣は、メイジの少し後ろの壁に刺さっている。
「せい!」
「…!」
こいしは左手に持っていた剣を両手で持ち、メイジに連続で攻撃する。
メイジは、それを全て受け流している。
こいしの連撃に押され、メイジは後退していく。
「どうしたの!?さっきまで随分偉そうだったのに急に大人しくなったね!」
「別にさっきまで大人しくなかったわけじゃないでしょう」
「どうだか、ね!」
こいしが短剣を大きく振りかぶり、メイジの頭に向けて振るう。
「!」
ガキィンッ!
メイジはそれを、両手の剣を顔の前に交差させて防ぐ。
「ぐっ…!」
「…力勝負でもしようって…?人間の幼女の体でよくもそんな賭けに出られたもんだ」
メイジが剣を弾く。
こいしは一旦後退した。
「自ら片手を手放したね。自分から不利になるとは、いい趣味してるじゃない」
「そうかな?別に片手になったからって不利になったとは限らないよ」
「…何?」
こいしが右手をメイジに向けて翳す。
「…!」
背後の壁に刺さっていた剣が、メイジに向かって飛んでいく。
メイジはそれをしゃがんで躱した。
「なーるほど、頭使ったね」
剣が、こいしの右手に戻った。
「この剣は互いに引かれ合う性質がある。それを利用したブーメラン的な攻撃さ」
「私の武器を投影した時にそれも読み取ったか……やるね」
メイジが立ち上がる。そしてゆっくりと円を描くように右に歩き始めた。
こいしも、それに合わせて左にゆっくりと歩き始める。
そのまま、六歩ほど歩いた次の瞬間―――
ザッ!
ガキィンッ!
二人が同時に両手で斬りかかる。
こいしが右手の剣をメイジの腹に向けて振るう。
メイジはそれを左手の剣で防ぐ。
こいしは、今度は左手に持つ剣で攻撃する。
しかしメイジはそれを右手の武器で弾き、こいしを蹴飛ばした。
「うわぁ!……!?」
蹴飛ばした後、メイジが高速で飛び上がって、急降下して右手の剣でこいしの腹部を貫こうとする。
「ぐっ!!」
こいしはそれをギリギリのところで躱す。
メイジは勢いよく地面に着地した。
右手の剣は地面に刺さっている。
メイジはすぐに剣を引き抜き、また攻撃する。
こいしはそのスピードに対応できず、右腕を掠めた。
「ぐっ…!」
「さっきまでの威勢はどうしたのかな」
「う、うるさい!」
メイジの連続攻撃に押されていくこいし。
メイジの剣撃が素早く、捌き切れない。
こいしの体に切り傷が増えていく。
突然、メイジが右手の剣を逆手持ちにする。
ダンッ
「!」
メイジが少し飛び上がり、左手の剣をこいしの頭目掛けて思い切り振るった。
ガキィンッ!!
「うぐっ…!」
こいしはそれを両手の剣で防いだ。
メイジはそこで、下から切り上げるように右手の剣を振るう。
「っ!?」
下からの衝撃は予想外だったため、こいしの剣が両方とも弾かれる。
防御が無くなり、無防備になってしまった。
こいしの左肩にメイジの右手の剣が突き刺さる。
「ぐぅっ…!」
こいしは両手の剣をメイジに向けて振るうが、メイジはすぐに剣をこいしから引き抜き後退して躱した。
「はぁっ…はぁっ…!」
−やっぱ、強い…!
