6話A:回想下
ハニースネークは、日本中を移動しながら女性人喰を喰らい続けている。そして、いま、2年ぶりにこの街に居座ってる。ちょうど父さんもいない。絶好の機会だ。
繁華街の路地裏に入り、フード被る。そのまま、服を変形させながら翼を展開し、その推力を使って、ビルの屋上まで垂直に跳ぶ。目撃情報から根城にしているであろうビルの方向に向き、じっと待つ。やつらが確実にいると分かる瞬間まで。
ウエストポーチに入れていたお菓子を食べながら待つこと数時間、やっと、ビルの一室に明かりが灯った。
やつらだ。
窓から、しっかりと顔が見えた。即座、一直線でその窓へと飛ぶ。
パリンッと窓を割りながら部屋に着地する。近くにいた構成員に方向転換し、飛びながら生成したナイフを構える。そしてそのまま、肋骨のすぐ下、右寄りに突き刺す。
「何事だ!」
別の部屋から入ってきた1人が叫ぶ。
「ぐあぁ」
それとほぼ同時に、二人目を刺す。根元までしっかり入ったことを確認して抜く。
「お前は何だ?! 俺たちの仲間をよくも」
グサッ。
翼の推力で音速に近しい速度で突く。
人喰は高い再生能力がある。臓器が切断されようが四肢を逃れようが、ほぼ完ぺきに再生する。だが、人喰の血手で攻撃を受けると、その再生は大幅に遅くなる。傷が深くなるとなおさら。
そして刺しているのは肝臓。人喰相手には致命傷には至らないが、確実に大量出血――能力が確実に落ちる。さらには、血手での攻撃。余計に足止めになる。
ザッ。
シャッ。
グシュッ。
次々に、突き刺す。そして、血手で生成した縄で手足を縛っていく。
「これで、全員かな」
そう言って、部屋にあったソファに腰掛ける。だが、それはすぐにかき消された。
「ほう、小娘か。うまそうだ」
大男が現れた。そいつはハニースネークの親玉であり、母さんの仇だ。
手に持ったナイフを強く握りしめる。
「お前が、母さんを!」
「威勢のいい娘だな」
即座加速。一気に間合いを詰める。そして、他と同じように肝臓を狙いナイフを突き出す。
もちろんそんなに簡単行くことがないのが現実である。
男が腰から血手を展開する。紫色の太い銛のような触手が肉薄する。
「……ッ!」
羽を広げ急減速しつつ、急旋回し、回避。距離を取る。
「ほう、これをよけるか」
ぎりぎりだった。
「さすがに、簡単には終わらないか」
少し息が荒くなりつつ、攻略法を考える。きついな。ナイフとは攻撃範囲が違う。しかも、瞬発力高くて、よけるのがギリギリ。勝てるかわからない。逃げれるかもわからない。恐らく、ここで勝てなかった食べられて、死ぬとおもう。
でも、もう引き返せない。だから、刺し違えてでも、もう被害者が出ないように終わらせる。
「ここからは想定の範囲外。やれることをするだけ」
ナイフをかまえる。息が荒くなる。切っ先が揺れ、心臓が跳ね上がる。
「お前がいかないなら、俺から行かせてもらう」
そう、男が宣言したが、ほぼ同時に動いた。
推力を全開にし、一気に距離を詰める。それと同じように、血手が迫る。
「はぁ……ア!」
体をひねり、肩をかすりながらも致命傷を避ける。そのまま、無理やりにでも自分の間合いに入る。
「これで終わりだぁあ」
肋骨の隙間、カーブを描いて心臓を突き刺すように刃を突き立てた。
「グホッ……。ゲホッ………」
男が吐血する。
心臓には届かなかったか。でも、肺に穴をあけれた。ナイフを血手から切り離し、新しいものを生成する。これで、少しは再生が遅くなるはず。
「もう、一回!」
後ろから返しの銛が来るッ!
吐血し、苦しそうながらも、戦うことをやめない。
回避を取る? この速度ならそれもできる。でも、――
でも、よけたら、時間切れになる。恐らく、周りの奴らが再生しきって、動けるようになる。そうなったら、奇襲の意味がなくなる。だから、いま詰め切るしかない。
翼を広げる。推力を直進方向から分散させ、真横に移動する。ナイフを握りしめる。そこから、ナイフを差し切った。
刃の隙間から血が噴き出す。心臓に穴をあけた。
私の復讐はここで終わった。
翼系の血手には2種類あり、鳥のように羽ばたいて飛ぶタイプと、スラスターのように血手の粒子を噴出しその推力で飛ぶタイプ。
明日那は後者で、ライフリのバックパックから機首を外して翼の形状をフリーダムに寄せた感じの珍しいメカニカルな形状でひと方向への推進力がけた違いに高いです。
次回から現実サイドです




