プロローグ
ーーーー気づけば、異世界だった。
ふっと、目が覚めた。昨日は普通に自宅のベットで寝たはずなのに、その日はなぜか屋外で目を覚ました。
「ここ、どこ?」
見渡して見えるものは、いかにもスラムといった感じの、日の当たりにくい裏通りのゴミ溜めであった。
自分の服装と言えば、ボロそうなシャツにパンツ、下着、そして皮のサンダルであった。
身長や、手、足などは飛ばされる前と変化はないように感じ、水たまりを覗いて見たところ、顔も変化なしのようだった。
ポケットには何も入っておらず、どこかもわからない場所に無一文で一人ぼっち、という状況だった。
訳がわからない状況に頭がおかしくなりそうであったが、このままではらちがあかず、とりあえず表通りに出て情報を集めることにした。
「あ、こりゃダメだわ。異世界来ちゃったわ。」
表通りに出てすぐ、ここは以前まで生きていた世界とは違う"異世界"であると認識せざるをえなかった。
まず、亜人。いわゆる獣人、ドワーフ、エルフと思しき人が当然のように道を歩き、露天で商売をし、生活しているのが見て取れた。
そして、魔法使いや、剣士など、地球ではお目にかかれない人たちが、当然のように闊歩していた。
「うっわぁ、まじか。どうしよう。」
まあ、どうするもこうするも腹をくくるしかないね。ここは異世界だ。家族や友人の住む世界ではない。
結局、小一時間悩んだすえ、何となく今後の方針ができた。
冒険者となりお金を稼ぎ、最終的には一軒家を持ち、使用人を雇い、悠々自適に生活する。うん、何事もポジティブに考えなきゃ。せっかくだから異世界ライフを満喫してやろうと思う。
まずは、情報収集っと、人の会話を盗み聞きしてみる。・・・・って、言葉わからねぇ。まずい、非常にまずい。
ーーーー言葉のわからない異世界で無一文で一人ぼっち。さらに言えば、15歳の小汚いもやし男。これが正確な今の状況だった。
まあ、絶望的ですね。はて、どこかで小間使いでも使ってくれないかな。