「こんな程度のひっかけに引っ掛かるようじゃ、私を倒すには遠く及ばないね」
「…そんなの、やってみなくちゃわからない」
「今まさにやってるところだと思うがね。その結果がこれだ。
全身切り傷だらけ……実力の差は歴然だと思うけど」
「…だからって…私が諦める理由にはならない!」
こいしが再びメイジに向かっていく。
「…ふん、無様に足掻いて見せるがいいさ。結果は見えてる」
こいしが右手の剣で攻撃する。
メイジはそれを、少し後ろに下がって躱す。
こいしはさらに右手で攻撃をする。
メイジはそれを、身を屈ませて躱す。
そのまま下からこいしの腹に向けて右手の剣を振るう。
ガッ
「!」
こいしはそれを左手の剣で防ぐ。さらに、足元にいるメイジに蹴りを放った。
「っと…!」
メイジはそれを後ろに飛んで躱した。
−少し私のスピードについてきだしたか……一旦距離を置こう。
メイジが着地して、前を向いた。
「…!?」
目の前にこいしがいる。
さっきのは蹴りを放っていていたのではなく、後退する事を読んでの踏み込みだったのだ。
「もらったァ!!」
ズバッ
「…ッ…!」
こいしの右手の剣の一撃がメイジの左肩を掠めた。
メイジは大きく後ろに飛んで、距離を取った。
「こいつは驚いた……スピードが上がってるな。今の一瞬でここまで変わるものかな?」
「言ったでしょ、負けていたのは私の心だって。
私は屈しない限り、どこまでも貴女に近付いていくよ」
こいしが、メイジの血のついた右手の剣をメイジに向けて翳す。
「……同じ体なんだから、真似できないはずがない、ってわけか……」
メイジは立ち上がり、また剣を構えた。
「……」
「……」
二人がお互いを睨み合っている。
ザッ!
二人がまた同時に動き出す。
こいしが右手の剣を振るう。メイジはそれをこいしの背後に瞬時に回って避ける。
メイジは左手の剣をこいしの頭へ振るう。こいしは振り返りながら右手の剣を振るい、メイジの攻撃を弾いた。
「そらっ!」
「!」
弾かれた勢いを利用して、メイジは回転斬りを繰り出す。
こいしはそれをメイジの頭上に飛んで躱した。
「せいっ!」
そのまま、両手の剣をメイジに向かって振るう。
「ちっ…!」
メイジは両手の剣でそれを防ぐ。
こいしはメイジの背後に着地して、両手の剣を振りかぶる。
「!」
メイジはそれを見て、また両手の剣を交差させて防ごうとする。
ガキィンッ
こいしは両方の剣をメイジが交差させている剣の内側に入れ込んだ。
そして、そのまま斜め上に切り上げる。
「なっ…!」
メイジの剣が弾かれ、無防備な状態になる。
「もらった!」
ズバァンッ!
こいしが両手の剣を振り下ろす。それは、メイジの両肩を捉えた。
メイジがバックステップをしていたため、深くは切られなかった。
「……!」
「はぁ…はっ……ふーっ…」
こいしが呼吸を整える。
「まだまだ行くよ、メイジ」
メイジは、切られた傷口を右手で撫でる。
右手に、血が付着した。
「……本当、呆れるよ。あれだけ戦いに明け暮れたにも関わらず、大して成長していない自分に」
「いいや、貴女は相当強くなってるよ。ただ、私がその動きをコピーしてるだけ」
「…何?」
「投影魔術は何も武器だけが限定じゃないのは知ってるでしょ。私は貴女と剣を交える度に貴女の戦闘の記録を読み取って、自身の体に投影してるんだ。そうすると、私は貴女の動きを詳細に知る事ができる」
「……なるほど、それで、こう動けばこういう弱点が生まれるからそこを突けば崩せる、というのもわかるわけだ」
「そういう事。…私は魔術なんてまだまだだから、上手く使えない。でも、自分が相手だっていうのなら別だ。
貴女にだけしか出来ない戦法なんだよ、これは」
そこまで言うと、こいしはまた剣を翳した。
「そう、そうなのね……私相手にのみ使えるチートってわけだ……。
ただ、わからないの?私に追いつく、という事が間違っているという事に」
「…何?」
メイジは、自身の胸の前に右手を持っていく。
「この間違った結末を辿った者に追いつくのが、正しい事だと思う?」
その時、こいしはメイジとの戦闘中に読み取ったメイジの戦いの記録を思い出していた。
毎日毎日、狂ったように死人を殺し尽くした。
