序章 魔王(仮)の誕生
とてもとても険しい森。日の陽光は高い木々の隙間からしか伸びず、土は少し湿っている。木々の一本一本は高く大きく添え立ち、木々の間にはさほど隙間は無い。根っこは土からはみ出しているが人間など軽々乗せてしまう程太い。ここは"ガルディア大陸"東部。魔法でも掛かっているのか、一度入れば余程の事がない限り抜け出すことは出来なくなる。そんな広大な森を人々は誠意と恐怖心を持って、"冥界の森"と呼んでいる。そんな森を一人進む少年。いや青年と呼べる者が木々の間を縫うように歩いていた。長身痩躯。身長は180辺りと言ったところだろう。どちらかと言うと学者のようなイメージの男だ。そんな青年はロングソードとカバンを腰にぶら下げている。この物騒なご時世、武器を持つのはもはや常識である。だが決してこの森に入って行くような格好ではないのは確かである。
「迷ったかなぁ・・。」
迷って当然である。
そう思いつつ、歩くのを止めず歩を進め続ける。いくら進んでも景色の変わらない。こんなところに居て、不安にならない人間はいないだろう。そんな事を考えているうちに、少しづつ景色が変化し始める。今まで乗り越えて来た木々の根っこが湾曲し、下を通れるまでに大きくなっていく。まるで導かれるようにその道を進んで行く青年。
「何処かに繋がっていぃぃいいいいい!」
突然、立っていた土が崩れる。日の陽光も届かず、抜けてしまったのだろうかと思う間も無く、土の中に埋れてその姿は見えなくなっていった。
そして森は笑うように木々を揺らし、湾曲していた根っこは他の木々と変わらない姿に戻っていった。この森が迷ってしまう原因がこれなのかもしれない。
どれ程時間が経っただろう。少し頭が痛い。そう思ってゆっくり目を開けると、薄汚い天井が見えた。いやもうボロボロになって整備もろくにされていないようだ。痛む身体を無理やり起こすと、布団は掛かっていなかったが、ベッドの上で寝かされていたと分かる。まずは状況整理をしよう。そうすれば心も落ち着けることも出来るはずと思ったからだ。そのままゆっくり床に足を付ける。靴は履きっぱなしだった。一呼吸置いてから、部屋を見渡す。窓一つ無く、ランタンのみの明かりで照らされている。どこか要塞のような建物の作りなのが分かった。また、腰につけていた剣とバッグは部屋の片隅に、向かって正面に今にも壊れそうな扉が半開きになっていた。体は少し痛むがここにいても仕方無いだろう。それに自分を助けてくれた人物もいるはずだ。そう思い、ギィギィと軋むベッドから立ち上がる。と同時に扉の奥で小さな足音が聞こえてくる。この部屋に逃げ場は無い。そもそも逃げる必要の相手ではないのかもしれないが、先程から理解出来ないことが多くてはそうそう油断出来ない。そして足音が目の前の扉付近で止まる。冷や汗が止まらない。少しづつ扉が開いて行く。途轍もない時間に感じたが実際はたった数秒だろう。が完全に開いた扉から出てくる人影は無かった。だが近くにいるはずである。
「だ、誰かいるんですか・・?」
その声の反応したのだろう。扉の両脇から瓜二つの小さな子供が突然顔を出した。
「うわっ!?」
「おきた。」
「うん。おきた。」
と、抑揚の無い声で青年が起きた事を確認する。声を掛けた張本人でもある青年の方が、びっくりしてしまった。まさかこんな小さな子供が出てくるとは思っていなかったからだ。よくよく見てみるとこの子供達は、瓜二つな顔、どちらも自分の腰位までと身長まで一緒で、茶色く薄汚れたシャツを膝辺りまで垂らす服装まで同じだ。もしかしなくても双子なのだろう。だが若干容姿が変わっていることに気が付く。左手にいる子供は銀髪の長髪、それに片方の子と比べると体つきが少々華奢である。逆に右手に見える子は、同じく銀髪だが短髪で年相応の体つきをしている。きっと長髪の子が女の子、短髪の子が男の子だろう。そんな双子はお互いに目配せをした後、
