再会。そして……【3日目】
お久しぶりです
あけましておめでとうございます!
今年もどうか、この作品をよろしくっす…!
「さぁて、これで2回目の探索になるわけだが……調子はどうだい、ぬえ?」
「メイジから話しかけてくるとは思わなかったけど」
「ははっ、そう言うなって!で?どうなの?」
「…悪くはない、とは思うけども…どうして私に聞いたの?」
「いやね、何となくだよ。何となく」
ぬえとメイジが話している。今は探索中だと言うのに。
メイジが自分で「あんまり話すな」と言っていたけど……。
「…ねえ、メイジ。あんまり話さない方がいいんじゃ?」
こいしがそう言う。メイジはその言葉でこいしの方に振り返った。
「今日は別さ。話した方がいい。”見つかりやすくなる”から」
「えっ…でもそれって戦闘になるんじゃ……」
「その戦闘が目的さ。…そろそろ始まるよ」
「…?」
何のことか、とこいしが呆けていると、こいしの背後に死人が二体ほど現れる。
私は即座にその二体の頭を撃ち抜いた。
「…ひえ〜…!あ、ありがとうフラン…!」
「うん。…でも、安心は出来ないみたい」
「え?」
いつから居たのかは定かではないが、廊下の正面に大量の死人が現れていた。後ろにも正面ほどではないにせよ、多く死人が居る。
さすがにこの数、まずいんじゃないか?
「ねえ、メイジ。この数はさすがに…やばいんじゃ?」
「…うん、予想外に集まってきてるんです。私焦ってます」
「なにぃぃぃ!?」
「ちょっとメイジ!?」
嘘ぉ!?ただのミス!?
…まあ、落ち着けばどうとでもなる…はず。周りが多いんなら一点集中で駆け抜ければ行けるはず。
「…メイジ、こっち側から一点集中で駆け抜けて逃げよう。多分、数が少ないのはこっちだよ」
「……それがいいか。ごめんよ、私のミスだ」
「気にしないで、ミスは誰にでもある。とりあえずここを切り抜ける事だけを考えて!」
「おうさ!お詫びに本気出しちゃうぞ!」
メイジが両手に短刀二つを持ち、死人達に向かって突っ込んでいく。
「ぬえ!お願い!」
「任せて!」
ぬえも槍を構え、メイジに続いていく。
「で、私達が銃撃で援護だね。フラン!」
「うん!後ろの敵は私達で抑える!行くよこいし!」
「ラジャー!」
「そこ退けそこ退けぇぇ!!」
「死にたくなかったら逃げ出しなぁ!!」
ぬえとメイジがどんどん敵になぎ倒して行く。
メイジは一度敵を切り裂いた後脳天に一突。又は首を刎ね飛ばして死人達を倒している。
ぬえは槍のリーチを上手く活かして近付かれる前に首を刎ねたり死人を真っ二つにしたりしてる。
……しっかしぬえ、随分荒々しくなったもんだなぁ。
この前とは大違いだ。二人のおかげでもう階段のところまで辿り着いた。上の階には死人が何体かいるみたいだし、後はここを駆け下りるだけで……。
「…ん」
あれって……。
「…こいし、いーい事思いついたよ」
「え!?何!?こんな時に!?」
「さ、こっち来て!何人かいるけど私達なら大丈夫でしょ」
「え!?でもぬえ達の援護……わ、ちょっとフラン〜!」
あれならここもいい感じに切り抜けられそうだ…!
「オラオラオラオラァー!!ってあれ!?フランとこいしは!?」
「え!さっきまで私らの後ろにいたろ!?」
「それがいなくなってて…!ってメイジ!目の前階段だよ!降りられる!」
「わかってるけど、フラン達は何処さ!」
「わかんないよ!…げっ!後ろの連中までこっちに…!」
随分慌ててらっしゃる。まあ無理もないね。
「メイジー!ぬえー!階段降りてー!」
「フラン…!?何処から…!」
「…なーるほど…!ぬえ急げ!階段降りろー!」
「はぁ!?……あー…」
二人共私達の方を見て察してくれたみたいね。
何でこんなものがここにあるのかは知らないけど、とことん利用させてもらおうかな!
「こいし!落とすよー!」
「了解!せーの!」
こいしと二人で大きな物、つまり馬車の荷台のようなものを階段から落とした。大量の死人達は階段から凄まじいスピードで降りていく荷台に巻き込まれて校舎の壁に衝突した。その時ちょっとグチャッとかメシャッとか生々しい音が聞こえたけど気にしたら負けだと思ってる。
荷台は木製なのでバラバラになったが、その瓦礫がいい感じに壁になっていて死人達は通れなくなっている。しかしこうなっているのも時間の問題。
私とこいしは階段の隙間から飛び降りてメイジ達のところまで戻る。
「さ、急いで降りよう!こうやって抑えていられるのも時間の問題だし!」
「…しかしよくこんな事思い付くなぁフラン…!」
「普段真面目なフランからは想像出来ないね…ははっ」
「水清ければ魚棲まず、ってね!」
「いやぁ、何とか逃げ切れたねぇ〜…フラン達は残りの弾の数少ないんじゃ?」
…確かに、それを気にしていなかった。
私の残り弾数は……。
「…私、残り十発だけだ」
二百くらいは持って来たのにもうこれだけ…!どんだけいたの死人!
