【6日目・終】
少しだけ投稿ペースが早くなった気がする笑
「…以上が、この学園の真実です」
「…!!」
フランはあまりに驚いて、開いた口が塞がらずにいた。
「まあ、そうなるのが普通でしょうね。…さて」
白蓮が右手に何かの槍を出現させた。
「!」
「再開しましょうか。
戦闘をね!」
白蓮がフランに向けてその槍を投げ飛ばす。
フランはそれを右に逸れて躱し、左手でその槍を掴んだ。
次の瞬間、白蓮がその場から消えた。
「!!」
フランが槍を持つと、すぐに構えを取った。
背後に現れた白蓮の魔力の剣を、その槍で防ぐ。
ガキィンッ ガキィン
フランと白蓮が、高速で武器を打ち付けあっている。
お互い一歩も引かず、一撃も受ける事なく、ただ弾いて攻撃、を繰り返していた。
ガキィンッ!!
「ちっ…!」
白蓮が一旦フランから距離を取った。
「ふーっ…!」
フランが深呼吸をして構えを崩す。
「……そろそろ、終わらせないとまずいか」
「……!」
フランと白蓮が一定の距離を開けてお互いを睨み合っている。
「相変わらずすばしっこいので、ラチがあかないと判断しました。ので、私も全力で貴女を殺しに行くこととします」
「…やってみなよ」
白蓮が構えを取る。
「…一つ、聞かせなさい」
「ん?」
フランの表情は、何処か決意を固めているような顔だった。
「先ほどの真実を聞いても尚、貴女は進み続けるのですか?」
「……」
フランは少しだけ俯くと、また白蓮の方を見つめて言った。
「私は止まらない。例え先が分かっていたとしても、私が歩みを止める事はない」
「その先が、地獄だと分かっていても?」
「どんな絶望の未来だろうと、私は覆してみせる」
笑みを浮かべ、フランはそう言った。
「…なるほど、愚かしい事です。どんなに足掻こうともう運命は変わらないと言うのに」
白蓮が抜刀術の構えを取る。
「終わりにしてあげましょう。これ以上は話していても無駄なようだ」
「…運命は変わらない、か」
カラーンッ
フランが手に持つ槍を捨てた。
「…?」
−…諦めた…?いや、まさかそんなわけは……
白蓮がフランの行動に動揺した、その時だった。
バリッ
「…!?」
バリバリバリバリバリバリッ
フランの手に、黒い稲妻が発生する。
凄まじい風が巻き起こり、紅いオーラがフランの体から溢れ出ていた。
「…なっ…」
「ならその運命さえも、私は打ち砕いてみせよう」
フランの右手に、黒と紅が混ざったような色の刀状の武器が持たれていた。
フランの周りを、禍々しい魔力が渦巻いている。
「…それが、話に聞く”神剣”ですか」
「レーヴァテイン。
私が持ち得る中で、最大の武器さ」
「…面白い」
白蓮がゆっくりとフランに近付いていく。
フランは、レーヴァテインを逆手持ちにして、棒立ちで白蓮の様子を見ていた。
ザッ!
「!!」
白蓮がフランに急接近する。
抜刀して、フランの首に斬りかかった。
「ッ…ぐっ…!」
フランはそれをレーヴァテインで防ぐ。
一撃が重く、凄まじい衝撃がフランの右手を襲う。
白蓮はすぐさまその場から離れ、さらに今度はフランの背後に回る。
そして、またフランの首に斬りかかった。
−殺った…!
「なっ…」
フランが自らの左手を盾にして刀を防いでいた。
そして、白蓮の刀を掴む。
「ぐっ!?」
白蓮が刀を離して逃げようとするが……。
「遅い!
終わりだ!!」
ズバァンッ!!
白蓮は、魔力刀ごと、右肩から腹部にかけて大きく切られていた。
フランのレーヴァテインによって。
「そん、な…バ、カな……」
−私の攻撃が掴んで、止められた?人間の体で?