「じいちゃにしらせなきゃ。」
「うん。しなくちゃ。」
「ちょ、ちょっと待ってここって・・。」
そう言うと双子は部屋から逃げるように何処かへ走り去ってしまった。青年の呼びかけは虚しくスルーされた。ちょっと心にグサッって来た。青年はここで置いて行かれたら少々面倒な気がして、青年も片隅に置いてあった自分の剣とバッグを手に取り、すぐに双子の後を追いかけて部屋を飛び出して行った。
どの位追いかけただろう、明かりのランプは規則正しく並んでいるせいか、同じところをループしている感覚に襲われる。またここも窓一つ無く、若干薄暗いところを残すといった不気味さがある廊下を全力とは言わなくても、ある程度の速度では走っている。双子を追いかけて部屋を出た青年だが、追いつけるつもりではいた。相手は、年端もいかなそうな少年少女である。しかし青年の考えを裏切り、双子に全然追いつけない。早いという感覚ではなく、気づいたら結構離されているという、ちょっとした怪奇現象に出くわした気分だ。まるで誘導されている気分でもある。また、左に行った右に行ったと軽くというか迷路のようになっている。ひとりで着たら間違いなく迷子になって餓死していたかもしれない。そう思うと冷や冷やする。そんな思いに駆られてか双子を追うペースを早めていく。こんなところで死んでしまっては元も子も無い。それがいけなかった。双子が曲がり角を曲がって行くのを確認した青年はその勢いのまま双子を追うように曲がり角を曲がった。がその先は扉だった。人が入れるより若干大きいくらいの扉だ。当然、勢いは殺しきれず扉にぶつかり、受身がろくに取れなかった青年は転がり込むように扉から飛び出した。扉が外開きだった事が不幸中の幸いだろう。青年が入ったところは大きな広間だった。天井は明かりが届かない程高く、右手には巨人でも通るのかと思えるほど大きな門があり、逆に左手には見るだけで登るのが嫌になりそうな長い階段があった。
「この造りって、お城・・?」
青年が知っている限り、こんな構造をしている屋敷はお城位しか想像できなかった。どうやら青年はお城の玄関に辿り着いたようだ。
「つまり、この右手の門を通れば外に出られるんだよな・・。でも。」
青年はそっと左手の長い階段の先に目をやる。そこには右手の正門とまではいかないがそこそこの大きな門がある。青年の知識とこのお城の造りが正しければあそこは王との謁見の間のはずである。
青年はその謁見の間に繋がるであろう門の先に何かいるという事を感じ取っていた。いや、これは青年に限らず、誰が来ても同じ感想を抱くだろう。それ位、圧倒的な存在感を放つ何かがいる。
「・・・行ってみるか。」
青年は決心して長い階段を踏みしめ、登って行く。階段の一段一段を登る度、門の先の存在感が強くなっていく。まだ、その存在とも対面さえしていないのに緊張し、嫌な冷や汗をかき始める。
そして青年はその身に余る大きな門を開いた。
そこは縦に真っ直ぐ半円のように続く造りをしていて、ここにも窓は無い。玉座に続く道には何本もの柱が沿うようにして立っている。そして玉座があろうべきであろう場所に玉座は無く、代わりに巨大な何かが居座っていた。暗闇に光るその黄色く怪しく光る巨大な片目が一層不気味さを引き出している。そして巨大な何かの前に、あの双子がいることに気づいた。なにやら会話をしているようだ。この部屋は一層薄暗いので、うまく視認できない。青年が数歩踏み出した時、双子と巨大な何かはこちらを見つめてくる。そして巨大な何かは獰猛な口を開く。