「え、じゃあ私、百九十体仕留めてるって事になるの?」
「フラン、全員ヘッドショットしてたからね……私は残り二十発。二百くらいは持って来てたけど私ヘッドショットは何体か外してるから数はわかんないな」
「……」
「…メイジ?」
「…いや、何か音がすると思ってさ。走る準備だけしといた方がいいと思うよ」
「…?」
耳を澄ませると、確かに何やら音が聞こえる。
やるで大勢の人が走ってくるかのような……。
……あー……。
「逃げた方が、いいよね?」
「いや、ちょい待ち。…五人、大量の足音とは別に少し手前を走ってるのがいる。まるで逃げてるみたいな……まさかとは思うけど」
「…私達以外に、いるってこと?」
「かもね。少し待ってみようか」
と、そこでじっとしていると聞こえてきた。
毎日のように聞いていたあの声が。
「……ーーラーーン!!」
「…え?」
「…あれって…!!」
もうしばらくは会えないと、そう思っていた。
なのに、会ってしまった。
こんなところで会いたくなかったのに。
「フラーーン!見つけたわよぉーー!とりあえず逃げてーー!!」
「こいしもいます!みんな無事ですよ!」
「ぬえーー!迎えにきましたよー!」
「……お…お姉様ァーー!?」
大量の死人を後ろに、お姉様、さとり、聖さんの三人が現れた。
「とりあえず逃げてフラン!エスケープ!感動の再会のハグとキスはその後で!!」
「こんな時にそんな事言ってる場合かーー!!相変わらずすぎて拍子抜けよーー!!」
…でも、ちょっと嬉しかったり。
「お姉ちゃん!!」
「逃げるわよこいし!走りなさい!」
「…うん…!お姉ちゃんについていくよ!」
「アイエエエ!!聖!?聖ナンデ!?」
「まあ、相変わらず可愛い反応ですねぇ。さ、走ってください!」
「お、おす!」
メイジはその光景を口元を歪ませて見ていた。
あの顔は悪い事を思いついた顔だ…!
「この人数ならワンチャンあるかもなぁ来月!さー逃げるぞぉ!!」
私達も全速力で走り出した。まさかあんな大軍を引き連れてくるなんて、困った姉だ。
「あっ…!」
と、そんな事を考えていると、転けてしまった。
今の状況でこけてしまうのは致命的だった。
「えっ…フラン!?」
みんなが私から離れていく。
お姉様とこいしとメイジが足を止める。
「…駄目!走って!私なら大丈夫!」
そう言いながら、私はすぐに起き上がって走ろうとした。
しかし、死人に右肩を掴まれた。
掴んでいる死人の頭を撃ち抜く。しかしまた別の死人に掴まれた。
「…ッ…!」
「フラン!!」
「待ってて、今助けてあげるわ!」
お姉様がこちらに向けて走ってきている。
ああ、駄目だ。そんな事をしてはいけない。貴女まで巻き添えになってしまう。
このまま見捨ててくれるのが、一番最善なのに。
死人が今に私を喰らおうとした、その時ーー。
「フランらしいな、自分が犠牲になろうとする辺り」
「…え」
「ほら、掴め!」
何者かの手が目の前に現れた。同時に、男の物と思える声が聞こえた。
その声はよく知る声で、私は驚きを隠せなかった。
「伸……介……?」
「助けに来たぞ」
そのあとなんだかんだあって逃げ切れた。
今は校舎の屋上に来ている。
「ふーー…危なかったですねぇ〜」
「誰が原因だと思ってるんだっつの…!」
「まあまあレミリアさん……」
「…さっきはありがとう、伸介」
「いーってことよ。オレだってフランには死んでほしくねえし」
「…!…すぐそういう事言うー…!」
「えっオレ今何か悪い事言ったか?」
「ふんっ、何でもないよ!まるで私を妹みたいに扱ってー」
バカ伸介。拗ねてやる。
「あー悪かった悪かったよ!だから拗ねるなってば」
「…まあ、でも。確かに私にとって伸介はお兄ちゃんみたいなものだしね」
「!」
「助けてくれてありがとう」
伸介には助けてもらってばっかりだな……私ももっと頑張らないと。
「…えーらく素直ね、今のフラン」
「うん、そうなの」
伸介が冷や汗をかきながらこいしにそう言った。
こいしは、うんうん、と頷きながらそう答えた。
「…まー、とりあえず?聖さんとさとり…さんとレミリアと伸介が加わったわけだね?」
メイジが笑いながらそう言った。
「何が面白いの?」
「いやね、私達が四人の時とは違うフランが見れて面白くってさ」
「メイジ?」
「私が悪かった」
全く、思わず銃口を向けちゃったよ。冗談はほどほどにしてよね。
「そんじゃ、少し休憩にしようか……屋上の入り口はバリケードで塞いであるし、周りもフェンスで囲まれてるしね」
「はー……トラブル続きで疲れた……」
「お疲れ様です、ぬえ」
「お姉ちゃん、来てくれてありがとう……って言うのは、違うかな…何で来ちゃったの?」
「そんなの決まってるじゃない、貴女が心配だったからよ」
「……ありがとう!」
それぞれが思い思いに話し始めた。メイジと伸介は外を眺めている。
私は伸介の隣に座って水を飲んでいた。
というより伸介が私の方に来た。
「…どうかしたの?伸介」
「飴ちゃんいるか?って聞こうとして……」
「…楽観的だねー伸介。伸介らしいけど!ふふっ」
「らしさの押し付けはよくないと思うな!ほれ、苺飴」
「サンキュー。…いや、伸介らしいと思うよ。その楽観的なところ」
そんな時、お姉様が私の隣に座って話しかけてきた。
「…そう言えばフラン、貴女アルバムなんて使ってたのね」
「!!」
まさか見られたのか?