「化け物、め……!」
白蓮が倒れた。
「…ふーっ…」
フランが深呼吸をして、レーヴァテインを消した。
「正直、レーヴァテインを出せてなかったら負けてたよ。一撃目の時点で」
フランの手は、血まみれだった。
さらに、口からも少しだけ血が流れてきている。
「魔力の使いすぎ、って奴かな。頭痛も酷いや…」
−レーヴァテインは燃費が悪いから、そこが考えものかな……。
「急いでみんなの援護に…!」
「その必要はない」
「!?」
フランが振り返ると、そこにはギルガメスがいた。
「……」
「…む、その顔からすると、そいつに真実を聞かされたか。…全く、相変わらず口が軽いものよ。
砲門解放」
ギルガメスが指を鳴らして背後に大量の武器を出現させる。
「……どうして、貴女はこんな事を?」
「どうして、か。そうだな、強いて言えば幻想郷のためだ」
「こんな事したって、幻想郷には何も…!」
「…そうか、知らないのか」
ギルガメスが表情を変える。
「…?」
「そうだな、意味はないだろうよ。それにメイジの奴も報われないしな。…だが、貴様を生かしておくよりは、ここで消しておく方が幻想郷のためだろう」
「…!妹紅先生やチルノちゃん達の事は!?」
「あれは我の管理不足だな、悪かったと思っている」
「…私達だけじゃなく、お姉様達まで巻き込んだのは…!?」
「…もういいだろう?それ以上の質問は」
ギルガメスが武器をフランに向けて射出する。
「ぐっ…!」
−避けきれない…!
「フラン!」
「!?」
レミリアと伸介が、武器の全てを弾いていた。
「ふ、二人共…!」
「さとりに安全なところを見つけてもらってる!そこに逃げるわよ!さあ、早く!」
「う、うん!」
その時、ギルガメスの動きが止まった。
「……ちっ」
ギルガメスが砲門を閉じた。
「…メイジの奴がいない、となると……奴も伝えたわけか。なら、こいしも………全く、この世は思い通りには行かない事ばかりだ」
「ギルガメス!!」
フランが叫んだ。
「貴女の悪夢は、必ず私が終わらせるから!!待ってて!!」
その言葉を聞いて、ギルガメスは驚いた。
「…全く…
『今の私』には……やっぱりお前は眩しすぎる」
その後、フラン達は別の安全な場所で合流した。
しかし、もう安全でない場所など何処にもなかった。
死人達は、跡形もなく消え去っていたのだから。
「……フラン、ギルガメスと何を喋っていたの?」
「…別に、何も。それよりこいしは大丈夫?」
「うん、もう大丈夫」
「よかったな、致命傷じゃなくて。…さて、レミリア。何も知らないフラン達に、オレ達はこの事を伝える義務があるんじゃないか?」
「…そうね。フラン、こいし。落ち着いて聞いてね。
今から話す事は全て真実よ」
「…うん」
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「おはよう、よく眠れた?」
「うん、凄く」
「安全だって保証はないのによくもまあそんなに快適に寝れるよなぁ」
「まあいい事じゃない、しっかり眠れたんならよかったわ。それじゃあ1日休みは取ったし、これからについて話そうか」
ある日、私達三人は突然学校に閉じ込められた。
そこから脱出するために、今まで6日間、必死に生き延びてきた。
未だ脱出の糸口は何も掴めていない。
「どうする?この辺りはあらかた探索したと思うけど」
「ここらで一回遠出してみない?」
「遠出するのは危険じゃないかな。もう少し慎重に行った方が…」
「大丈夫、とは確証を持って言えないけど、このままずっと待機していても脱出の糸口も何も掴めないだろ?」
「…それは、そうだけど」
「って事で、決まり!
さあ、行くよ!こいし、フラン!」
「おー!」
「…気は乗らないけど、仕方ないか」
今は人間の体にされてしまってはいるが、それでも戦闘の感覚は残ってる。
あんなノロマ共に捕まりはしない。
今日はいつもと違って、遠くまで探索に行く事にした。
近場の探索は終えたし、このまま何もしないよりはその方がいいと判断したからだ。
「他に拠点に使えそうな場所があったら、そこも拠点として使おう」
「うん。こいし、後ろ」
「わかってる」バァンッ!!