「汝、王に成り得るものか?」
「え・・?」
「おーさまになるの?」
「ならないの?」
「えっと・・王様になると何があるのかな?」
我ながらなんという珍回答だ。
「成すべき使命を得るとしか言えぬ。汝は王の継承し力を使い、使命を果たす事が出来るか?」
「・・・。」
突発的なことになった。王?使命?分からないことが多すぎる。だが、
「王の使命とやらは、ちゃんと教えてくれるのか?」
「無論だ。しかし貴殿が継承すると誓約せぬまでは教える事が出来ぬ。」
「そうか・・。分かった、王になろう。」
「・・・」
「どうしたんです?」
「汝は悩むという事をしないのか?我自身、突発的な話だとは思っておる。だが、我のような得体の知れぬものの話を簡単に聞き入れるなど・・。」
「いいんだよ。僕にも利はあるからね。」
「利とは?」
「力が手に入る。」
それを聞いて巨大な何かは目を伏せ押し黙る。
なにせ青年は、力を手に入れるためにこんな森に入ってきたのだから。
そして巨大な何かはゆっくりと目を開け、体を起こす。地面が揺れ、巨大な何かの周りに付いていた土などが崩れて落ちる。長い年月、体を動かしていなかったようだ。しかしそこから見える体は、夜の闇に溶けそうな程暗い黒い。それは巨大な一対の羽を広げ、二脚の足を使い立ち上がる。
竜だ。青年は確かにそう思った。世間一般的に想像されるような竜がそこにはいた。
「「けほっけほっ」」
双子が土を吸ってしまったのかむせ返っていた。
「すぐ終わるから、部屋から出ていなさい。」
「「はーい。」」
まるで先生と生徒だ。そんな光景が少し微笑ましかった。双子は言いつけの通り、部屋から出て行く。
「誓約の前に青年。名は。」
「リフェイス=リアライズ」
「心得た。リフェイス。これより王の継承を始める。」
そう言うと、竜の前から紫と黒が混じったような球体が出現する。そしてその球体は、リフェイスの前にゆらゆらと近づき、そして弾ける。だがリフェイスの意識はそこで途絶えた。
意識が飛んでいたのは、ほんの数秒だったらしい。だがそのほんの数秒で見る世界は変わった。まず、夜目が利く様になった。おかげで、くっきり黒竜の姿を視認することが出来る。次に力だ。これがきっと歴代魔王の力なのだろう。基礎的な身体能力や魔力の向上はもちろん、闇系統の魔術に関する知識。それもどこの古代書にも載っていないような物から、初歩的な物までだ。
そもそも魔術とは、世界に散らばる粒子、魔素を集め、様々な現象を起こすというものだ。その集める力を魔力といい、その集めた魔素に効力を発揮させる魔方陣を用いることによって魔術が発生するのだ。
基本的に魔術は火、水、氷、風、土、雷、光、闇の8つの性質が魔術の基礎であり、それが全てである。しかし、光と闇の魔素だけは先天的な才能を必要とする上、使用できるものは少ない。元々光、闇のどちらにも才能の無かったリフェイスには、闇系統だけでも使えるようになる事は大変驚いた。なにせ才能だけでは覆せるものではないからだ。
黒竜はゆっくりと最初に会った体勢に戻る。
「では、汝に使命を伝えよう。」
「分かった。」
「汝の使命は、4人の聖人を抹殺することである。」
「聖人ってあの?」
聖人とは魔王を封じた4人の賢者の末裔として称えられている者達である。つまり、
「ちょっと待って、使命ってもしかして。」
「そうだ。4人の聖者を殺し、その身を持って魔王を復活させる事だ。」
うん。驚きすぎて声も出ない。魔王といえば、時代の節目節目に現れ、災厄をもたらす、言ってしまえば天災だ。だが、その度、勇者足る者が現れ、魔王を討伐してることで、この世界が続いているわけだけども。