その事に何の躊躇いも感じなかった。いつしかそれは、メイジとなる前のこいしを狂わせていった。
「…私の記憶を読み取ったのなら、わかるでしょう。私に追いつくとはそういう事だ。
今一度、その目に焼き付けるがいい」
「!」
「”I am the bone of my sword.”」
メイジが何かの呪文を唱え出した。
すると、メイジの周りから、青い稲妻が走り始める。
「…!?」
「”so as I play……
Unlimited Lost World.”」
「……えっ……」
辺りが、果てしなく続く荒野に変わっていた。
そして、荒野のところどころに武器が刺さっている。
天井もなくなり、夕暮れの空が見えている。
さらに、雲と巨大な歯車のようなものが空を覆っていた。
「これが、お前の望んだ未来の果てだ。くだらない理想を持ち、結局なし得る事もできずに諦めた愚か者。さとり妖怪として故障していたお前は初めからあってはならない偽物だった。そんなものに生きている価値はない。
私はお前の理想だ。決して叶わないと、この景色で理解したはずだが?」
こいしは思い出していた。
この景色は、前にも見た事がある。
あの時の夢だ。
剣の丘で、銀髪の少女と戦う夢。
「決して違えないで」と、そう言われたあの夢を、思い出した。
「…だったら何だって言うのよ!!」
こいしがメイジに向かっていく。
「私がお前の理想である限り、古明地こいしは誰よりも私を否定しなければならない。それなのに、私に追いつこうとするとは……
貴女は本当に、ハッピーエンドを望んでいるの?」
「うるさい!!望んでいるんじゃなくて、そうするんだ!!」
こいしが右手の剣で攻撃する。
メイジはそれを左手の剣で防ぐ。そしてすぐに逆手持ちに持ち替え、こいしの剣にその剣を引っ掛ける。
メイジはそのまま前進し、こいしの真後ろに背を向けたまま回った。
こいしの右手は、メイジの剣に引っ掛けられて動かせない。
「ぐっ!」
真後ろにいるため、振り返る事もできない。
こいしは左手の剣でメイジの足を刺そうとするが、メイジの右手の剣に防がれる。
二人は、背中合わせの状態となった。
「ぐっ…くっ…ッ」
「そう、それでこそ私だよ。それが私の持っていた唯一の感情だ。バッドエンドは見たくない。自分が一度それを迎えた事による恐怖が、その感情をより強くした。……実のところ、私にはもう、『古明地こいし』であった頃の記憶は薄れてる。
そんな私の中にあるのは、私が正気を取り戻した時のお姉ちゃんの顔だよ。その時のお姉ちゃんの顔が、あまりにも幸せそうだったから、自分の行い次第でこの幸福を皆に与えられるのではと憧れた」
かつてこいしは、サードアイを自ら潰して正気を失った。正確には無意識に囚われるようになってしまった。
しかし、ある日突然その症状は治った。
それは、さとりがありとあらゆる手を尽くした直後の事だった。
何をしても無駄、効果無し。さとりは、もう二度とこいしの感情を取り戻す事は出来ないのだと絶望した。
しかしそんな中、姉の涙によってこいしの中に眠る意識が目覚めた。
−…あの時救われたのは、私じゃない。戻るはずのなかった妹の感情が、奇跡的に戻ったんだ。あらゆる手を尽くしてもどうしようもなかった事が、奇跡的に。
…あの時、本当に救われたのは……。
「それが呪いだ。あの時の幸福感を、もう一度味わいたい、もう一度この感情を見たい。その時から、私は『正義の味方』にならなくてはならなくなった。お前の理想は紛い物だ」
「…違う…私は、本当に、人の笑顔が見たくて…!」
「それが紛い物だと言っている。正義の味方だと?笑わせるな…!誰かの幸福の為にとそう繰り返し続けてきたお前の想いは、自らの心の穴を埋める為でしかない偽りの正義。人に自身の存在を求められたいという強い想いから発生しただけの紛い物。そんな自己の不満を解消するの為だけに他人の助けになるなどと……思い上がりも甚だしい!!」
メイジはこいしの左足の太腿に剣を突き刺した。
「うぐっ!?」
こいしはすぐにメイジから離れた。
しかしメイジは距離を詰めてまた攻撃を続ける。
「人に求められる事が綺麗だったから憧れた!故に人の助けになりたいという感情はない!自らの心の穴を埋めれさえすれば何でもよかったんだ!その手段の一つとして選んだのが人助けだ!
