7.
なんとなく、あれからお願いごとをしていない。あんなことも出来てしまうんだって思うと、ちょっと考えてしまった。流石に限度ってもんがあると思うんだよね。
その限度がどこまでなのか、知りたいような知りたくないような。そんな気持ちを持て余して、校舎の屋上で空を見上げていた。
青い空に、スーッと綺麗な一本線を書いていく飛行機。
ひこうき雲ってなんだか気持ちよくて好きだ。そこでふと、思いついた。ひこうき雲の先、飛行機が飛んで行った方向を指さして
「ね、あの飛行機落とせん?」
なんて、冗談交じりに言う。モヤはもやっと頷いたように見えたけど。
流石にそれは出来ないよね、と柵から離れ、校舎の中に戻った。
それから何日かして、家に帰ると母が取り乱した様子で私に抱き着いてきた。
「ど、どうしたん?」
驚く私にしがみついたまま、母は泣き始めた。
「お、お父さんがね…乗ってた飛行機が、落ちた…っち、連絡が、あって」
「え?お父さん出張中やろ?帰ってくるの、週末やなかったっけ」
カレンダーに目を向けると、確かにそう書いてある。
母は、そっと体を離して…顔を下に向けたまま、
「……あの人ね、有給取って…会社の女の人と、旅行に行こうとしとったんよ…」
押し殺したような声を聞いて、ああ、なるほど、と。
それなら、あの飛行機が落ちたのは神様からの「罰」かもしれん。あの願いごとと無関係だとしたら、存在証明にはならないかな。