あのアルバムを?
「…え、見た…?」
「……」
お姉様は満面の笑顔でこちらを見つめている。
「…はー…!ちゃんと直したくんだった…!」
「あら!照れちゃって……ここでは素直ねえフラン?」
「う、うるさいな…!…私だって、そりゃあ…素直になる時くらい、あるよ」
「…ふふっ、貴女は私が守るからね。フラン」
「…〜ッ!」
お姉様が私の頭を撫でる。
ちなみに帽子は今は脱いで手に持っている。
……お姉様に撫でてもらえるのは、とても嬉しい。
昔はこうして、撫でてよく私を安心させてくれた。
「……」
「…あら?フラン、少し傷付いてるじゃない!何で再生しないのよ」
「…え、だって今は人間の状態だし…」
「…え?」
「え?」
「…えっ」
伸介とお姉様が同時に私の方を驚いた目で見た。
「…通りでなぁ…あんな奴らフランの敵じゃないだろう、とか思ってたけどそういう事か…」
「ほ、本当ね、人間だわ!どうしてフランは人間に…!?」
「え、逆にどうしてお姉様は吸血鬼のままなの…?ここは入っただけで人間に変えられる結界が……」
「…もしかしたら、生徒じゃないからかしらね」
「…なるほど…」
私達が話していると……。
「何だ、有象無象がこれ程までに湧き出ているとは」
「!?」
声が聞こえた直後、その声の聞こえた方向から無数の剣や槍などの武器が飛んできた。
それは、ぬえと白蓮さんを狙っていた。
「ぬえ!危ない!!」
白蓮さんがぬえを押し飛ばした。
自分も逃れようとするが時は既に遅く、白蓮さんの体を無数の武器が貫いていく。
「ひ、聖ィーー!!」
「…ぐっ……!」
「ほお?まだ生きているのか。なかなかにしぶとい奴よ」
その無数の武器は、今話している女によって放たれたようだ。
身長はメイジと同じくらいで目は赤色、髪は金髪のセミロング、服装は黒いフードのついたローブの中に、赤い服を着ている。下はスカートで、丈は膝辺りほど。
その女が白蓮さん達を攻撃していた。
「我の攻撃を受けて尚倒れぬとは、中々よな」
「何者だ!?」
「我が真名はギルガメス。それ以上は語らんぞ」
「ギルガ、メス?」
「…しかし…ふむ。これまた数奇な運命よな」
ギルガメスと名乗る女は、不敵な笑みを浮かべてメイジを見ていた。
「…お前は…!」
「久しいな。今は確か……メイジと名乗っていたか?」
「…お前…よく私の前に顔を出せたもんだ!」
メイジが銃を放った。しかしギルガメスはそれを軽く躱した。
「はっ、相変わらず見窄らしい奴よ。贋作者が」
そういうと、ギルガメスは消えていった。
『この我がわざわざ出向いてやったのだ。これで誰を倒すべきかは理解したな?』
ギルガメスの声がどこからともなく聞こえてくる。
『この学園を支配しているのは我ではないが……まあ、これも縁だ。そうだな……我の事は支配者の手駒とでも思うがいい。少し違うがな』
『我を倒せば、支配者と出会えるかもしれんぞ?ふっ、フハハハハハハハハ!!』
ギルガメスは声は聞こえなくなった。
突然すぎて何が起こったかよくわからなかったが、今はそんなことを言っている場合ではない。
「聖!聖!!大丈夫か聖!」
「誰かこの中で治療魔術を使える者はいない!?」
「私少しなら!」
「よし、頼むフラン!移動しながら少しでも回復させるんだ!周りの死人どもの排除は私とぬえとこいし、聖を運ぶのがレミリアと伸介とさとり、そしてフランが治療だ!急げ!」
「了解!」
「白蓮さん、しっかりして…!今治してあげるからね…!」
完全にパクリだよなぁ今回のオリキャラ…笑
いや誰とは言わないけど