「背後にいる敵に見もせずに一発で頭にヒット!ヒュー、さすが」
「ふざけてる場合じゃないでしょ!」
その後も特に何も無く、学校の校門の近くまで来た時だった。
「…うーん、大丈夫そうじゃない?もしかしたらこのまま脱出できるかも…!?」
「門に何か仕掛けがあるかもしれない。気を付けよう」
「うん」
ゆっくり、慎重に門の方へと近付いていたその時だった。
「よくぞここまで辿り着いたな。早速だがここで死ね」
「!?」
声が聞こえた。聞こえた方を向くと、そこには謎の男が宙に浮いてこちらを見ていたのだ。
さらに、空から突然、大量の武器が飛んできた。
私達は何とか躱したが、フランが一発だけ掠めてしまっていた。
「フラン!!」
「…ッ…!」
横腹を少しだけ抉られている。
出血が酷く、急いで手当てしなければマズイ傷だった。
「ぬえ!フランをお願い!」
「いいや!ここは私に任せて先に逃げて!」
「は!?」
ぬえが私達の前に出て、そう言った。
「私が強いのはよく知ってるだろ!」
「…わかった…!どうか死なないで!!」
「誰に向かって物を言ってるんだっての!任せとけ!」
ぬえが戦闘態勢になった。
私はフランを背負って全速力で走る。
「…誰の許しを得て我の前に立っている?」
「お前の前に立つのに誰の許しがいるって?」
「ほう、よほど死にたいらしいな。…しかしだ。あの金髪の女を我に差し出せ。それを貴様のその不敬への免罪とするぞ」
「お断りだね、何王様気取ってんだ?気持ち悪い!」
謎の死人がその言葉で表情を一変させる。
「…貴様如き凡夫の分際でこの我を愚弄するとは
そこまで死に急ぐか、雑種」
謎の死人が指を鳴らすと、背後に無数の武器が出現する。
「ぬ、ぬえ…!こいし、私はいいからぬえの援護に…!」
「大丈夫!ぬえを信じよう!」
その後、私とフランは食堂に戻ってきた。
フランの手当てをして、ぬえの帰りを待っていた。
「…ぬえ…無事かな」
「大丈夫だよフラン。何せ、あのぬえなんだからさ」
「それは、そうだけど…」
ぬえは私達三人の中でもかなり強い方だった。
それほど大差があるわけではないが。
結局その日、ぬえが帰ってくることはなかった。
フランはあの後仮寝室で眠ってしまい、私一人が食堂にいる状態である。
「…ぬえ……」
その日は、フランも起きることはなかった。私も眠くなってしまって、仮寝室で眠りについた。
「こいし、こいし」
「…うん…?」
フランが私の体を揺すって起こしていた。
「…フラン…おはよう」
「おはよう。ぬえはどこなの?」
「…ぬえ、は…帰ってこなかった」
「……そっか」
そういうとフランは立ち上がった。
「朝ご飯、出来てるよ」
「う、うん」
フランが、何か意を決したような目をしていたのが見えた。
それに、ぬえの死に少しだけ自分に責任を感じているようにも見えた。
「…フラン!」
「!」
「今回の事は…誰も悪くないから。あんな奴がいるなんて、誰も予想なんか出来ないよ!だからフランは何も悪くなんか…」
そこでフランは、私の口を手で塞いだ。
「…ありがとう、やっぱりこいしは優しいね」
そういうフランの顔は、とても穏やかだった。
その日は、探索は休みにした。またいつあの謎の男が現れるかわからないが、少なくとも、ここはまだバレていないはず。
バレるまでの間に、対策を練る。そして、あの謎の男を打倒する。
おそらく奴は、この学園の支配者のはずだ。
あの男を倒せば、きっと私達はまた平和な学園生活に戻れる。
「必ず勝とうね、フラン!」
「…うん、必ず」
「…?」
その時のフランの顔は、酷く儚げだった。
あれー?ギルガメスのキャラがFateの◯ルガメッシュそっくりだぞー?
それはそれとして、そろそろ廃校篇も終盤です!
メイジの謎とか、ギルガメスの正体とかもわかってくるのでお楽しみに!
まあ読んでる人いないと思うけど




