黒光りマッチョマンの正体は
無駄にテカるマッチョに目がやられつつふとある疑問が浮かんだ。
「天…界?」
そうマッチョマンは確かに天界と言った。
確かに言われてみればトレーニングをしている人々に羽が生えているのに納得がいく。
だが天界とは近所のコンビニに行く位に気軽に行けないはず、というか生きた生物がいけない。
となると俺は…
「死んだのか?」
「いや違うよ」
「何?」
流れるようにポーズを変えながら答える。
「立花君はぁ‼死者としてぇ‼きたのではなくてぇ‼この僕がぁ‼君を呼んだのさぁぁぁ‼」
ビシッとポーズが決まりにこやかに笑いながら答えるマッチョマン。
周りにはいつの間にか集まったギャラリーが拍手をしていた。
殴りたいこの笑顔。
「で、何で俺を呼んだんですか?」
「ありがとうありがとう、君の上腕二頭筋もいい線いってるよ。ん?君はオバーワーク気味だね、気を付けないと怪我をして」
「聞けよ‼」
「あぁ、ごめんね。なんの話をしてたんだっけ?美しい腹筋の作り方?」
「ちげーよ筋肉バカ」
なんだか敬語を使うのが馬鹿らしくなってきた。
「筋肉バカか、いい言葉だね‼」
「だめだこいつ早く何とかしないと」
若干というか凄く手遅れな気がするが…
「筋肉神様こんな所にいたんですか」
「ん?君かなんの用だい?今は立花君に美しい腹筋の作り方をレクチャーをしようとして」
「仕事して下さい」
話しかけてきたのはスポーツウェアを着た褐色肌の女性だった。
ビルダーみたいなガチムチではなく全体的にスリムな美女だ。
いきなりこっちを睨むと
「あなた今、胸がないと思ったでしょ」
「は?いえそんなこと思ってな」
「いや君には乳なんて脂肪の塊なんて必要ないよ。その位の小ささがちょうどいふだらばぁ‼」
目の前で160cm位のスリムな女性が2M越えのガチムチを蹴り飛ばしマシンの中にシュート。
背後に見える黒いオーラが恐ろしい
「と、ところでさっき筋肉バカを神とか」
「貧乳じゃないもん、ちゃんと人並みには」
「あの?」
「え?あぁ確かに言いましたよ。あの方は」
「そうさ‼」
いつの間にか現れた筋肉バカは元気に堂々とポージングで答えた
「多くの神がいる中の一人、筋肉の神様とはこの僕のことだよ‼」
「ということです。敬意を持たず気軽にガチムチ様とでも呼んであげて下さい」
「ガチムチ様、いいあだ名だね。今度から会議の名札もそれにしよう」
「あなたは会議に出たことないでしょう」
「当たり前だよ。僕の仕事は筋肉を鍛えることと、このジムの経営さ‼神様の仕事なんて副業みたいなものだよ」
「本来は逆です」
何でこんなのが神様なんだよ…