7話:決意
異世界編です
「夕食の準備ができました」
そんな会話をしていた時、メイドが部屋の戸をたたいた。
「いこう、今日香。何より、食べれるときに腹ごしらえだよ」
「明日那がお腹すいただけでしょ」
「ばれたか」
何だかんだで、今日香は復活したな。にしてもお腹すいた。今頃、ラーメン屋で大盛ラーメン食べた帰りだったのに。帰りながら、ドーナツ買って食べているはずだったのに。何してくれてんだ。
大部屋に案内される。もう既にクラスの殆どが集まっていた。そして、席に案内される。
十数人のメイドが夕食を配った。
いや、訂正しよう。いや、現代人として言いたい。
十数人のメイドがおやつを配った。
両手サイズの黒パンとチーズ…………のみ。おやつですか、これは。私のおやつより少ないんですけど。
「ナニコレ」
今日香が絶句したかのような声を漏らす。
黒パンに嚙みつく。
こつんっ。
…………こつん?
悪食が働きつつ嚙み砕く。
硬ぇ。なんだこのパン。岩か? 岩を食べてるのか、私は?
味もしねぇ、食べ物食べてる気がしねぇ。
チーズは……ちゃんとおいしい。
でも、ボリュームよ。パンと一口サイズのチーズ数個。
すくねぇ。
中世ドイツでもこんなに少なくねぇよ。(偏見)
恨みが積もる。
「ゴハンヲカロンジルノ、ゼッタイユルサナイ」
おいこら、調理担当出せ。
立ち上がって、文句を言おうと思った。が、その前に一人が立ち上がった。
勇者こと、早川光だ。
「みんな聞いてくれ。俺は魔王討伐に行こうと思う」
その一人の意思表明によって、タイミングを失った。諦めて、岩を食べる。強化も顔をゆがませながら食べていた。
「もしかしたら、死ぬかもしれない。それでもついてきてくれるやつはいないか? 強制もする気はないし、たとえ1人もいなくても俺は行く」
一瞬、しんとする。
「早川君が行くなら私も行くよ」
「お前一人に背負わせる気はねーよ」
「私たちも少しぐらい力になれるわ」
そう言って、クラスの陽キャグループである3人が立ち上がる。
「お前ら……」
「みんなでやれば絶対勝てるよ」
「それに、まずは特訓だわ」
「そうだぞ、憂いあれば備えなしって言うからな」
「それ、備えあれば憂いなしだぞ」
そうやって4人が友情を確かめ合う。
よくもまぁ、こんなに硬くて味のしないパンを食べながら、感動的な会話ができるものだ。あ、硬すぎて食べれないのか。
今日香がどう考えてるか正直分からないけど、自ら死地に飛び込むなんてことはしたくないし、今日香だけで死なせる気もない。
『今日香はどうする、級長たちと行く?』
『うーん。あたしは嫌かなぁ、変にバレたくもないし、生と死の間で戦い続けるほどの勇気もないし』
『わかった。私も同意見』
『このパン、硬くない?』
『悪食がないとかみきれないよ?』
『それって……』
『常人はこのパンの耳の時点で無理』
『……ちょっとムカッてきたわ』
級長がわちゃわちゃしている間、黙々と食べながら念話する。マジですくねぇ、女子高校生がこんな量で足りると思ってるんだか。
黒パンですが、本来中身をくりぬいて、シチューなどを入れて食べる系のものです。
明日那は健啖家です。