「なんか大変な事になったな・・。つまりここは魔王城ってわけか。」
「いかにも、ここは前代魔王が使用していた魔王城である。そして我は、魔王に従え導く眷族の一匹。
ガルディアである。」
「ん・・?ガルディアってこの大陸名じゃないか。」
「何を言っている、この大陸の名はとある人間が我の名から付けた物だ。」
「え・・つまりガルディアは王都創生時代から生きてるって事?」
「無論だ。竜とは基本寿命では死なぬ。」
「へぇ・・じゃああの双子は?」
「あの双子は私と同じ創世記からの眷属だ。」
「え!?あの子達も?」
「ああ、呼んで自己紹介させたほうがいいな。ステラ!ナモ!」
双子の名だろう。その呼びかけに応じてひょっこり双子が顔を出す。そしてガルディアにちょこちょこと近づいて行く。
「むずかしーおはなしおわった?」
「おわったー?」
「あぁ終わったぞ。自己紹介しなさい。」
「「あい」」
そう言うと双子は振り返り、リフェイスを見つめる。改めて見ても瓜二つである。
「わたしがあねのステラ!」
「ぼくがナモだよ。」
「長い髪の子がステラ、短いのがナモだね。僕はリフェイスだよ。よろしくね。」
「「よろしく、おにーちゃ!」」
ぱぁっと明るい笑顔で返してくれる。基本、弟のナモは姉の口添えしかしないようだ。すぐに姉に隠れてしまう辺りコミュニケーションを取るのが余り上手くは無いのだろう。その点、姉はとても人懐っこいようで、すぐに自分にも近づいてきた。ナモもおずおずと近づいてくる。
「まさか、ステラやナモが僕より年上だとは思わなかったよ。」
「そーだよ。ステラはおねーさんなのだ。」
「おねーさんなのだ。」
「ナモ、それじゃ女の子になっちゃうよ・・。」
「はぅ・・」
「ナモはお兄さんだね。」
「おにーさん!」
王都創生時代とは千数百年も前の話である。にも関わらずこの双子は見た目通り相応の精神年齢なのか・・。
「ところでステラやナモは魔王の眷属と聞いたけど、何が出来るのかな?」
「わたしたちはねー、へんしんできるの!」
「へんしんできるー」
「へ、変身?つまり何かに変われるって事?」
「そーだよ!わたしたちはね、けんになれるの!」
「けんになれる。」
「それは凄いや・・。」
「もうそこらで良いだろう。」
「「はーい」」
もう少し聞きたかったが、ガルディアの制止が入っては仕方ないだろ。そして双子に関して聞きたかったことを一つガルディアに聞いてみることにした。
「ガルディア。」
「なんだ。」
「あの双子なんで・・。」
「言わずとも分かる。あの者たちは、この城からほぼ出たことが無いのだ。」
「なるほど。」
そこで納得した。つまり知識がほとんど無いのだ。そして容姿までこれまでほぼ変わらなかったのだろう。そうすると一つの疑問が出てくる。
「じゃあなんで、今までの魔王達はあの双子を外に出さなかったんだんだ?あの力は魅力的だろう?」
「それは見栄えだ。」
「見栄え?」
「魔王の行軍に女子供がいては示しが付かないだろう。」
「なるほど。」
確か古代の記述で最も新しい魔王が誕生したのは百数十年前辺りである。そこの記述に女子供がいるという記述は無い。
「故にあの双子はこの魔王城に待機という事になるが。」
「いや、あの双子は連れて行くよ。」
「なぜ故に。」
「戦力は多いほうが良い。」
「聖人を殺すのには十分な力が備わっているはずだが。」
そう、確かにガルディアの言うとおり、リフェイスには大きな力が備わっていた。その使い方もなぜだか分かる。
「うーん。単純に不安なだけなんだよ僕は。少しでも不安要素は取り除きたいそれだけなんだ。なんせ勇者が現れるだろうからね。」
「・・・。」
「沈黙は是だよ。やっぱりそう言う事か。」