これを偽善と言わず、何と言う!!!」
メイジの攻撃が、ついにこいしの腹部を捉えた。
剣が、こいしの腹部に突き刺さる。
「がふっ…」
「そんな偽善では誰も救えない。もとより、何を救うのかも定まらない。見ろ、その結果がこれだ。
初めから救う術を知らず、救うものを持たず、醜悪な正義の体現者が……お前の成れの果てと知れ!!」
こいしが後退りした後、その場に倒れこんだ。
「感情を持つものらしいと言えばそうだろう。だがお前の目指していたものはそんな生易しいものではない。誰も彼もを幸福にすれば、自分は愛されるだろうな。しかし、それをする理由があまりにも偽善的だった。理想を語るだけ語っておいて、それを実現する心を持ち合わせていなかった。
それでも惨めに足掻き続けた。その結末の体現が、今目の前にいる」
こいしは、今までの自身の行動を、思い返していた。
家族の役に立ちたいと始めた家事。これは全く上手くいかなかった。結果として、家族を困らせてしまった。
その後に、役に立てやすいものは何かを考えた。
自分でも必要としてもらえる、楽で簡単な方法はないか、と。
「お前の理想は決して叶わない。いや、叶ってはならない。それが罷り通る世界なら、そんなものはもはや正義のカケラも無くなっている。お前は消えるべき存在だ。
さらばだ。理想を抱いて溺死しろ!!」
メイジが、こいしにトドメを刺そうとする。
−……。
何故だろう。
どうしてメイジは、そんな人として当然の感情を否定しているのだろう?
『正義の味方』にならなければならなくなった。
それは違う。確かに私は、人から求められたいと思っている。その手段の一つとして選んだのが人助けだというのも、その通りだ。しかし、それはきっと、感情を持つ生き物なら誰しもが持ち得る考えのはずだ。
愛がなければ、感情を持つ生き物は生きていけない。
ならば、何故メイジはその『愛される事』を否定する?
その時こいしは、死人達の残骸の山の上で傷だらけの姿で立っているメイジの姿を見た。
――地獄を見た。
地獄を、見た。
「その背中は、多くのものを失ったように見える。そして、何かを忘れているようにも」
「それは違う。何も失いたくないと意地を張ったからこそ私はこうなった。…でも確かに、何かを忘れている気はする」
こいしは、サードアイを閉じていない頃の自分を目にする。
目を潰そうとする自分を、静止しようとする。
「ねえ、その先は地獄だよ」
しかし、こいしはサードアイを潰してしまった。
「…私は何のために、あの地獄を耐えたのか」
その時、こいしの目に、こいしに抱きついて泣いて喜ぶさとりの顔が映る。
それを見て、歩みを進めようとする。その時……。
「おい
その先は、地獄だぞ」
メイジが、こいしにそう言った。
「…これが、貴女の忘れたものだよ。確かに最初は憧れだった。けど、根底にあるものは願いだったんだ。この地獄を覆して欲しいという願い……もうこれ以上、バッドエンドを見たくないと言う、お姉ちゃんの願いでもあったんだ。
私は、その願いを叶えなければならないと思った。だから、この道をどこまでも進んでいく」
メイジがさらにこいしに言う。
「たとえその行いが、偽善的なものであったとしても?」
「ええ、私は進む。どんなに偽善的であろうと、この願いは…想いは変わらないから」
そこで、こいしは我に帰る。
「……ああ…そっか……」
ガキィンッ
「!?」
メイジの攻撃が弾かれた。
こいしから、碧いオーラが発生している。
「メイジ。確かに貴女の言う通り、私の行いは偽善的だと思うよ。けど、それは誰でもしてしまう偽善だと、私は思う」
「そうだな。だがお前は別だ。あれだけ大層な理想を掲げておいてその理由があまりにも酷すぎた。私はそれが許せない。さっきも言ったな。
そんなもので人は救えない。そもそも、救うべき”もの”が定まらない。永遠に心の穴も埋められず、終いには自身が原因で不幸を運んでしまうようになる。そんな馬鹿げた話ができるのなら、未然に防ぐ他ないだろう」
「…自分を認められず、最後まで自己嫌悪の渦に飲まれた貴女は、そうなって仕方がないね。私が気付かせてあげるよ。
体は、剣で出来ている」
「…!!」
メイジが空中に数本の剣を投影する。
そしてそれを、ギルガメスのようにこいしに向けて放った。
ガキィンッガキィン!!
