呼ばれた理由
「筋肉神様スクワットをしようとしないで翔さんにこの場所に呼んだ理由を話してください」
「そうだね僕も早く用を済ましてメニューの消化をしないとね‼とりあえず座ってね」
いつの間にか設置してあるパイプ椅子に腰かけ目の前で真剣な顔をしながら当然のように空気椅子をしているガチムチ様の言葉を待つ。
「立花君には別の世界に行ってほしいんだ」
「今流行りの異世界転生ってやつか?」
「んー、君の場合はそのまま行ってもらうから転生ってわけじゃないんだけどね」
「ふーん。で、どんな場所なんだ?」
「やけに素直だね。もっと狼狽えたりするかと思っていたけどね」
「あっちの世界は面白くないからな」
帰っても社会という名の牢獄での囚役だからなぁ…
「立花君が行く世界はいわゆるファンタジーな世界だよ」
「その世界で魔王でも倒せってか?」
「お約束だけど違うよ?」
「は?じゃあ逆に世界を蹂躙するのか?」
「それも違う」
「おいおいだったら何で呼ばれたんだよ。あとプロテインを作るな」
困惑する翔を尻目に足を組みゴッゴッゴッとプロテインを飲みほして言った。
「君には異世界で筋肉の素晴らしさを広めてほしいんだ‼」
「あっ、帰りますんで出口教えて下さい」
「待ってよ君が適任なんだよ‼」
「やかましい‼真剣な顔になったと思えばふざけたこと言いやがってこの筋肉狂人、てめぇがやればいいだろ‼」
「筋肉狂人…ほめ言葉だ‼」
「もういいよ‼」
なんでこんなやつが神様やってんだ、ある意味適任だが。
「神は基本地上に降りられないんだよ。だから代わりを送って信仰を増やしてもらうんだ」
「でも筋肉なら大丈夫なんじゃ?」
筋トレの本場アメリカと信仰凄そうなんだが
「バランスだよバランス、立花君が行く世界は魔法が発達したおかげで筋肉に見向きしなくなっちゃたんだ」
「銃(魔法)は剣より強しっていう言葉があるぐらいですから」
「なるほどなぁ」
確かに魔法という名の遠距離攻撃が基本の世界なら自然とそうなってしまう。
現に地球でも拳銃相手に接近戦に持ち込むことは大変だ。
危険な賭けをするよりこっちも拳銃を持ち相手をすることだろう。
「魔法に頼りすぎる為に筋力がおろそかになってしまい貧弱な世界になってしまったのです」
「そこで僕は考えた。どうすれば筋肉に目を向けてもらえるか…そしてひらめいた。僕の特性を魔法にしてそれを一番使いこなせる人材を送ればいいと‼」
「ガチムチの魔法?」
なんだか嫌なんだが、そして一番使えるのが俺って…
「その名も筋肉魔法‼」