「だが降りることは出来ぬぞ、その玉座から。」
「分かっている。誓約だからね。だがこの位はいいだろう?」
「今までは、連れて行かぬと言われて来たから連れて行かなかっただけ。連れて行けというならば連れて行こう。」
「ありがとう。」
「礼には及ばぬ。だが少し悲報がある。」
「何かな?」
「今はまだ魔王は復活できない。」
「え?」
「聖者とて飾りではない。役目はしっかりと果たしておる。」
「何か策があるのだろう?」
「無論だが策と呼べるほどではない。ただ魔王の封印が弱まる時期があるのだ。」
「つまりその時期を狙うと。」
「そうだ。もう数年でその時期で成るだろう。」
「その間はここ暮らし?」
「いや、基本飲み食いの要らぬ我々はそれでも構わぬだろうが、リフェイスはそうもいかぬであろう。」
「確かにそうだ。」
「外界に出て、時期を見計らう。」
「でも、ガルディアは出れないだろう。竜って確か魔物のトップクラスだよ?」
「術はある。」
そう言うと、ガルディアは何かブツブツと詠唱をし始める。すると、ガルディアの体格が小さくなり始める。どんどん、どんどん、どんどん・・。
そしてガルディアは最終的に、手のひらサイズにまで小さくなってしまった。威厳も何もあったもんじゃない。
「このサイズならば竜と言っても信じるほうが少数だろう。」
確かに、知らない人が一見してもトカゲや爬虫類にしか見えないだろう。ガルディアは小さな羽根をパタパタとなびかせ、リフェイスの肩に着地する。どうやらここが落ち着くようだ。そこに今まで黙っていたステラとナモが近づいてくる。
「わぁじいちゃが小さくなった!」
「小さくなった。」
「ステラ、ナモよ。これから外界に出る。しかし・・」
「どうしたの、ガルディア?」
「いや、やはり見栄えというものがな。女子供を連れるのはやはり・・。」
「うーん。なんとかならない?ステラ、ナモ。」
「わたしたちができるのはへんしんだけだよー。」
「だけー。」
「ん・・?変身ってどの位できるの?」
「いつまでだってできるよー。」
「できる。」
「うーん。ガルディア、実際どの位なのさ?」
「我とて分からぬ。だがこやつらは、我と同じで人間では無いのは確かだろう。もしかしたら人間の姿が本来の姿ではないのかもしれん。」
「飲み食い無しで生きていけるんだもんね・・。そうだ。ステラ。ナモ。」
「「なーに?」」
「外界に出た後、僕が良いと言うまで剣の姿でいられると約束できるかい?」
「できるよー。」
「できる。」
「それは頼もしいな。」
「でも」
「でも?」
「どんなけんになればいーの?」
「おしえて。」
「そうだなぁ・・。」
ふと自分の剣に目が行く。一般的に売られている、安物の剣だ。これならば大丈夫だろう。
「これなんかどうだい?」
「「分かった!」」
そう言うとステラとナモは安物の剣とまったく同じ姿に変わる。ただちょっと不安になる。こんな安物のようになってもし折れてしまったと思うと。
「大丈夫だ。見た目こそ安物だが、武器の性質は変わらぬ。」
「そうか・・。それを聞いて安心したよ。」
((どうだ!))
「うわっびっくりした。」
「もう口が無いからな。こうして念話を飛ばすしかないからな。」
「そうか。直接脳内に響いたからびっくりしたよ。」
「我もこれからは基本念話になる。」
「分かったよ。」
そう言いつつ僕は、双子の剣を腰に収める。
「その自前の剣はどうするのだ。」
「うーん。よし記念に!」
その掛け声と共に、思いっきり地面に突き刺す。
「僕たちの旅の記念に。」
「ふむ。まぁ良いか。」
「それじゃ、行きますか。」
そう言って刺さった剣を背にして歩き始める。
これから始まろうであろう悲劇にも背を向けながら・・。