しかしこいしは、その剣を全て弾き飛ばす。
「なっ…!」
メイジはまた投影し、こいしに向けて射出する。
ガキィンッ!
しかし、またこいしに弾かれる。
「やっとわかったんだ。貴女がどうしてそうなったかが。…迷いを断ち切れず、そのまま突き進んだから。そして……
誰よりも、理想を求めていたから」
「……ッ!!」
こいしがメイジに向けて剣を翳す。
「この道は間違えなんかじゃない。その理想は紛い物なんかじゃない。選択を誤る事はあっても、その理想は…道自体は何も間違ってなんかいないんだ」
「…貴様ッ…!!」
−精神的にも押されている…?私が…?
「…絶望を知らない者が…偉そうにものを語るじゃないか」
「絶望なんか知らなくて結構だよ。私の道に、そんな言葉は必要ない。そんなものは、私が吹き飛ばしてやる。
それこそ、貴女が求めていた理想でしょ?」
こいしは、とても穏やかな微笑みを浮かべてそう言った。
「……!」
−何故だ…何故倒れない。どうして、そんなに真っ直ぐに立っていられる。
お前の心を折らない限り、この馬鹿げた話は終わらないと言うのに。
……いや、私は何を言ってる?あいつを殺せば終わる話のはずだ。それを何故私は……。
……いいや、これで終わりだ。
メイジが大量の武器を投影する。
「くだらない理想の話はそこまでだ」
「……」
こいしが構えを取る。
「死ね!!」
メイジが投影した武器を全て射出する。
こいしはそれを両手の剣で弾きながら、走ってメイジに近付いていく。
「……じゃない…!」
「ぐっ…!?」
−こいつ、この剣の嵐を…!?
「……違え、じゃない…!!」
「ちぃっ…!!」
メイジは巨大な剣を二本投影し、それを射出した。
「終わりだ!!」
「この道は!!
間違えなんかじゃない!!!」
こいしがその巨大な剣二本を、手に持つ短剣二本で同時に折った。
「…なっ…!!」
こいしが一気に距離を詰める。
「うおぉおおおぉおおお!!」
メイジの腹部に向けて、突き攻撃をする。
メイジは剣で先に迎撃しようとする。
しかし、その剣を振り下ろす事はなかった。
「……」(ああ……)
−酷い話だ……鏡を見せられている。
こんな奴が、いたんだったね―――。
こいしの剣が、メイジの腹部に突き刺さった。
荒野が消え、辺りは普通の体育館に戻っていた。
「…私の勝ちだよ、メイジ」
こいしは、いつの間にか妖怪の体に戻っていた。
「……ああ、そして私の敗北だね」
メイジから剣を引き抜いた。
「……決着、ついたな」
「……ええ」
「…こいし…」
遠くで見ていた、伸介、レミリア、さとりの三人が、二人に近付いていく。
「…参ったな、あれだけ理想を否定していた私が、その理想を一番求めていたなんて。……お前と言う存在を認めてしまった以上、今更やり直す、なんて事はできなくなったね」
「うん、残念だったね」
「…まあ、後のことは任せていいね?そこまで自信があるのなら……安心して任せられる」
「…うん、任せといて。必ず、ハッピーエンドにしてみせるから」
その言葉を聞いた後、メイジはゆっくりと壇上の方へと戻っていく。
「…メイジ?」
「敗者は大人しく立ち去るよ。そんな事より、早く行きなよ。ギルガメスとフランの戦いを見届けてあげて」
「…!……うん、わかった!行こうみんな!」
「もう話は済んだの?」
「うん!」
四人が早足に体育館を出て行った。
「……さて、と」
その時、壇上の地面から大量の死人が現れる。
「ここからが仕事だな……」
−こいつらに邪魔されることなく決着がついてよかった。
……後は任せたぞ、私。
明確なパクリだよ()
だって◯ミヤかっこいいんだもの…笑




